やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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闘いが終わって、思わぬ事態に遭遇するのは間違っているだろうか?

 

 「いやぁ〜っ参ったぜ、完敗だ完敗。ケン師匠の言う通り世の中にゃ強い奴ってのは幾らでも居るもんなんだな!」

 

 地べたに胡座を組んで座り込み後頭部をボリボリと掻きつつ能天気に笑うマツダ。つい十数分前に川崎と対戦して敗北したコイツは、その川崎の開眼した潜在能力の前にのされ意識を刈り取られていたんだが、ついさっき目を覚ますと自身の置かれた状況を把握してそれをアッサリと受け入れ悪びれることもなく、勝者たる川崎を評価する。この辺りの率直さはマツダ自身の為人なのか、マスターズさん達の薫陶を受けてなのかは解らんけど、まぁこう言うヤツも案外悪くは無いな。

 

 「いやぁ、アンタ本当にすっげーな!何だよあの最後の技はよぉ。まだ身体のアチコチがすっげー()ってぇよ。」

 

 その周囲にはジャッジを勤めた春日野先生をはじめ対戦相手の川崎に俺と小町と留美とけーちゃんが集っている。

 『よっ!よっ!』ってな感じで座ったままその身を左右に捻りつつ自身の身体の状態を確認しつつ笑うマツダに俺達は呆れてしまう。

 

 「……あれだけ連打を叩き込んでやったのに、痛いで済ましてるアンタの方がよっぽど凄いって思うんだけどね。アタシは……」

 

 「だよなぁ、もし俺があんだけ食らったら多分もう暫くは目も覚めてないかもだわ。マジお前の身体はどうなってんだよ、ホント材木座並の回復力まで備えてやがるのかよ。」

 

 その感情をまるで隠す事無く表情にも声音にも露にして川崎が漏らすと、俺もそれに同意する。まぁ実際リュウさんの昇龍拳の前に完全にのされた経験があるし、そう思うのも致し方無しだろう。

 二人の対戦中にも俺はあれやこれやとヤツのタフネスっぷりについて推察を行っていて、その身体能力の高さや柔軟性があっての故だって事がマツダの口からも語られた訳なんだが、あの材木座の異様な回復っぷりに引けを取らないマツダの回復力には、それだけじゃ納得いかないモノがあるんだよな。

 しかしまぁ、とは言えどもタフネスマツダも川崎の潜在能力の前に沈んた訳だしな、不沈空母って訳でも無いし攻略が出来ない事も無い。それよりも俺としてはもう一つ気になる事がある、てな訳で先ずはその(謎?て程でも無いだろうか)事を問い質そうか。

 

 「なぁマツダ、ちょっと話は変わるがお前に聞きたい事があるんだがな、お前が川崎をフェイントで嵌めたときサ スーンクオリティーって言ったよな。お前一体何処でそのネタ仕入れたんだよ?」

   

 そう、それは知る人ぞ知るあのネタだった。やはり日系人であるからマツダはアレを知っていたのだろうか、と俺は疑問に思っていたって訳なのだが。

 

 「はぁ!?何だよそのネタってのはよぉッ、失礼な奴だなお前はよぉッ、ありゃケン師匠から教わった由緒正しい戦法と技だぜ!」

 

 俺の言い方(ネタと言った事)に腹を立ててかマツダは、ちょっとムキになって俺に対して言い返してきたんだが、その返答が意外過ぎた。

 

 「えッ…………マジで!?」

 

 マツダの返答に俺は思わず絶句してししまう、それはあまりにも意外過ぎる答えすぎた、大事な事だかから二回言う。

 

 「おう!俺が八幡ッ、お前に挑戦する為に日本へ行くって言ったらケン師匠がよ、不敵な顔をして俺にこう言ったんだよ……」

 

 マツダが語るマスターズさんとの会話とはこう言うやり取りだったそうなんだが、それをマツダは身振り手振りを加えて語り始めた。

 

 但し、地べたに胡座をかいたままの姿勢で……多分だが座っまままのこの姿勢でいくらマツダがタフガイだと言っても今はまだジャンプはしないだろうと思われる。サンドウィッチも無いし塩コショウも無い様だし。いやサンドウィッチや塩コショウは関係無いな、あれは波紋の修行があってこその能力だろうし。

 

 『まあお前が行きたいって言うんなら俺としては止めはしないぜショーン。だがな相手はあの伝説の狼テリー・ボガードやアンディ・ボガード、そしてムエタイチャンプのジョー・ヒガシの教えを何年も受けているって事だったよな。』

 

 『ウッス。そうらしいっすね、それにリュウさんがあれだけ褒めてたんだから八幡って奴の実力も今はそれ相応に結構なモンになってんじゃないっすかね多分。』

 

 『ああ、まあだからなショーン、お前もこの半年みっちりと俺が鍛えてもやったし、お前の爺さんが教えたっていう古武術って土台があるとは言ってもな、それだけじゃあ流石にきついモノがあるだろうよ。其処でだショーン。』

 

 『おおっ、其処で何すか!?』

 

 『へへッ、俺が一つお前に策を授けてやるぜ。』

 

 右手の親指で鼻面を掻く仕草を見せニヤリと嗤うマツダ、それがマスターズさんが見せた仕草なんだろうが面識の無い俺にはそれが似ているのかどうかは解らないが、春日野先生がそれをニコニコと笑って見ている所を観るに、中々再現率が高いのかも知れん。

 内心俺は、コイツ格闘家になるよりも形態模写とかやる芸人か新機軸的な落語家にでもなった方が良いんじゃねと俺が思うのも“仕方が無かろうなのだァァァァッ!!”と思うんだ八幡。例えばそうだな芸名は、マツダとリュウさんやマスターズさんの名を繋ぎ合わせてると……なんと昇龍拳(ショーン)(リュウ)(ケン)になるじゃあねぇかよッ!コイツは果たして偶然なのか?……そうだなじゃあ芸名は“笑竜軒松蔵”とかどうだろうか?てか拳を軒に変えると何だか中華料理店の店名みたいだよな、落語家的には“亭”とかと名乗った方が良い様な気もするが、それだとマスターズさんが省かれるし………などと俺がアホな思い付きをツラツラと脳内で思考している間にもマツダの芸は続く。

 

 『いいかショーン、これはな俺やお前の爺様の祖国日本に古より伝わる由緒ある技だ。相手の精神を揺さぶり強制的に隙を作り出し其処に攻撃を当てる、相手としたら意図せぬ攻撃を受けるわけだからそれにより此方の攻撃の威力が数倍にも跳ね上がるって寸法だ。しかもこれは所謂心理に訴える技だからな一度此方の術中に掛かっちまえば中々抜け出せ無い恐ろしい技だ!』

 

 「えっ!?何だってぇッ」………今のマツダのマスターズさんを真似たセリフに、俺は思わずそう口に出してしまったのには理由がある。其れは俺が予想していた“ソレ”意外のネタが含まれていたからだ、あのサ スーンクオリティーの出処には直ぐに予測が付いたが、まさかそれ以外のネタが含まれているとは予想の範囲外過ぎにも程があろうと言うもんだ。

 

 「何だよ八幡よぉッ、せっかく人が気持よくノッて話してるってぇのに、素っ頓狂な声上げてんじゃねぇよ全くよッ!」

 

 しかしそれをお気に召さなかったマツダは俺に苦情をぶつけてくる、ってか何気にコイツは気持よくノッてたとか言ってるし、やっぱり芸人気質が其れなりにありそうだな。

 

 「おっ、おう、何かスマンな松蔵師匠……今の話でちと気になった事があったもんだからな。」

 

 「はぁん!?気になった事ねぇってかオイ、その松蔵師匠ってのは一体何なんだよ、ソッチのほうがよっぽど気になるじゃねえかよ!」

 

 「あぁ、その辺はスルーしてくれて構わん、別に大した事を言った訳じゃ無いからな。」

 

 マツダとそんな取り留めもない会話の後、マツダが改めて「気になる事ってのは何だよ」と尋ねて来たものだから俺は改めてそれをマツダに問おうと口を開き掛けたその時。

 少し前に流行ってたっぽい(あまり関心の無いジャンルだからよくは知らん)音楽が流れてくる、まぁそれが何かって言うと明らかに電話の着信を告げる所謂着信メロディなんだろうけど。

 

 「あっ、ゴメン私のみたい。」

 

 多分内心此処に集うみんなもそう思っていただろう、その着信は春日野先生に掛かってきたものだった。

 一言の謝罪の言葉を告げて春日野先生は懐からスマートフォンを取り出すとモニターを確認して告げる。

 

 「おっと、コレはナイスなタイミングだね、ショーン君ケンさんからだよ。」

 

 「えっ!マジっすかサクラさん、ヤベェこのタイミングでかよぉ。」

 

 電話を掛けてきた人物が誰かを伝えられたマツダはコレはヤバいとその表情を陰らせた、まぁついさっき一勝負終えたばかりの上にそれが敗戦だって事を師匠に伝えるのは些かキツかろう。その気持ちは解らんでも無い。

 

 「はいもしもしケンさん。」

 

 尊敬する師匠に敗戦の事実を知られたくないのだろうかバツの悪そうなマツダと、そのマツダに対して俺がちょっとばかり同情の念を抱いている間にも時は動き続け、春日野先生はマスターズさんからの電話に弾んだ声で返答を返している。

 春日野先生が電話で会話による二三のやり取りの後通話をスピーカーモードに切り替える、そしてスピーカーから響き渡る声は。

 

 『よおショーンお疲れさん、さっき一勝負終わったところなんだってな。』

 

 『はい、ケン師匠ッ!』

 

 春日野先生がかざすスマートフォンを前にビシッと正座し神妙に居住まいを糺しマツダは、マスターズさんのねぎらいの言葉に返事をする。

 

 『フッ……それでショーンどうだったよ伝説の餓狼の弟子はよ、やっぱりリュウの奴が気に掛ける程の男だったか?』

 

 『あっ……いや、ソレがっすねケン師匠……実は……』

 

 さも楽しげに俺の事を尋ねるマスターズさんに、マツダは今回の事をどう伝えるべきかと迷いつつ言葉を区切りながら(いや吃りながらと言っても差し支え無いだろうか)ポツポツと説明する。

 

 「まさかね、電話越しにだけどあのケン・マスターズさんの声を聴くことになるなんて思いもしなかったよ。」

 

 マツダとの対戦を終えたばかりの川崎が感慨の籠もった声音でポツリと漏らす。

 

 「だよなぁ俺もそう思うわ。」

 

 もうかなり過去の話ではあるが、若くして全米格闘王となった偉大な格闘家、リュウさんと同門の盟友にして実業家としても名を知られているし、あと序にマツダの師匠でもあるんだが。

 その人の声を今リアルタイムで聴いているんだからな、世の中何があるか解ったもんじゃねぇ。

 

 『それじゃあ何かお前、調子こいて女の子に挑発されて闘ったはいいけど、アッサリ返り討ちに遭ったってのかよ。』

 

 「オッス、まあそうっすね……はい。」

 

 マツダからの話を聴いたマスターズさんの声音と言葉にはには一見、己の弟子の不甲斐なさを責めるような感じに聞こえるがそれ以上に、己の弟子を打ち負かした女の子に対する興味を唆られているように俺には感じられる。

 

 「ケンさん、それなんだけどさ川崎さんはね、あっ川崎さんってショーン君と対戦した娘なんだけど、何とびっくりアノ極限流空手の創始者タクマ・サカザキ氏に認められ、最強の虎ロバート・ガルシア氏の技を受け継ぐ娘なんだよ!」

 

 マツダから返答を引き継いだ春日野先生がマスターズさんに対して川崎の格闘家としてのプロフィールをサクッと紹介する。

 すると暫し電話の向こうのマスターズさんがその意外さに沈黙しているのが、此方に居る俺達にも伝わってくるのだが。

 

 『何ぃ!オイオイッ、ソイツは本当かよサクラちゃん!?』

 

 「うん、本当だよケンさん。実はねちょっと前にサカザキ氏とガルシア氏がお二人揃って来日して来られたんだよね。それで私もサカザキ氏とお話しさせてもらったんだけど、サカザキ氏って剛拳さんとも知り合いだったらしいんだよね。」

 

 『まじかよオイ!?しっかしあの極限流空手の創始者と師匠が知り合いだったとはなぁ、まあ格闘家としても二人の年齢的にも確かに昔出会っていても不思議は無いのかも知れないがなぁ。世の中案外広い様で狭いモン何だな。』

 

 「あっ、それとね。今此処には居ないんだけどさ、何とあの火引さんの親戚の子もウチの学校に居るんだよ。」

 

 春日野先生は材木座の存在まで序に説明すると。

 

 『はあぁッ!?ダンの奴の親戚だってぇ!』

 

 これ又ビックリってな感じに驚きを表現するマスターズさん、てか何気に材木座の叔父さんとも知己だったのかよ、そっちの事実にオラビックリだ。

 

 「うん!まあ外見的にはあんまり似てないんだけど、でも所々に火引さんの血だなぁって感じる所もある子なんだよね。しかも小さい頃から火引さんにサイキョー流の手解きを受けてたんだってさ。」

 

 何だか若干唐突に始まってしまった春日野先生による此方の状況解説に、俺は地べたにポツリと正座して取り残された感を漂わすマツダに僅かながら不憫さを感じつつも、より以上に春日野先生とマスターズさんとの会話の方に興味が移っており、マツダの存在が少しばかりどうでもよくなっているのは仕方の無い事であろう。

 

 「強く生きろよマツダ。」

 

 「オメーなぁ、そんな感情の籠もってない声で言われても嬉しかねえんだっての!」

 

 なので俺は座っているマツダに合わせて腰を落とし(所謂ヤンキー座りの体勢)てマツダの肩に手を掛けてそう声を掛けたのだが、マツダには何の感銘も与え無かったご様子である。

 

 『なるほどなぁ。しかし、サクラちゃんの事だからそのダンの親戚ってボーズに技の手解きくらいはやってんだろう?』

 

 「うん、まあね。波動拳くらいは教えたかな、尤もね身近に比企谷君の存在があるから、定期的に二人で一緒にトレーニングやってるし互いに相手の事を批評し合いながら切磋琢磨しているからね。もしかしたら材木座君はもう火引さんより強くなってるかも知れないんだよね。」

 

 そんな風に春日野先生が材木座の事をマスターズさんに報告する、ある意味春日野先生にとっては材木座の奴は弟子に近い存在だし、材木座の叔父さんの事をマスターズさんも存じている様だしな。思い出話しに花を咲かせるのも悪く無かろう。

 

 

 

 『は〜っ、マジかよ失敗したぜこりゃあ……テリー・ボガードの弟子に極限流空手の門下生にダンの奴の親戚か。俺もそっちに行きゃあよかったぜ……良いよなサクラちゃんはよぉそんな連中が近場に居りゃ退屈はしないだろう?』

 

 一頻り思い出話しに花を咲かせた後マスターズさんは最後にそう言って話を締め括る、少し長く話し込んでいる事だし国を跨いでの通話だから通話料金もかなりの物になっているんじゃ無かろうかと俺も心配だ。

 まぁ実業家でもあるマスターズさんにとってはその程度は端金に過ぎんかも知れんが、まぁ人間ってのは何事も程々が一番って言いますし。

 

 『ああそうだ、すまないがサクラちゃん、テリー・ボガードの弟子と極限流の娘と少し話したいんだが構わないかい?』

 

 俺が通話料金について要らぬ心配をしている事を他所にマスターズさんが突然そんな事を言い出すモノだからもう“パニックパニックパニックみんながあわててる”ってな感じだ。まぁ実際に慌ててるのは多分俺だけだろうけど。

 それはさておき、春日野先生はマスターズさんの要請を了承すると右手の掌中のスマートフォンを俺たちの方へと向けると笑顔で手招きをして呼俺達にび掛ける。

 

 「比企谷君、川崎さんほらこっち来て!」

 

 いやしかしそうは言われてもですねイキナリ世界的な有名人と喩え電話越しとは言えども言葉を交わすなんて心の準備が出来ておりませんのであしからず………何とかして此の場からトンズラコキタイと思うのは間違っているだろうか?

 

 「はい!」

 

 しかし、俺がその様にアレコレ、モタモタと愚図っている内に川崎の方は颯爽と返事をすると春日野先生の前に歩を進める。あらやだサキサキさんってばマジ女前(オトコマエ)過ぎて、あたいの中の乙男(おとめ)回路がトキメキにキュンキュンしちゃうわぁ。

 まぁ現実逃避はコレくらいで、実際女性ってのは場合に依っては男よりも遥かに決断力が速いって言うしな、特に恋愛関係とか。思わず天に指さしてこう言いたい。

 

 『親父(おとうちゃん)は言っていた。“いいか八幡、女って生き物はなぁ、あざとく甘い仕草と言葉をもって獲物と狙った男にすり寄り誑かして来るが、その男に一度(ひとたび)将来性や甲斐性が無いと判断すればたちまちのうちに疾風の如く、その男の元から去っていくもんなんだ”とな。』

 

 「って、何処の総てを司り天の道を往く男だよっての。」

 

 「あアぁンッ!」

 

 俺のアホな呟きを耳聡くキャッチしたサキサキが一旦俺の横で歩みを止め、ドスの効いた声音で凄む。イヤマジ怖いんで止めてもらっていいですかねソレ。貴女自覚は無いでしょうけど、かなりの美形な上に目付きが割りとキツめだから迫力満点なんですから、俺にはその方面の趣味は無いけど(多分)きっとドM方面の奴にそれやったらご褒美になると思うから、その後が煩わしくなるだろうから気を付けるべきですよ。

 数舜の見つめ合い、其処にはキックオフな感じの爽やかで甘ったるい背景効果など無く、俺にガンをくれる川崎とその彼女の視線から逃れようと視線を逸らす俺との攻防が在るのみだった。しかし………。 

 

 「ほらッ、何してんのさアンタもサッサと来な!」

 

 「うわっ!?ちょッお前な……グエッ……」

 

 マツダの隣ではヤンキー座りの体勢でいる俺を更にキッと一睨みすると川崎は、座り込んでいる俺のトレーニングウェアの襟首を強引に引っ張り立ち上がらせる。そして春日野先生の前まで俺は引き吊られ連行される、なその際俺は『グエッ』とダッサイ呻き声をのあげてしまったのは皆さんスルーでお願いします。

 二三歩程の距離を引き吊られ春日野先生の前まで連行され俺は川崎に不満をぶつける。

 

 「ったく何時から俺は鰐淵○樹に折檻されて引きづられる内海雄○にジョブチェンジしたんだよ……てかお前最近マジ俺への対応がぞんざいに過ぎんじゃね、待遇の改善を要求しちゃうよマジ!」

 

 「アンタねぇッ馬鹿な事言って無いで早く挨拶しなよッ、だいたいさぁ何時かケン・マスターズさんに会いたいって言ってたのはアンタでしょうがッ!」

 

 だが、俺のソレはそれはサキサキによるケチを付けれる一寸の隙間もない、ド正論によって封殺されてしまった。

 春日野先生の正面に立ち、その先生が掲げるスマートフォンの向こうって表現が適切であるかどうかは知らんけど、その姿を見る事は叶わないが俺はこれから遂に言葉を交わすこととなる。

 

 リュウさんの同門の盟友にして元全米格闘王『ケン・マスターズ』さんと。

 




ある日の会話。

沙希「ねえ比企谷、ちょっと相談なんだけどさ……(中略)……って技を考案したんだけど、アンタ何か良い名前考えてくんないかな?」
八幡「おっ、おうそうだな……取り敢えず2つ程思いついたんだが。」
沙希「へえ、どんなの?」
八幡「先ず1つ目は、最強の虎ロバート師範直伝の三種の脚技の組み合わせって事で『ローリング・タイガー』ってのはどうだ!?将来的にもし更に五種の脚技を組み合わせた暁には『スペシャル・ローリング・タイガー』になる!」
沙希「………何かさ、それどっかで聞いた事がある気がする上に、極限流の技名っぽく無いじゃん。」
八幡「………気っ、気の所為でしゅじょ……」
沙希「……………(怒気)」
八幡「じゃ……じゃあアレだ飛竜三段蹴りで、どげんですか?」
沙希「………飛竜三段蹴りねぇ…まあ、さっきのよりはマシそうだね。じゃあそれで良いかな。」

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