バディファイトif〜臥炎キョウヤに弟がいたら〜   作:楠木東弥

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一週間投稿を出来なかった男、楠木です。
恒例の言い訳タイムを戴くと、小説を投稿した後ってあまり次話を投稿する気が起きません。
んで、数日前からダンボール参加が一挙放送を始めたのはご存知ですよね?ね?
それで書く時間が削れたのです。つまり俺は悪くない()
それと、今回は急いで作成したのでクオリティが高くありません。
文句はダンボール戦機に言ってくれ()


第17話 闘技場にて

「《エマージェンシー・イベイド》」

 

ソフィアがキャストした魔法で、彼女に当たるはずだった雷撃は完全に空を切る。

攻撃を無効化するジェネリックの魔法で、ソフィアは回避したのだ。

 

『ふむ、よく避けるものだ。未来でも見えているのか』

「見えてない。そこに来ることを知っているだけ」

 

未来を読む。

その能力を有す[天球竜]というモンスターは存在するが、世界でも数体しか確認されていないレアモンスターのためソフィアは見たこともない。

 

『クク、魔法か。人間も悪魔も、つくづく厄介なものを作るものだ』

 

厄介と言っておきながら、その雰囲気は余裕に溢れている。

世界を滅ぼせる終焉魔竜にとって、魔法など小細工に過ぎない。

だからこそ、ソフィアと言葉を交わすのだ。

殺そうと思えば、いつでも殺せるから。

 

(このまま無策に戦っても無意味ね……。なら)

 

瞬間、ソフィアはアジ・ダハーカの前で足を止める。

そしてソフィアは、手に持っていたカードをコアガジェットに仕舞った。

無抵抗を示し、アジ・ダハーカに対話の意思を伝えるために。

そして、

 

『……久しいな、ソフィア・サハロフ』

「はい、お久しぶりです」

 

アジ・ダハーカが会話に応じ、ひとまずの安全が確保された。

ソフィアはその事に胸を撫で下ろすが、幼少期より被ってきたポーカーフェイスという仮面でそれを悟らせないように努める。

 

『最後に見たのは貴様と悠斗がディザスターから出て行った、4年前か』

 

アジ・ダハーカは4年前を懐かしむような口調で言葉を紡ぐが、1万年以上を生きている彼にとって、4年など人間にとっての1日とさほど変わらない。

だが、それを知る由もないソフィアは思考を加速させる。

 

「……なぜ、貴方が相棒学園にいるのですか」

『貴様に言う必要はない。だが、龍炎寺タスクに関係ある、とだけ言っておこう』

 

でしょうね、と喉まで出かかった言葉を飲み込む。

ある程度の予想は付いていたし、ソフィアにとってそれはあまり重要なことではない。

そう、彼女にとって最優先なのは、

 

「悠斗様はどこ」

 

自らが仕える、主人の所在と安否のみ。

それを聞いたアジ・ダハーカは、高らかに声を上げる。

ソフィアに聞こえるように、聞かせるために。

 

「早く答えて」

『クック、焦って敬語が取れているぞ。まぁいい、悠斗の所在だったな』

 

ソフィアはアジ・ダハーカが答える前に、懐に忍ばせているカードに触る。

触れているカードはスタードラゴンワールドの魔法、《サドゥン・ワームホール》で、すぐに悠斗のいる場所に飛ぶ気だ。

 

(だけど)

 

ソフィアはアジ・ダハーカに悟られないように、未だ後ろで尻餅を突いているステラを見る。

彼女の瞳は未知への恐怖に染まっており、まともな行動が取れるとは思えない。

彼女を連れて行くか、否か。

ディザスターにいた頃ならば悩まない、悩む必要のない事でソフィアは悩んだ。

 

『闘技場、と言えばわかるだろう』

「闘技場……」

 

それは、かつてディザスターに所属していた人間なら誰もが知る場所。

アジ・ダハーカと共に世界を壊す、そんなモンスターを選抜する施設。

並のモンスターならば相手にすらならない存在がごまんといる闘技場に、悠斗は飛ばされた。

だが、ソフィアに心配はない。

悠斗の強さを一番近くで見てきて、信頼してるから。

 

だが、それでも問題はある。

《サドゥン・ワームホール》では、闘技場に飛べないのだ。

 

『……元々、貴様に用事は無かったがこの際だ。貴様に適性があるか、試そうではないか』

「適正……?それは何――」

 

ソフィアが言葉を紡ぎ切る前に、それは突然発生した。

彼女の足元に巨大な虚が発生し、それに彼女は呑まれたのだ。

そして虚は消滅し、その場にはアジ・ダハーカとステラのみとなる。

 

『適性があるかは、生命の危機に瀕さねばわからない……死ぬかもしれんが、それもそれで良いだろう』

 

悠斗がドラゴンフォースに選ばれるやも知れぬからな、とステラには理解できない単語を発して。

アジ・ダハーカはその場から姿を消す。

 

「……はっ!コ、コマンダーIに報告しないと――!!」

 

そしてその日、地球から二人の少年バディポリスが姿を眩ませた。

 

◆◇◆◇

 

「はぁぁ!《ドラゴン・ブレス》!」

 

《竜剣 ドラゴブレイブ》を装備したタスクが近くのモンスター、《激突竜 ガエルゴルガ》に斬りかかり、周囲のモンスターを魔法で怯ませる。

殺傷力はないが、それはあくまで威力を弱めているから。

 

(だが……)

 

タスクが真後ろに視線を移す。

そこにはバディスキルである二対の光砲を起動し、複数のモンスターをコールしている悠斗がいた。

タスクはフューチャーフォースに目覚めたばかりのため、まだジャックしかコールできないが悠斗は《エーヴィヒカイト》と《イーター》の他にもモンスターをコールしているあたり、練度はタスクより高い。

 

(敵ならすぐに殺されていただろうが、味方である今だけは心強い)

「ふぅっ……!」

 

そんな悠斗はタスクに目もくれず、敵モンスターにだけ集中していた。

最大出力で撃たれた光の槍が、《スチールガントレット・ドラゴン》などを貫いていく。

バディである《エーヴィヒカイト》も、六つの光砲を遥か上空から放ちモンスターを撃ち抜く。

そして《イーター》は《インフェルノアーマー・ドラゴン》を両腕で掴み、頭を文字通り喰い千切った。

それにより血液が飛び散るが、彼らは関係ないと言わんばかりに殺戮を繰り返す。

 

(確かにここのモンスターは僕たちの命を狙ってきてるが……そこまでするのか)

 

そんな光景に、タスクの背筋は凍りつく。

モンスターにも命があり、人間と同等以上の知能を有するモンスターだっている。

そんな存在をアッサリと、作業のように殺していく彼らが。

タスクには、同じ人間だとは思えなかった。

 

「しっかりしろ!タスク!」

「っ、ジャック!」

 

瞬間、タスク目掛けて放たれた矢をジャックが斬り払う。

後一瞬遅れていれば、タスクの命はなかった。

 

「しっかりしろ!私が全力で君を守るが、それでも限界はある!」

「ごめんジャック!少し抜けてた!」

 

そしてタスクは《ブレイブ》を構える。

だが、

 

「……いけ、《黒眼魔竜 ブラゴ・ザ・バース》」

 

タスクにモンスターは殺せないと判断した悠斗は、また新たにモンスターをコールする。

タスクとジャックを援護させるために。

 

「タスク、お前が死ぬのは困る。ここから生きて帰ることが出来たら全部喋るから、頑張ってくれ」

「……正直、君に踊らされている感じは否めない。だけど、君の助力がないと生き残れないのも確かだ……頑張ろう、ジャック!」

「応!ブレイドターミネイトォォ!!」

 

それから、彼らは何時間も戦い続けた。

 

◆◇◆◇

 

「これでっ最後ォッ!」

 

《ブルードラゴン サンダーホーン》を殺し、ついにモンスターの供給は止まった。

だが、これでも全体から見れば数%にしか満たない。

長期戦を強いられれば、どうしようもなかっただろう。

ひとまずディザスターフォースを解除し、息切れを起こしているタスクに近付いていく。

 

「大丈夫だよな。もし怪我してても、僕じゃどうしようもないぞ」

「はぁ、はぁ……だい、丈夫だ。心配はいらない」

 

フューチャーフォースの解放に慣れていないのか、顔色が悪い。

こればっかりは慣れの問題だ。

 

「じゃあ、地球に帰るぞ。行けるよな?ヴィー」

『問題ない。多少時間はかかるが、相棒学園に戻れるだろう』

 

エーヴィヒカイトは、空間転移を得意とするモンスター。

だから理論上、どんなワールドにも、どんな場所にも行くことが出来る。

まぁ、座標合わせに時間は掛かるが。

 

「……すぅ、ふぅ……じゃあ、話してもらおう。ここは何なのか。なぜ君がここを知っているのか」

「あぁ、うん、わかった。話すよ」

 

本当ならもう少し期間を開ける予定だったが、この際話すことにしよう。

タスクが臥炎キョウヤを敵対視してくれると良いが。

 

「じゃあまずは、ここの説明から。この場所の名前は」

『闘技場』

 

僕の言葉に重なるように、誰かの声が空間に響いた。

その声は聞き覚えがあるもので、だからこそ無意識のうちに顔をしかめる。

 

「……アジ・ダハーカ」

『久しいな、卧炎悠斗』

 

アジ・ダハーカ。

その存在を象徴する三ツ首が、闘技場の壁に現れた。

ディザスターフォースを発動し、いつでもカードを使えるようにコアガジェットに触れる。

だが、アジ・ダハーカに攻撃する様子はなく、どうやら戦闘するつもりはないらしい。

 

『悠斗、貴様のせいで計画が狂った。本来ならばタスク単体だというのに。これでは試せない』

「試す?フューチャーフォースの事か?」

『否、フューチャーフォースではない。別種の力の事だ』

 

別種の力?

僕はそんなもの知らないし、兄さんから聞かされてもいない。

だから、この四年で発見したものと考えるのが妥当だろう。

 

『そこで悠斗、我は貴様ごと試す。貴様に資格があるかどうか、な』

 

あぁ、嫌だな、この感覚。

僕になくて相手にある、前提知識。

このえも言われぬ感覚は、嫌いだ。

だが、

 

「嫌だ。僕らは闘技場から出させてもらう」

『確かに、このままではエーヴィヒカイトの空間転移により貴様らはこの世界を出るだろう。それは我といえど、止められるものではない』

 

アジ・ダハーカは世界を滅ぼせるが、逆にいうとそれしか出来ない。

だから空間転移さえしてしまえば、後は問題ないのだ。

まぁ、するまでが問題なのだが。

 

『だが、人質がいれば話は別だろう』

「人質……だと?」

 

何故だろう。

なぜだかわからないが、不思議と嫌な予感がする。

ピリピリと神経が逆立ち、本能が聞いてはいけないと判断を下す。

だが、理性がそれを抑え付けてアジ・ダハーカの言葉に耳を傾けた。

 

『人質は、ソフィア・サハロフ。卧炎悠斗、貴様に求めるは一つ。我に資格を見せよ』

「だから……人質にしたのか」

『貴様にとって、一番効果的だろう』

 

落ち着け、落ち着くんだ。

感情的になってもどうしようもないのは、わかってる。

だから心を鎮めろ。

人質に取られたソフィアをどう救うか、それに思考を裂け。

 

「……どうすれば良い。どうすればソフィアを返してもらえる?いや違うな……どうすれば彼女を傷つけない?」

『クック、ソフィア・サハロフはこの空間のどこかにいる。探すが良い。我は邪魔しない。我は、な』

 

なるほど、言いたい事はわかった。

ソフィアを救うまで、闘技場を出るなという事だ。

エーヴィヒカイトにゲートを閉じさせると、アジ・ダハーカは消えた。

だが、あいつは僕たちの事をちゃんと見ているだろう。

相変わらず、趣味が悪い。

 

「……と、いうわけだ。タスク、お前は地球に帰ってくれ。これは僕の問題だ」

「いや、僕も手伝おう。君に借りっ放しというのは性に合わない。良いよね?ジャック」

「あぁ、私も問題ない」

 

人手が必要な今だけは、タスクの助けがありがたい。

ヴィーに空間転移を阻害する微弱な電波を発してもらいながら、僕らは闘技場に設置されている扉の一つを開いた。

 

◆◇◆◇

 

「う……ぁ……」

 

100以上にも及ぶ闘技場の一つで、ソフィアは目覚めた。

意識が途切れるとディザスターフォースは解除されるため、彼女の髪は縮み、側にはダークコアデッキケースが置かれている。

 

「ここは……闘技場」

 

すぐさま現在地を理解したソフィアは、ディザスターフォースを再度発動して周囲を警戒する。

自らを害そうとするモンスターを、いち早く感知するために。

そして、

 

「あら、やっと起きたの?」

 

ソフィアの真後ろに、モンスター反応があった。

勢い良く振り返ると、そこには一体のSD化したモンスターがいて。

驚愕にポーカーフェイスを僅かに歪めると、

 

「私はスターウィザード キヌース・アクシアよ。これからよ、ろ、し、く♪」

 

そう自己紹介したモンスターは、ソフィアの困惑に染まる瞳をじっと見つめた。




最近、一人称より三人称の方が指が動くと言う謎現象が発生したので次回はオール三人称かもしれませんが責任は負いません。
それと途中の戦闘シーンですが、これはTCGなので全カットだ(無慈悲)
あ、それとスターウィザードに関してはまた次回。
勘が良いというか普通に気付く人もいると思いますが、気になった人はやはり次回を待ちましょう。

んじゃ、今日のカード。
今日は《雷骨 スパーク・ガロウズ》
なぜか雷帝軍入りしたガロウズです。
これはカードを漁っていると偶々見つけたもので、感動するようなフレーバーテキストはございません。
数々のキャラを差し置いて、なぜガロウズが雷帝軍入りしたのか、コレガワカラナイ。
運営にガロウズファンがいたのでしょうね。
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