やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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少年は、狼に決意を伝える。

 

 観衆の歓声に、手を振り応えるテリー兄ちゃん。

 一頻りその声援に応えた後、リングサイドの俺達の方へと向かって来た。

 

 「どうだったハチマンちゃんと見てくれたよな。」

 

 激闘を乗り越えたその姿には、疲労の色と受けたダメージによる傷等も見て取れる、だけどその顔にはまるでそれを感じさせない、腕白坊主がそのまま大人に成った様な屈託の無い笑顔が有った。

 

 「………まぁカッコ良かったんじゃね…と思う。」

 

 テリー兄ちゃんに声を掛けられたのが何だか凄い気恥ずかしくて、変にぶっきらぼうに応えてしまった俺、比企谷八幡この時もうすぐ九歳。

 手に持っていた帽子、テリー兄ちゃんが放った帽子を、テリー兄ちゃんへ突き出す様に差出しそう言った。

 

 「Thank youハチマン!」

 

 身を屈めて一旦は俺から帽子を受け取ったテリー兄ちゃんだったが、その帽子はテリー兄ちゃんの手により俺の頭へと被された。

 

 「こいつは、お前が持っていてくれないか。」

 

 気の良いイタズラ小僧の様な笑顔でそう言ったテリー兄ちゃんに俺は。

 

 「…そうしたいって、兄ちゃんが言うなら、貰ってやっても良いけど…」

 

 全く持って素直じゃない、捻くれた返答しか出来なかった。

 

 「ヨシ!ならそうしてくれ」

 

 そう言ってテリー兄ちゃんは、勝利者インタビューを受けるべくリンクアナがスタンばるリングの中央付近へと歩いていった。

 

 

 

 インタビューが終わり、リングサイドに居た俺達もリングに上げてもらう事が出来て、(勿論学ランの兄ちゃん改め、草薙京さんのサイド人達もだが)草薙さんはテリー兄ちゃんと話をしている。

 草薙さんもまた試合で受けたダメージを感じさせない挙動をしている。

 その様子に俺は、あぁ良かったと内心安堵していた。

 

 話し終えたのだろうか、二人は突き出した互いの拳を打ち付けて、再戦の約束でもしたのだろうか最後に一言交わし、草薙さんは挙手をして離れて行った。

 

 仲間達と合流した草薙さんだったんだが、その眼がふと俺に向けられたかと思うと、俺の方へ歩み寄って来た。

 

 「…その帽子、お前テリーの弟子なのか?!」

 

 そう問いかけられたんだが、俺はそれに対して答えられなかった。

 俺自身の気持ちは固まりつつ有ったが

、まだそれを伝えてはいなかったから。

 

 「頑張れなんて言える立場でもねぇし柄でもねぇ…けどまぁ精々元気でいろよ坊主…じゃあな、あばよ!」

 

 なんか銀英伝のキルヒアイスっぽいセリフを言い残して草薙さんはクールに去って行く、どの位クールかと言うとジョナサンの病室を深夜に見舞いに来ながらも、エリナの献身的な看護に感銘を受けてクールに去って行くスピードワゴン位クールだった。

 

 

 

 そして、草薙さんの後を追いながらも二階堂さんや大門さん、あと青い学ランの兄ちゃんも俺とロックに手を振って去ってゆく。

 

 

 

 引き続き、リンク上では優勝者テリー兄ちゃんへの優勝賞金、商品等の授与式が行われている。

 一通りの品物の授与が終わり、次は花束の贈呈なんだが、その担当者を麻宮アテナさんと小学生の女子数名が、どうやら受け持つ様だ。

 

 「テリーさん優勝おめでとうございます、素晴らしい試合でした、今度は私とも手合わせしてくださいね。」

 

 「ありがとなアテナ、そうだな、まぁやる時は精々お手柔らかに頼むぜ。」

 

 麻宮さんの祝いの言葉にテリー兄ちゃんは、パチリとウインクをしながら返礼する、こういう所はやっぱアメリカ人なんだなと思わせるよな。

 

 麻宮さんに続いて花束を持った女子数名が、順番に花束をテリー兄ちゃんへ渡してゆく。

 

 「優勝おめでとうございます、お兄ちゃん。」

 

 「ありがとう、小さなレディ!」

 

 子供達から花束を受け取る為、しゃがんで目線を合わせながらテリー兄ちゃんは一人一人に感謝の言葉を述べながら、

受け取る。

 金髪イケメンの外人兄ちゃんに、レディなんて言われんだからな、少しませた子なら落ちちまうだろうな。

 現に今、小さなレディなんて言われたあの亜麻色の髪の女子、めっちゃ嬉しそうにしてるし、うわ〜めっさモジモジして身体くねらせてやがる、いちいち仕草があざとい! まるで何処ぞのあざとい後は…

 ペコリとテリー兄ちゃんにお辞儀をして、その場を離れる亜麻色の髪の女子。

 俺を見て立ち止まった、否ロックを見たんだろうな………。

 うわ〜さっきみたいにモジモジしだした。

 右手はスカートを軽くつまみ、左手を口元に当てて、チラチラと目線を送りながら顔なんか赤らめて。

 おい、イケメン金髪男児、アピられてんぞ………べっ、別に悔しくなんか無いんだからね! ………くすん(泣)

 

 しかしロックは、その女子に対して何らリアクションをしなかった。

 だがその顔は赤味が掛かっていて、照れているの丸わかりだ、ロックもどうやら俺と同じコミュ症の暗黒面に落ちているようだ。

 ダース・なんちゃらって改名すべきかな、俺もロックもさ。

 

 

 最後の一人がテリー兄ちゃんに花束を手渡しつつ、語り掛けている。

 

 「お兄しゃん、らい丈夫なの、痛くない?」

 

 「ハハハッ平気さ、俺はすっごく強いからな!」

 

 花束を受け取りながら、片腕の二の腕の力こぶを示し、そのちょっと舌足らずな話し方の女子に答えるテリー兄ちゃんは、彼女を安心させようとしてか、漫画ならニカッって感じの書き文字が入りそうな笑顔でそう答えた。

 

 「怪我をし時は、ちゃんとお手当して病院に行からいとだめ何らからね!」

 

 「あぁ、ありがとうな優しいお嬢さん心配してくれて…その優しさを何時までも忘れない様にな!」

 

 「うん!」

 

 舌足らずな少女の(多分俺と同い年位だな)思いやり溢れる忠告にテリー兄ちゃんは、その女子の頭を優しく撫でて返事を返す、その物怖じしない少女の態度と優しさに、すっかり感心した様だ。

 彼女を見る眼は、慈しみを感じさせるものだった。

 

 ペコリと彼女もまた、お辞儀をしてテリー兄ちゃんの前から辞する。

 笑顔でテリー兄ちゃんの元から、少女達の待機する場所へ向かおうとかけ足で向う少女だが、おいおい足元ちゃんと見てるか危ないぞ!

 あっ、つんのめった! 言わんこっちゃ無い……言ってないんだけどね、てへっ!。

 

 俺は咄嗟に、転びそうになったその女子に手を差し伸べた。

 何とかギリで転ぶ前に間に合って、少女を支える事が出来て、まぁ膝は着いちまったが。

 自分の現状が把握出来て居ないのか、

キョロキョロとする少女。

 

 「あっ、あのひゃ…大丈夫か?」

 

 くそっ噛んだ。

 

 噛みながらも少女に声を掛けてみたんだが、俺の眼を見てなのか、自分の現況を理解し恥ずかしくなったのか。

 

 「うぅっ…ひっく…」

 

 半べそかき始めた。コレ俺の眼を見てなら、泣きたいのは俺だっての。

 しかし、このまま泣かれるのも厄介だな、そう思った俺は右手でその女子の頭を撫で。

 

 「だっ、大丈夫だじょ、どこも怪我してないだろう、大丈夫落ちちゅけよ…」

 

 なんとか宥めようと、コミュ症回路を封印して頑張ってみたんだが…

 吃りまくりな上に噛みまくりだよぉぉぉ……しかも、うわぁ初めて小町以外の女子に触れたよぉ、小町ぃお兄ちゃん大人の階段一歩登っちゃったよ、頑張ったんだってばよ。だからもうゴールしてもいいよね、良いって言ってよバーニィ!

 

 「…………あ、おりがと…えへへっ」

 

 俺の頑張りが報われたのか、少女は小さな声でお礼の言葉を言ってくれた。

 良かった、俺の眼を見てびびられたんじゃ無かった、ホッと安堵の溜息が出そうになった。

 

 「おっ、おう…立てるか? ほら。」

 

 彼女に手を貸して、立つことを促すとニコッと大きく口をあけて笑って素直に従ってくれた。

 その際見えた彼女の口内は、所々歯が抜けていた。

 コラっ!女の子がそんなに大口開けちゃ駄目ですよ、セキレイNO.88のあの娘も言ってたでしょう。

 慎みを忘れちゃいけないって…あっ!NO.88の中の人はこいつじゃ無いじゃあないか、NO.88のかなの人は氷の女お……否中の人なんて居ないんだからね。

 

 てか、しかしだから舌足らずっぼい喋り方なのかよ、虫歯かコイツ、ちゃんと歯ぁ磨けよな。」

 

 「あしひ、ちゃんと磨いてるもん! 子供の歯が取れたらけらからもうすぐ、大人の歯が生えてくるんらからね!」

 

 あらやだ、内なる俺の声は口から漏れ出ていた様です。

 怒らせてしまった様だ、しかし大人の歯って、乳歯永久歯って知らないのかよ

、どうやらコイツはアホの子の様だ。

 

 「…でも、ありがとう…」

 

 怒ってはいたものの、礼はちゃんと言ってくれた辺り、コイツは結構良い奴のようだ。

 

 そんな俺達の様子を兄ちゃん達は、ニヤニヤ笑いで見ていた。

 

 止めて、そんな目で見ないで!

 

 見てるのは、マリア様だけで充分なのよ!

 

 最後は皆で記念撮影をして、この日のイベントは終了した。

 それ迄の間、アホの子少女はずっと俺の隣にいて、話しかけて来た。

 

 「今日はねあたひ、アテナちゃん見に来たの、あたひアテナちゃん大ひゅきなんだ、パパがねコンサートの切符買ってくれたの! えへへぇ〜!」

 

 にこにこ顔で楽しそうに話すアホの子少女、こんな風に女子に話し掛けられたのとか初めてで、「ふうん」とか「そっか」とかしか言えなかった俺、ポニーテールにはなりません。

 コンサートの切符って、チケットだろうがよ。

 やっぱコイツはアホの子だ、だかしかし切符って言っても問題ないのか、広義の意味では。

 

 それにしてもコイツは距離感近すぎじゃね、小3?女子ってこんなもんなの?

 ボッチの俺には分かんねぇや。

 

 それからついでに、亜麻色の髪のあざとい女子だが、何とかロックに近づこうと思っていた様だが、ロックの性格的に女子と積極的に女子と関わろうとしない女子限定の、コミュ症の暗黒面落ちしてるしな、彼女に近寄ろうとしないて、テリー兄ちゃんの側から離れ様としない様だし、しかもまだ日本語も理解出来ていないからな、その思惑通りには行かなかった。

 めっちゃ残念そうな顔で、口を膨らませていた。

 何と言うかあのですね、ドンマイ亜麻色の髪の女子。

 

 

 

 「…あのね、ありがとう…また遊ぼうね!」

 

 遊んだ覚えは無いんだが、どうやらアホの子少女の中では、遊んだと認定されたらしい。

 ほぼ一方的に喋られただけなんだが。

 

 「あぁ、おう!?」

 

 適当に相づちを打っておいた俺、口調に疑問系も含ませて置いたので、それが叶わずとも問題無い。

 只一度この場で会っただけ、また会えるとは限らないからな。

 

 

 控室へ戻り、皆で暫しのリラックスタイムを満喫。

 俺は、自分の決意をテリー兄ちゃんにどう伝えるべきか考えていた、言おうと思っていてもそれを上手く言語化出来るのかとか、それを聞いたテリー兄ちゃんが何と言うか、普段人との関わりを持てない俺としては、只それを伝えるだけでも妙に考え込んでしまう。

 

 それを察してくれたのか、考え込んでいた俺の前にテリー兄ちゃんが来てくれた。

 

 「なぁハチマン、朝俺はお前に見て欲しい物があるって言ったけどよ、それが何なのかお前はもう解ってんだろ。」

 

 そして自分から話を振ってくれた、俺はコクリと頷き肯定する。

 

 「お前は強くなりたいんだよな、俺はなお前のその思いに応えてやりたい、そう思ってんだ。」

 

 「しかしそいつは、それを実行するには、お前自身の決意ってやつが必要なんだよ、どうだハチマンお前は学んで見る気はあるか!?」

 

 テリー兄ちゃんのその真摯な気持ちに俺は、俺も真摯に応えなければいけないんだ。

 言うんだちゃんと……

 

 「テリー兄ちゃん、俺に格闘技を教えて下さい。 俺強くなってちゃんと守りたいんだ、自分も大事な物も全部。」

 

 伝えた、自分の思いを。

 

 「解った。 ハチマンこれからお前の家に行くぞ、お前の両親に会いにな。」

 

 テリー兄ちゃんは応えてくれた、俺のその思いに、その上で俺ん家へ行こうと言う。

 

 「お前の両親に会って、その上でこれからの方針って奴を決めようぜ!」

 

 そのテリー兄ちゃんの決定により、皆で比企谷家へ向う事が決された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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