バディファイトif〜臥炎キョウヤに弟がいたら〜 作:楠木東弥
ちなみにこんな遅れた理由といたしましては、花薔薇エルフとかいう野郎のせいです。
ディザスターメンバーは口調が特徴的なので書きやすかったのですが、エルフだけはほんとにどんな口調か忘れて。
後で調べよう調べようと思ってたら2021年1月28日になり、早く投稿しないとというわけで1日でパパッと書きました。
つまり低クオリティ。
前篇 ディザスター会議
龍炎寺タスクが放った必殺技、《ドラゴニック・パニッシャー》によって闘技場が崩壊してから、約1時間後。
ディザスターという組織のトップ、臥煙キョウヤの命令により緊急会議が開かれることとなった。
しかし、十ある座席のうち、埋まっているのはわずか三席だけである。
山崎ダビデ、グレムリン、花薔薇エルフ。
不良、デッキビルダー、研究者という、普段なら一堂に会するはずのない面子がキョウヤの名によって集められていた。
一人は机の上に足を置いて退屈そうに、一人は腕を組んで目を瞑り、一人は片手を頬に当てながらデータ資料の整理に勤しんでいる。
「キョウヤくぅん、早く会議初めてくんねーべ?俺これでも金稼ぎで忙しーんだわ」
「フン、どうせカツアゲだろう。下らん」
「ヒャハハッ!大正解だべ、グレムリン。流石金持は言う事が違うねぇ〜!お礼にこれやんよ」
ダビデはポケットから何枚かのカードを取り出し、グレムリンに向かって投げつける。
それらは《アクターナイツ・ザ・フール》など、能力を持たない所謂弱カードだった。
グレムリンはそれらのカードを一瞥し、
「いらん。俺の作るデッキには必要ない。さっさと捨ててしまえ」
「相変わらず容赦ねー。わざわざ俺にくれたカード達が泣いてるべ。あいつらどんな顔すんだろうなぁ?」
あいつら、とはダビデが奪ったカードの持ち主の事だ。
時には騙し、時には脅し、時には力尽くで、徹底的に相手の心をすり潰して。
そんな事を何十何百と繰り返し、けれど警察に悟らせないよう用意周到に事を成すのだから余計質が悪い。
「少し待ってくれよ、ダビデ。もうそろそろだからさ」
「――だあぁぁぁぁ!重いですしぃぃぃ!」
キョウヤがピアノを止めて階下に視線を向けると同時、ディザスターメンバーにとってひどく聞き慣れた声が響く。
歪に口角を上げたダビデがそちらの方に振り向くと、ロウガに肩を貸している祠堂孫六がその姿を現した。
「なんで僕がこんな事しなきゃならないですし!こんなの、ダビデとかでろ美がやれば良いんですし!」
「ヒャハハハハ!似合ってんべマゴロクちゃーん!」
「うるっさいですし山崎ダビデ!さっさと手伝うですし!」
「……貴様、少し黙れ。もう一人で歩ける」
「そ、そうですしか?……っひゃあっ!?」
悠斗も使っていた魔法、《餓狼深気功》で傷を治したロウガは、孫六を振り払い自らの席に向かった。
そこまで運動神経が良くない孫六はその衝撃で倒れ、ロウガに忌々しい視線を送るも、本人は完全無視である。
そして、
「おや、私たちが一番最後でしたか」
「こんな元気なら、迎えに行くまでもなかっただわさ」
黄を基調としたスーツを汚しながらも、ビジネススマイルを浮かべたジェネシスと、ディザスターの正装を着用した朽縄てる美が現れた。
フューチャーフォースの状態で使用された《ドラゴニック・パニッシャー》を直で食らっても、ジェネシスが生きているのには理由がある。
「ジェネシス、ジェムクローンはどうしたんだい?いつも側に連れていただろう?」
「《ドラゴニック・パニッシャー》を壊すためにアジ・ダハーカをコピーしたのですが、あいにくジェムクローンは未完成。再生機関にダメージを負い、今はカードの中です」
「フフ、僕のバディをコピーしようだなんて、無茶な事を考えるものだね」
「試してみないとわからないでしょう?まぁ、威力は1割も出せませんでしたが。つくづく規格外だ、貴方のバディは」
かつてアジ・ダハーカと同等な存在と呼ばれた太陽神の欠片を取り込ませ、間違いなくジェネシスの最高傑作と呼べる必殺モンスター、ジェムクローン。
そんな存在でも、アジ・ダハーカには遠く及ばない。
「うん、全員揃ったね。じゃあ会議を始めようか」
キョウヤがそう宣言するも、埋まっている席は未だ七つだ。
あとの三つは誰も座る気配はなく、しかしそれには誰も言及しない。
誰が座る席か、理解しているから。
「じゃあまずは闘技場の被害からだ。花薔薇」
「は〜い。あの子達にあてがったモンスターは全滅よ、それだけなら全体の数%だけど……タスクくんのドラゴニック・パニッシャーでかなり死んだわ」
花薔薇エルフ。
ダークコアデッキケースの生みの親であり、ディザスターの中でもロウガに続いて古参メンバーである。
なお、27歳のジェネシスより上の29歳。
「まだ概算だけど……3割は確実に死んだんじゃないかしら」
「んなっ!?なんでそんなに死んでるですし!?モンスターはみんな、バラバラの場所にいるはずですし!」
「フン、どうせ悠斗どもを我先にと迎え撃つために群がってたんだろう。愚かめ」
「ヒャハハ!そーゆーテメーも、龍炎寺タスクをぶっ倒すために出張ってたんだろ!?なぁ?荒神ロウガくぅん」
「……貴様、少し黙れ」
ロウガがダビデに向けてガンを飛ばすも、それで止まるはずもない。
むしろ勢いを増して口を回し始めた。
「図星か?図星だべ?おっと、そんな睨むなよ。意味ねーし、怖くもなんともねーべ」
「良いだろう、望み通り貴様を試金石にしてやる。俺が強くなるためのな」
「あ?やるか?やんのか?」
ロウガは崩滅槍 甘抉りを、ダビデはバディである死竜 デスゲイズ・ドラゴンをコールして、お互い席から立ち上がる。
室内に冷たい雰囲気が充満し、しかし誰も二人を止める様子はない。
そしてデスゲイズの鎌と甘抉りが衝突する――
「お前たち!少し落ち着くだわさ!」
直前、朽縄てる美の静止が入った。
彼女がコールした《ゴルゴン三姉妹 メデューサ》が矢を三方向に放ち、それぞれロウガの右足、デスゲイズの鎌、チョーカー型のダークコアデッキケースに手を伸ばしているダビデの右手に命中する。
瞬間、彼らが痛みを認識する隙すらなく、変化が起きた。
ピキ、パキと、石化したのだ。
全身を石化させる事はなかったが、各々その動きを止める。
しかし、その瞳には依然として殺意が滾っていた。
「……何やってんのかなぁ、てる美ちゃ〜ん。邪魔すんならテメェから殺すべ。つかさっさと石化解除しろ、重ェんだよコレ!」
「それはこっちのセリフだわさ。今が会議中なのが見えないの?キョウヤ様の邪魔をするお前こそ死ぬだわさ」
睨み合う事一分弱。
飽きたのか何なのか、ダビデは動かせる左手で降伏のポーズを取り、デスゲイズをデッキに戻した。
それを確認して、てる美は石化を解除する。
「申し訳ありませんでした、キョウヤ様。会議を再開してください」
「……いや」
てる美の提案を、しかしキョウヤは短く一蹴した。
「”友達”の間でわだかまりは残すべきではないと、僕は思うんだ。だから、思う存分戦って良いよ」
「あ!?」
「ほぅ……」
ただし、とさらに言葉を紡ぐ。
「リアルファイトじゃなくて、バディファイトで決着を着けるんだ」
◆◇◆◇
「はァ〜……めんどくせぇ」
「先に喧嘩を売ったのはお前だろう、ダビデ。自業自得だ」
「ハッ、モンスターが人間様に意見してんじゃねーべ」
ディザスター本部、ファイディングステージ。
そこでロウガとダビデは、対極の表情で対峙している。
この対戦を、ダビデは望んでいなかった。
彼は、ロウガが嫌いだ。
自らの中にちゃんとした軸と強かさを持ち、ディザスターの中でも上位勢に入るほどの強者。
ダビデが好む弱者とは、かけ離れた存在。
強者とのファイトだけならまだしも、ロウガ相手ではイカサマも使えない。
ダビデが気乗りしないというのも、彼の性格を考えれば当然だろう。
だが、否が応でもファイトは行われる。
「エースの力がお前を砕く!ダークルミナイズ、エース・デフィート!」
「すり潰せ、心を!ダークルミナイズ、ザ・ブラックドラゴン」
先行は、ロウガ。
スタートフェイズを済ませ、メインフェイズ。
センターに《アーマナイト・ワーウルフ》をコールし、そのままダビデにアタック。
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《アーマナイト・ワーウルフ》
ワールド:デンジャーワールド
属性:アーマナイト
サイズ:1
打:1/攻:4000/防:1000
■このカードが登場した時、君が《武器》を装備しているなら、ゲージ1を払ってよい。払ったら、君のドロップゾーンのカード1枚を君の場のモンスターかアイテム1枚のソウルに入れる。
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「ターンエンドだ」
あぁ、ロウガは本気だ。
本気で、ダビデに勝とうとしている。
「ハッ、やってらんねーべ」
このまま適当にファイトして、適当に負けるのも一つの手だろう。
だが、それは出来ない。
なにせ、ダビデは弱者をいたぶるのと同じぐらい、
「俺のターンだべ、ドロー!」
勝つ事が、大好きなのだから。
負かす相手がロウガなら、尚更である。
朽縄てる美。
朽縄は蛇の別名、つまりゴルゴン三姉妹の蛇の体から着想を得て、名前の方はオリンピアから取ったというのを知って、わりかし感服しました。
朽縄が蛇の別名ってのも初めて知ったし、キョウヤくんほんとに15歳かよ。
作者より頭良いキャラは書けないというのは作者なら誰もが知っていますが、マジでどうしましょ、彼。
いつもより考えて動かさないと詰む(確信)