やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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やはり闘いの後にとんでもない人達と出会うのは間違っている。

 勝敗は決した……。

 

 この二人の新旧女性格闘家同士の闘いを目の当たりにした、このパオパオカフェにて観戦した全ての人が二人に惜しみの無い拍手と喝采を贈っている。

 中には感激のあまり涙を流している人も居る、それは僅か三分程の時間だったけど、それを見守り続けた人達の心に確かに刻みつけたと俺は思う。

 二人の女性の日々の研鑽と志の高さと強さとを、本当に凄えよ二人共。

 

 同じ道を往く者として俺も二人に負けちゃいられないよな。

 おっ、何か今のって俺的に凄えかっけぇとか思っちゃたよ、良いな『同じ道を往く者』って言い回し八幡的に有り有りの有り、って何かアリアリばっかだな、ブチャラティかよってのアリアリアリアリアリアリ……アリーヴェデルチか〜らぁの〜っバカルチメルチってか!?

 

 

 

 

 

 

 アタシはリングの上でほんの暫くの間気を失っていたみたいだね。気が付いた時アタシの目の前には不知火さんが居てくれて、アタシの身体を支えていてくれたし。

 

 「もう大丈夫みたいね沙希ちゃん。」

 

 本当にこの人は優しい人なんだね、比企谷が姉と慕うのが何故か解ったわ気がするよ、けどさ。

 あ〜あ、負けちゃったよ……でも何かサッパリした気がするんだよね、それは闘った相手が尊敬出来る人だからなのかな、それとも今の自分を出し尽くしたって感じられるからなのか、どうなんだろうね。

 

 「見事だったわよ沙希ちゃん、本当に貴女の将来が楽しみだわ。」

 

 不知火さんはアタシの手を取り立ち上がるのを手伝ってくれながら、そう評してくれた、フフッ光栄だね。

 

 「ありがとうございます不知火さん、アタシは不知火さんが相手だったからこそ、今日は此処までやれたんだと思います。」

 

 これはアタシの本心だ、あの日の比企谷との手合わせの時と同じ様に、不知火さんがアタシの力の限界を引き上げてくれたんだ。

 アタシは心からそう思っている、全くさ、伝説は伊達じゃ無かったよ。

 とは言ってもさ、でもやっぱり悔しくもあるんだよね負けたってことが、もっと強くならなきゃね、アイツと肩を並べられるアタシである為にもね。

 

 「ええ、私もそう思わよ、沙希ちゃんが相手だったからこそ、私はもう一度自分の本来の力を取り戻せたんだって、そう思うの、だから私からもありがとう沙希ちゃん。」

 

 本当にもう敵わないな、でもイヤな気持ちが少しも湧いて来ないや、これも不知火さんの持つ人徳ってやつなのかな。

 

 「さあ、応援してくれた皆に応えてあげましょう沙希ちゃん。」

 

 「……はい、不知火さん。」

 

 

 

 

 闘いを終えた二人がリング上で互いの健闘を讃え合った後、再びあの店員さんがリングへ上がり、このエキシビジョンマッチの終了を告げた。

 二人は一頻り観客の声援へと応えてリングを降りてきた。

 その二人に俺達は労いの言葉をかけると、二人もそれを素直に受け微笑みと共に謝意を述べた。

 

 「ようお疲れさん、舞も沙希嬢ちゃんもな、まぁ少しばかり反省点も有りゃするけどよ、まぁ取り敢えずそれは置いとくとして、二人共見事だったぜ。」

 

 リングから降りてきた二人に対し真っ先にねぎらいの言葉をかけたのは、ジョーあんちゃんだった。

 あっ、しまった先を越されちゃったよ八幡ってば、俺が最初に労いたかったのにさ、でも『野郎、ここの一番乗りは俺だってのに!』なんて八幡思ったりなんかしていないんだからね!

 ホントダヨハチマンウソツカ…いや、たまぁ〜に吐いてるかな苦し紛れの言い訳とか……。

 

 「そうだし!舞さんカッコよかった、それに川崎も結構やるじゃん。」

 

 なっ!?しまった、あーしさんに二番手まで取られてしまったよ、何か色々と要らん事を考え過ぎていたが為に…。

 しかもそれを皮切りに結衣、いろは、雪乃、腐女子さんと次々と二人に話し掛けていて、俺ってば完全に出遅れてしまったよ。

 何かさ、こう言うのってタイミングを一度逃すと中々入れなかったりするんだよな、まるで免許取り立てペーぺーのドライバーがメインストリートの交差点で右折に躊躇う様な感じ、違うか…うん違うよな例えが。

 因みに交差点と言えば、ザ・コレクターズの加藤ひさしさんと古市コータローさんがやってるポッドキャスト『池袋交差点24時』はオススメだ。

 

 なんて事を俺が考えていたら…あららら、川崎ったらメッチャ怖い目でお顔を紅くして、俺を睨んでいらっしゃいますわ。

 八幡怖い〜っ………はぁ止めよ、我ながらなんだか怖気が疾走るくらいにキモいわ。

 しゃあない、何時までもグダってても何も始まらないし終わりもしない、ん…始まりも終わりもなければゴールドエクスペリエンス・レクイエムってどうなるんだろう、いやいやもう脱線はこの位にしとこうぜ俺。

 

 

 

 

 久し振りの実戦だったけど、こんなにも皆が評価してくれるなんてね、私もまだまだ捨てたもんじゃ無いってことで良いのよね。

 でも流石にそろそろ……ほら沙希ちゃんが八っちゃんと話したそうにしているんだから、皆沙希ちゃんの事開放してあげてね。

 ああでも八っちゃん、こういう時は男の子の方から話し掛けないと駄目じゃないの、と言いたい所だけど…只でさえ八っちゃんには三人も思ってくれている娘達が居るし、それに多分まだ恋愛感情では無くて、そうね頼り甲斐があって強くて優しいお兄さん位の…いえもう少しだけ深い気持ちかも知れないけど、留美ちゃんだってそのうち八っちゃんの事、今とは違う想いを抱いてしまうかも知れないんだからね、だから沙希ちゃんも頑張りなさいよ。

 ふぅ、しょうがないな此処は年長者として私が一言、言わせてもらうわね。

 

 「ほらほら八っちゃん、何時までそうしている気なの、沙希ちゃんに何か言ってあげることがあるでしょう。

 それにお姉ちゃんだってまだ八っちゃんにお疲れ様って言ってもらって無いんだけどなぁ。」

 

 「あ、うん…ごめん舞姉ちゃん、と川崎もだな、そのお疲れさん二人共凄い仕合いだったよ。」

 

 「ああ…うん、ありがと比企谷…。」

 

 もう、八っちゃんてばそれで終わりなの、もっと沙希ちゃんに話し掛けてあげなさいよね…って沙希ちゃん!?

 何だかすっごく嬉しそうな顔しちゃってるし、駄目よ沙希ちゃんその程度で堕ちていちゃ!もっとこう…そうねいろはちゃん位攻めないと『労うならもっと確り気持ちを込めた言葉と態度で労いなさい!』位の事言ってあげなきゃ駄目よ。

 

 

 

 

 ふう…舞姉ちゃんのお陰で何とか二人に声を掛ける事が出来たけど、我ながら何だかなぁ…もっとこう気の利いたセリフの一つでも言えないもんかね。

 何となくだけど、何か舞姉ちゃんも表情でそう俺に言ってる感じがするし。

 もし此処に小町が居たら、メッチャ駄目出しされて『うわ〜っ、小町的に超ポイント低いよ。』とか言われるんだろうな…。

 

 「けどあれだな川崎、お前さ…最後のアレな、無理に龍虎乱舞を出す必要は無かったんじゃ無えの、もし彼処で出したのが覇王翔吼拳だったら、案外違う結果になってたかもじゃね?」

 

 俺はさっきの二人の仕合いに対する評価として、ラストアタックに付いて苦言めいた事を言ってしまった。

 ヤベ…思わず何時もの材木座との組手の時みたいに論評してしまったよ、たった今闘いを終えた人に対してキツかったかな。

 

 「…うっ、そ、それは……。」

 

 あっ…これってサキサキ自身も自覚があった系だったりするのかな、ヤバい悪い事しちまったかな……。

 などと、俺が自身の言動を反省していると…比較的リングに近いテーブルから声が掛けられた。

 

 「うむ、その少年の言うとおりだな沙希坊、彼処で龍虎乱舞を出すのは悪手であると言わざるをえんな。」

 

 そこに居たのは…椅子に座りメニューを開き見ながら顎を指でなぞる、老齢の男性とその連れの女性。

 その老齢の男性は椅子に腰掛けて尚、その身にから発せられる迫力(オーラとでも言えば良いのか)佇まい、そして抑えてはいるんだろうけども、それでも尚漏れ出ているように感じられる闘気、それだけでこの人が、おそらくは若かりし頃はさぞかし名のある格闘家であったに違いないと察する事が出来るだけの方だと思う、ジョーあんちゃんなんか警戒感バリバリでおまけに臨戦態勢整いましたって感じだし…そして女性の方は…。

 

 「もう、お父さんったら久しぶりに会うのにいきなりそれって、沙希ちゃんが可哀想でしょう。」

 

 今のセリフから察するにどうやら娘さんの様だ、ってかお父さんってハッキリ言ってるし。

 う〜ん、娘さん結構若く見えるけど、かなり歳を取ってから出来た娘さんなのか、それとも結衣ちゃんママみたいに見た目がすっごく若く見える女性なのか、だとしたら家の母ちゃんと同年代かちょい上位いなのか。

 しかしこの二人、サキサキとどういう関係なんだ。

 

 「…まさか、ご、ご隠居…それにユリさん、おっ、押忍!お久しぶりです。」

 

 川崎が空手家っぽい挨拶「押忍」と言ってるし、この人達は極限流の……まさか、ご隠居にユリさん、それに押忍って挨拶つか察するに、まさかってかやっぱりそうじゃねえのか、この人達は極限流空手の…しかもご隠居って事は!?

 

 「まっ…まさか貴方は極限流空手の創始者、前総帥のタクマ・サカザキさんとその娘さんのユリ・サカザキさんなんですか!?」

 

 俺が発した言葉に、この高齢の男性は胸元で腕組みをして唸る様にその解を述べた。

 

 「うむ、如何にもワシが極限流空手の創始者、タクマ・サカザキである!」

 

 まさかなぁ…今日此処でこんなビックネームと遭遇するなんて夢にも思ってなかったわ、しかも名乗り方が若干『ワシが男塾塾長江田島平八である!』みたいな感じだけどなんか全く違和感が無ぇよな。

 

 「ええ、そうだよ…と言いたいけどサカザキは旧姓なの、私はユリ・ガルシアよよろしくね。」

 

 えっ…ユリ・ガルシアってまさか、この女性がガルシア師範の奥方でしかもサカザキ前総帥の娘さん、って事は当然サカザキ総帥の妹さんって事だよな…。

 

 「あっはい…よろしくお願いします、俺は川崎の同級生で比企谷八幡と言います。」

 

 お二人が名乗られなので、俺も自己紹介と挨拶をした、うん挨拶大事。

 

 「おいおいまさかよ、こんな所で極限流の創始者様に出会えるなんて、思ってもいなかったぜ!」

 

 うわっ、ジョーあんちゃんってばエラく挑戦的な表情してるし、何なのさまさかサカザキさんに挑もうとか思ってんじゃないよな、止めようよ相手は多分七十代位だよ…まぁ世の中には八十超えてセクハラかます元気者の爺様とか居るけどさ、十兵衛先生とか十兵衛先生とかさ。

 

 「ふむ、そう言うお主はムエタイチャンプのジョー・ヒガシか、フフフッ。」

 

 フフフッ、なんてサカザキさんは笑って言ってますけど、その眼光はめっちゃ鋭いっすよ!

 まさかその挑戦受けてたってやろうとかって言ったりなんかしませんよね!?

 

 「あのっ、ご隠居とユリさんは何故此処に、何時日本に来られたのですか。」

 

 ナイスだサキサキ、川崎も不穏な空気を感じ取ってくれて二人の間に割って入ってくれたんだよな、サンキューサキサキ、GJ部!愛してるぜ。」

 

 「な、な、な、な、な、なっ、何言ってんのさアンタは!?」

 

 へっ何!?、俺何か言ったのか、サキサキってばえらく顔赤らめてすっげー怒ってるみたいだけどってか、ちょっと待って、何か結衣といろは怒ってるけど?

 

 「八幡君、貴方は自分が何を言ったのか理解しているのかしら、そうなのだとしたらうふふっ覚悟をして貰わなければいけないわね。」

 

 と雪乃が何か恐ろし気な事を仰っておいで何ですけど、でもって俺の正面に立つって……って痛っ!?

 

 「ちょっ…雪乃さん、痛い痛いです止めて、何?何なの、俺が一体何をしたんですかちょっとマジで止めて痛いから痛いですってこのままじゃ俺、痛いの通り越して遺体になっちゃうから、その挙げ句に俺の遺体がアメリカ大陸に散らばっちゃうから、だから止めて下さいお願いします!関節極めないでぇ!」

 

 「安心なさい、その時は私達が責任を持って貴方の遺体を回収するから、別にアメリカ横断レースなど開催する事も無いわよ。」

 

 雪乃は俺の正面を取ったかと思うと、腕を取り高速で背後へ周り込み、俺の肩と肘を極めてしまわれた。

 ホントにマジで勘弁して下さい、お願いします雪乃様。

 しかし雪乃もいろはも、いい感じにジョジョネタには反応してくれる様になって来たし、それがわりかし嬉しい俺ガイルです。

 てか、俺の遺体じゃ聖人の遺体になんかなりゃしないだろうな、精々暗黒の遺体とかそんな感じ、いやただの木乃伊だな知らんけど。

 

 「はちくんは少し痛い目を見る必要があると私も思います、そうやって無自覚に女を落とすんですから、暫くその格好で反省してください。」

 

 「そうだよハッチンはあたし達のハッチンなんだからね、もうこれ以上は駄目なんだからね!」

 

 へっ…なにゆえに、いろはと結衣までもが、腰に手を当てて激怒って居ますけれどもなんで?

 

 「八幡師匠、沙希師匠の事愛してるぜって言ったから、お姉さん達怒ってるんだよ…。」

 

 ………俺はまたやっちまってたのね。

 

 「そうですよ、はちくんはまだ私達にだって愛してるぜなんて言ってくれていないじゃないですか、どうして将来の貴方の奥さんになる私達に言ってくれていない事を、川崎先輩に先に言っちゃうんですか!?」

 

 なんかすいませんでした、雪乃様、結衣様、いろは様……。

 

 

 

 

 

 「あの、今日は…と言うか今回はご隠居とユリさんだけで来られたのですか、リョウ総帥やロバート師匠、それからマルコ師範代はこちらに来られてはおられないのでしょうか。」

 

 サカザキ前総帥から席を勧められ、俺達は現在…皆でデーブルを囲んでいたりする。

 

 「おおっ、サキサキの口から次々にビッグネームが飛び出して、オラびっくりだぞ!」

 

 「アンタねサキサキって呼ぶなってアタシは言ったよね、つうかよくこの場でそんな茶々入れられるもんだよ全くどうなってんのさアンタの神経は…。」

 

 あらあら、八幡ってばサキサキに窘められてしまいましたわ、気を付けなくっちゃね、テヘペロっ!

 

 「フフッ、なる程ね沙希ちゃん、しばらく見ないうちに随分と女性らしくなったと思ったけど、そう言う事なのね。」

 

 「な、な、な、何を言ってるんですかユリさん!アタシはそんなんじゃ…。」

 

 えーっと、ユリさんでしたっけ、ガルシア夫人の言ったことにサキサキってば大慌てって感じで反論しようとしたみたいだが、どうしたんだ一体………まぁ良いけどさ。

 

 「おに…兄さんは向こうで今頃山籠りの最中でしょうね、マルコ君はキングオブ・ファイターズに出場するから此方には来てはいわ、それとあの人はもうそろそろ此処へ来るわ。」

 

 へえ、ロドリゲス師範代はKOFに出場するのか、何か十年ぶりにサウスタウンで開催されるってテリー兄ちゃんが言ってたっけか、て事はもしかするとテリー兄ちゃんかロックとの対戦があるかもだよな、凄ぇ何そのカード、めっちゃ見たいんだけど!

 それと何気に北斗丸の奴も出場してるんだっけ、そんでアンディ兄ちゃんは北斗丸の事を影から見守る為にサウスタウンに行ってるって言うし、大丈夫なのかアイツは。

 

 「つか、マジですか!?ガルシア師範が此処にお見えになられるとか、うっわぁべぇ〜っしょ!」

 

 思わず戸部が憑依してしまったけど、実際マジにガルシア師範とお会い出来るとか、メチャ緊張しそうだよな。

 あーでも、今日は夕方からバイトだからもう暫くしたら此処を出なきゃいけないんだよな、ちょっと残念だな。

 

 「ヒキオ、あんた何戸部ってんのさ、てかヒキオがそこ迄驚くなんて、そんなに凄い人なん、その人?」

 

 なん…だと、まさかあーしさんが戸部ってるとか言うなんて、しかもあーしさんガルシア師範を知らないとでも言うのかよ、つかよくよく考えたらってか考えなくても格闘に興味が無けりゃ知らなくても別に不思議は無いですね…はい。

 

 「ロバート・ガルシア、かつての極限流空手の二枚看板と呼ばれた無敵の龍リョウ・サカザキと最強の虎ロバート・ガルシア、主に拳撃を主体とする無敵の龍と蹴り技を主体とする最強の虎、沙希嬢ちゃんのスタイルは基本的にその最強の虎のものを受け継いでいるようだから、だろうとは思っていたがやっぱりそうだったんだな、へへっ。」

 

 と、この様に俺に代わってジョーあんちゃんが皆に説明してくれました、まぁジョーあんちゃんも結構蹴り技を多く使うし、タイガーキックなんて虎の名を冠する技もあるし、ガルシア師範に対して思うところがあるんだろうなやっぱり。

 

 「はい、アタシはロバート師匠とご隠居に目を掛けて頂いて、主にお二人から教えを受けたんです。」

 

 おお、凄えよサキサキ!まさかのまさかで、ガルシア師範だけじゃなくてサカザキ前総帥からも教えを受けたなんて。

 

 「フハハハっなぁにワシはとっくの昔に現役を退いて暇を持て余している隠居の身であったしな…この日本支部を立ち上げて暫くはこの日本に長居していた事もあり、その頃にたまたま我が極限流道場に入門して来た幼い姉弟に、たまたま才能を見出し年寄の道楽としてその子等を指導したくなっただけの事だ。」

 

 「ふふっ、なんて事を言ってるけどお父さんってば、沙希ちゃんと大志くんの事を自分の孫の様に思っていて、特に沙希ちゃんには嬉々として指導していたのよね。」

 

 なんともまぁ聞いてびっくり、まさか極限流の創始者が川崎姉弟を孫の様に思っていたとは、しかもその方直々に才能を見い出されるとはな。

 しかし当の川崎と来たら、そのユリさんの言葉に顔を真っ赤に染めて照れまくりだし、やっぱりそんな風に思われるってのは嬉しいんだろうな。

 まぁ、そんな感じでこの場は案外和気藹々として、ジョーあんちゃんも今はもう格闘者の顔を引っ込めて極限流の皆さんの話を興味深く聞いているみたいだ。

 

 それからほんの暫しの時が過ぎ、遂にあの人がこの場にお見えになられた、最初に気が付いたのはユリさんで、そのユリさんは店の出入り口の方へ幾度か視線を向けていたんだが、その時ユリさんの顔にパッと花が咲いたかの様に明るい笑顔が広がった、そして。

 

 「あなたぁココよ此処ほらほら速く来てぇ!」

 

 ユリさんが声を掛けた方向、つまりは店の出入り口方向に目を向けた訳だが、つまりはそういう事だ。

 

 「いやいやこらぁ、ユリちゃんに師匠お待たせしてホンマすんません、それと久しぶりやなぁ沙希、暫く見いひんうちにエラいベッピンになったやないか。」

 

 高級そうなスーツをビッと決め、丁寧に整えた髪はオールバックで、長い後ろ髪をポニーテールにして、家でちょくちょく視ている動画よりは齢を重ねている事が伺えはするが、実際の年齢よりも遥かに若く見える渋味掛かっていて、ハリウッドのムービースターと言われても納得がいきそうなマスク。

 そして何故か関西弁で話す、そうこの人こそが極限流空手の最強の虎と呼ばれた男、ロバート・ガルシア師範その人である。

 

 

 

 




本来ロバートの関西弁はイタリア訛りの英語を表現する為の演出なのだそうですが、もうロバート=関西弁が根付いていると思うので日本語も関西弁を話すキャラとします。
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