やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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高校生活を振り返って その3

 

 そんなこんなで、俺達三人は総武高校を後にしてサイゼへと到着したのだが。

 イヤもう、その道中が俺が予想していた以上に他者の注目を集める結果になってしまった訳である。

 由比ヶ浜も一色も客観的に見ようと見まいとも、間違い無く美少女と言っても過言では無い、そんな美少女二人を伴って、トンデモ変態仕様の自転車を押して付き従う眼つきの悪いボッチ野郎が歩いて居るんだからな。

 道行く男達の嫉妬の視線が痛たまれなかったぜ。

 其れだけじゃ無く、何故か女子までもがコチラに憎悪の視線を向けて来ていたのには、驚かされた。

 しかしまさか、我が千葉県にこんなにも多くの百合属性持ちの女子が居るとは思いもしなかったぜ…その辺りに関しては、結構呑気していた八幡もコレにはビビった! だ。

 

 だが解るぞお前達、理由を知らなければ俺だって美少女二人と行動を共にする男が居れば『けっ!このクソッタレのリア充が、滅んじまえ!』位の事は思うだろうからな。

 だがな、俺にそんな視線を向けて来た者達よ、お前達は大きな勘違いをしているんだよ、今俺が置かれている現状はお前達が思っている様なリア充イベント何かじゃあ決して無いからな。

 一色の要件次第では、途轍もなく面倒な自体になる可能性が高いんだよな。

 まぁ、取り敢えずは一色の話を聞いてみてから判断するか。

 

 「……ぱい、もうせんぱい!何時までも立っていないで早く座って下さいよ、何時までボォーっとしているつもりなんですか!」

 

 はっ!どうやら俺はサイゼへ到着し、席まで案内されてから長々と回想をしていたらしい、しかもテーブルの前で。

 イヤこりゃ一色でなくとも、着席を促すわな、既に一色と由比ヶ浜は二人で同じサイドに腰掛けていた。

 

 「おぉ、悪い確かに少しボォーっとしてたわ。」

 

 見ると一色は軽く頬を膨らませ怒ってますアピールをしているし、由比ヶ浜は心配そうに俺を見詰めている。

 

 「ヒッキーどうしたの具合悪い?」

 

 「…イヤ何でもない考え事していただけだ、マジで。」

 

 マジで由比ヶ浜に心配掛けてしまったようだ、脳内でこれ迄のあらすじを回想していただけなんだが。

 

 これ以上心配を掛けない様にサッサと座ろう、何かいたたまれない気持ちになるからな……比企谷八幡はクールに座るぜ。

 

 「…せんぱい、何ニヤけながら座ろうとしているんですか、その顔ちょっと引きますよ…。」

 

 こっ、この野郎…人が気持ち良くスピードワゴン気分に浸っているのに、引くだと。

 引かれるのかよ、惹かれ合うじゃあなくて、さては一色の奴スタンド使いじゃあねえな!

 …俺も違うけどさ、テヘペロッ♡

 

 うわっキモっ、辞めよう。

 

 

 

 

 テーブルに着いた俺達はフードとドリンクで小腹を満たした。

 やはりサイゼのコスパは最高だな、味も悪くない。

 

 正に『我がぁ!サイゼのコスパは世界一ィィィ!』だ。

 まぁ、ネタはこの位にして置くか、いい加減本題に入った方が良いよな、何時までも引っ張るのは良く無い。

 

 「…でだ、一色そろそろ本題に入ろうぜ、お前は一体どんな目論見があって俺を訪ねてきたんだ。」

 

 「…もう、やだなぁせんぱい人聞きが悪いですよ目論見だなんてぇ、私は只せっかく出会えたせんぱいと絆を深めたいと思っただけなんですよ、本当ですからね…信じて、もらえませんか、せん・ぱい。」

 

 コンにゃろう、事此処に至ってもスットボケるつもりか、いい加減お前のあざとキャラも食傷気味だぜ。

 

 「あんま下らん要件なら俺は帰らせてもらうぜ…。」

 

 「…いろはちゃん、ヒッキーはさ、優しい人だから、ちゃんと話をすればきっと相談に乗ってくれるよ、見ず知らずのあたしとサブレを助けてくれたんだからさ、いろはちゃんも知ってるよね、だからね話して見ようよ。」

 

 …ちょっと由比ヶ浜さん、俺に対する評価が高過ぎるんじゃありませんの事、俺調子に乗っちゃうよ?天狗になるよ、なっちゃうよ鼻伸ばすよ。

 

 「…はぁ、まるっきり嘘って訳じゃないんだけどな……。」

 

 由比ヶ浜の説得の言葉?を聞いた一色は、何やらまた呟いているが、何か計算でもしているのか?

 

 「…分かりました、言いますねせんぱい…えっとですね実はせんぱいにお願いがありまして。」

 

 来たな、面倒な話じゃ無きゃ良いが。

 

 「せんぱいも知っていると思いますけど、私総武高校目指しているじゃないですかぁ。」

 

 目指しているじゃないですかぁ、って語尾を伸ばし過ぎるのも程々にしなさい一色いろはよ、そう言うのはあまりやり過ぎると不真面目な印象を受ける事に為りかねないからな。

 確かにあの日一色は総武高校を受験するって言っていた…様な気がする様な。

 

 「それでですね、せんぱいはその総武高校に合格している人ですよね、総武の生徒なんですから、それを見込んでお願いがあるんです!」

 

 ヤバいヤバいヤバいヤバい!コイツは間違い無く面倒な事態になる。

 

 「せんぱい、私に勉強を教えて下さいお願いします。」

 

 キター!面倒事確定ダァー!!

 

 確かに俺は総武に合格出来るだけの勉強をして来た、それだけの事をやれたとの自負もある。

 特に文系科目には自信がある、だがハッキリ言って理系はそこ迄得意では無いんだ、赤点を取らない位の勉強はしたけど、人に教えられる程の成績を治めてはいない。だから…

 

 「なあ、一色…ハッキリ言うがお前マジで総武目指してんなら、予備校にでも通うのがスジってもんだろう。

 それを出会ったばかりの良く知りもしない人間、しかも男に頼むのは、お門違いなんじゃないのか。」

 

 本気で勉強をしようと思うなら俺の言っている事が当然の事だよな、それでも不安なら、家庭教師を付ける手もある。

 親御さんにそれだけの経済力があるんだったらだけどな。

 

 「…予備校は部活を引退したら通うつもりです、私サッカー部のマネージャーなんですけど、うちの学校ハッキリ言って強く無いし多分一回戦負けだと思うんですよ、だからもうすぐ引退ですから。

 そしたら予備校通いです、でも予備校だけって何か味気無いじゃなあですか、だからですね折角せんぱいと出会えたんだから、せんぱいに教えて欲しいなって思ったんです、きっとせんぱいに教えて貰えば私は絶対に合格間違いなしです。

 だからお願いしますせんぱい。」

 

 はぁ〜、どうするよ今の一色の言葉には嘘を言っているような感じは無い。

 何となくだが、コイツは俺の事を慕ってくれている様な気がしないでもない。

 だけどな、文系は兎も角理系はな、俺には手に負えん。

 それにちょっとばかりやりたい事があるしな。

 

 「一色、俺は確かに総武に合格した、文系科目にはそれなりの自信もあるが理系は駄目だ、人に教えられる程のレベルじゃ無い、だからだなたまになら軽く教える程度なら出来無くも無い、コレからバイトもやるつもりだからな、それでも良いならたまに見てやる、但し文系に限るが、俺は理系が駄目だからな。」

 

 俺の返事を聞いた途端、一色はそれ迄の微かな不安を抱いた様な表情から一変し明るい表情を魅せた、見せたでは無く魅せただ、俺はその表情に不意を突かれた気持ちになっちまった。

 それだけ一色のその表情は魅力的だったんだ。

 

 「はい!それで良いですせんぱい、宜しくお願いします!」

 

 あいたたたぁっ、思わず受け入れてしまった、面倒臭いにも関わらず。

 俺って案外チョロい男なのか、ボッチが聞いて呆れるぜ、由比ヶ浜と友達になって俺の他者に対する警戒レベルが下がってしまったのか。

 

 「…あの、ヒッキーあたしも、あたしもヒッキーと一緒に勉強したいな…駄目かな?」

 

 なっ、なんとおーっ!由比ヶ浜迄もが参戦意思表示キター!

 どうするよ、一色の頼みを受け入れた今、友達である由比ヶ浜の懇願を退ける訳には行かないじゃねぇか…

 

 「ああ、一色、由比ヶ浜も一緒でも構わないよな、由比ヶ浜だって総武に合格してんだからもしかしたら俺がわからない所なんかフォローしてくれるかも知れないぞ。」

 

 「…そっ、そうですよね結衣先輩だって総武の生徒ですからね……分かりました一緒にやりましょう、お願いしますね結衣先輩。」

 

 最初の間が少し気になるが一色も了承した事だしな、コレからの事について話を纏めとくか…とは言え先ずは俺はバイト先を探さねばならない、そこら辺りも踏まえた上でどうするかだな。

 

 「所でせんぱい、何でバイトを始めるんですか。」

 

 何で、か…別に隠す様な事でも無いからな話しても構わないか。

 

 「単車の免許と単車が欲しくてな、その為の金を貯めようと思ってな。」

 

 「単車ってバイクの事ですか、もしかしてアクションスタントとかの為に免許を取ろうとか思ってます?」

 

 随分とグイグイ来るな一色、しかし一色の中では俺はアクション俳優志望の学生って事で定着している様だな、その辺の勘違いも解いていかないとな。

 

 「別にそんなんじゃ無いけどな、単純に俺は単車が好きだし、元から乗りたいと思っていんたがな、アメリカにいる兄弟分がな、単車手に入れたって自慢して来やがってな、少しばかり悔しいと思ったし負けてらんねえとも思ってな、だからバイトをと思ったんだよ。」

 

 そうロックの奴、手に入れた単車の写真送って来やがった、べっ別に羨ましくなんか、有るんだよなぁ〜。

 つっても、アイツ誕生日6月だからまだ無免だよな。

 

 「ほぇ〜せんぱいアメリカにそんな人が居るんですね、どんな人ですか?写真有るなら見せて下さい。」

 

 「ヒッキー、あたしも見たい!」

 

 この二人はそんなに気になるのか、別に知らなければ知らないで良いんじゃねと俺は思うんだが、何だ女子ってそう言った事にも興味津々なのか?

 まぁ何も隠す様な事でも無いし見せても良いかな。

 スマートフォンのフォルダを開いて写真を二人に見せる。

 ロックの奴が単車の左サイドに腰を掛けて写っている写真だ。 

 

 「うわっ、何ですかこの人!物凄いイケメンじゃなあないですか!本当すごいですよ、この人がどこかの国の王子様だと言われても納得出来るレベルですよ。」

 

 「うん、ホントだねスゴイイケメンさんだ、ヒッキーとどう言う関係?」

 

 うん、そう言う反応になるよね、知ってた。

 ガキの頃からそうだったけど、此処何年かでマジでハイレベルのイケメンになりやがったからなロックは。

 まぁイケメンにはなったが、あの頃と変わらず、女子には免疫無いからな。

 

 「…幼馴染で兄弟分って奴だよ、コイツはな。」

 

 「と言う事は、せんぱいと居ればこの人にも会えるかも何ですね!スゴい楽しみです。」

 

 まあな、確かにその確率は高いな、向こうで何かしらの大会とか、テリー兄ちゃんに何某かの用事が無きゃ、年に1、2回位はコッチに来てくれるしな。

 この間の連荘組手では流石に最後の方は疲れて良いとこ無しな感じだったけど次はもっとヤレる様に精進しなけりゃだな。

 

 「おおっ、誰かと思えばいろはじゃんか!久しぶりだなおい!」

 

 たく、誰だよ人が新たな決意の元に精進する事を誓っていい気分になっている所に、妙に人を不快にさせる様な口調で喋る野郎は、発言から一色の知り合いだとは解るんだが。

 

 「……っ、あっはい、お久しぶりですね上大岡先輩……。」

 

 「うへぇ、マジかよ上大岡、お前の後輩かよ!スゲェマブいじゃねぇかよ。」

 

 「おっ、隣の娘もレベル高いな、その制服総武だべ、アソコの女子は昔からレベル高って有名だもんな。」

 

 俺が黙って聞いていると、何ともまぁ物凄く偏差値の低そうな奴らが、やはり偏差値の低い発言をかましながら、由比ヶ浜と一色を下卑た目で物色していやがる。

 全部で5人か、しかしコイツ等5人が5人とも如何にもな感じだな、所謂高校デビューって奴だろうな。

 

 「…一色、お前の知り合いみたいだけど、付き合う奴はキチンと選ば無いと駄目だぞ。」

 

 「おいおい眼鏡君、総武の娑婆僧が何を粋がってくれちゃったりしてやがんだよ。」

 

 「そうそう、あんま調子くれちゃてると痛い目見るよボクぅ〜。」

 

 あらあら、別に俺はコイツらを挑発したツモリではないんだけどな、どんだけ沸点低いんだこの連中は。

 

 「あれぇ〜、もしかしてビビっちゃったかな、驚かせたならゴメンネ!なぁんてな、ギャハハハハハハ!!」

 

 全く、今は21世紀だよね?もしかして俺ってばタイムスリップでもしたのかな、もしかして此処は昭和なのかな?

 

 「ヒッキー……。」

 

 「せんぱい……。」

 

 ……由比ヶ浜、一色……。

 

 二人を不安にさせてんな、全くよ、こんな馬鹿そうな連中の為によ。

 

 しょうがねぇか、素人相手にヤルもんじゃ無いけど、面倒だけどな。

 ちょっとだけやるか闘気開放!!

 

 俺が開放した闘気に連中の腰が引ける様子が解った、俺は座席から一歩たりとも動いてはいない。

 あの日、俺を助けてくれたテリー兄ちゃんが、虐めグループの連中に対して放って見せてくれた物だ。

 

 「な、な、な、な、何だってんだよ、オメェ…調子こ、こここっ、こいてんだよ…」

 

 あらま、ビビりながらも口は開けるのか、根性があるのか虚勢なのか。

 進学校の総武の生徒にナメられてたまるかとでも思っているのかな。

 

 「調子のんな…よっ、おっ、俺等比企谷クンしってんだからよ!」

 

 はあ〜!?何?何なの、あまりにも意外な名前が出て来て、思わず闘気を引っ込めてしまったよ。

 

 「へっ!?誰?」

 

 「ヒッキー…。」

 

 「せんぱい…。」

 

 イヤ知らないから、俺。

 

 

 「あ〜っ!総武のボクチャンは知らないだろうけどな、比企谷クンはよ○○中を入学早々ブッ締めて、伝説になったスゲェ人なんだよぉ!」

 

 イヤ確かに入学早々、そういった事になったけどね、別に俺はその界隈の人種じゃ無いから。

 只降りかかる火の粉を払っただけなんだからね。

 

 「イヤ、だから知らないって、誰なのお前?」

 

 マジでコイツらとは面識は無い筈だし何ならあれ以後俺に喧嘩仕掛ける奴は居なくなったからな。

 

 「ハァ!何を言ってんだテメェはよ、自分が比企谷クンだとでも言うつもりなのかっての、笑わせてくれんなよ!」

 

 多分コイツ等が言ってる比企谷クンとやらはおそらく俺の事だろう、比企谷なんて姓はそんなには存在していないだろうからな。

 

 「お前の言う比企谷クンとやらが誰かはしらないが、俺の名前は比企谷八幡と言うんだ、間違い無くな。」

 

 連中に名乗りながら俺は伊達眼鏡を外し、連中一人一人に顔を見せる。

 すると連中の中の二人がガタガタと震えながら、ボソボソと呟いていた。

 

 「あっ、あの、あの恐ろしい眼つき、マジか…本物か……。」

 

 はい、本物です。

 

 「おい、やべーって聞いてないって、まさか総武に行ってるなんて…」

 

 だろうな、格闘技の鍛錬なら兎も角、喧嘩とか面倒だからな、巻き込まれない様に勉強して総武に入学したんだよ。

 まぁ面倒だとは思ってるけど、中学の時と同じく降りかかる火の粉は払う所存ではあるがな。

 

 「はぁ、大方中学の時の俺の噂を聞き付けて、お前らはそれを利用しようと思ったんだろうが、残念だったな。」

 

 そのセリフと共に再度俺は闘気を開放する。

 連中は震え上がり、慌ててサイゼから出ていった。

 お店側からすれば、結果的に客を逃してしまった形になるかもだが、質の悪い客が付くよりはマシで有ろう。

 コレに懲りて連中少しは真面目になってくれれば良いんだが、さてどうなる事やら。

 取り敢えずは、俺や由比ヶ浜と一色に何か起こらなければ別にいいけどな。

 もし何かあった時は、俺は連中を許さない、徹底的にブチのめす。

 

 その時はな。

 

 

 

 連中が去った後、取り敢えず今後のスケジュールを話し合い、俺達はサイゼを後にした。

 一色の奴が、やたらと中学の頃の俺の事を知りたがって聞いて来たのは、鬱陶しかったがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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