やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。 作:佐世保の中年ライダー
おめでたい事で。
空間を震わせて大音声と共に打ち上がり大きく、そして夜空に華々しく咲いては儚く消えゆく色とりどりの華々の競演がついに始まった。
『たーまやぁーっ!』
『かぁぎやぁーっ!』
夏の風物詩たる花火、それが夜空に光り輝く大輪の花が開く度に会場のあちこちから木霊するのはこれまた夏の風物詩であり毎度お馴染みの『玉屋鍵屋』の掛け声だ。
「そう言えばさアンディお兄ちゃん舞お姉ちゃん、何で花火の時って玉屋とか鍵屋って言うんだろうね、よく考えたら小町って今迄そんな事何にも考えずに言ってたよ。」
俺達の前方、一列手前の椅子に俺から見て左側に北斗丸、正面にはアンディ兄ちゃんその隣が舞姉ちゃん、そして小町で序にその隣は十平衛先生が腰掛けて居るん。
まぁ十平衛先生は小町に対してはセクハラ行為を働かないからな、だから舞姉ちゃんとの間に小町を挟む事で未然にそれを防いでいる訳だ、因みに十平衛先生の右隣はJrでその隣が材木座、そして春日野先生って順番で更に十平衛先生の真後ろは坂崎のご隠居だ。
これだけバッチリ固めりゃあ対爺様セクハラ防御網は完璧で確実に効力を発揮するだろうな、まぁあまりにも確実は確実すぎて、ゲームとしての面白みは欠けるがな。」
「はちくん何下顎に手を当てて変な事言ってるんですか、どうせまた何かのネタを言ってるんですよね。
そんな暇があるんならお米ちゃんの質問に答えてあげるか、私達の事ちやほやしてくれてもいいんですよ、てかどうかお願いしますちやほやして下さい。」
「おうすまんな、まぁ小町への説明なら舞姉ちゃんがやってくれるから問題無い、あれで舞姉ちゃんは博学でかなりハイレベルの才媛だからな、てかちやほやって具体的にどんな事するんだよ。」
「ソ・コ・は、私達に聞くんじゃ無くて自分で考えてくださいよ♡」
「ハイハイ、さよでっか。」
俺がそう言う側から案の定舞姉ちゃんが小町に説明を始めていた、まぁ元から小町は舞姉ちゃんに質問していたんだしこの件はこれでいいのだ、と四十一歳の春を迎えた元祖で天才なパパの如く俺は頷いておく。
後、これはうろ覚えだが確か鍵屋ってのが江戸の花火屋の元祖的な感じで玉屋はその鍵屋から暖簾分けしてもらったとかじゃなかったかな、舞姉ちゃんの話を聞くか雪乃に聞けば答えは直ぐに分かるんだろうが(何せ雪乃は別名ユキペディアの異名もあるし)俺も後で自分でウィキで調べてみるとしよう。
こう言うのは自分で調べるのも面白いからね、それに今は取り敢えず花火に集中していたいしな。
色とりどりに輝く光と音の祭典、打ち上げられた花火の数も数えていたわけじゃ無いから確実な数は知らんけど、既に相当数が空へと打ち上がり弾け輝いて消えていった。
何を言いたいかと言うとだな、要するにもう間もなくこの宴も終焉を迎えるだろうって事だよ、OK!?
とまぁそれは良いとしてここで一つ説明をしなければなるまい、今更かよって突っ込みは無しの方向で頼む。
実は現在打ち上げられている花火なんだが、コレは何とビックリな事に海上から打ち上げていたりするんだよな。
バージ船と言う物をご存知だろうか、海辺の工業地帯や造船所がある地域にお住まいの方ならもしかしたら見たことがあるかもだが、形としては平べったい筏の様な長方形をした海上輸送等に使われる運搬船なんだが。
今回の話を教えてくれた武蔵中原議員によると、このバージ船一艘辺り30M×20Mほどの大きさでそれを長辺方向15艘短辺方向4艘の計60艘を連結しその上に足場材でステージを組み、そのステージ上から花火を打ち上げているって言う。
全く何ともどえらく予算を使った物だと
何てな事をつらつらと考えていた俺だったが、その時ふと己の太ももの上に置いた右手の甲に何やら柔らかくそしてしっとり温かい感触を感じた。
その感触の主は誰であるか見ずとも理解出来ているんだが、それでも俺は振り向いてその主を目に見留める。
「………まさか私がこんな風に沢山の人達と共にこんな素敵な時間を過ごす事が出来る様になるだなんて、貴方達と出逢う前までは思っても見なかったわ。」
潤んだ瞳と少しはにかんだ様な優しい笑顔を俺に向けて雪乃がそう言う……俺はその雪乃の表情にまるで時間でも止められたかの様に身動きさえ取れず暫し見とれてしまった。
そして我に返りこう思ったのだ『あらやだ何この娘ったら超ヤバいって位にものすっごい可愛いんですけど、べ〜っマジ激ヤバじゃね』と。
イヤ、何と言うか戸部を兵井させて巫山戯るのもアレなんたが雪乃ってすげえ綺麗だし、其処にアレコレと形容詞を付けたところでその綺麗さを表現するには些かどころか、かなり不足気味だと俺は思っている訳なんだが。
しかしその綺麗な顔と此処まで超絶至近距離で見つめ合うなんてそうそう簡単には慣れる事もできない訳で、多分今の俺の顔は紅く染まっていると思う。
「貴方が居て、結衣さんといろはさんが居る、四人でならどんな事だって乗り越えられると、私はそう思えるの。」
打ち上がり華々しく咲いた花火の光に照らされながら雪乃が紬いだ言葉はこの日俺が聞いたどんな言葉よりも最も貴重で大切な響きを以て俺の心に刻まれた、言うなれば今の言葉こそが言霊と言うやつなのかも知れないな、と思わずにはいられなかった。
「う〜っ!ゆきのんっ、あたしもゆきのんと一緒ならいろはちゃんとハッチンと一緒ならどんな事でもきっと頑張れるよぉ!ゆきのん、あたしゆきのん大好きだよっ。」
俺の左隣のいろはの更に隣の席から結衣がダイブでもするかの様な勢いで、俺の右隣の雪乃に向かって思いっきり抱き着いた。
「ちょっと…結衣さん止めて暑苦しいのだけど。」
雪乃の頬に自分の頬をスリスリとにんまり笑顔の結衣は『ええいいじゃん』と雪乃の苦言をスルーし、スリスリを止めず雪乃は助けを求める様に俺を見つめるのだが、女の子同士のスキンシップなんて素晴らしい光景を目の当たりにしてそんな野暮は出来ないよな。
「痛ッ!?」
だが、そんな俺の態度にお冠状態となったのか雪乃が軽く睨んで俺の右手の甲をキュッと抓る、その表情から雪乃が声に出してはいないが『意地悪』と言って俺を責めている。
まぁ、良き物を見せて頂いている代償としてこの位の痛みは甘んじて受けて然るべきだろう、がそれにより一時沈静化していたプレッシャーが再び感じられたんだけどな、だが怖いから俺はその背後を振り向いて確認とか今はしない。
それから暫しの後に花火大会は恙無く終了と相なり観客達は次々に会場を後にし始める、きっとこれから暫くは駅へと向かう道も帰路に着く人でごった返しているだろうし、電車も数本は満員すし詰め状態になってるだろう。
『ご来場の皆様、只今駅までの道は大変混雑して危険ですのでどうぞ、周りに注意を配りゆっくりと他者との間隔を開けてお進み下さい。
尚本日のイベントの為に各線ともに増便しておりますので余裕を持ってお帰り頂けるよう手配をしておりますので、御安心下さい……。』
と、主催者側からの有り難いお達しもあるのでならば此処は慌てず騒がす、人が少なくなってから帰路へ着くのが正解だろうと、俺達は人々が疎らになる迄の間暫しこの場に留まり時間をずらしてから帰ろうと話がまとまった。
「けどアレだべ、此処でただ待ってるのも何だし俺皆の分も何か飲むもの買ってくるけど比企谷君と材木座君、悪ぃけど付き合ってくんないかなぁ、頼むっしょ。」
戸部は揉み手で拝む様に俺達に要請するが、まぁそんな事位なら別に構いやしないし俺と材木座は了承し皆の希望を一人一人聞いて買い出しに出掛けることにしたんだが。
「あっ、じゃあ私も付き合うよ、良いよね比企谷君と戸部くんとえ〜とっ材木座君だったかな。」
そう言って来たのは雪乃の姉である雪ノ下さんだった、雪ノ下さんはとても人好きのする一見すると男子の理想を具現化したかの様な蠱惑的でいて優しそうな笑み湛えていて、戸部と材木座はその笑みにアッサリと撃ち抜かれてしまい。
「マジっすかぁ、べ〜っ雪ノ下さんのお姉さんみたいなキレイな人と一緒とか超感激っしょ!」
「そ、そ、そ、そうであるな…どどどどうしてもと言うのならご一緒する事も我としては……その吝かでは無いのでありまする……。」
民主主義の原則に則り賛成多数で俺達の買い出しに雪ノ下さんも一緒に赴く事となったのだが、先程から度々感じるプレッシャーとか諸々あって俺は雪ノ下さんが同行する事に一抹の不安があったりで、どうか何も起こりません様にと“多分”居もしないだろう神様とやらに願う事しか出来無いんだよなぁ。
雪ノ下を含めて四人で買い出しに出発した俺達なんだが、会場の直ぐ側に在るコンビニは流石に今は人も多いだろうし俺達は近場に点在する自販機で飲み物を購入する事としソチラに向っている。
まぁぶっちゃけコンビニよりか自販機の方が近いからってのも有るけどな。
「いやぁ〜っ、さっきの試合Jr君も材木座君マジすごかったわぁ、ホントにリスペクトっしょ。」
「ぬおっ、そっ、そうであるか。」
「やっぱアレだべ、あんだけ強くなるにはすっげぇ修行とかしてんしょ!?」
先頭ってか前列に材木座と戸部が二人並び話しながら歩き、その後ろを少しだけ距離を置き俺と雪ノ下さんが何故だか並んで歩いている。
俺はさっきから雪ノ下さんから発せられている、明らかに俺に対してとしか思えない嫌がらせの様なプレッシャーに居心地の悪いものを感じていてそれがどうにもむず痒いってか不気味ってか、何だか溜息を吐きたい気分だ。
「いやあまさかねえ、伝説の餓狼達の弟子がこの千葉に居てしかもその子が雪乃ちゃんの想い人になるなんて夢にも思っていなかったよ。」
雪ノ下さんはあまり大きな声では無いが隣の俺にはハッキリと聞き取れるくらいの声量で以て、そして幾分挑発的な笑みを見せながらそんな事を宣うのだが。
いやマジそう言うの要らないんでどうか普通に接しては頂けないものでしょうかね、まぁこの人の普通ってのがどう言う感じかは知らんけどね。
「はぁ、まぁそうッスね。」
一言そう言って俺は一旦言葉をそこで切る、雪ノ下さんが俺に対してどんな返答を期待しているのかなんて想像も出来ないし、なので正直な俺の本心を言っておく方が無難だろう。
「俺みたいなのに雪乃は、いや雪乃だけじゃ無いんですけど結衣やいろはだって勿体無い位の女性なんですよね。」
「……ふうん、そうなんだ。」
何とも素っ気無く雪ノ下さんがそう答える、そんな風に言われてしまうと俺としてもなんと言って良いか解らず続く言葉を発する事を躊躇ってしまうんだが。
正直、舞姉ちゃんや平塚先生とか気心が知れた歳上のお姉さんとなら気兼ね無く話せるんだが、訳も解らずプレッシャーとか掛けてくる怖いお姉さんとかどう対処すりゃ良いのか経験値の少ない俺にはマジ……解んねえ〜っ、て感じなんだよなぁ。
「……あの」しかし流石にこの重い空気をどうにかしたいと思った俺は意を決して口を開いたその時。
「ねえ、比企谷君、私と闘ってくれないかな。」
突然何の前振りもなく、いやさっきから彼女が発していたプレッシャーとか殺気とかが前振りだったのかもだが、雪ノ下さんはごくさり気なくそれこそ『そこの喫茶店でお茶でも飲もうぜ』と誘うかの様な気軽さでそう言った。
「ホワイ!?」
あまりの唐突さに俺は思わずカタカナ発音になってしまったが、そう問わずにはいられなかった。
俺の右隣を歩く雪ノ下さんに顔と視線をロックしてその彼女の口から言葉が発せられるのを待ち、と同時にその表情から彼女の真意の程が幾らかでも解らないだろうかと思ったんだが、相変わらずの挑戦的な美人のお姉さん的スマイルを湛えているだけで、その感情を読む事は出来なかったがその眼光は笑っている人のそれじゃあ無い。
「……何で、いきなりそう言う事になるんですかね雪ノ下さん?」
今の俺の言葉には抑揚と言う物が欠如している事だろう、だがそれでもそこの所は聞いておかなけりゃならないだろうからな。
「ふふん♪聞・き・た・い・のかな比企谷君は
片目を瞑りウインクをかまして右手の人差し指をチッチッチと小刻みに振りつつ、楽しげにってか愉しげに雪ノ下さんが俺に問い掛けるが、俺はちっとも楽しくないっすからね雪ノ下さんそこんトコロよろしーく………っすよ。
けど一応俺的にはその真意を知りたくもあるし思うところもある、なので俺の思おを雪ノ下さんに伝える必要もある訳でもある。
「まぁ、そうっすね、雪ノ下さんも雪乃も藤堂さんの元で古武術を学んでいたと聞いてますし、その雪乃が言うには雪ノ下さんは自分よりも遥かに古武術の才があったとも聞いていますから、俺も格闘技を学ぶ者として強い人と手合わせをする機会は得難い物っすけど、雪ノ下さんのお誘いはどうもそう言った思いから来ているモノとは違うんじゃと……。」
なのでその思いと俺なりの考察を彼女に伝えてみたのだが、ソレを聞いた雪ノ下さんは一瞬両眼を閉じ直ぐにその目を見開くと、嗤いながら言った。
「感の良い子は嫌いだな。」
ゆきさんのその一言と表情に俺は思わず怖気だってしまった、そして彼女は更に続けて。
「そうだね~、一言言うなら理由は無い、ただ君の事が気に入らないってところだねっ♪」
だそうだ、まぁ薄々そうではないかとは思っていたんだがな、なのでその辺は聞かされたからと言って更なるショックに襲われるとかって事は無いんだが。
「……何すか、その剣崎似の白鳳○園の生徒を理由も無く気に入らないってだけで暴行する誠○館の不良学生の様な言い分は、その内壬生○介が樹齢三千年の一位樫で作られた木刀持って殴り込みにでも来るんですかね。」
「何それ、言ってる意味が解んないんだけど。」
俺の突っ込みネタを雪ノ下さんはけんもほろろに解らないと一言を以て切って捨ててしまう、べっ、別に悔しくなんか無いんだからねっ!
「まぁ、でしょうね……それでどうしますかこの場で一勝負と行くつもりなんですかね。」
嘘です、解ってもらえず俺内心はちょっとだけ切ない気分です、がそれはおくびにも出さずに(多分出て無いよな)雪ノ下さんへ問う。
「あははははっ、いやソレも面白いかもねぇ〜っ、でも私にも一応立場があるんだよね。
今日は両親の名代として此処に来ているからさ、あんまり悪い意味で目立つ様な事は出来ないかなってね……だから比企谷君、ここ数日以内で君の都合の良い日を教えてくれないかな。」
現状を鑑みても彼女のその返答は思っていた以上にまともなものであり(但し一時的な物ではあり根本的な物は何も解決はしていないのだが)俺は心底内心安堵した。
あの花火大会から二日後、俺は愛車ZX−25rを駆り雪ノ下さんから連絡を受け指定された場所へと向かう。
昨日、まぁ花火大会の翌日だがアンディ兄ちゃんと舞姉ちゃんは十平衛先生と北斗丸を伴い不知火道場へと帰って行った、偉大な兄貴分と姉貴分との暫しの別れは少しだけだが柄にも無く俺をセンチな気分にさせてくれた。
だが、帰り際にアンディ兄ちゃんはジョーあんちゃんと同じ様に、俺に対して真正面から実演して見せてくれた。
超裂破弾を、俺にそれを見せてくれたって事はアンディ兄ちゃんもジョーあんちゃんも何連俺がその技を会得出来ると判断してくれたからだろう。
兄貴達のその期待を俺は裏切る訳にはいかない、今後も鍛錬を続け近日中にはモノに出来る様奮闘せねばだな。
それから今日の午前の便で坂崎ご隠居が、そしてマイヤさんも日本を離れアメリカへと帰還してしまった。
マイヤさんは各国のパオパオカフェを統括しなきゃならない立場にある人だし何時までも日本にばかり居られないだろうからな。
坂崎のご隠居の場合はアメリカへ帰国してサカザキ総帥と新たに開設される極限流空手道場千葉支部の事について話し合うのだろう、まぁ多分千葉支部は坂崎のご隠居が責任者として着任するんだろうけどな。
ご隠居ってアレだ、川崎姉弟の事を実の孫同然に思っているからな、特にサキサキの将来の婿さん探しとか張り切るだろう、それが極限流門下から現れてくれりゃあ俺としても言うことないんだが。
そんな回想を入れている内に俺は目的地へと到着した、そこは不知火道場とよく似た純和風の外観を持つ平屋建ての大きな建物。
その建物の前で、俺はマシンのエンジンを切り降車しスタンドを立て一旦その場にバイクを置き正門と呼ぶに相応しい4トントラックが余裕で入って行けそうな程の立派な正面玄関から、家人の方に来訪を伝える為呼び鈴を鳴らした。
程なくして、インターフォンから優しげな声音の女性の声で『いらっしゃい比企谷君、どうぞお入りなさいな』との応答が帰ってくる。
「はい、今日はお世話になります藤堂さん。」
と、言う事で本日俺が訪れたのは雪ノ下姉妹のお母さんこと、ゆきのんのママの古い友人である藤堂香澄さんが師範を務める藤堂流古武術道場だ。
藤堂さんの許可を得て藤堂家の敷地内駐車スペースに単車を置かせてもらい、それから直ぐ様藤堂さんに案内され道場へ伺うと、其処には既に到着てしいた雪ノ下さんが袴姿で板張りの上に正座し何やら精神集中でも行っている様だ。
「陽乃ちゃん比企谷君が見えられましたよ。」
その藤堂さんの声に反応して雪ノ下さんは正座を崩しながら身を翻してこちらを向き直り、すくっと立ち上がるとあの花火大会の日に見せたプレッシャーなど微塵も感じさせない、ごく自然な表情を見せ藤堂さんと俺に話し掛けて来る。
「よく来てくれたわね比企谷君、私の挑戦を受けてくれてありがとう。
そして香澄おば様、私の我儘を聞き届けて頂いてありがとうございます。」
「………うす。」
彼女の先日とのその違いのせいか、どうにも俺はちょっとペースを乱された様な気が、もしこれが雪ノ下さんの計略だとすれば俺はまんまと其れに乗せられてしまってるって事だろうか。
「ふふふ、年長者としては本来止めるべきなのかも知れないのだけれど、私も比企谷君には興味がありましたからね。
それに陽乃ちゃんも雪乃ちゃんも私にとっては姪っ子の様な存在ですからね、比企谷君にとっては迷惑かも知れませんけどおばさんとしては応援したくなるのよ。」
まさか極限流のサカザキ総帥やご隠居が認める藤堂さんからそんな事を言われてしまうとはな、こりゃあもうマジに冗談では済まされないってかよ。
それに雪乃や雪ノ下さんの事を姪っ子の様に思ってるからって言うのは解らんでも無いが、応援ってのは一体どう言う事でしょうかね。
「早速で悪いんだけど比企谷君、君の準備が出来次第直ぐに始めようか私の方はもう何時でも良いよ。」
雪ノ下さんが表情を引き締めてそう俺を促す、ならばもう此処までお膳立ても出来たんだし此方も準備を始めましょうかね。
そんで、雪ノ下さんにはこの手合わせの真意が何処にあるのか後で問いたださなきゃならないよな、その為にはやっぱりこの闘いに俺は勝たなきゃいかんって事だ。
次回予告
いよいよ始まる八幡と陽乃の対戦、その闘いの前に陽乃は八幡にある条件を突きつける。
しかし八幡にとってそれは、決して受け容れられる事柄では無かったのだ。
次回、闘いの序章。
Not even justice, I want to get truth.
真実は見えるか。