やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。   作:佐世保の中年ライダー

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やはり闘いが終わってから○○を告げるのは間違っている。

 

 はぁ、はぁ、はぁ………集中、集中、集中………ガルシア師範の攻撃を俺は捌き続ける。

 これ迄に学び身に付けた防御技術を集中力を高め思考よりも反応反射とにリソースを割き、それはこの最終局面に於いてガルシア師範の攻撃を今の所捌き切っている事から上手く運んでいた。

 

 ここ迄はな………しかしその集中力も切れかけ始めている事が自分自身理解している、極度の緊張感に身体中から汗が吹き出し額から流れ落ちるその汗が眼の中に入り込み視界が滲むし、少し痛い。

 そして何よりもこうやって頭の中でこんなふうに思考をはじめだってことが其れを如実に表しているって事じゃね、と違うか?嫌違わないよな。

 

 「そりゃ!そりゃ!ハッ、セイッ!」

 

 はっきり言ってこの勝負に俺が勝てる可能性は皆無に等しい、この集中力が途切れ雑念が頭の中に過ぎっている現況だからな、その時がいつ訪れたとしてもおかしくは無い。

 俺に残された数少ない可能性、それはガルシア師範が余程俺の事を舐めて掛っていて油断するとか、攻撃の技の選択の判断をミスをしてしまうとか或いは奇跡でも起こるとか………ちっ、何にしても全部他力本願じゃないかよ全く。

 クッソ、一格闘家としてそう言った相手のスキを作るのだって本来自分で為せる様にならなきゃなのによ。

 

 「……はぁ、はぁ、はぁ……。」

 

 ……不味い、とうとう息切れまでし始めたわ、こりゃあもう長く………えっ?

 何だガルシア師範がいきなり三連続のバック転で後方へと下がり俺との距離をとったけど、一体何をするつもりなんだよ。

 

 「…ふぅ…はあぁーーーっ!」

 

 俺との距離をとったガルシア師範は俺を見据えながらも気合注入を開始した、ハハッコイツはどうやら見透かされているらしいわ俺の現況を、だからそうやってパワーを溜める余裕が有るって事ですよね。

 パワーを溜めてきっと超必殺技を超える威力の更に上の超必殺技を撃って俺に止めですかガルシア師範、だろうな仮にガルシア師範が覇王翔吼拳を放ち其れをガードしたとして、俺はきっと其れに耐えられず気力体力全部持っていかれて敗北は必至って感じだしな。

 或いは龍虎乱舞だったとしても、俺はそのアタックをもう止められやしないだろう………あっ、これもう積みだわ俺。

 

 「はあーーーー………。」

 

 なおも続くガルシア師範の気合い注入に俺はもう為す術無しなのかよ……いや待てよ、この状況は要するにガルシア師範がもう俺には反撃の術も無くあとはもう止めの一撃を食らわせりゃ終わりだと思っているって事だよな。

 まぁ実際それは事実なんだが……つかだからこそ余裕綽々気合い注入がやれてんだろうけど、はてこれって言わばガルシア師範が油断してスキを晒してるって言うのは若干過言かもだが、この状況利用出来んじゃね?

 公式戦その他二十年位のブランクが有るっても、ガルシア師範は一流の格闘家だって事には変わり無いけどさ。

 そんな人を罠に掛けるのなら案外三流のペテンみたいなモンが効果を発揮するかも知れない……例えばボクシング元ジュニアミドル級(スーパーウェルター級)チャンピオンの輪島功一さんが放ったと言う、よそ見(はじめの一歩の青木のトリッキー戦法の元ネタ)する事で相手の視線をそちらに誘導してそのスキにフックを当てたって言うとんでもスキルで異世界放浪……ってネタはいいっての、そんな事に思考を割くな俺。

 ただでさえ今の俺の勝ち筋が見えないってのにそんな事に頭を回して勝負が疎かになった挙げ句に負けるとか冗談じゃねえだろう、どうせ負けるんなら今ある残りの力の全部を出し切って気持ちよく負けたい。

 それがガルシア師範に対する礼だろうがよ、いやでも本当は負けたく無え……本当は、勝ちたい!

 

 

 

 俺とガルシア師範との彼我の距離は大凡6〜7メートルってところか、其れだけの距離が在った上でガルシア師範は俺に追い足はないと解釈してるんじゃなかろうか、そうすると攻撃手段として取られる技は『遠当て』気弾だろうと判断するんじゃ無いのか、だとするなら俺はそれに賭けるしか無いってな。

 そんでその読みが外れたら俺はもうそこ迄だな。

 

 一か八かそいつに賭ける、俺は右手を高く掲げて構える、そしてそれを見たガルシア師範は宙へとジャンプした!しめたどうやら上手く行ったみたいだ。

 

 「パワーウェ……「飛燕龍神脚!」

 

 俺の発声に被せる様にガルシア師範が技の体勢に入り、そして発動する高速急降下蹴り飛燕龍神脚、俺はその声が発せられるのと同時に構えを戻す。

 

 「なっ!何やってぇ!?」

 

 俺はパワーウェーブを撃つと見せかけて技を取り止める、そう俺はガルシア師範に対してフェイントを仕掛けた訳だ。

 右手を引き戻し体勢を戻してから後方へとバックステップ、もう既に飛燕龍神脚を発動したガルシア師範は急には止まれず、そして。

 

 「しもたっ!!」

 

 元俺がいた地点に着地するが多大なスキを晒す事になった。

 これが最後のチャンスだ!これが決まらなきゃ俺にはもう何の手立ても残っちゃいない、ガルシア師範行きますよッ!

 俺に残ってる身体中の全部の力を出し切ってやる。

 飛燕龍神脚の不発から体勢を整えきらないガルシア師範に俺は渾身の突進を敢行する。

 

 「パワッ、チャージ!!」

 

 俺のショルダータックルがガルシア師範を捉える。

 

 「なっ!?……うわッ!?」

 

 そして宙へと打ち上がったガルシア師範の身体が無防備に舞う。

 

 「行け八幡!今のお前なら撃てるはずだぜ、一発撃てたんだ二発も三発も同じ様なもんだろうがッ!!」

 

 ジョーあんちゃんの声が道場に大きく響く、俺にアレを撃てと……やれるのかよ俺に……いややれるかじゃ無いだろうがよ、やるんだよ俺!

 あの日憧れたあの人の、あの輝く背中の星が見せてくれた、あの日から俺が目標として来たあの技をさ。

 

 「行くしかないよなぁッ!…オゥバーヒィーッ!!」

 

 俺は再び右手を掲げてマットへ打ち下ろす…マットから吹き上がる巨大な気の牙とその発生を宣言する様に高らかに響く爆音、それを確認する間もなく俺は左腕を大きく空へと振り上げると再度響き渡る爆音!

 

 「うっ…うあっッ…。」

 

 ガルシア師範の呻く声が微かに聞こえた様な気がする……そして数瞬の間を置き俺は身体全体を大きく前方へと屈めながら右手で、もう一度マットを叩き付ける。

 

 「ゲイッザァーー!!」

 

 三度響く爆音とそれが収まるとやや遅れてマットに響く落下音とその衝撃、それからやはり微かに聴こえて来るる呻き声とそれが消えた後に訪れる僅かな時間の静寂…………。

 

 

 

 

 「勝者……比企谷八幡ッ!!」

 

 やがて黒岩師範代から告げられる勝者コールに歓声と驚愕のざわめきが道場内が広がる、その中の俺の関係者が集まる一角に目を向けると……。

 ジョーあんちゃんがニカッと笑顔でサムズアップしてるし、平塚先生はウムっとばかりに頷いてるし(その仕草なんか意味無く大物っぽい、あんたは江田島平八塾長かよ)留美と川崎は何だかホッとしたって感じの安心感溢れる顔してる。

 そして、俺の大切な三人の少女達は涙を浮かべながらその場にへたり込む。

 その様子に俺は『スマン…めっちゃ心配掛けちまったな。』と心中詫びる。

 

 「オイ八幡、勝者のお前ぇにはあと一つやる事が残ってんだろう!」

 

 ジョーあんちゃんが俺にアレを催促する、所謂勝利のポーズって奴ね。

 

 「……OK!って帽子を放り投げたい所だけど、もうそんな力も残っちゃいないわハハッ……はぁ〜っ、しんど!」

 

 そう言って俺はその場に腰を落としてしまった、最後迄締まん無えな俺は。

 

 「へへっ、ロートルとは言え達人の域にある奴相手に中々健闘したじゃねぇかよ八幡………しかもとうとう潜在パワーまで発揮しやがったか。」 

 

 マットの上に座り込む俺の前迄歩み寄りジョーあんちゃんはそう言いながらヤンキー座りの体勢を取り俺の額を軽く小突くと、何だか妙に優しげな眼差しを俺に向けて来た、つかその体勢だとその短パンの尻の部分の縫い合わせが千切れてパンツ丸出しになっても知らないからな俺。

 

 「はあ〜っ、ああ…何とか出来たっぽい?」

 

 俺はそう一言それに答えてからもう一つ溜息のよに息を吸って吐く、だってかなり疲れててキツイから喋るのも何か億劫だし呼吸を整えないとだし。

 

 「何で其処で疑問形なんだよお前ぇはよぉたく。」

 

 そう言われてもさ、何かイマイチ実感が無いんだよな。

 いやね、確かに俺ゲイザーを打つ為に拳をマットに叩き付けた様な気がするしゲイザーが発生した時の爆音が聴こえた様な気もするけど、何かあの時の事が夢現の様な気が………。

 

 

 「ハッ、そう思うんだったらアレを見てみろよ。」

 

 ジョーあんちゃんが呆れ気味にサムズアップを横向きにして親指で示した方向では、横たわった状態から頭を振りながらガルシア師範がその身体を起こし始めていた。

 

 「なあ、あんちゃん……俺もしかして勝っちゃったの?あの人にマジで!?」

 

 「なんだぁ、お前ぇはまだ信じられねぇってのか、しょうがねぇ奴だな。」

 

 優しい顔で苦笑しながらジョーあんちゃんはそう言うけども、当の俺にはまだ実感がわいてこないんだよマジでさ、だってあの状態で普通に考えたら俺に勝ち筋なんて皆無だったんだよ。

 それをあんな三流以下のペテンに掛けてだもんなぁ、何かアレって本当に現実だったのかはっきり解かんねえって。

 

 「よっと、まぁ良いやほらよさっさと捕まれ八幡。」

 

 ジョーあんちゃんはヤンキー座りから立ち上がると右手を俺に差し出してくれた、立ち上がるのがまだちょっとしんどいかなと思っていた今の俺としては、あんちゃんのその好意はとてもありがたいものだった。

 

 「う…っす、サンキュージョーあんちゃん。」

 

 「おう、まぁそんな事はどうでもいいんがよ八幡、お前は行かなきゃならねぇトコが有んだろうが、ほれッ!」

  

 そう言って指差したのはガルシア師範と三人の少女達、ガルシア師範も黒岩師範代やユリさん達に付き添われ立ち上がり、二人に礼を述べている様だ。

 そして彼女達は闘いの終わりに安堵したのかその場に座り込んでいる、だな確かに俺は挨拶に赴くべきだな全くこの兄貴は、こう言う時に案外気が利くんだよな。

 そのお節介精神はありがたくもあるんだが、同時に気恥ずかしさも内在してるんだよなってか叩かれた背中がめっちゃ痛いんだけど、ちったぁ手加減しやがれオッサン。」

 

 「お前ぇは一々一言多いんだよッ!」

 

 何でか知らんがいきなりジョーあんちゃんは憤慨しながら俺の頭に拳骨を喰らわせやがった、ゴツンと鈍い低音を道場内に響かせて。

 

 「いったぁ〜〜って、なっ何をするだァーーッあんちゃん!?」

 

 その痛さに俺は思わずうんこ座りポーズで頭を抑えてその加害者に抗議する、てか一言多いって何の事だよ。

 

 「お前ぇは頭で考えてっ事が口に出てんだよ、全く所構わず喋くるアホなネタと言いその締りの悪い口のチャックと言いよ、ちったぁどうにかしやがれってんだアホッ!」

 

 「けどまぁ、何時までも蹲って無いでさっさと立ち上がれや。」

 

 ……またやってたのかよ俺、これでもう何度って数えるのも馬鹿らしいわ、けどあんちゃんの言う通り何時までも蹲ってる場合じゃないか。

 

 

 

 「ガルシア師範、今日はありがとうございました!」

 

 ジョーあんちゃんと共に俺はガルシア師範の元へ向かい手合わせをして頂いたことに対する礼を述べ頭を下げる。

 

 「おう、こっちこそ礼を言うわ八幡ホンマに楽しかったで、久々の実戦の相手がお前でホンマ良かったわ、まぁ負けてもうたのはちぃとばかり癪やねんけど、しゃあないわな。」

 

 そう言ってガルシア師範は豪快に笑い俺の肩に自らの手を置き表情を改め真剣な面持ちで語る。

 

 「のう八幡、俺はとっくに一線から退いとるとは言うてもな一流派の師範なんや、その師範を打ち破ったお前をこのまま放って置くなんてこた無いやろな、この話を知ったらリョウやマルコ辺りならきっとお前に会いたいって日本に来るかも知れへんで。」

 

 まっ……マジっすか、俺としてもサカザキ総帥やロドリゲス師範代にはお会いしたいって気持ちはあるけど、もう当分極限流門下の人達との肉体言語はご遠慮致したいところなんだがな。

 

 「まぁ、そん時を楽しみに待っときや八幡。」

 

 「いや、サカザキ総帥の拳はめっちゃ痛そうですからね、暫くはお腹一杯っすよマジで……てかガルシア師範、川崎との一戦もそうでしたけど今日は極限流の怖さを改めて思い知りました。」

 

 俺はガルシア師範に極限流とガルシア師範に対する感嘆の思いを伝え頭を下げた。

 

 「ロバートや、俺の事はロバートと呼べや八幡、ガルシア言うたらユリちゃんもやし家んトコの倅達もガルシアやねんからな。」

 

 ガルシア師範改めロバート師範は少し砕けた調子で名前呼びを許してくれた。

 

 「それからムエタイチャンプ、あんさんともその内手合わせしたいもんやな、そん時ゃよろしゅうたのんまっさ、せやけどあんさんよっぽど八幡の事が可愛ゆうてしかたあれへんのやな。」

 

 更にはロバート師範がジョーあんちゃんに対戦の申し込み?と来た上に、俺の事が可愛いとか言い出すし、あのもしかしてロバート師範って目が腐ってるんじゃ無いだろうな。

 

 「うっせェってんだよオッサン、けどまぁ八幡とあんだけやり合えたアンタとなら年なんざ関係無しにガチでやれそうだしな、そん時ゃ派手にやり合おうぜ最強の虎さんよ。」

 

 不敵な笑みでメンチ切り合うオッサン二人、個人的にはモノごっつ見てみたいこの二人の対戦、いつか叶うといいなと思いつつも俺は出来ればサカザキ総帥との手合わせなんて事にならない事を祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 ロバート師範のもとを辞して、続いてジョーあんちゃんと共に足を運ぶのは俺達の仕合いが終えた事に安堵したからかマットの上にへたり込んでいる三人のもとへ行く。

 彼女達には途轍もないって位に心配を掛けてしまったしな、さて今この状況で俺は彼女達に何と声を掛けるべきかと思案するも中々言葉が出て来ない。

 こう言う時ってマジで以前の自分が人と関わりを持って来なかったって事で生まれた弊害ってのを感じるんだよな。

 はぁ〜、ジョーあんちゃんやテリー兄ちゃんの陽気さが羨ましいわ、両手を空に掲げれば地球の皆の陽気さが集まって『陽気玉』とか出来ないかな。

 

 「あのよ……まぁ何てか、スマンかったな。」

 

 はぁ、コレだよ何とか口を開けたと思ったらこんな事しか言えないとかってどんだけ拗らせてんだよ俺。

 潤んだ瞳を俺に向ける三人にこの程度の事しか言えないって、マジ無いわ〜だよな男としての鼎の軽重を問われるぞ、誰にかは知らんがな……いや問うてくるのは彼女達か。

 ポカンとした顔でしばらくの時間俺を見つめる結衣雪乃いろは、これぞまさしくタイムポカン…ってか。

 

 「「「………ぷふっ」」」

 

 そんな俺の様子がおかしかったのか彼女達はほぼ同時に吹き出し、間を置かずに今度はクスクスと笑い出した。

 ちょっと止めてくれるかな、もうさこっ恥ずかしいでしょうがよ全くさぁ勘弁してくれよ頼むから。

 

 「……笑うなよ、兵が見ている。」

 

 

 

 

 

 三人の笑いの衝動が収まるまでの僅かな間俺は気恥ずかしさを我慢しながら過ごさざるを得なかった事を此処に記し、次へとシーンを移す事にする。

 

 俺の目の前で三人は互いに目配せをして意思疎通を図っている様だ、凄えなコイツらもしかして言葉など無くても会話が出来ているのかよ、はっ!?もしかして人類の革新はもう始まっているのか。

 宇宙へ出ずしてこの重力の井戸の底でニュータイプの胎動が始まっているって事ですか……おい見ているかジオン・ダイクンしかも三人同時にだぞ。

 

 「はちくん……またお馬鹿なこと考えていますよね!」

 

 「うん…だよね、その顔はまた変な事絶対考えてる顔だよハッチン!」

 

 「ええ、けれどそれを分かってしまえる私達もこの人に毒されているのかも知れないわね、誠に遺憾なのだけれど…はぁ、なぜ私はこんな人を好きになったのかしら。」

 

 三人は代わる代わるに口を開き俺の思考を読んだ事を告げる。

 

 「雪乃先輩に同感ですよ本当にはちくんはどうしょうもないお馬鹿さんですよこんなに私達を心配させて置いて気の利いたセリフの一つも言えないし、格好良く決める事も出来てないしなんか言ったのかと思えばガンダムのネタですしね、本当に何なんですか馬鹿ですかさっきも言ったけど間違いなく馬鹿ですよどうしょうも無い位のお馬鹿さんで……なのに時々格好良くて不器用に優しさを示してくれて、側に居ると何だか暖かい気持ちになって心が満たされて……でもやっぱりお馬鹿な事ばかり言って私達を呆れさせて、闘って傷付いて私達を心配させて一体何なんですかはちくんは……全くもう、何で私はこんな人を好きになったのかな…。」

 

 そしていろはが皆を代表する様に長々とその心情を吐露するが、その大半は俺が馬鹿だと言われているだけの様な気もするが。

 

 「だよね本当にハッチンはお馬鹿さんだよね、でもさ多分……きっとあたしもハッチンと変わんない位馬鹿なんだと思うんだ、だってさ好きな人に三股掛けて良いよって言っちゃうくらいなんだからさ、普通に考えたら絶対に馬鹿だよ。」

  

 「あのだな、その事については誠に遺憾に存じますとしか言い様が無いってか何て言うかだな、その……。」

 

 俺はあの小三の夏に兄貴達と出会ったあの日からこの道を歩いて行くと决めたから今日みたいに痛い目に遭うことも覚悟の上なんだが、けどいろはも結衣も雪乃は多少は武術の嗜みがあるって言ってたけどまぁ、それでも三人共こんな人によっちゃ野蛮な行為としか受け取れない様な世界に本来関わることなんか無かったんだよな。

 それが俺と関わったばかりにこんな血なまぐさい世界に関わらせてしまって、そしてもしコレからも俺が闘い続けるなら今日みたいな思いを何度も経験させてしまうかも……やっぱ俺は彼女達と一緒に居ない方がいいんじゃないのか。

 何だかそれが正解のような気がして来たし彼女達が望むのならそうすべきか…って何で俺はこう決断力が無いんだよ、こんな大切な事の判断を相手だけに委ねる事で自分のダメージを少なくして逃げようとしてるんだからな、こんなだから俺は彼女達に相応しく無いとしか言い様がないじゃないかっての。

 

 「…だからな、もしこんな俺に着いていけないって思うんならはっきり言ってくれ、お前達が苦痛に感じる様な事は出来ればしたくは無いけど俺は……この道を往く事を止められないからな、だからなその……でも、本当は俺……これからもお前達と一緒に居たいし俺に着いてきて欲しいって思ってるんだ、身勝手な自分の都合だけをお前達に押し付けているって百も承知なんだが、それでも俺は兄貴達以外で初めて俺の前に現れてくれたずっと一緒に居たいって思える人と共に在りたいんだ、俺は結衣が好きだ雪乃が好きだいろはが好きだ、こんな三人の女性に告白するとか不誠実もいいところな馬鹿野郎だけどこれが俺の本心だ、三人を幸せにするなんて自身を持って言えやしないけど、けど少なくとも俺はお前達と一緒なら幸せになれる自信がある。」

 

 言っちまったよ、今まできちんと言葉に出来ないで居た自分の思いを漸く言えたよ俺、何だろうなもしかしてガルシア師範と一戦交えてテンションが揚がってそれで頭が何処かしらイカれしまったのかって位に手前勝手な思いをグダグダとしかも他所様の道場で。

 

 取り敢えず俺は自分の思いを伝える事は出来た、後は彼女達がどの様な決断を下すかを俺は静かに待つ………。

 

 

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