やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。 作:佐世保の中年ライダー
「や〜ま〜だ〜っ!」『や〜ま〜だ〜っっ』
今にも蜥蜴のマスクのライダーに変身しそうな勢いで大きな声で叫ぶのは、我が妹比企谷小町…残念ながら『ギギの腕輪』も『ガガの腕輪』も所持していないので変身は出来ません…あしからず。
因みに百円で『カルビ○のポテトチップス』は買えても、『カル○ーのポテトチップス』で百円は買えません、あしからず!
と言うのは昭和や平成初期の時代の話であり、今では『カ○ビーのポテトチップス』は一部のディスカウントなお店以外は百円では買えなくなっています、あしからず!
「やぁ〜はろ〜!」『やぁ〜はろ〜ぉぉ!』
小町に続くように、由比ヶ浜が何時もの残念な挨拶を絶叫レベルの大声で叫びます。
二人の絶叫の声に山彦がダイレクト答える、その様子が此処が山間部だと言う事を改めて知らしめてくれる、GJ部山彦さん。
もしこの場に中島誠○助先生がいらっしゃれば『いい仕事してますねぇ〜』とおっしっていただける事間違い無し。
「ねぇねぇゆきのんもいろはちゃんも一緒にやろうよ!」
由比ヶ浜が雪ノ下と一色を巻き込もうとしている、確かにこう言う場所に来ると山彦遊びをしたくなる気持ちも分からなくは無いが。
「わっ、私は別に叫ばなくても…」
うん、こんな時雪ノ下ならこう答えるだろうな、雪ノ下もやりたくない訳じゃ無いんだろうが、何か恥ずかしさの方が勝ってしまうんだろう。
「良いですね、私もやります!」
うん、一色ならそうだろうな。
「せ〜んぱ〜い〜!」『せ〜んぱぁ〜い〜っ!』
せんぱいです。
「帰ったらっデぇ〜トぉ〜しましょうね〜っ!」しょうね〜ぇぇ!』
な、な、な、な、何叫んでんだよ、お前わぁ〜っ!?
止めろ止めろ!ジョージ・A、ヤメロォー!
「あ〜いろはちゃんズルい!あたしだってぇ!」
おい由比ヶ浜まさかお前まで、お願い待ってよ…。
「ヒッキーーー!」
ヒッキーだよ…って引きこもってねぇけどな。
「だぁ〜いすきぃ〜〜〜!」ぁ〜いすきぃ〜〜!』
「やぁ〜めぇ〜ろぉ〜!」ぁ〜めぇ〜ろぉ〜、ろぉ〜、ろぉ〜、ろぉ〜!』
だぁーーっマジ止めて、ホント止めてくれ頼むから、止めてくんないと俺、恥ずか死んじゃうからゾンビになっちゃうから、ジョージ・A・ヤメロ監督の映画に出演しちゃうからぁ!
郊外のホムセンを彷徨き廻る、リビングデッドになっちゃうからぁ〜。
「ホント、頼むからマジ……。」
「比企谷君…。」
ハァ…比企谷です。
「その、私も叫ん「もう止めて!」…そう残念だわ…。」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
お兄ちゃんだよ…ってもう良いわ!
「今どんな気持ち?ねぇどんな気持ちなのさぁ?」
くっコイツは、元はと言えばお前のせいでこうなった様なもんだろうが!
何で俺がこんな羞恥プレイ紛い目に遭わなきゃいけないんだよ!
てかよく見りゃ一色も由比ヶ浜も顔真っ赤じゃねぇかよ、そんなになるんならやらなきゃ…今の俺は、まだお前達の好意にちゃんと答えてやれないんだよ、申し訳無いが、まだ待っててくれ…。
それと、ジョーあんちゃん!そんなにニヤニヤと下世話な笑みを浮かべない!
平塚先生も何時もは爆発しろだの言う癖に、そんな生暖かい眼差しを向けないで!まだジョーあんちゃんといい仲になれるか解かんないんですからね。
などと思っていると、少し遠くから響く4気筒エンジンの甲高いサウンド。
その音は次第に此方に近付いて来ているようだ。
おそらくらツーリングでここ迄走って来たライダーだろう…良いなぁ俺も大型の4発エンジンに乗りたいぜ。
やがてそのサウンドを響かせるマシンはこの場所に到着した。
黒いライダースの革ジャンとパンツに身を包んだ細身の一目見て女性と分かる胸部の見事な膨らみ…間違い無い。
『Z900RS CAFE』マジかよ買ったのかよ!かっけぇ良いなぁ。
サイドスタンドを立て、シートから降りてヘルメットを外し、長い黒髪をたなびかせて「ふうっ。」と一息吐き、その手に持つヘルメットをミラーへ引っ掛けた。
その一連の動作が実に絵になる。
年齢は三十路を超えたが、その美貌は初めて出会った八年前と何ら変わりはしない、否、結婚し人妻となった事で更に妖艶さが増した感が凄い半端ない(ジョーあんちゃん以外の皆がその美女に釘付けになっている。)が、でありながらも何処かに稚気をも感じさせる部分もある。
目があった…その瞬間、その人はその場から消え、一瞬にして。
「久し振りねぇ!八っちゃん、こまちゃん!元気してた!?」
俺と小町の二人を同時に抱きしめた。
疾い、ジオンの赤い人よりも遥かに疾い、其れもその筈、この人は現代に生きるくノ一にして格闘家…そして俺と小町の姉貴分。
「わあ〜い!舞お姉ちゃん、小町会いたかったよぉ〜!」
感激し自ら小町は抱き締め返し、大きな膨らみに顔を埋める、羨まけしからんぞ、その様な真似俺には出来ぬ、今の現状でも三組の冷たい視線が感じられるんだからな。
「久し振り、げ、元気そうだね舞姉ちゃん、てか痛い離して!」
俺のリクエストに答えて、その手を離してくれたが、その面貌に悪戯っぽい笑みをたたえて宣った。
「あらもう八っちゃんたら、照れちゃってもう!」
更に激しさを増す冷たい三組の眼光に俺は恐怖心を抱かずには居られない。
「むぅ〜せんぱい!」
「もう!ヒッキー。」
「比企谷君!」
「「「その人誰!?」」」
三人の誰何の声が見事にハモった、何か静かな怒りを湛えたような、そう…もうワンプッシュあれば、『プチン』と行き、なれそうな静けさ…穏やかな心をもちながら怒りによって覚醒めた、伝説の戦士。
『超サイヤ人一色いろは、由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃』だぁ!
はあ〜、何時までも現実逃避は出来そうに無いな、舞姉ちゃん恨むぞ!
「あのだな、この人は不知火舞さん、俺と小町にとっては姉ちゃん同然の人なんだが…因みに言っとくけど人妻だからな!」
「「「なんだ、そう「不知火舞さんですか!私は比企谷の担任で部活の顧問をしております、平塚静と申します!お会い出来て光栄です!」のね…。」」」
三人の言葉に平塚先生が被せ、舞姉ちゃんの手を取り自己紹介を始めてしまったので、残念ながら一色達の言葉は聞き取れなかったが、その顔には安堵の色が見て取れるから、修羅場は回避出来た様で一安心だ。
「そ、そうですか、八っちゃんの先生ですか…よろしくお願いしますね…。」
平塚先生…舞姉ちゃんをもたじろがせるとわ!凄えなコレがファン心理って奴か、今風に言うなら推しに会えたって感じなのかね、握手会兼お渡し会に参加してんのか、CD何枚買ったんだ!?武道館行ったら死んでも良いのん?
そして次は自動車のエンジン音が聞こえてきた、それは一台のワンボックスカー。
その車は停車すると、四人の若い男女を降ろすと発進し去っていった。
その四人とは、俺と由比ヶ浜と同じクラスのトップカーストグループの四人。
「やあ来たか、葉山、戸部、三浦、海老名。」
「お待たせしました、平塚先生。」
メンバーを代表し葉山が平塚先生へ挨拶をし、それに合わせて他の三人も平塚先生へ頭を下げ挨拶をする。
「ヒガシさん、不知火さんこの四人も私の生徒で比企谷と同じクラスのメンバーです。」
その四人を平塚先生があんちゃん達に面通しをさせ、改めて挨拶をさせる。
戸部なんか、舞姉ちゃんに目が釘付けになってやがる。
まぁ思春期男子にとっては(美人の年上のお姉さん、どう見ても三十路を超えているとは思えないからな)刺激的だろうからな。
戸部だけじゃ無く、あーしさんと腐女子さんも舞姉ちゃんに見蕩れていた。
今時JKギャル子さんと腐界の住人から見ても舞姉ちゃんには憧れられる要素が溢れているんだろうか。
「やぁ〜しっかし俺っちがボランティアとかって有り得ねぇべ〜って思ってたけど来て正解だったっしょ〜っ!」
まぁ確かに戸部がボランティアってキャラ的に違うんじゃね、と俺も思うな。
「分かってないな戸部っちは、このイベントはボランティア活動何か二の次なんだよ、見るべきは其処じゃ無いのよ、みるべきは…ハヤハチ、トツハチ、トベハヤ、トベハチなのよほ〜っ!キマシタワーっ…ブッハッ…。」
腐女子さん…あんさんはホンマお約束を外さないやっちゃなぁ〜…。
「ほら姫菜鼻血吹いてんじゃん、ほらティッシュだよ、ほらちいんてしな!」
そしてあーしさん、アンタマジで世話焼きさんだよな、俺はアンタに感服するぜ、これからはアンタの事を『世話焼きドリルのあーしさん』とよぶ事にしようかな…俺の心の中でな。
「雪ノ下さんに、ガハマッちに、一色ちゃんと比企谷君の妹ちゃん、それから優美子と海老名さん、極めつけは不知火のお姉さん、後ついでに平塚先生、何なんここ美人しかいねえじゃん、本っマジベェ〜っしょ隼人君、比企谷君。」
だろうな、そう言うと思った、何となく知ってたわ…まぁ戸部だしな、うん。
「ハハハッ、そうだな。」
おい葉山、笑い声が乾いてるぞ、大地が乾いちまうぞ、知ってるか?乾いた大地は心を痩せさせるんだぞ。
「やぁ!比企谷、君達も来ていたんだな…。」
若干の乾きが残った様な複雑な表情を浮かべながら俺に挨拶して来た。
止めろ来るな、お前が来るとまた腐女子さんが大噴火を起こすだろうが!
「おう、まぁな部活の一環だ…お前こそどう言う風の吹き回しだ?」
「校内掲示板に、このイベントのボランティア募集の掲示があってね、参加者には内申点も加味してくれると言う話しだったからね、平塚先生から言質を取っているよ。」
内申点と引き換えに三日間も丁稚奉公するのかよ…コイツら案外奇特な奴らなんだな。
「ハヤハチ!hshsブハアッ!」
「コラ姫菜、擬態するしあと自重も忘れるなし!」
腐女子さん、いい加減にするし!
舞姉ちゃんと小町が先頭を歩き、その後に由比ヶ浜と一色、あーしさんと腐女子さん、その後ろを戸部と葉山が並び、その後に俺と戸塚、殿に平塚先生とジョーあんちゃんと雪ノ下の並びで俺達はそれぞれ荷物を抱えて目的地へと歩を進めている。
「私達以外のボランティアメンバーは葉山君のグループだったんですね。」
複雑な心境ありありな声音で雪ノ下は平塚先生へと確認する様に尋ねた。
「ああそうだよ、不服かね雪ノ下。」
「……………。」
その平塚先生の返答に雪ノ下は、何も言い返せなかった。
雪ノ下と葉山の過去に、あった経緯を俺は知らない、迂闊に踏み込め無い、踏み込むべきじゃ無いんじゃと俺は思っている、今は。
時が来れば雪ノ下の方から話してくれるんじゃ無いかとも思っている。
「雪ノ下、彼らと仲良くやれとは言わないよ、だが上手くやってみなさい、いやどうすれば上手やれるか考えてみなさい、それも勉強だよ。」
「…勉強ですか。」
ああ、雪平塚先生は雪ノ下や俺達に教科書には書いてない実地の勉強、所謂『トライ&エラー』失敗しながらでも構わなきから、立ち向かい経験し、其処から学ばせようと考えているんだろうか。
「所謂、処世術って奴かな…世の中に出るとな、どうしたって周りを全て自分の好きな人間だけで固める事など出来ないのだよ、反りが合わない、ウマが合わない、或は黒と迄は行かずともグレーゾーンに関わらなければならない場合もあるかも知れないし、そう言った時、人とだって共に仕事をこなさなければいけない場面だって多々あるんだ。」
その様な状況下でどう対処するか、出来るかそう言った事を勉強してみると良い、平塚先生は雪ノ下をそう言って諭した。
「……解りました、善処します。」
雪ノ下は平塚先生に一言だけ、そう答えてお辞儀をし前方に居る由比ヶ浜達と合流しに行った。
雪ノ下は真っ直ぐな奴だ、正道を真っ直ぐに進む、不正や姑息な手段などを良しとしない生らいがある、けどソレだけでは通用しない事など世の中幾らでもある、否、ありふれているとも言えるかもだな、そういった場合に『清濁合わせて飲む』それ位の心構えが必要な場面は幾らでも訪れるかも知れないな。
「…良い先生なんすね平塚さん、コイツは俺の偏見かも知れないっすけどね、今時の先生は今平塚さんが言った様な事生徒にやらせようとはしないでしょう、それこそ平均的な学生を大量生産する様なカリキュラムって奴に沿って教科書通りの事を詰め込むだけって感じのね。」
「いやいや、そんな私は、アハハ…」
あんちゃんの言葉に平塚先生は照れまくりだ、あらやだ先生っらそんな乙女チックな顔も出来たんですね。
もしかして本気であんちゃんに惚れたのかな!?
社会人、社会に出て地位立場に就くって事は、それに比した責任が伴うって事だよな。
例えば先生だったら、例えばこのボランティア活動中に俺達が何かをやらかしてしまったら、平塚先生は監督者として何らかの責任を取らなければならない立場に居るんだ。
ジョーあんちゃんが言う様に普通の先生だったら確かに、そう言った事態を避ける様に生徒に促す筈だ。
今回の事にしたって、小町の参加を許可してくれた時だって平塚先生は、何か合ったら責任は自分が取ると言ってくれたし、職業と立場に其れだけの覚悟を以て就いているんだな。
「もうあと、一年半位でしょうけど平塚さん八幡の事よろしく頼んます。」
「はっ、ハイ!勿論ですヒガシさん、至らぬ処はあるでしょうがね。」
何か二人共、良い雰囲気だよな、ハハッ遂に先生にも春が来たって奴?
けどこの二人がもし結婚とかしたら、平塚先生が姉貴分になっちまうのか。
「なぁ、八幡…あのよ平塚さんは今、誰かと付き合ってたりとかしてたりするのか?」
コソコソとジョーあんちゃんは俺の耳元に囁きかける、あんちゃんマジか!
「いや、居ねえよ…だって先生何時も言ってるからな結婚したいってさ。」
俺の言葉を聞いて、ジョーあんちゃんは実に生き生きとした笑顔を見せやがった、けどさあんちゃんは活動拠点をタイにしてんだしさ、大丈夫か!?
「ヨッシャぁ!」
その辺気にしてないのね、あっそういや元カノとも遠距離恋愛だったんだよな確か…。
「なぁ、比企谷…。」
今度は平塚先生っすか、ハイハイ何ですか?
「そのだな、ヒガシさんは喫煙者をどう思うだろうかな、格闘者のヒガシさんの事だ体調管理なども考慮していて当然だろう、それを考えると私も禁煙するべきかと思うのだが、どうだろうか、どう思う比企谷!?」
ちょっ…平塚先生!?まだ出会って数時間ですよね、それでもうそこ迄思考を進めてるんですか…どんだけなんだよ平塚先生!!
「そうっすね、まぁ先生の考え通りのところもあるとは思いますよ、まぁ人にも依るんでしょうけど、因みにテリー兄ちゃんはタバコが苦手って公言していますけどね。」
「う〜む、やはりそうすべきなのか…良し決めたぞ比企谷、私は今日、たった今から禁煙するぞ!」
おお!先生が燃えている、たったの数時間の出会いでここ迄人は変わんのか、それとも結婚を焦る平塚先生が、ガッついているだけなのか?
にしても、取り敢えず二人が互いに好印象を持ってるって事は確実だし、出来る事なら上手いこと行ってもらいたいとは思うがな、弟分としちゃなぁ。
「ねぇねぇ八幡、ヒガシさんと平塚先生って何かいい感じだよね。」
「…そうだな、うん。」
えっ…戸塚がこの手の話を振ってくるなんて、しかもすっごい笑顔。
ただ純粋なだけのスポーツボーイじゃ無かったんだな、まぁ戸塚だってごく普通の思春期男子なんだよな、やっぱ気になるよな。
「僕さ、平塚先生って良い先生だと思うんだ、だから先生にも幸せになって欲しいなって思うんだ。」
戸塚、なんて良いやつなんだ!平塚先生の事そんなに気に掛けていたんだな、マジ天使戸塚、あれだな戸塚は『バファ○ン』と違って半分以上、何なら全部優しさで出来ているんだな!
などと、心中で戸塚を讃えていると、いつの間にか俺は目的の場所に到着していた。