マスターとシャルロットの気ままなFGO生活   作:焼き鳥タレ派

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5:魂なぞ飴細工

「やあ。みんな久しぶり。

“みんな”っていうほど読んでる人なんていやしないけど、とにかく元気だったかい?

前回はケツァル・コアトルの悪魔的妨害に絶望したところで終わったね」

 

「あら?まだこの企画続いてたんですね。

ずっと暗い顔で便器を磨いていらしたので挫折したものだと思っていたんですけど」

 

「ところがどっこい。まず、結論から言うよ?俺は、ヤツを、倒せたんだよ!

呪腕のハサンを最終再臨させて、それだけじゃ人手が足りないから

何故か持ってた星4のアタランテ〔オルタ〕やらメフィストフェレスやら、

マシュさんを除く悪い奴らを総動員して猛攻撃を行った!」

 

「それで?石いくつ割ったんです?」

 

「……1個だけ」

 

「コンティニューありじゃ自慢にもなりませんね」

 

「仕方がないだろう!みんな宝具を一回撃ったくらいのタイミングで死んでしまうんだから!

むしろ復帰一回でHP40万の牙城を崩したのだから俺のマスターとしての腕を称賛すべき!」

 

「しかも開戦前の選択肢簡単な方じゃないですか。

マスターのような攻略法を何というか知ってますか?ゴリ押しです」

 

「やめたまえ!あの激闘を乗り越えたハサン君達に失礼だろう!?

いやしかし、皆もそうだが、彼は星2つにもかかわらずあの強敵相手によく頑張ってくれたよ。

それに運も味方してくれた。敵の意外とダメージの小さい多段ヒット。

それに回避発動や防御アップのタイミングがうまく噛み合って、

少ないダメージでスムーズにNP上昇してくれた。

おかげで妄想心音 (ザバーニーヤ)で3度もケツァル・コアトルを握りつぶすことができたよ。

ウヒャヒャ」

 

「気色の悪い笑い方はやめてくれませんか?まぁ、勝てたならいいじゃないですか。

これからは真面目にトイレ掃除に勤しんでグランドオーダーを影から支えてくださいよ」

 

「しかーし、話はこれで終わらない!」

 

「往生際悪いですよ。

マスターから仕事を取ったら何も残らないんですからもう少し危機感を抱いてください」

 

「実はね、そのまま勢いでバビロニアをクリアしてしまった。

というか、第一部をクリアしてしまった」

 

「お互い話を聞く気がないので、

今日はマグカップ5つを何秒で磨けるかチャレンジすることにします」

 

「こうして定礎修正の旅を振り返ってみたが、

7つの時代でもバビロニアは特に長丁場でしんどかった。

ケツァル・コアトルの後にもやたら硬い化け物がワラワラと出てくるし、

牛若丸のゾンビが大量発生するし。彼女達が八艘飛びを連発してくる連戦は悪夢の一言だった。

それにはっきり言うとストーリーを完全に理解できていたかと言われるとそうではない」

 

「まるで他の世界は理解できてたような口ぶりですね。

オルレアンに行ったのはなぜでしたっけ?」

 

「……オホン。それでバビロニアで四苦八苦した経験からか、

ソロモンでは大して苦労した記憶がないんだ。魔神柱の戦いではコンティニューしなかった」

 

「ラスボスではしたと?」

 

「何度か……」

 

「やっぱりゴリ押しじゃないですか。自慢気に語ることじゃないです。

何をそんなに急いでたんです?慌てなくてもFGOは逃げませんから。残念ながら」

 

「おっと、よくぞ聞いてくれた。実はストーリークエストAP75%オフのキャンペーンが

1月いっぱいで終わるから手早く片付ける必要があったんだよ。

APが足りなくてこの後はお預け、なんて事態はまっぴらだったからね。あともう一つ」

 

「4.27秒。前回の記録を0.11秒更新です」

 

「イベントだよ!アマゾネスドットコム!これは楽しかった。

1回バトルをクリアするごとに貴重な素材を山程もらえるし、

5階層ごとに特別ボーナスも出るんだ!

それが1回1APでチャレンジできるんだから夢中にならずにはいられないだろう」

 

「カルデアを首になったらバイトとして雇ってもらえそうですね」

 

「俺は極63階までとクレーマー2体を撃退したところで満足した。

クレーマーは“推し/本能寺/死ぬ”と“注文の多い魔神柱”だ。

前者はいくらあっても困らないお金1500万と後者はマナプリズム300個。

どちらも喉から手が出るほど欲しいから頑張ったさ。

一度出撃したら再出撃には実時間で数時間取られるから、

寝る間も惜しんでメンバー育成とスケジュール管理とHP削りに精を出したのだ!」

 

「最近昼間にボーッとしてると思ってたら、それで昼夜逆転してたんですね。

てっきり早めの認知症が来てるのかと思いました」

 

「それでね。各階のクリア報酬で集まったんだ。例のものが」

 

「もったいぶらずに言ってください。どうせ黙れっていっても喋るんですから」

 

「“宵哭きの鉄杭”だよ。とうとう集まったんだよ」

 

「……そうですか」

 

「わかってるだろうけど、シャルロット君にも決して無関係じゃない。

というより、君のために探し求めていたものをようやく手に入れたんだよ。

そう、最終再臨の素材さ。

10本手に入った時点で即座にダ・ヴィンチ工房に駆け込んだ」

 

「今度は花瓶を磨きましょうか……」

 

「最後のセイントグラフを見たよ。生前の君がそこにいた。

とても穏やかな表情で笑っている君が」

 

「スマホの中の私におめでとうと言っておいてください」

 

「俺は、今、目の前にいる君に敬意を評したいよ。

最期の時を間近に控えながらも、動じることなく書物のページをめくる君の覚悟に」

 

「……0点評価入れられたからって今更シリアスっぽいこと言っても焼け石に水ですから」

 

「ああ。そうだな……

だが、これからもFGOをプレイし続けることと、

時々このセリフしかないSSを書くことには変わりない。これからも、ずっと」

 

「仕事も忘れないでくださいね。便所掃除も誰かがやらなきゃ施設が運用できないんですから」

 

「わかってるとも。さあ、タイトル画面も様変わりしたところで、次はどこを冒険しようかな」

 

とりあえず新宿に行こうかなと

 

 


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