やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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ガハマちゃんの木炭クッキーの依頼はこの作品では消滅していますので、奉仕部最初の依頼は材木座のラノベになるのかと思い、番外編を入れてみました。
バリバリの昭和ドラマのネタです。


番外編その1 噂の闘士ヨシーとハチ

 「お〜い比企谷君、時間だよ!上がって上がって!」

 

 「あっ、はいっす、じゃあお先失礼します、お疲れ様でした。」

 

 「おう、お疲れ!またよろしくな!」

 

 夏休みも終わり、2学期も始まり一月余りが過ぎようとしているある日、時刻は午後九時、バイトの終わり時間だ、この集配所で働く先輩達に上がりの挨拶をすませロッカールームへ向かう。

 今日は割合重量のある荷物が多く、そこそこの運動にもなった、それに此処は高校生が出来るバイトとしてはかなり実入りも良い方だし、何より働いている人達は俺の眼を見ても忌避したりなんかする人も居ないから、居心地が良かったりする。

 

 俺は夏休みの間、週に5〜6日フルタイムでバイトに入って知ったんだが、ここの集配所でバイトしている幾人かの人が格闘技経験者だったりプロボクサーの人が居たりで、休憩時間にその人達と交流が出来て結構有意義な夏のバイトライフを過ごせた。

 『比企谷君良かったら、ウチの道場に遊びにおいでよ。』なんて言ってくれる人も居て、丁度こっちに来てたテリー兄ちゃんとロックと三人でその道場を訪ねたら、その道場の人達を凄え驚ろかせてしまった。

 まぁ、世界的に有名な格闘家がまさか千葉の小さな道場を訪れるなんて思っても居なかっただろうしな。

 だが流石コミュ力の塊みたいなテリー兄ちゃんだ、直ぐに道場の人達とも打ち解けてすっかり道場の皆と仲良くなったっけな。

 テリー兄ちゃんとスパーをやった何人かの門下生の人メッチャ感激してたし、その人達にとっても、いい経験になった事だろう。

 

 ちなみにロックに会いたいと言っていた一色だが、丁度二人が来日していた時期にご両親の田舎へと帰省していた為、会えなかった。

 残念だったな一色、ドンマイ。

 

 居心地が良いってのはバイトをする上でかなり重要だって思うんだ、ってか俺はここでしかバイトした事ないんだけとね。

 ロッカールームで作業服から私服兼トレーニングウェアに着替え帰路に着く、帰り道はロードワークを兼ねてのランニングだ。

 このバイト先の某運送会社の集配所から自宅までの距離は凡そ5Kmと言った所だ、がその程度の距離じゃトレーニングにはならないからな、大回りをして15km程走ってから帰宅するのが、バイト時の日課だ。

 

 ランニングっても、ただずっと走り続けているだけじゃ無い、途中には長い坂道や階段、公園などが有る。

 坂道や階段を利用しての登り下りのダッシュ、公園での短距離ダッシュや体幹トレーニングにシャドーと一通りのメニューをこなしながらの帰宅ルート。

 とは言ってもいつものこの通りのメニューをこなしている訳じゃ無いがな、雨天時なんかは早めに帰宅して室内でトレーニングやったりする。

 

 この日は雨天では無かったのだが、俺はちょっと趣向を変えてみようと思い繁華街へと向かう事にした。

 午後九時を過ぎても駅周辺はそれなりの人通りもある、ちと申し訳無いが俺は人混みの中を、通行人を障害物に見立ててぶつからない様にダッシュで走る事にした。

 当然ながら、俺は他者にぶつかる事なくスレスレ回避を繰り返しダッシュをしていたんだが、中には驚く人も居たりする…当然だよね、スンマセンでした。

 このトレーニングは余りやらない方が良いな…。

 

 

 

 この思いついたトレーニングを終え清々しい気持ちで帰路に着いた俺だったがその途中、路地裏から出て来たであろう十数人の学生団体と出くわした、如何にもソレと解る時代錯誤な学生集団、所謂ツッパリヤンキー君たち。

 見た感じその中の幾人かは、それなりに場数を踏んでそうな、まぁそこそこ喧嘩が強そうな感じがする奴もいるが、それ以外は大した事は無いな…と思わず値踏みしてしまったよ、俺。

 

 「へっ、口先ばっかで大したことなかったすね。」

 

 「バーカそりゃオメェこの辺で綱島サンに勝てる奴なんか居ねぇっての!」

 

 ハハァンどうやら喧嘩してたみたいだねこの人達、学校同士の抗争とかやってんのかな、つくづく時代錯誤な人達ですね、これで学ラン姿なら正に昭和のツッパリ君なんだろうが、ブレザーじゃイマイチツッパリ感が無いなと思う俺だが、別にヤンキー系の漫画はそれ程読んでいる訳じゃ無いよ。

 

 「カカカッ!そりゃそうたべ、なあ〜にがサイキョー流だよ、あれじゃ最弱だっての!ケケッ!」

 

 「だよなァ!なんだアレ、威勢がいいのは始めだけ、おっ始めた途端ビビりやがってダセェダセェ!」

 

 ちょっと待てよ、今この連中サイキョー流って言ったか?

 まさかコイツら、まさかだよな?

 

 「チッ!!」

 

 俺は慌てて連中が出て来た路地裏へと走って行った、だってなサイキョー流なんて流派名、俺はアイツ以外のヤツから聞いた事なんか無いからな、それにアイツはしっかりと鍛錬を積んでいるんだ、そうそう簡単にその辺のヤツに遅れを取る様な事は無いだろう。

 

 だが、なんだ。

 

 嫌な感じだ。

 

 だから、呼ばずには居れなかった。

 

 

 「材木座ァァッ!居るのかァッ、居るなら返事しろォ!!」

 

 薄暗い路地裏へ入り周囲を見渡しながら大声で呼んでみる、材木座の名を。

 

 何度か俺は材木座の名を呼びながら路地裏の薄暗い細路を歩き、見つけてしまった。

 ビルの壁に背を預け蹲る、良く見知ったシルエットを。

 

 「…おい、ざ、材木座なのか?」

 

 そのシルエットへ近付きながら、俺は声を掛けてみた、その声に反応したのかそのシルエットはピクリと微かに動いた。

 

 「…その声は八幡なのか…。」

 

 間違いなかった、それは紛れも無い材木座本人だった。

 

 「…何故お主が…此処に居るのだ、八幡よ…。」

 

 顔を上げ俺を見つめながら、材木座のヤツは途切れがちに尋ねて来た、その声音からもダメージの程が伺える。

 

 「俺は、バイトの帰りだよ、さっき此処を出てった連中がな…サイキョー流がどうとかって粋がりながらも歩いてったからな、まさかと思って見に来んだが案の定だったよ、何でだよ!?お前ならあの程度の連中に遅れを取る何て無いだろうが…。」

 

 「……………。」

 

 俺の質問に材木座は無言、返事を返さなかった。

 俺はコイツとは何度も組手をして来たんだ寸止めとは云えな、そしてミットでコイツの技も受け止めたんだミット越しとはいえどコイツの技の威力は承知している。

 だからこそ俺は言える、コイツの技ならあの程度の連中、どうと言う事は無いとな!

 

 「…たく、随分とヤラれたみたいだなお前…立てっか、何ならお前ん家まで送ってくぞ。」

 

 「…スマンな八幡よ、何心配は無用だこの程度のダメージなど直ぐに治まる、サイキョー流の使い手はタフだからな、ムハハハッ…ッッ!」

 

 「何がタフだよ、やっぱ痛えんじゃねえかよ…。」

 

 「…とんだ醜態を晒したな、しかしタフなのは事実だもう暫く休んで居れば回復する、心配するな八幡よ。」

 

 

 

 

 材木座の言ったサイキョー流がタフだと言う発言は…………マジだった。

 

 イヤイヤあり得ないだろう、何なの暫く休んでいた材木座の腫れ上がっていた顔が、本当に…その腫れが引いていったよマジで!

 使い古されたネタだけど言いたくなったよ俺、三部のポルナレフのジョセフ達にDIOの能力に弄ばれた時の事説明した時の例のセリフをさ。

 アレってやっぱり『ザ・ワールド』で時止めた後にポルナレフの事運んだんだろうな、DIO自身かスタンドでさ、そう考えると凄えシュールな絵面だよな。

 

 しかし何なのサイキョー流って?もしかして妖怪医者いらずなのん?れんちょんが見たらビックリだよ!俺だってビックリしたし…。

 それとももしかしてヤバいクスリでもキメてんのか…だとしたら付き合い考えねぇとな……。

 

 「ヌハハハハハハァッハハハァ!我此処に復カア〜つ!!」

 

 両の拳を腰に当て高らかに笑い復活宣言をする材木座、その様は正に何時ものウザい材木座だ…コイツやっぱりキメてんのかな?

 

 

 

 「まぁ、態々ごめんなさいね、この子の事送ってくれて、ほら義輝あんたもちゃんとお礼言いなさい。」

 

 「…うむ、世話になった八幡よ。」

 

 乗りかかった船だしな、一応何かあったら後味が悪いからな、俺は材木座の帰宅に付き合ったんだが。

 材木座の母ちゃんは何と言うか、肝っ玉母ちゃんって感じの人だった。

 一応俺に礼を言った材木座の頭に材木座母は手に持っていたお玉で材木座をひっぱたいた。

 

 「あんたは!お礼を言うならちゃんと言いなさい、本当に馬鹿なんだからこの子は!」

 

 「…痛いよ母上……。」

 

 「あんたがちゃんとして無いからでしょうが本当にもう!どうせまた喧嘩に負けて帰って来てんでしょう…あんたの事だから調子に乗って大きな口叩いて於いてイザとなったら怖くなって一方的にヤラれたんでしょうが…アンタみたいなのを言うんでしょうねチキンって…本当情けない。」

 

 

 「………。」

 

 流石に母親だな、息子の事を良く理解して居られる様だな。

 そしてさっき俺の問に答えられなかった事と、今お袋さんに何も言い返せなかった事から見て、お袋さんの言は事実で材木座は粋がってみた物の、実戦になった途端ビビって手が出せなかった訳か。

 

 「ごめんなさいね、変なとこ見せてしまって。

 君が比企谷君よね、最近この子は比企谷君の話ばかりするのよ、いつも組手の相手をしてくれて、話も合うってね、本当に楽しそうに…これからもこの子と仲良くしてやって下さいね。」

 

 「…あっ、はい俺も結構楽しんでますから、これからもよろしくやりますんで安心して下さい。」

 

 なんかね、人ん家の母ちゃんに仲良くしてやってなんて言われたの初めてだったから、何て反応すれば良いかよく分かんなくて、こんな受け答えになっちまったよ。

 取りあえずコレで役目は果たしたからな、俺も我が家へと帰還しよう。

 小町も心配してるかもだし、親父と母ちゃんも帰宅してるだろうしな。

 

 「それじゃ材木座、明日の昼休み屋上でな。」

 

 「うむ、了解したぞ八幡、ではサラバだ!」

 

 別れの挨拶の後、材木座親子の言い合いの声を背に帰宅の途へつく、全く良い母ちゃんじゃねぇかよ材木座。

 

 

 

 

 

 

 

 一夜明けて翌日の昼休み、材木座と二人屋上へと忍び込み昼飯を食い終わってのマッタリタイム。

 

 「…我が母上の言っていた通りなのだ八幡……我は、実戦になるとな、怖くなってしまってだな、萎縮してしまう…のだ。」

 

 昨夜材木座はゲームセンターへ寄ったらしいのだが、そこで例のツッパリ軍団と出くわしたそうだ。

 そのゲーセンでツッパリ軍団は他の学生にチョッカイを掛けて場の雰囲気を壊していたそうだ。

 そんな状況で材木座は義憤に駆られてツッパリ軍団を注意したらしいんだが、最初は只の言い合いだったが、やがてそれがエスカレートし材木座も調子に乗った発言をかましてしまい、ガチの喧嘩になったらしいんだが、殴り合いになった途端に材木座はビビって手を出せなくなり、一方的にタコ殴りにされたらしい。

 

 なる程な材木座は材木座なりに義侠心も有り身体も鍛えては居るが、残念ながら心の方は鍛え方が足りなかったのだろう。

 だから実戦になったら怖くなり何も出来なかったと言う事だな。

 だったら俺は、材木座に対して俺ができる事はコレだけだな。

 

 「なあ材木座、今日の組手は寸止め無しの実戦形式のスパーにしないか。」

 

 「……解った、八幡よ…それで行ってみよう。」

 

 

 

 

 「ハッ!」「フンッ!」

 

 材木座の放ったパンチを俺は楽にいなした、やはり何時もの組手やミット打ちの時のキレも重さも無い、所謂手打ちの打撃だ。

 こんなパンチじゃあたっても何らのダメージも受けないだろうな、本当にコイツは本人も認める様にチキン野郎なんだな。

 

 「シュッ!ハッ!」

 

 材木座のパンチをいなした俺は、それによりスキが産まれた材木座へボディへパンチを打ち込み、連続して顔面へパンチを叩き込んだ。

 堪らず材木座は屋上のアスファルト防水加工をされたコンクリートの上にダウンした。

 

 「立て!材木座っ何をビビってんだよお前!パンチに腰が入ってねぇから、簡単にいなされるんだろうが、足運びもなってねぇぞ、まるで酔っ払いの千鳥足じゃねぇか、そんなんじゃお前の流派がサイキョー流の看板が泣いちまうぞ!」

 

 「しかしな八幡、我は怖いのだ…。」

 

 だろうな、暴力はやっぱり怖いよな、殴られりゃ痛い、人を殴った時に拳を徹して感じる肉を撃つ感触も気持ち悪いよな。

 俺も初めて人を殴った日、あのテリー兄ちゃんとロックと出会った公園でアイツらへ立ち向かた時そう思ったよ。

 結局あの時はその後返り討ちにされたけどな…。

 

 そして俺はテリー兄ちゃん達に鍛えてもらった、自身を守る為に、小町を守る為、そしてあの大きな舞台で雄々しく戦ったテリー兄ちゃんと草薙さんの姿に感銘を受けてその世界を知りたいと思って、何時か絶対に其処へ行くんだと…。

 

 なぁ材木座、お前はどうだったんだ?

 

 サイキョー流の、お前はそのサイキョー流の創始者の叔父さんの姿に憧れて、その技を身に着けたんだろう。

 だったらよ、こんなとこでビビってんじゃねえよ!

 

「立て材木座、お前は其れでも男かよ!チ○ポ付いてんのか!お前なんかなぁ…」

 

 俺は立ち上がらない材木座へと有らん限りの暴言を吐いた………そして。

 

 

 

 

 

 アスファルト防水された、屋上の床に俺達は背中合わせで座り込んでいた。

 俺の暴言に逆上して材木座は立ち上がりそして立ち向かって来た。

 その結果がこの姿だ、ハァハァと息を吐き互いに草臥れて顔を腫らした姿を晒しているのだ。

 

 「…おい材木座、お前やっぱやれば出来んじゃねぇかよ…はぁ、ハァ…。」

 

 「…ハァハァ、だが八幡…はァ、我は一体…何をしたのか覚えて居らんのだ…ハァ、ハァ…。」

 

 材木座の奴は逆上してしまって、俺達のこの闘いの事を覚えていない様だ、だが俺の暴言からの材木座の爆発力は本物だった、もしかしたらこの手を使って闘いに慣らして行けばそのうち…。

 

 「なぁ材木座、お前このままで良いのかよ。」

 

 「このままで、とは何の事だ八幡?」

 

 「昨日の事だよ、お前やられっ放しで悔しくないのかよ?リベンジしたくねぇのか?」

 

 「……悔しいに決まっておろう…。」

 

 「だったらよ、やれよなリベンジをよお前の男を見せてやれよ、骨は俺が拾ってやるからよ!?」

 

 「…八幡よ骨を拾われるとは、我の敗北が前提なのか!」

 

 そいつはお前次第だよ材木座、お前が男を見せられるかどうか、だな!

 まぁでも今は疲れちまったよ…こりゃ昼の授業は出れねえな、ココでサボりだな…ヤベえ5時限目は平塚先生だよ、呼び出し確定だな。

 でも良いや俺は寝る。

 

 

 

 

 

 数日間の調査の結果、例のツッパリ軍団の情報を掴み(俺は調査とかして無いよ、だってバイトがあるし勉強会も有るからな)材木座のリベンジの刻は来た。

 まぁ言うても、連中は材木座とファーストコンタクトしたゲーセンに居たんだけどね。

 取りあえずゲーセンへは俺が行き、材木座はあの時の路地裏で待機させている。

 

 ゲーセン内で我が物顔に振る舞うツッパリ軍団のリーダー格らしい『網島』君だったっけ?に辺りをつけて俺は近づきゲーセン外へと誘い出し材木座の待つ路地裏へと案内する。

 

 ちなみにだが、この連中は武器は持たないようだ、リーダー格の『網島』?君の方針でケンカはステゴロってルールを決めているらしい、あらやだ男前!

 と言う事で今回は俺も言えないんだよな、あのセリフ「武器を持った(後略)」

 

 

 

 ゲーセンを後にし路地裏へ到着、ってもその距離はほんの数十メール程なんだけどな。

 『網島』?君始めその舎弟、総勢15人を引き連れ到着すれば薄闇の中に浮かぶファットなシルエット。

 

 「ムハハッ!待ち侘びたぞ『網島』何某!今日はこの間の様には往かぬぞ!」

 

 両手を胸元に組み高らかに宣言する材木座の姿はまるでガンバスターの様だった。

 嫌、そんなカッコよくは無いな。

 

 「あぁ〜ん!?誰かと思えば、こないだのブー君じゃねぇかよ!何々コリもせずに綱島君にまたボコられに来たの?」

 

 「か〜っ!ダッセッ身の程を知れっての!どうするよ綱島君!?こんな奴綱島君が出るまでも無いんじゃね?」

 

 等などと、下っ端君達が口々に材木座を笑い物にしていらっしゃるが、当の本人である綱島君は、てか綱島君だったのか、ごめんね名前間違ってさ、でも似てるよね網と綱って漢字さ。

 その綱島君はダボダボの改造スラックスのポケットに両手を突っ込んだまま、材木座に視線を合わせ、眼力を込め見ている。

 所謂メンチを切っている状態だな。

 

 ポケットに両手を突っ込み相手をジッと見つめる、これが、これこそがヤンキーメンチカットフェノメノンだ!

 

 そして材木座は…アカン、ビビってるわ。

 眼鏡を掛けているから、何処に目線を向けているのか薄闇と距離があるから分かん無いけど、身体が若干プルプルしてるし。

 

 「…ハン!そんなビビってん奴、俺が手ぇ出すまでもねぇ、オメェらで遊んでやれや…で、そっちの眼つきの悪い兄ちゃんよ、オメェはどうすんだよそっちのデブとやんよりオメェは面白そうなんだがよ?」

 

 へえ!コイツ解んのか、なる程やっぱりそれなりに場数踏んでんだな、まぁっても俺なら、いや材木座だって本来の力が発揮出来れば普通に楽勝レベルだけどさ。

 

 「…ああ、そうだな…こっからの展開次第かなアイツ次第じゃ俺も出張んなきゃだな?」

 

 「…そうかよ…おいデブ、精々気張れやそうすりゃ俺も楽しめそうだからな。」

 

 あれま、綱島君の興味がすっかり俺に移ってしまったよ。

 

 

 

 そして始まった、材木座とツッパリ軍団の喧嘩。

 材木座は怖さを抑えて連中へ立ち向かっ行ったが、数分と経たずにその性格の弱気の虫が顔をもたげてしまった。

 

 「ひいい〜っ八幡!怖いでおじゃるよぉーっ助けてはちえもん!」

 

 アスファルトへと倒れ込み、俺のスラックスの裾を掴んで情けない声を出して醜態を晒す材木座の様子をツッパリ軍団は小馬鹿にして嗤う。

 

 だよな…人の気性が早々簡単に変わる筈もなしだな…ならばやはりやるしか無いな。

 

 「おい材木座!このバカヤローがお前ソレでも男かよ!チ○ポ付いてんのか、付いていたとしてもそんな物無駄に付いてるだけじゃねぇか、お前なんかな男じゃねぇよ、オ○マだテメぇはよ!この男女の義子がッ!義子ッ!義子ッ!義子オーっ!!!」

 

 この俺が発した罵倒、それを受け材木座の身体は一瞬震えが止まる…だが止まったのは一瞬。

 一瞬の後、再び材木座の身体は震えだす、その震えは徐々に大きくなり…。

 ゆっくりと、そして震えながら、ジワジワと材木座は立ち上がろうとしている

 

 「…ぃ、…オ○…じゃ…我……○マじゃ…い…我はオ○……い!我はオ○マじゃ無い!男ダ!」

 

 「我は男ダァーーーッ!!!」

 

 そう大きく叫び鉄人28号の『ガオポーズ』を取る材木座。

 始まったな、あの時と同じだ!

 

 「ヴォーーーッ!喰らえ雑兵共がぁァァァァ!!」

 

 雄叫びを挙げ、ツッパリ軍団へと突撃をかます材木座に怯えの影は無い。

 今の材木座は半ばバーサク状態にあるのだ、だがこのバーサーカーは長年格闘技の鍛錬を積んだ恐るべきバーサーカーだ、その恐ろしさを、今からこのツッパリ軍団はその身を持って知るだろう。

 

 「ドゥりゃアァァ、我道拳!」

 

 「オラオラどぉしたあぁ!晃龍拳!」

 

 材木座の拳に蹴りに、必殺技にツッパリ軍団は次々と倒れて行く。

 

 「くっ!ザケンなこのデブがぁ!」

 

 次々に倒れて行く仲間の姿を目の当たりにしながらも、果敢に材木座へと立ち向かう、中々に気骨ある奴も中にはいるようだ。

 拳を振り上げ材木座へ向けて吶喊して行くが、元の地力が違い過ぎるんだ。

 

 「ダッ!セイリャァ!断空脚ッ!」

 

 材木座の技の前に為すすべ無く倒されてしまう。

 材木座による一方的な蹂躙劇に拠って十四人のツッパリ軍団は3分持たずして全滅した。

 綱島君も流石にこの光景は予想だにしていなかっただろうな。

 俺には解るよ綱島君、今の君は12機のリックドムを3分持たずして全滅させられた、コンスコンの様な気持ちなんだよね。

 

 そっか君はコンスコンの様な気持ちのフレンズなんだね♡

 

 唖然としていた綱島君だったが、流石にツッパリ軍団の頭なだけはある様だ。

 綱島君は少しばかりビビって居る様だが、ソレでも材木座に対して立ち向かうだけの気概を持っているようだ。

 力一杯に拳を握り込み距離を詰める為に走り出す。

 材木座へと向かって。

 

 「てっメェーッ!喰らいやがれぇやぁァァッ!!」

 

 大きく振り上げた腕を振るい材木座へと拳を打ち込む。

 

 材木座は、意外にも…その拳を避ける事なく顔面で受け止めた。

 その自分の拳が材木座の顔面にヒットしたと云う事実に、綱島君は意外に思ったのかも知れないが、同時にチャンスとも思ったのかも知れないな。

 続け様に綱島君は材木座へその拳を叩き込む。

 頬へ、ボディへ、2発、3発、4発、5発と…。

 叩き込んでいた綱島君も、やがて気付いた様だ。

 材木座が、綱島君の攻撃に微動だにしていない事に。

 それに気が付いた綱島君の攻撃はそこで止まり、恐怖の色を浮かべた綱島君は材木座の顔を、見てしまった。

 

 眼鏡の向こうの眼を、ニタリと薄ら寒く口の端を歪めた嗤い顔を…。

 

 「どうしたね、もう終わりなのかね、ならば今度は我のばんだな!」

 

 「ひぃっ…くっ来るな…。」

 

 材木座に恐れをなし一歩、ニ歩と後退る綱島君にコレから材木座のラストアタックが叩き込まれる。 

 

 「喰らえ!晃龍烈火ァァッ!」

 

 後退る綱島君にダッシュで迫り、叩き込まれるのは材木座の超必殺技?なのだろうか…。

 

 綱島君の懐へ潜り込み、ジャンピングアッパーを連続して叩き込む。

 

 アッパーの連撃により綱島君は、立つ力を失いアスファルトへとキスをした。

 

 

 「我はっ!サイキョーだコラァ!!」

 

 右の拳を天高く突き上げ、勝鬨を揚げる材木座の姿は、負けられない闘いに挑み勝利を得た、その事実を高らかに宣言している様だった。

 

 

 

 この勝負で、きっと材木座も格闘家として一皮剥けるだろう。

 コレからのコイツの成長が何だか楽しみだな。

 だが楽しむだけじゃ駄目だよな、俺も材木座に負けない様に精進しないとないけないな。

 

 

 

 

 

 

 と、思っていたのだが…。

 

 

 

 

 

 「八幡っ、痛いでおじゃるぅ!怖いでおじゃるよぉ。」

 

 数日後、再び学校の屋上にて行った材木座とのスパー…。

 

 

 材木座の奴はすっかり元のチキンに戻っていやがったよ…。

 

 

 材木座の奴は、もしかしてもしなくても罵倒に拠ってバーサクモードにしないとその潜在能力を発揮出来ないのか。

 

 はぁ、なんかもう…パトラッシュ、僕はもう疲れたよ…。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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