やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。 作:佐世保の中年ライダー
ダンクーガの合体時のキーワードで景気づけをやったは良い物の、てかこの時期の『矢尾一樹』さんってダンクーガで『藤原忍』役で主役やってZガンダムでは『ゲーツ・キャパ』演じて、その後はガンダムZZで主役の『ジュドー・アーシタ』演ったんだよな、って関係ないだろうがよ俺…つうかっべ〜っマジ緊張するしょ〜ぉ!
…思わず戸部っちまう位に俺はプラッシーを飲みたく…じゃ無くってプレッシャーに呑み込まれそうだ。
俺とジョーあんちゃんとの彼我の距離はそれなりに離れている物の、その歴戦の男が放つ闘気がビンビンに感じられるわ。
くっ、覚悟は決めてた筈なのによ、やっぱり怖えな、心臓がまるで早鐘を打ってる様だ。
俺とジョーあんちゃんと、その中間に立つ舞姉ちゃんが俺たち二人の様子を確認し、そして遂に舞姉ちゃんがその右手を上げ、宣言し…振り下ろす!
「ジョー・ヒガシVS比企谷八幡、レディ…ファイト!!」
始まった遂に!!
オープニングは決まってんだよなあんちゃん、付き合うぜ!
「ハリケーンアッパーッ!」
「ハリケーンアッパーッ!」
ジョーあんちゃんって云えばこの技、嵐を呼ぶ男の代名詞、アッパーカットのモーションより繰り出される小さな嵐。
チッ…同時に放った筈なのに、技のモーションも発動もやっぱり本家だけあって速え!
『おおっ!すっげぇ〜!』
皆の驚きの声が聞こえる…。
て事は当然、あんちゃんの方が俺より早く次の行動へと移れるって事だ。
何だ、何が来る!?『スラッシュキック』で以て一気に畳み掛けて来るのか、それとも『黄金のカカト』で高空から打撃を叩き付けて来るのか!?
どっちだ…タイミング的に反撃は出来そうも無いか、ガードは間に合うか!?
俺たち二人が放ったハリケーンアッパーにより砂埃が舞い視界が悪い。
「ッシャアァァァ!」
視界を遮る砂埃のカーテンを突き破りジョーあんちゃんの攻撃が俺を襲う。
なっ、何い!?下段狙いのスライディングキックかよ、ヤバい脚を掬われっちまう。
来た、まるで氷上を滑走するかの様なスライディングが!間に合うか、間に合え下段ガードッ!!。
『ビシッ!』
良し、辛うじて下段ガードが間に合った、攻撃は防御出来たのだが接触音は鈍く響く、このスライディングキックは技後の硬直が短く直ぐに次の行動へと移行できる。
くっそう、やられる俺からすると、厄介極まりない技を選択しやがる。
おっと、思考にばかり偏り過ぎたか、ジョーあんちゃんの方はもう立ち上がろうとしているじゃないかよ、俺も立たなきゃ攻撃も防御もままならない…。
俺とあんちゃん、立ち上がったのはほぼ同時。
しかし次の攻撃を、先に打って出て来たのはあんちゃんの方だ。
「オラオラオラァッ爆裂拳!」
超高速の拳の連打が俺のガードした左腕を…そのガード上にお構い無しに連打を叩きつける。
グッうっ、一発一発の威力がどえらく重くて、一発でもクリーンヒットを許せばかなりのダメージを被りそうだ…。
以前聞いたことがある、プロボクサーの放つジャブのハンドスピードは時速換算で大凡30km/h〜40km/h位の速度だと。
しかもソレはKOを狙った重いパンチでは無くスピードを重視して打つジャブでだ。
だがコイツは、あんちゃんの放つこの爆裂拳はどうだ、一発一発が必到の威力を秘めている上にこのスピードと来た日には…時速40km/hなんて余裕で超えてんだろう!
やっぱ、この位の芸当が出来なきゃ頂点は取れないって事かよ、ってそれにしてもこの連撃はいつ終わるんだよ、いい加減ガードした腕にもダメージが。
やべぇ、ガードが保たねぇ!?
「オラオラオラァッ!!」
つぁっ!?しまった、弾かれた…ガードが弾かれた事によって俺はあんちゃんの攻撃の前に顔面を思っきり晒してしまった!くっ、来る!!
「シャーァ爆裂拳フィニッシュ!」
打ち降ろすかの様な拳撃が上方から俺の顔面へと向い放たれる、ヤバい、ヤバい、ヤバい!!
来た!フィニッシュの打ち降ろしが俺の左頬を捉える。
「ヒッキー!」「せんぱい!」「比企谷君!」三人の俺を呼ぶ声が聞こえる、また…心配かけちまったかな。
数瞬の静寂の時が過ぎ去り。やがて周りのざわめきの声が聞こえて来る。
「…………、くっ、つぅ…ハァ。」
気が付けば堪らず俺は片膝を着いてしまっていた様だ、そしてジョーあんちゃんはそんな俺を見下ろして。
「味な技身に着けてんじゃねぇかよ八幡、スリッピングアウェーなんて御大層なもんをよ!?」
おやぁ?褒めてくれてんのか、わーい八幡ちょ〜嬉しい♡
………………キモいな俺にハートマークなんて、ガンツ先生だって多分くれやしないしだろうな、百点なんて取れやしないからな、万が一貰えたとしても付けるトコ無いし、付けたとしても『うわ!あいつハートマークとか付けてるよマジキモいんですけど、自分の顔鏡で見てみろってんだよな』とかヒソヒソと言われそうだし…(泣)
「ハァ痛ってぇ、その御大層なもんでダメージを幾らか軽減出来たとは思うけどさ、それでも膝着いちまったよ…一体どんだけの威力してんだよ。」
『当然だろうがよ』と口には出して無いが、ジョーあんちゃんの表情、不敵な笑みがそう言っているみたいだ。
「ハッ、どうやらお前ぇのその眼の動体視力と反射神経は天性の物みてぇだな八幡、比企谷の兄貴と姉貴に感謝しねぇとだな、そんな良いモン持たして産んでくれた事によ!」
そんな物なのか…何か自分じゃ良く解らんが。
「どうした、もう終わりか…そうじゃあねぇよな八幡、俺ゃまだまだお前ぇの今を見足りねぇぜ!」
スビシっと人差し指を突き付けてジョーあんちゃんは俺に奮起を促す、ホント過保護だよな、俺の兄貴はさ。
…ああ、そりゃあ俺としてもたったの一発で伸されてしまったりしてちゃ、挑んだ意味が無いからな。
しかし、改めて知ったよあんちゃん、俺が目指す高みがどんなモンか、追い付きそして越えるべき高みってヤツがさ、やっぱでけぇよ…けど、だからこそ挑み甲斐があるんだけどね。
「…んな訳無いだろ、まだまだコレからだよ、まだまだ俺のオイルは沸騰し切っちゃいないぜ!」
立ち上がりながら俺は、減らず口を叩く、自分のテンションを上げる為にな。
「へっアイアンリーガーのネタかよ、あの番組は俺も見てたぜ、ありぁ幼心にもハートを熱く滾らせてくれる良い番組だったぜ。」
おっマジかよあんちゃん!アイアンリーガー見てたのかよ、しかもリアタイでか…良いなぁ羨ましいぜ!
「…まさかあんちゃんが見ていたなんてな、ハハッ…よっと。
悪い待たせたな、仕切り直しと行こうかジョーあんちゃん!!」
俺は再び目の前の、越えるべき目標である男の一人、ジョー・ヒガシを前に立ち上がる。
態々気を使って俺が立ち上がるのを待っていてくれた、その気遣いに対し礼を述べ、構えを取る。
「おう!待ちわびたぜ、お前に習って此処は一つ俺も行っとくか、『正々堂々試合再開!』てよそんじゃまぁトットとかかって来やがれ!」
ジョーあんちゃんも、それに合わせて構えを取り直す、俺にマジで付き合ってくれてネタ迄入れて…サンキュー。
「シャァ!」と掛け声とも吐息とも付かない音声を口から小さく響かせ、俺はジョーあんちゃんとの距離をフロントステップにより詰める。
詰めながら牽制と攻撃の糸口を掴むためのジャブを放つ。
単発では無く、二の矢、三の矢と続け様にだ、しかし相手は歴戦のムエタイチャンプ此方の攻撃が単調に過ぎれば、空かさず反撃してくるだろう。
現に、俺の放ったジャブをあんちゃんはほぼ全てウィービングやパーリングで捌ききり、また的確にガードしている。
なので気を抜くと、いつ反撃を許してしまうか分かったもんじゃ無い。
そして案の定、あんちゃんも迎撃のパンチを差し込んで来た!
「シッ!」「シュ!」
だが迎撃に出るって事は、それだけ防御に割く割合が減るって事だ。
その分攻撃を食らうリスクも高まるって事だ…。
しかし互いに互いの空きを付く様に放たれる拳は、だがお互いにクリーンヒットは許していない。
あれ!?もしかしてさっきジョーあんちゃんが言ってたのってもしかしてマジなのか?
本当に俺ってば動体視力と反射神経が優れてたりするのか、だってこの超接近戦において、此れだけあんちゃんのパンチに反応できているし。
『見えるぞ!私にも拳が見える!』
今の俺の気分はまさに『ア・バオア・クー』の攻防戦に於いてガンダムを見つける事が出来た、赤い人の様だ!
……ゴメンナサイ嘘吐きました、この緊迫感バリバリの接近戦でそんな余裕はありません。
ジョーあんちゃんは元々ボクシングからムエタイへと行った人だからな、事パンチに関しては三人の兄貴達の中で最も確かな技術を持っていると言える。
その人相手に何時まで、拳撃だけで渡り合えるか…難しい処だよな。
「シュシュ!シャァ!」
「ハッ!セィ!ハァッ!」
やがて俺達は、左のジャブだけではなく右のパンチも織り交ぜ始める。
それにより緊迫感はより一層高まり、比例する様に恐怖感もまた上昇カーブを描くかの如く高まる。
くっそ、呑まれるなよ俺!「集中」だ集中ッ!
「シュ、シュシュ!」
「シッ!ハァッ!」
そして俺は遂に、ジョーあんちゃんの顔面に拳を叩き込めそうな空きを見つけた、良し今だ。
俺は渾身の右拳をフック気味に繰り出す、ジョーあんちゃんの顔面目掛けて。
「シャァァッ!」
「だぁリャァッ!」
だがしかし、スキを作っていたのはあんちゃんだけでは無かった様だ。
俺もまた空きを作っていたのだろう、ジョーあんちゃんもまた俺のパンチに合わせる様に、パンチを繰り出す。
『バシィッ!!』
俺達二人のパンチは互いにカウンターとなり顔面にヒット、俺の右はジョーあんちゃんの左頬へ、ジョーあんちゃんの右は俺の左頬へとほぼ同時に着弾した。
「グハっ!」「うぅっ!」
その衝撃により、俺達は二人してその威力の前に吹き飛ばされ、二人同時に背中を地に着けてしまった。
所謂ダブルノックダウンだ…かつて日本のボクシングのリングで、東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ『竹原慎二』選手と『李成天』選手との試合に於いて、第8ラウンドに互いの左フックがヒットしダブルノックダウンのシーンが演出された事が有名だ。
また竹原選手はこの試合の後WBAミドル級世界タイトルマッチに臨み、日本人初のミドル級世界チャンピオンの座に就いた、これマメどころか有名な話な。
そしてその偉業を成した試合の模様を中継しなかったTBSは絶許だ(世界戦以前の竹原さんの試合はTBS系のガッツファイティングで中継されていた)
後に録画とは云え放送したテレ東には喝采を!
しかしこれは…カウンターはその威力が倍化されるって良く聞くけど、其れはどうやらマジの様だ。
そういやYouTubeでWBA世界ライトフライ級世界チャンピオンの『京口紘人』さんが言ってたっけ、来ると解っているパンチってのは、力を込めた強打でも割と耐えられるけど(まぁ当てられるまでに打撃部位など耐える為に力を込めて踏ん張ったり出来るんだろうけど)意想外のパンチ、見えないパンチを食らうと其れが単に軽く当てられただけの別段強い力で放たれたパンチで無くとも、凄いダメージになってしまいダウンを食らう事が多いとか。
そして今の一撃はまさにそうだった、全く意識をしていないパンチを受けてしまったって訳だ。
なので俺は予想以上のダメージを被ったみたいだ、そしてどうやらジョーあんちゃんの方も同様か…。
俺達二人立ち上がろうとしてはいるんだが、ダメージの大きさによりそれも儘ならない。
「お兄ちゃん、ジョーお兄ちゃん!」
「ヒガシさん、比企谷ぁ!」「嫌ぁヒッキーッ!」「せんぱいっ、いやぁっ!」「だめ比企谷君ッ!」「ヒガシさぁん、比企谷く〜んガンバっしょ!」「八幡頑張って!」『ヒガシのおじさん、お兄さん頑張れ!』「ヒキオ!ヒガシさん!」「比企谷!」「比企谷くん!」
皆が俺とジョーあんちゃんの名を呼んでいる、小町が、結衣、雪乃、いろは、平塚先生、戸塚、戸部、あーしさん、腐女子さん、小学生の子供達、葉山…。
皆、聞こえてるよ…そんなに大きな声を出さなくてもさ、ちょっと待ってろ…今立ち上がっからよ。
「…くっ、ハァァ…。」
「プハァァ…。」
まだ少しふらつきながらも、俺達二人はゆっくりと立ち上がる。
片膝に手を添え『すう〜…ハァ〜』と呼吸を繰り返しダメージの回復と打撃による痛みを緩和し、ゆっくりと。
「フ〜ッ、ハァ〜…おい八幡お前まだ行けるよな!」
「…当然だろ、ハァ〜…まだまだ俺は今の俺の全部は出し切っちゃいないぜ、あんちゃん!」
ジョーあんちゃんが俺に問い掛ける、闘う意志と気力があるかと、そして俺も応える。
「二人共、まだやれるわね!?」
舞姉ちゃんが俺達の現況を確認する、俺達は其れに無言で頷き肯定する。
「では構えを取って。」
舞姉ちゃんが仕合いの再開を促そうとしたその時…。
「八幡!頑張って!」
俺に奮起を促す少女の声が、この闘技場と化したつどいの広場に木霊した、其れは…。
「…留美。」
その小さな両の手を、自身の胸元に置き留美が叫んだ。
此れまで、この仕合いが始まってから一度も、いやジョーあんちゃんと俺が皆に語り掛けた時も、一言も発さなかった留美が。
あ〜あ、全く…こりぁもう負けられないじゃねえかよ。
俺は留美に視線を送り、一つ頷いて見せる、声には出さない…出さなくとも解ってくれるよな。
「…では改めて、構えを取って!」
男二人構えを取り直し、再開の掛け声を待つ。
「始め!」
合図と共に舞姉ちゃんが下がる、其れを見届けるでも無く俺とジョーあんちゃんは向き合う、構えとリズムを刻みながら。
俺はジョーあんちゃんが一気に間合いを詰めて来るのかと考えていたんだが、意外にもそうでは無かった。
さっきダメージが残っていると考えるべきか、其れとも慎重に事に当たろうと考えているのか、或いは誘い?
…迷うな俺、今の俺は何だ…言うなれば挑戦者の様なもんじゃね。
だったら此処は挑戦者らしく俺から距離を詰めなきゃだよな!
「しぁねぇなァッ、行くぜジョーあんちゃん!」
俺とジョーあんちゃんとの間合い、ほんの3メール程の距離を、短距離ダッシュで詰める。
距離を詰め、互いの攻撃が届く間合いに達しジョーあんちゃんが牽制の高速ローキックを連打で繰り出す。
「シッ、シッ!」
其の攻撃が俺の左脚脹脛に当たるも、其れは威力を重視した物では無いのでダメージは無いに等しい。
けれど其れは俺に接近と攻撃の糸口を作らせないと言う点に於いては有効に働く、普段派手な言動で以て有名なジョーあんちゃんだが、こう言った基礎的な技術は当然身に付けている訳で、普段あんちゃんが叩く大口と派手な試合を玄人気取りで批判する、マスゴミや批評家等には其れが見えていないんだろうな。
そうでなけりゃ後進の指導なんて出来やしないんだぞ、俺だってあんちゃんには沢山の技術を仕込んでもらったんだ。
…と、まぁ其れは置いといて、威力を込めていないと言ったって何時までも食らう訳にはいかないし。
「シッ!シッ!」
ジョーあんちゃんの放つローキックのリズムが次第に掴めて来た。
ローキックを放ち、そして戻す、戻すタイミングに合わせて俺はその場で小さくジャンプし。
「ハァッ!」
右脚でジャンピングキックを放つ、しかし其れをジョーあんちゃんはどうやら読んでいた様だ。
「させるかぁ!!」
同じく右のハイキックで以て、俺のジャンピングキックを相殺する、くっ流石の対応力だなあんちゃん。
然し感心してばかりじゃ居られない、次だ次、攻めろ俺。
キック同士の激突により空に浮いている状態だった俺の身体は、地上に根を張る様にしっかり片脚を付けていたジョーあんちゃんの蹴りの前に、若干の後退と着地時に地に手を着く事を余儀なくされた。
なのでまた俺は体勢を立て直さなくてはならない、そしてその状態を黙って見ている様な男では、ジョー・ヒガシって男はそんな格闘家では無い。
「ッシャァァオラオラァッ!」
絶叫の様に木霊するジョーあんちゃんの声が響き繰り出されるは、テリー兄ちゃんのクラッシュシュートと似た、空中に於いて回転を加えられる事により強烈な破壊力を生み出される必殺の技。
『黄金のカカト』が俺目掛けて繰り出された。