やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。 作:佐世保の中年ライダー
テリー兄ちゃんが俺に修行を付ける為に、暫くの間日本に滞在する。
その、エリナばあちゃんも喜ぶであろうニュースを聞かされてから一週間が経過した。
テリー兄ちゃんとロックは、比企谷家から徒歩5分程の2DKのマンションを借り、そこで生活を始めた。
あの日の翌日にアンディ兄ちゃんと舞姉ちゃんは、自分家の不知火道場を何時までも休む訳には行かない、との事で帰宅して行った。
「あ〜もう、こまちゃんを連れて帰りたい!」
小町の事がすっかり気に入った舞姉ちゃんは、帰り際小町を抱き締めて駄々を捏ねていた。
フフフフッ!舞姉ちゃん、小町は誰にも渡さない!
小町は我が家のアイドルにして天使!
そう、アイドル天使ようこそこまち。
この頃は俺や親父が小町の事をアイドル扱いすると、すっごく喜んでくれたんだが、今は………。
「何言ってんのさお兄ちゃん、キモいよ。」
だもんな…。
それは兎も角、舞姉ちゃん、小町を欲しくば我が親父と、この俺を倒してからにするんだ……なって、駄目じゃん、俺と親父じゃ舞姉ちゃんに勝てる訳無いじゃん。
嗚呼、小町。
行かないで小町。
俺達を見捨てないで小町ぃ!
お巫山戯はこの辺にしておこう、舞姉ちゃんは、小町に必ずまた会いに来ると約束して、アンディ兄ちゃんと共に帰って行った。
「ねぇアンディ、私も八っちゃんとこまちゃんみたいな子供欲しいな♡」
アンディ兄ちゃん、そのですね、頑張ってください、比企谷家の平穏の為に。
更にその翌日にはジョーあんちゃんが
、日本では秋口辺りの頃に予定されているタイトルマッチに備えタイへと(帰国と言って良いのか?)出国して行った。
「じゃあな八幡、小町、タイトルマッチが終わったらまた来るからよ、元気でいろよ、兄貴と姉貴によろしくな。」
「テリーとロックもな、次は一丁やり合おうぜ!」
「あぁジョー、勝てよ試合、負けんじゃあねぇぞ。!」
二人拳を合わせて、ジョーあんちゃんは去って行った。
この夏休み、テリー兄ちゃんとロックと三人で行う修行。
元がインドア派だった俺は、テリー兄ちゃんの元で修行を続けていたロックと比べて、体力の面でかなり劣る。
なのでテリー兄ちゃんが果たしたトレーニングメニューはロックのそれよりも少なめだ。
但しそれは身体の成長と体力の増強等に合わせて、増やして行く。
そして気を練り高める為の瞑想と呼吸法。
まだまだ一人で其れを掴めるには至らないので、テリー兄ちゃんの手を借りての訓練だ。
其れを朝夕行う、それ以外の時間は皆好きな事をして過ごす、テリー兄ちゃん曰く楽しく遊ぶ事も修行の内だ。
ロックとの、英語と日本語の教え合いも楽しくやっている、小町もそれに興味を持った様で加わって来た。
しかしロックって実は優秀なんじゃないかと思うんだ。
俺と比べて覚えるスピードも早くて、2〜3週間もすると、チョットだけだが日本語を理解出来る様になったし、それに併せて片言だけど話せる様にもなったからな、地頭が良いんだろうな。
それに比べて俺が英語を覚えて行くスピードはロックよりも遅い。
「それはなハチマン、環境の差なんじゃかいか、ロックは今日本に居て周りの言葉は日本語ばかりだ、だからその環境に対応しなくちゃいけない。」
「逆にお前がアメリカに行って周りが英語だらけだったら、そんな環境に見を置いたら自然にそうなるんじゃないのか。」
そんなもんなのか、その状況に置かれていない俺にはその言がピンとは来なかった。
修行しながらも遊ぶ、この夏俺達は日本の夏のイベントを満喫した。
自宅の庭で花火、縁日や花火大会へと繰り出し夜店の食べ物を食べ歩き。
「オオッマイゴッド!コイツは美味ぇな、流石は日本だジャンクフードの味も一級品だなぁ!」
テリー兄ちゃんはその味に大満足の様で、大いにはしゃいでいた。
「おっ!そこの彼女、85.60.83だな、向こうの君は………」
テリー兄ちゃんは時々、こんな事を言い出す、ロードワーク中で有ろうと無かろうと。
この頃はそれが何だか解らなかったんだが、俺も成長して理解した後は。
『止めてくれ兄ちゃん、それってヤバイって!』
しかし不思議と其れを言われた、お姉さん達は何も文句も言わずに、むしろ顔を赤らめて満更でもないといった様子だった。
イケメンって得だよな、もし俺が言ったなら即通報間違い無しだよな、ちくしょう。
「全力で行くよ、兄さん!」
「OK!アンディ!」
一度は帰宅したアンディ兄ちゃんと舞姉ちゃんだか、夏休み中は度々、それ以後も月に2、3度家に訪れてくれて、修行を共にした。
〜アンディ兄ちゃんと舞姉ちゃんは、テリー兄ちゃんとロックがアメリカへと帰国した後も度々我が家を訪れてくれて、俺に修行を付けてくれた、小学校高学年に上がってからは、二人の道場に招待してくれて不知火道場の門下の人たちと共に鍛錬をさせてもらったり。〜
ロードワークでやって来た運動公園で
、テリー兄ちゃんはアンディ兄ちゃんへ組手をしないかと持ち掛けアンディ兄ちゃんも了承し、いざ始めんとした矢先が先の全力宣言だ。
「飛翔拳!」
「パワーウェイブ!」
互いに必殺技を繰り出し、激突する二人、これはもう組手なんてレベルじゃ無い。
嫌嫌嫌嫌!ちょっとお二人さん、こんな所でいきなりおっ始めますか!
だけど二人の闘いは、流石は世界でもトップクラスの格闘家と言うに相応しい物だ、修行を始めたばかりの俺にもそれが分かるくらいに。
あの草薙さんとの試合の日アンディ兄ちゃんはテリー兄ちゃんに勝つ事が目標だと、今迄一度も勝てて居ないと言っていたけど、この組手を観る限り二人の実力は拮抗していて差は殆ど無いんじゃ無いかとは思うんだよな。
その差が何に起因しているのかは、今でも俺は解らない。
それだけ凄いんだテリー兄ちゃんもアンディ兄ちゃんも。
あっ!因みにこの時、舞姉ちゃんは我が家で小町の相手をしていてくれました
。
大好きなお姉ちゃんと一緒に遊べて小町はとても喜んでいた。
本当に良く小町の事を気に掛けてくれて、全く持って舞姉ちゃんには幾ら感謝をしてもし足りない。
そして夏休み明けの新学期、テリー兄ちゃんとロックが撮影した映像データを手に、両親は学校へ抗議を行い俺への虐めに加担した連中には、処分が下った。
虐めに加担した連中の親がそれを知り我が家へ謝罪に来たりと、或いは逆に文句を言いに来たり、そんな毒親は家に来ていたテリー兄ちゃんの姿を見て(格闘技に詳しい人等は我が家に格闘チャンプが居る事に驚いた事だろう)その迫力に文句を付けていた毒親もその勢いは萎びれて行った。
ロックも学校へ転入し同じクラスへ配属、共に小学校生活を送ることにしなった。
別に学校で生活するクラブを作ったりはしなかったがな。
でも、休み時間には交代でミット打ちを行ったりはしていたよ。
クラスの連中はその様子を驚きを持って見ていた(女子はミット打ちでは無くイケメン少年ロックを見ていたんだろう。
ベツニハチマンクヤシクナイヤイ)。
9月の末、ジョーあんちゃんのタイトルマッチが行われた、残念な事に日本でのテレビ放映は無かったので、ネット配信での視聴だ。
結果は1ラウンド一分経たずにKO勝利、俺達は電話で祝福。
『はぁ〜、もうムエタイのリングには俺の相手になる奴ぁ居ねぇ様だな、伝説のチャンプ、サガットでも復帰すりゃあ楽しめるんだろうがなぁ。』
ジョーあんちゃんはそうボヤいていた
、しかし伝説のチャンプか、どんな人だろう、ちょっと興味があるな。
その数日後にはジョーあんちゃんが日本上陸。
約束通りのテリー兄ちゃんとのガチンコ勝負が行われる。
アンディ兄ちゃんもそれに加わり総当たり戦、どんだけ元気なんだこの大人達は。
俺?俺は勿論見学していたさ、体育座りでな。
そして皆で我が家へ集い、大人達は再び飲み会。
翌朝には二日酔いと云う醜態を晒す、これがデフォだな。
親父も母ちゃんも、この飲み会を楽しみにしている様で皆が揃うと毎回開かれる様になる。
まぁこんなんで日々のストレスが解消されるなら、子供としては黙認だな。
楽しく有意義で充実した日々は、一日が長く感じられたんだが、過ぎ去れば短くも感じられる。
毎日のトレーニングで着実に体力、身体能力は向上している、それを実感出来る様になったのは半年を過ぎた位か。
トレーニングメニューが幾らか楽に感じられる様になったからだ。
小3の2学期から、例のことが有り俺に対する虐めは無くなったんだが、学校ではボッチのままだ。
ロックが一緒だからまぁ良いかと思っていたし、今更クラスの連中何か信用も信頼も出来ないよな、虐めに加担していないやつだって、それを黙って見ていたり、嘲っていたりした奴等だしな。
そんな連中がある日、ロックに話し掛け一緒に遊ばないか比企谷何か相手にしないほうが良いよ何て吹き込んだんだ。
「ハチマンは俺のファミリーだ、俺の前でハチマンをバガにする奴は、俺が許さない。」
まだ流暢には話せ無いが覚えた言葉でたどたどしくも、ハッキリと言ってくれた。
女子は何だか残念そうにしている、俺とロックを引き離して仲良くしたかったんだろう、残念だったなクラスの女子!
ロックは女子と接するのが苦手なんだよ
、ハチマン君と一緒だね♪
嬉しい事があった、それは母ちゃんとテリー兄ちゃんが授業参観に、来てくれた事、そして体育祭にもな。
因みに体育祭って学校に依っては運動会って言ったり、体育発表会って言ったりするよな。君達の学校はどうだった?
一体俺は誰に聞いてんだ…。
「気」に付いても、四年生に上がって間もなくコツを掴む事が出来たのでテリー兄ちゃんの助けを借りずに、練る事が出来る様になった。
とは言っても、微々たる物なんだが。
「ハチマンもロックもまだ身体が成長していないからな、そんなもんだよ。」
「じゃあさ気って、身体大きい人の方が沢山練る事が出来るの?」
「気」に対する疑問をテリー兄ちゃんに質問してみた。
「否、一概にそうとは言えないな、成長と成熟と言った方が良いか、心身を磨き器を大きくする事、練った気を全身に行き渡らせてそのうえで蓄積する、更に体外の自然の気との融合させる事が出来れば、その力は更に倍化されるんだ。」
「現に俺とオヤジの師匠のタン先生は、とても小柄な方だからな、だがその気の大きさと扱いは、そりゃあもの凄いもんだぜ。」
要するにまだまだ、しっかり修行を続けていかないとイケナイって事だよね、うんハチマン知ってたよ。
季節は過ぎ去りやがて夏を迎え、テリー兄ちゃんの元に格闘大会の招待状が届いた。
それはテリー兄ちゃんのホームタウンである、アメリカのサウスタウンで開催される大会。
元から日本での滞在は一年位と言っていたテリー兄ちゃんは、この機にアメリカへ帰国する事となった。
「…テリーお兄ちゃん、ロックお兄ちゃん、行っちゃやだ……。」
それを聞かされた小町は、ギャン泣きしたもんだ。
その気持ちは俺も一緒だ、行ってほしくない。
もっと此処に居て、もっと色んな事を教えて欲しい。
「コマチ、これで最後のお別れって訳じゃ無い、俺達は絶対にまたここへ来るさ、約束するよ。」
「コマチ、離れていても俺達はファミリーだ、お前は俺のシスターだよ。」
二人の優しい説得に、渋々と頷くが納得出来無い、小町はそんな顔をしてる。
それでも何とか気を取り戻して小町は二人へ右手の小指を差し出す。
「?」
アメリカには指切りは無いのかな、俺は二人に指切りに付いて教えた。
「そうか約束の誓いの為の行為か、ヨシ小町約束だ。」
二人は交互に小町と指切りをし再会を誓った。
「アンディ、舞コレからもハチマンとコマチの事を気に掛けてやってくれよな
、頼んだぜ。」
「あぁ勿論だよ兄さん、八幡も小町も二人共僕にとっても弟と妹も同然だからね。」
その、二人の会話に俺は深く感謝する
、こんなにも俺達の事を気に掛けてくれている事を。
しかしその数日後、アンディ兄ちゃんと舞姉ちゃん、そしてタイに居るジョーあんちゃんの元にもその格闘大会の参加招待状が届く。
小学四年生の夏休みの前半は、前年に比べ寂しい物となった。