IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第1話 天羽飛鳥、IS学園に介入する!

『どうも皆さん、おはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

『今回からゲーム《インフィニット・ストラトス》を、マルチプレイで遊んで行こうと思います。相方は勿論いつもの。』

 

『どうもー、天っ才博士、葉加瀬なのはでーす!すき焼きで買収されて来ましたー。』

 

『はい。今回はなのはに協力して貰って、さいきょーの機体でブリュンヒルデになりに行きます!』

 

『任せて!さいきょーの機体作ってあげる!』

 

『そうとなれば、さいきょーのキャラを作り上げましょう!目指せステータスオールS!』

 

『と、意気込んで作ったのがこの子たちでーす。キャラ作成なんてカットだよカット。』

 

 

 名前:天羽 飛鳥

 性別:女

 年齢:15

IS適正:S

 操縦:S

 近接:S

 射撃:A

 特殊:S

 

 

 名前:葉加瀬 なのは

 性別:女

 年齢:15

IS適正:B

 整備:S

 解析:S

 開発:S

 製作:S

 

 

『IS適正をSに上げたから射撃がA止まりになりましたが、使う気ないので誤差誤差。』

 

『IS適正は上げるのに一番ポイント使うみたいだからねぇ。こっちは必要なの全部Sに出来たよ。』

『あとは設計図ガチャでいいのを引くだ――――あっ。』

 

『え、何?何引いたの?』

 

『クアンタの設計図出た。』

 

『ふぁっ!?』

 

 

 

 

 山田真耶は、目の前の受験生に戦慄を覚えた。

 天羽飛鳥。一般受験でIS学園の扉を叩いた受験生。世界で唯一ISの操縦や整備について学べる学校であるIS学園には、世界中から受験生が押し寄せる。その中の1人でしかない筈の彼女は、実技試験でその才能を試験官として対峙した山田真耶に叩き付けていた。

 堅牢さが売りの日本製第二世代量産機である打鉄に乗り、右手に近接用ブレード【葵】を持った天羽飛鳥が試験開始と同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で突っ込んでくるのを、反射的に試験であらかじめ決められた範囲を超えた動きで回避する。

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)の速度のまま後ろに抜けて行った天羽飛鳥は、何時の間にか左手に展開(コール)していたアサルトライフル【焔備】でこちらを狙い撃ってくる。その弾丸を瞬時にターンして展開(コール)した剣で全て切り払いながら、山田真耶は確信した。

 

「(国家代表クラスじゃないですか!)」

 

 元日本代表候補生である山田真耶は、天羽飛鳥をそう評価した。

 かつて何度も模擬戦を行った()()()()()()()と、天羽飛鳥は同等であると。

 

 だからだろうか。ちょっと魔がさした。

 

「(見せてください!貴女の可能性を!)」

 

 山田真耶は、本気で天羽飛鳥と戦うことにした。

 

 

 

 

 一方、天羽飛鳥(リアル側)も驚愕していた。

 

『ちょっと山田先生強すぎない?初撃躱されたんだけど。』

 

『最初っから瞬時加速(イグニッション・ブースト)で切り掛かったから本気になったんじゃない?手早く終わらせようとするから……。』

 

『え、どうしよ。マジの山田先生とかどうやって勝てばいいの?』

 

『諦めたら?』

 

『試合終わるじゃん!』

 

 

 

 

 天羽飛鳥(ゲーム内)は相対する試験官の強さに舌を巻いていた。

 

「(流石ブリュンヒルデと同世代の元日本代表候補生!テレビで見たモンド・グロッソの国家代表みたいに強い!)」

 

 彼女は山田真耶を知っていた。あの織斑千冬と同世代の元日本代表候補生。本来国家代表でもないと与えられない二つ名を持つIS乗り。織斑千冬が居なければ国家代表だった人であると。

 

「(でもこれ、どうしよ?打鉄じゃ瞬時加速(イグニッション・ブースト)使わないとラファールに追い付けないし、それしても攻撃全部捌かれる。)」

 

 考えながら瞬時加速(イグニッション・ブースト)で間合いを詰め切り掛かるが、最初の様に回避される。

 

「(あっちの攻撃は全部()()()から当たらないけど、こっちも機体の反応が鈍くて真面に動けないんだよなぁ。)」

 

 ()()()()()()()()()()マシンガンの弾を回避し、距離を取って焔備で銃撃する。当然の様に弾丸は剣で弾かれた。

 

「(ムリゲーじゃね?)」

 

 結局時間いっぱいまでやったが両者ダメージを与えられず、ドローとなった。

 

 

 

 

 葉加瀬なのは(ゲーム内)は呆れていた。幼馴染で親友で相棒でもある天羽飛鳥が試験官があの山田真耶であると知り、腕試しに全力で攻撃したら当たり前の様に対処され、結局1ダメージも与えることが出来ずにドローに終わったからだ。

 

(最初っから瞬時加速(イグニッション・ブースト)で切り掛かるとか、そりゃ本気出されるよ。)

 

(あの銃央矛塵(キリング・シールド)が目の前に居たら、挨拶代わりに1発当てるしかないじゃない。)

 

(その1発さえ当ててないじゃん。)

 

(ぐっ。)

 

(打鉄の反応が鈍くて全力出せないのは仕方ないけどさ、それにしても0ダメはどうなのさ。サブマシンガンとかばら撒けば1発は当たったでしょ。)

 

(打鉄にそんな装備ないから!)

 

(と言うか、何で打鉄乗ったのさ。ラファールの方が速いって試験前に言ったじゃん。)

 

(葵使いたかったの!)

 

「はぁ……。(はぁ………。)

 

(あ!今リアルにため息吐いたでしょ!)

 

(それじゃ、実技試験やるから黙るね。)

 

(あ、ちょっと!)

 

「……さて、ラファール。ボクはあんまり上手く君を扱えないけど、あの脳筋より良い結果を出したい。協力してね?」

 

 試験官が山田真耶では無かったのを良いことにサブマシンガンの弾をばら撒いて適当にダメージを与え、()()()()()()()()()()アサルトライフルの攻撃を回避し、葉加瀬なのはは無事に試験を終えた。

 

 

 

 

『よしボクの勝ち!今日のすき焼きは良いお肉ね♪』

 

『ちくしょう……。』

 

『ともあれ、これでIS学園に無事入学できたね。マルチプレイだと寮は同室だし、クラスも同じになるんだっけ。あとは何処のクラスに入るかだけど、どこなら良いんだっけ?』

 

『……3組。』

 

『あぁ、誰も居ないところね。なんで?』

 

『1組はイベント多すぎて困る、2組は1組と合同多すぎて実質1組、4組は目標的にかんちゃんと関わるのが凄く気まずい。』

 

『目標って、あぁブリュンヒルデ。そうだね、まず国家代表にならないといけないから、簪ちゃん蹴落とす必要があるのか。』

『……あ、3組だって。良かったね。』

 

『ソウダネー。』

 

『そう言えば、ボクは開発進めるけど、飛鳥は何するの?』

 

『訓練機乗り回して教員に目を付けられる。』

 

『へー……え?』

 

 

 

 

 天羽飛鳥(ゲーム内)は素早く書類を提出して即効で借りたフランス製第二世代量産機ラファール・リヴァイブに乗り、アリーナを目にも止まらぬ速さで飛び回っていた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)中に軌道を変えるのは難しいなぁ。加減間違えると機体が壊れちゃうから、訓練機だとあんまり使えなさそう。」

 

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)はISに置ける加速機動技術の1つだ。スラスターが放出したエネルギーを再び取り込み、都合2回分のエネルギーで直線加速を行う所謂『溜めダッシュ』である。

 本来空気抵抗などにより軌道を曲げられず、無理に曲げようとすれば操縦者も機体もただでは済まないのだが、仮にランク付けするならば操縦Sランクである天羽飛鳥はそれをやって見せた。

 

「いやそもそもラファールでも反応遅いから、試合で咄嗟に使えないか。」

 

 「打鉄よりは速いけど」とぼやく天羽飛鳥。きっとその悩みを理解できる人間は余り居ないだろう。

 天羽飛鳥はIS適正検査で、ISの世界大会であるモンド・グロッソに置ける各部門の優勝者、ヴァルキリーたちと同じSランクを叩き出している。IS適正は高いほどISに自分の意思を伝えることができ、機体を思い通りに動かせるようになるのだが、機体もそれに応じて高性能な物でなければ、操縦者の意思に着いてこれずに逆に枷となってしまうのだ。

 天羽飛鳥が乗った打鉄とラファール・リヴァイブは、操縦者の適正ランクを付けるとするならどちらもB。世界に広く配備されているが所詮は第二世代の量産機では、枷にならずに済むのはIS適正Aランク、その中でもまだ操縦技術が未熟な者までである。代表候補生クラスの操縦技術を持つと、第二世代量産機の反応の遅さを認識出来るようになってくる。そうなった操縦者は基本自分だけの専用機(適正Aランク)を国から貰えるのだが……。

 

 それは今は関係ないので置いといて。

 

 つまり専用機ですらない第二世代量産機では、IS適正Sで操縦もSランクである天羽飛鳥には性能が低すぎて枷になっているのだ。

 

「あーあ、早くISコア欲しいなぁ。」

 

 

 

 

 その光景をたまたまアリーナにやって来ていた織斑千冬は見上げていた。

 

「見事なものだ。あれでまだ全力でないとはな。」

 

 織斑千冬の目から見ても、天羽飛鳥はIS学園に入学してまだ1週間も経っていないにも関わらず、ことISの操縦という点で専用機を持った者や上級生を含めたIS学園全生徒の中でもトップ3に入るだろう見事なものであると理解していた。そしてそれが量産機によって全力を出せない状態でのものであるとも見抜いていた。

 

「山田先生が言うには、技術は高いが立ち回りはまだ未熟、だったか。あと()()()()()()()()()()()回避が上手い。」

 

 入試の実技試験で大人気なく全力で戦った山田真耶は、天羽飛鳥を以前何度も模擬戦を行った()()()()()()と同等であると評した

 

()()()()()()()。なるほど納得だ。立ち回りさえ覚えれば私に並ぶな、あれは。」

 

 ステータスはまんまブリュンヒルデ(IS適正S 操縦S 近接S 射撃A 特殊S)である天羽飛鳥。山田真耶が課題としてあげた戦闘での立ち回りを覚えれば、それこそ彼女は自分の後を継いで世界最強(ブリュンヒルデ)になるだろうと織斑千冬は考える。

 

「全く、一夏のことがなければ私のクラスでじっくり教えてやれたものを……。」

 

 実のところ、最初天羽飛鳥は織斑千冬が担任である1組に入る予定だった。山田真耶の「彼女は織斑先生に師事するべき子です!」という熱い推薦によるものだ。

 

 しかし織斑一夏(男性操縦者)が現れたことで、安全性の観点から彼の1組入りが確定。彼によって取られた席に座っていたのが天羽飛鳥である。

 理由としては、強制入学者の面倒を見るのに集中してほしいといったものだ。彼女を鍛えながら織斑一夏という厄ネタの面倒まで見る、というのは織斑千冬がオーバーワークになってしまう、という判断である。後々織斑千冬が受け持つ1組には更なる厄ネタ(協調性皆無のロリ軍人と男装操縦者)が追加されるが、その2人は特に鍛える必要がなく見張るだけで十分だったため、問題なく1組に転入してきた。

 

 因みに1組とたまに合同で授業を行う2組に入らなかったのは、その時には既に織斑一夏のIS学園入学の情報を手にした中国から転入生が来ることが分かっていたためだ。男性操縦者のデータ取りに来ました(意訳)と言っているのに、それが出来ないクラスに入れると国から難癖を付けられる。なので合同授業こそあるが近い訳ではない2組に中国からの転入生は入れられたのだ。そして2組にも監視対象が入ってしまったため、天羽飛鳥は別のクラス、つまり3組へ入ることとなったのである。

 

 なお、イギリス代表候補生セシリア・オルコットはデータ取りしやすい同じ1組在籍だが、これには色々な事情がある。織斑一夏の安全を考えるなら、セシリアの代わりに4組の日本代表候補生であり日本を守る更識の家系である更識簪が入るべきなのだが、そうするとセシリアは空いている4組に入る。そうすると1組との合同授業もないので当然データ取りに苦労し、国から難癖がくる。3組も同様だ。2組は代表候補生の転入生が早い段階で既に決まっている。十中八九クラス代表のことで揉めるだろうという、その転入生の人となりを少し知っていた織斑千冬の言葉で、様々なパターンを試した結果、最終的にセシリアは1組入りとなった。パズルゲームかのような難解なクラス訳を行った教員たちはさぞ疲れたことだろう。

 

 連日行われた地獄のクラス分け調整を振り払い、織斑千冬はもう一度天羽飛鳥の動きを見る。

 

「しかし、あれで代表候補生ではなかったのは勿体ないな。専用機があればそれ用の立ち回り指導も行えただろうに。」

 

 専用機はイギリス製第三世代機ブルー・ティアーズの様な新技術のデータ取り用の試作機も多いが、操縦者の適正に合わせて造られた物も存在する。広義の意味ではかつて織斑千冬が纏った第一世代機暮桜もその分類だ。そういった物を作って貰えば、それを扱うための立ち回り指導を行うことで、天羽飛鳥はすぐに実力を付け国家代表まで登り詰めるだろう。

 

 しかし天羽飛鳥は代表候補生ではないため、専用機もない。なぜ代表候補生ではないのか?

 

「まさか北海道の田舎出身故に、代表候補生になれなかったとはな……。」

 

 今明かされる衝撃の真実。天羽飛鳥(ついでに葉加瀬なのは)は北海道出身である。しかも田舎。間違っても都会札幌ではない。圧倒的なIS適正と技術を持ちながら彼女が代表候補生ではないのはそこに理由がある。

 

 代表候補生が訓練を行うのはその国の首都、日本で言えば東京である。それは施設的な事情もあるが、何より地方にISを置くのはテロリストに奪取される危険性を考慮して出来ないためだ。北海道在住の彼女はおいそれと東京になど行けない。引っ越すにしても親には今まで続けてきた仕事があるため頼めない。自分1人だけで行く?世界的に見て安全な法治国家の日本でも高校生でさえないのに1人暮らしとか親が許す訳がない。引率もいないのに泊まるのも無理だ。

 もし都会札幌在住であればまだどうにかなったのだろうが、雪が身長より高く積み上がる北海道の田舎住みでは、色々な事情から代表候補生になったとしてもまともに訓練できないと考えた彼女は、それならいっそIS学園に入ってから代表候補生になろうと開き直った。

 

「なるべく早く代表候補生になれる様に、私と山田先生で推薦でもするか……?いや、要らん誤解が生まれかねんな。」

 

 「場は設けてやる。自分の手で掴み取ってみろ、後輩。」と告げて、織斑千冬はアリーナを後にした。




文章で『』で話しているのがゲーム外のリアルで遊んでいる2人で、
「」で話しているのがゲーム内、インフィニット・ストラトスの世界に生きる人間の言葉です。和気あいあいと遊んでいるリアル視点を時たま書き、基本はゲーム内(インフィニット・ストラトス世界)視点を書いていきます。あと頻繁に視点変更があります。混乱するとは思いますが、どうかお許しください。

 え、遅い?そんなまさか。

1月21日修正
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