やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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やはり俺が虐めについて語るのは間違っているのか?

 

 さて、あんちゃんに呼ばれて表に立ったは良い物の、普段大勢の人前に立つことなんな無いからな…どうすっかなぁ。

 何か俺もあんちゃんがやった様に掴みのネタでも披露するべきか!?

 

 「おい八幡、今この場で何時ものアホなネタはやらなくて良いからな。」

 

 オー・マイ・ガァッ!予め釘を刺されちまったぜ、デ・トマソ・バレテーラ!

 …いや、やらないからね俺、精々心中で思うだけにしとくから。

 

 「…あ〜今、このツンツン頭のオジサンから紹介を受けてはいないか、俺は比企谷八幡って言う者だ、今は総武高校の二年生で君達と同じ小学校の卒業生でってのは説明されてるか。」

 

 シンと静まり俺の自己紹介に小学生達が聞き入っている、あらやだ俺ってば今やちょっとした、注目の星だったりするのかな…まぁ星じゃ無いか、大体嫌じゃんあんな被り物被るのさ、荒川河川敷の住人じゃあ無いんだし。

 何ていつもの如く、一人思考の旅をしていると一人の少年が挙手起立して質問をして来た。

 

 「…お兄さんはどうして、イジメられたんですか?」 

 

 おおっ!ダイレクトに来たな少年、やっぱり気になるのね、小学生達を見てみると…少年の言葉にコクコクと頷く子供がちらほら居てますやん…。

 

 「おっ、おう…え〜前の方に居る人は見えてるかもだろうけど後ろの方の子は見えてるかな…俺の眼なんだが、昔っから俺は眼つきが悪くてな、それで人に怖がられたりしていたんだが、それと何て言うか俺は人との付き合い方が下手だったんだろうな…上手に人に話し掛ける事が出来なかったんだ。」

 

 此処で俺は被っていた帽子を取った、此れで少しは俺の眼が見えやすくなっただろう…って思った矢先、早速前の方にいる女児が『ひいっ』とか声をあげちゃいました。

 くすん、まぁ誰かしらこんな反応をするとは思っていましたよ…思っちゃいたけどねぇ、だって涙が出ちゃうの男の子ですもん…ぐっすん。

 

 「…あ〜この眼のお陰で、怖がられていたりしてたんだけどな、実際はケンカとかもまともに出来無い位臆病だったんだ、まぁ段々とそれが知られ始めてからだな…。」

 

 「最初は、ヒソヒソと俺の事について噂したり笑ったりとかだったかな…それから、無視されたり居ない者みたいな扱いを受ける様になって…。」

 

 其処で一端話を区切り、俺は留美と四人の方へ視線を向けた。

 同じ班として、五人が一塊になってすぐ側に居る状態なのに、其処には…四人と留美の間にはまるで見えざる分厚い壁が存在しているかの様だ…。

 

 「…そう、今皆んなの間の一部で流行っている状態に近い感じだな。」

 

 俺はハッキリとそう告げた、それによりざわつき始める児童達、その事実を知らない子供達は『誰だよ』とか『嘘だろう』などと口にする。

 そして其れを知る者たち、留美以前の被害者達だろうか…俯き暗い表情をしているな、あんな事はもう嫌だとか思い出したく無いとか思っているのか、その胸中は想像でしか語れないがな。

 

 対してその首謀者たる四人は、互いに目配せをしあっている。

 察するに其れは、自分達が主犯だとバレてないよねとか確認しあっているってトコか…。

 更に、四人は留美にチラチラと目線を向け始めた、コイツもしかしてチクったのかとか思ってんだろうな。

 

 そして留美は、その表情を何一つ変えていない、確りと俺を見据えている。

 強いな留美は、覚悟を決めてるって意思表示をしてんだな、ったくコイツは俺よりも五歳も年下なのに、マジで尊敬出来る奴だな。 

 

 「それでだな、何で今日俺とこのオジサン…まぁ俺にとっちゃ兄ちゃんみたいな人なんだが、皆からすると明らかにオジサンだよな。」

 

 「おいコラ八幡、お前ぇは何時までも人をオッサン呼ばわりするんじゃねえって言ってんだろうが!」

 

 「あ〜ハイハイ、苦情は後で聞くから取り敢えず今は話に集中しようぜ、あんちゃん。」

 

 俺達二人のやり取りに、一部の子供達が小さく笑う子や、吹き出している子供も居る。

 それに気が付き、ジョーあんちゃんは頭を掻きながら俺から距離を置く、しゃあねぇな、なんて呟きながら。

 

 「…何でこんな話をしてるのかって言うと、其れは勿論…そんなくだらない事は止めろって、注意するのが目的ってのは解ってもらえると思うが、まぁ其れをやってる連中からすると、そんなのアンタに関係ないじゃんなんて思われてっかもだけど…。」

 

 確実に思ってるよね、其処の四人の女子児童は。

 

 「さっきも話した様に俺は、虐められた側だから虐めをやっている奴らの気持ちなんぞ知りたくは無いけど、なんてかさ遊びとかでもそう言う事がある…経験した事がある奴もこの中に居るかもだけど、段々と気持がエスカレートして行くって事が無いか!?」

 

 「そう、コレをやったら面白かった、だから次はコレを更にこうしたらもっと面白くなるんじゃねえかって、そんでそうしてみたマジでもっと面白かったってだから次はもっともっとって感じになっていく、皆はそんな経験ないか?」

 

 おっ、コクコクと頷いている子が居るな、あ〜それ解るう〜チョー解るう〜!とか思ってんのかな。

 

 そういった感情が良い方向、向上心とかとして働けば、将来科学とか技術の発展とかに寄与したりとかって事も有るかもだろう。

 スポーツなどの分野でもそう言うのあるよな、科学的なトレーニングとかの導入に拠ってアスリートの身体能力の向上が叶い次々に新たな記録が打ち立てられて、更にその記録を破るべく向上心をもち努力するとか。

 

 俺だって兄貴達の教えを元に身体を心を技を磨き続け、バーンナックルやパワーウェーブを放てた時の感動は忘れていないし、それが出来たから次の技をその次をって、それだって気持ちのエスカレートと言えるよな…そんでコレからも其れを続ける所存だし。 

 

 だが、厄介な事に人間って良くない事とか、不実な事とかにスリルを感じたりする者が多い様に思える。

 其れが良くない事と分かっていても、いや分かっているからこそ、其処に快楽を見出すんだろうな…多分、そうなんじゃね?

 

 「そう言った感情が虐めなんかにも働くんじゃないかって俺は思ってんだ。

 其れを俺は実際に体験しているんだからな、この身で持ってな。」

 

 またも静まり返る児童達、子供達にも思い当たる節があるんだろうか、或いは俺達が気が付いていないだけで、もしかすると留美達以外にも現在進行で虐めが行われているとか…嫌だよな、どうか杞憂であってくれよ。

 

 「どう言う経緯かと言うとだな、はじめのうちはさっき言った様に言葉や態度による物だったんだが、やがてそれが暴力になったって訳だ。」

 

 俺の口から暴力と言う言葉が出た為だろうか、子供達が少しざわつき始めた。

 ここに集う児童の殆どがだ、と言うとこはもしかすると、この中にはまだ暴力と言う手段に訴えている奴は居ないと解釈しても良いのか…。

 

 「小三の五月位からだったかな、殴られたり蹴られたりする様になったのは…何度も止めてくれって言っても、泣いて頼んでもまるで聞いてくれなくてな、逆に此方が泣いたりすれば奴らは喜んで、やる事がもっと過激になっていくんだ。

 だからそのうち俺はやられている時は何も言わなくなっちまった、それよりも奴らに捕まらない様に素早く逃げ出せる様にしたんだけど、それでも捕まる時は捕まっちまう。

 大体奴らは大抵四人か五人位だったかな、多い時は十人位の時もあったな。

 取り囲まれて、両腕を取られて動けなくされてから殴られるって訳だ。」

 

 ここ迄語った段階で、子供達の幾人かは嗚咽を漏らし、幾人子かは両手で口元を抑え微かに震えているも居る。

 

 「助けてくれる人は居なかったんですか?」と一人の女子児童が悲しげな表情で質問して来た。

 

 「…あ〜、さっきも言ったが俺は友達が居なかったからな、両親は共働きで何時も帰りが遅かったし、それに俺達を育てる為に毎日遅くまで働いているって思うと言えなかった……しかも奴等のやり口は巧妙でな、殴るにしても顔とか服やスボンから出ている素肌の部分は攻撃しないんだ、ヤラれるのは大抵腹とか背中とか、あとち○ち○とかな。

 女子には解かんないだろうけど、アレはすっげぇ痛いんだよな。」

 

 俺の最後の一言に男子生徒の幾人かはウンウンと頷き同意していたりする。

 やっぱり六年生にもなると、その痛みを体験している物なんだなやっぱ。

 女には解らないその痛み、嘗て『ロラン・セアック』君がその痛みに股間を抑え耐えていたが、その痛みを知らぬ『ソシエ・ハイム』お嬢さんは其れを大袈裟だと言い、ロラン君はソシエお嬢さんに言ったのだ、一度男に生まれてみてくださいよと…全く持って同感だ!

 

 「…そんなにいっぱい、ひどい事されてお兄さんは、どうして頑張れたんですか?」

 

 遠慮がちにおずおずとしながら、一人の女子が質問して来た。

 

 「う〜ん、頑張れたのかどうかは良く解らんが、俺には世界一可愛い妹が居てな、その妹の笑顔を見ると心が暖かくなって、気持が少し楽になるんだ…けど一度、虐めでヤラれたところの傷に薬を付けていた所を、妹に見られて…それで妹が半泣きで薬付けるのを手伝ってくれてな、その時ちょっとな自分の弱さが嫌になった様な気がしたかな。」

 

 「でも、な…それでもやっぱり、俺の心は死にかけていたんだ。

 臆病で何も出来無い自分が嫌で、でも歯向かうのが怖くて、立ち向かえない。

 それでな、夏休みに入る前日だったかな…その日もやっぱり虐められてて、両手を何時もの様に抑えられて、塀の上から『ライダーキック』を喰らって、俺はお腹を両手で抑えてアスファルトにうずくまった………。

 その俺に連中はその塀の上から…俺の全身に奴等はションベンを引っかけやがったんだ。」

 

 絶句、そして遂には涙を流し始める女子児童の姿が見える、やっぱりこの話は女の子にはエグ過ぎたかな。

 

 「三、四人分のションベンでずぶ濡れになって家に帰ってシャワーを浴びて、服を洗濯しながらな、俺はもう良いかなって、誰も知らない何処か遠くへ行こうかなって、もしあの時俺の前にゲインさんが現れて『エクソダスするかい?』って聞かれたらって、あ〜すまんネタを入れちまった…ん、コホン、そう思ってたんだけどな、そう思ってんのに妹の顔が浮んで来てな、俺が居なくなったら妹が独りぼっちになっちまうなって、そう思うとそれも出来なかった…。」

 

 

 

 涙を流す児童の数は更に増えた、留美もまた、涙で潤んだ瞳で、それでも確りと俺を見続けていた。

 そして、後ろに控えている者達までもが。

 小町が、由比ヶ浜が、一色が、雪ノ下が、涙声で小さく俺の名を呼ぶ。

 あーしさんが鼻をすする様な涙声が聞こえる。

 スマンな、お前達にまで嫌な思いをさせちまったみたいだな…。

 

 だが、留美をハブにしている連中には未だ、反省或いは己の行いを省みている様子は見て取れないな。

 微かに聞こえる声は、オシッコかけられるなんて汚いね、とか言ってクスクス笑ってるし。

 確信したぜ、こう言う奴だからこそ、クソみたいな虐めなんて事をおっ始める事が出来んだろうとな、そしてそのうち俺の時の様にやる事がエスカレートして行くな。

 だからコイツラに対しては遠慮は要らねえ!

 

 「…まぁ、なんだ…皆もテレビのニュース何かで見聞きした事があるかも知れないが、虐めを苦にして自分から命を断つ人の事が取り上げられるよな、誰かをハブにしてソイツが落ち込んでいる姿が面白いとか、集団で一人をボコにして自分のストレス解消とか、それによって被害者が思い詰めて死んじまったら、一生ソイツ等はその事実を背負っ行かなきゃならなくなるんだぞ。

 ましてや現代は情報化社会なんだ、皆はまだネットとかあんまりやっている子は少ないと思うけど…ネット上の情報から個人を特定されて、ネットってのは世界中に繋がっているからな、その特定された情報が世界に晒されるんだ。

 それで、どうなると思う!?例えば将来仕事をする様になったとする、偶々同じ会社の人が君達の名前をネットで検索して、昔虐めで人一人を自殺に追い込んだなんて事まで知られてしまうんだ、もしその会社の上司の人がまともな人ならそんな社員は必要無いって辞めさせられるかもな。

 或いは就活の段階で調査されたりなんかしたら、雇ってくれる会社なんか在りやしねえだろう。」

 

 おっ、四人組も今ので少し危機感を持ったかな、少し態度が変わったかな。

 けど其れも今だけかも知れないな、喉元過ぎればなんとやらだ、時間が経てばまたケロッとして、同じ事を繰り返しかねないな。

 就職だの就活だのはまだ今一つピンと来ていないかもだし…ふう、ココはもう一つ二つばかり追い込みを掛けるか。

 

 「それに、もし皆がこの先誰かを好きになって付き合ったとするよな、そんで結婚とかって話が出てだ、その相手か若しくは家族の人が昔の事を調査なんかしたりして、昔虐めで人を死に追いやっていたなんて知られたら、そうすっとどうなると思う…確実にその話は破談になるよな、俺だって嫌だもん俺の妹の結婚相手がそんな奴だなんてな!

 まぁおれの妹は人を見る目があるからそんな奴には引っかからないけどな。」

 

 恋愛だの色恋だの、そう言った事をこの年頃の女子は既に意識しているだろうし、現に昨日もあの四人組と来たら、葉山に興味津々だったし、一丁前に色気付いて居るって証拠だよな。

 だから、この話しなら理解出来るだろうよ、虐めなんて馬鹿やる奴にろくな彼氏なんざ出来やしないし、寧ろ端から付き合おうと思わないだろう。

 普通の感覚を持った男ならな、まぁ同じ穴のムジナっての、同じレベルのDQNカップルならワンチャンあるかもな!

 

 「…とまぁそんな感じか、でもな…そんな俺だったけど、転機って奴が訪れたんだ。

 あれは、小三の夏休みに入ってすぐの頃だったっけな…。」

 

 そして俺はあの日の、出会いの経緯を子供達にも語った。

 今に続く、俺達の絆の始まりの日の物語だ、俺の人生と心の有り様を変えた出会いとその後の日々を。

 

 

 

 

 

 

 

 ふう…喋った喋った、俺史上大勢の人前でこんなに短時間で喋ったのはもしかして初めてかも知れないってか、初めてだよな。

 しかし、子供達が皆沈黙してしまったな、あの四人組は兎も角他の関係の無い子供達には悪い事したかな。

 

 

 「あの…お兄さんは格闘技の技で虐めをしてた人達に仕返ししようって思わなかったんですか?」

 

 などと、若干自己嫌悪しそうになっていたが、一人の男児が質問をして来た。

 この質問の為にこの子は今、この子なりに最大限の勇気を振り絞ったのかも知れないな。

 聞き辛い質問だもんな、仕返したく無いのかとさ。

 

 「…そうだな、その気持ちが全く無かったとは言えないな、でもな兄貴達に教えを受けていく内にな、少しずつ体力とか付いて来て、身体が強くなって行くのが何となく解るようになり始めて…其れからネットやテレビで世界中の色々な格闘技や強い格闘家の人達の試合を見て、世の中には沢山の強い人達が居るんだと思うとな、そんな小さな事を考えるよりも、その世界中の強い人達といつか闘えるようになりたいって思う気持ちの方がデカくなって行って、もっと修行して強くなろうって思う様になって、だからかな仕返しなんて考えなくなったな…。」

 

 「けどな、とは言っても、相手の方から此方に手を出してきた時とかは、それなりに対処はさせてもらうけどな。」

 

 小五の時のアイツとか、中学の時の馬鹿共とか、一色と由比ヶ浜に手を出そうとしたヤンキー君(嗤)とか…他にもチラホラと。

 

 「え〜と、今日俺とヒガシのオジサンが何で皆の前でこう言う話をしたかって言うとな、まず第一に君達の中に虐めをやっている連中がいる事を知って止めさせたいと思ったからなんだ、マジでそんなクダらない事はさっさと止めちまえよって言いたくてな!」

 

 『さっさと止めちまえ』と俺は言いながら四人組に対して闘気…イヤこれは殺気と言うべきか、其れをブツけてやった。

 『ひっ!?』と、それに慄き声を漏らし身を震わせる四人組と其の様子を見つめる留美以外の被害者達か。

 (どうするんだろうな、今の反応で自分達が虐めをやってるって事が他の児童にも知られたかもだよな、場合によっちゃあ今度はチミたちが孤立するかもな、しかし全く持って俺も随分と独善的な人間なんだって、今のこの感情を以てマジでそう思えるわ、まっ良いけどさ)

 闘気だの殺気だのを受けた経験なんぞ無いだろうお前達は!

 小さくだが恐怖に慄える四人組、俺はまだ殺気を抑えていない、ひょっとするとコイツら恐怖のあまり失禁してるかもな。

 まぁどうでも良いか、コイツらさっき俺が虐めでションベン引っ掛けられたって言った時嗤ってやがったしな、だからそうだったとしても俺ゃ知らないし、そうだったとしたら自分等も笑われてみりゃ良いんじゃないのかな♪

 ククッ俺もまぁ随分と性格が悪い事、悪い事。

 

 「それとな、俺から皆への頼みがあるんだ……どうか皆は虐めなんて馬鹿な事をやる様な奴にならないでくれ、そしてもし其れをやってる奴を見つけたら止められるような勇気のある人になって欲しい。

 そしてこの中で、もし今辛い、苦しい思いを抱いている者が居るのなら、立ち向かう勇気を欲しいって者が居るなら、俺がその方法を教えてやる。

 俺が兄貴達に、教えてもらった事を今度は俺が誰かに伝える番だ…俺は今そう思っている。」

 

 子供達に、主に留美に対してだが俺は宣言した。

 留美の目を見つめて、そして留美もまた其れを逸らすことなく見つめ返して来る。

 

 「八幡、どうだお前が皆に伝えたかった事、ちゃんと伝える事が出来たか?」

 

 後ろに控えていたジョーあんちゃんが、話は終わりと判断したのか俺に話し掛けて来た。

 そうだな、話したい事は粗方話したかな、けどもうあとひと仕事残っているんだよな、俺にとっては…。

 

 「ああ、まぁ大体かな……ジョーあんちゃん、今から俺と此処で仕合ってくれないか…。」

 

 俺のその言葉を聞いたあんちゃんは、俺が思っていた程には、意外そうな表情をしてはいなかった。

 …何だか、やっぱりそう来たかよって思ってそうな顔だな、今の表情は。

 

 「お前ぇは……マジで言ってるんだよな八幡。」

 

 ジョーあんちゃんは俺の言葉に対して確認をとる、その表情には何時もの陽気な表情では無く格闘家としての、挑戦を受けた格闘家のモノになっていた。

 

 「ああ、マジだ…子供達に俺が過ごしたこの八年の時間を見てもらいたいって思ってな、それとあんちゃんに確認してもらいたいって、あんちゃん達が仕込んでくれた今迄の成果と今の俺をさ、だから…今迄の様に超必殺技の封印とか無しで、本気のジョー・ヒガシに挑戦したいんだ!」

 

 じっと俺の顔をジョーあんちゃんの眼は捉えて離さない。

 俺の気持の度合いを確認しているのだろうか、だがやがて。

 

 「ヨッシャア、一丁やってやろうじゃねぇか八幡!お前ぇの本気ってヤツを見せてみやがれ!」

 

 俺の胸に己の拳を当てて、あんちゃんは俺の挑戦を承諾してくれた。

 此処に今俺は初めて、本気のジョー・ヒガシに挑戦する事が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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