『どうも皆さん、おはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい。天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』
『今回はアーキタイプ・ブレイカー編最後の転入生加入イベント、【その絆、きらめいて】になります。』
『ソシャゲのメインストーリーだけ追ってるといきなり湧いてくるよね、この姉モドキ。しかも自称娘の初登場する話で出てくるから完全に意識そっちに持ってかれて記憶に残らないし。』
『しかも軽く調べただけじゃいつ一夏に惚れたのかも分からないって言う。看病ってどの話でしたんだ本当……。』
「ブラジル代表候補生?」
「ええ。」
今日の分の業務をするために生徒会室にやってきた天羽飛鳥は、更識楯無から新しい転入生についての話をされていた。
「本当はもっと早くから転入が決まってたんだけど、家の事情で遅れてたのよ。それが片付いたから、今度の日曜に来日するらしいわ。」
「へぇ、どんな人なんですか?」
「それは実際に会っての、お・た・の・し・み♪」
「資料見ますね。」
「ちょっとー!?」
ウィンクしながら秘密にしようとしてきた楯無の机から資料を取り上げ、素早く目を通す。
「グリフィン・レッドラム、18歳。へぇ、3年生なんですか。」
「ぶーぶー、飛鳥ちゃんのいけずー。」
「教えてくれない会長が悪いんです。はい、返しますね。」
「あら、もういいの?」
「名前と年齢だけ分かれば十分ですから。」
楯無の言葉に乗る訳ではないが、どんな人間かを知るなら実際に会ってみるのが1番だ。IS学園に送られる資料はほぼほぼ情報を網羅しているが、それで相手の全てを知れる訳ではない。何より飛鳥はイノベイターだ。こんな紙片よりも面と向かっての方が多くの事を知れる。
「会うのが楽しみですね。」
「そうね。今より賑やかになりそうだわ。」
そんな話をしながら、飛鳥と楯無の2人は生徒会の業務に取り掛かる。
そうして日は過ぎ、ブラジル代表候補生が来日するという日曜日。飛鳥は朝から工房に籠っている篠ノ之束と葉加瀬なのはの世話に奔走し、市街地に
「みんな、おはよう!全員集まっているわね。」
月曜日の朝。楯無からの招集によって専用機持ちたちは集められていた。
「今日はみんなに、とってもビッグでサプライズなニュースがありま~す♪」
「ふん、このパターンは飽きたぞ。どうせまた新たな転入生の件だろう。くだらん前置きなどいらん。」
いつものように飛鳥以外には言っていない転入生のことを話そうとする楯無に、ラウラ・ボーデヴィッヒがそう言い放った。
「もう、ラウラちゃんったら、話の腰を折らないでちょうだい。後でくすぐり地獄の刑よ?」
「なっ!?そ、それだけはやめろ!」
「うふふ、どうしようかしら~?」
手をワキワキとさせながらにじり寄ってくる楯無から逃げるラウラを庇いながら、シャルロット・デュノアが口を開いた。
「でも、もう僕たちも転入生の情報は知っています。」
「昨日の市街地での戦闘であれだけ派手に活躍されちゃあね。」
「(そんなのあったんだ。)」
市街地で戦闘があったことを今知った飛鳥がそんなことを考えていると、楯無はシャルロットたちの言い分にサプライズを諦めて扉の方に呼びかけた。
「それもそうね。じゃあ早速紹介しちゃうわ。どうぞ、入ってきて!」
ガララッと引き戸を開け、その向こうから日に焼けた褐色肌の女性が笑顔で入ってきた。
「やっほー、一夏、セシリア!また会えてうれしーよ。」
「ごきげんよう、グリフィンさん。昨日のご協力には感謝いたしますわ。」
「今日からよろしくお願いします、先輩。」
「あはは、先輩はやめてよ。くすぐったいよ。」
早速織斑一夏とセシリア・オルコットの2人と話を弾ませる女性に1歩近付いて、楯無が話を遮らないようにしながら話題を振った。
「3人はもう顔見知りだったわね。グリフィンちゃん、他の人にも簡単に自己紹介をしてもらえるかしら?」
「グリフィン・レッドラム。ブラジル代表候補生だよ!お姉ちゃんって呼んでね♪」
ニコニコと笑いながらの自己紹介に相当コミュ力が高いことを感じさせる。お姉ちゃん呼びの注文で茶目っ気アピールも万全。更に身に纏う雰囲気が明らかに面倒見の良さを物語っている。
今までの専用機持ちには居ないタイプの、年上らしい年上の女性がそこに居た。
「趣味はサッカーと運動。我流だけど格闘技も得意だよ。」
「それはいいですね!格闘技がお好きなんて、趣味が合いそうです!」
「ほほう、これはこれは!麗しい女性は大歓迎さ!私の花園、IS学園へようこそ!」
「お前は相手が年上でも慎む気はないのか……。」
「ねえねえ、グリフィンさんて強いんだね!昨日の戦闘データを見せて貰ったんだ~。」
「私たちも強い仲間は大歓迎よ。あとで機体も見せてくれない?」
「もちろんオッケーだよ。賑やかに歓迎してもらえてうれしーな。」
すぐさまヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーの興味を引き、ロランツィーネ・ローランディフィルネィに歓迎され、コメット姉妹に尊敬の眼差しを向けられるグリフィン・レッドラムに、楯無はうんうんと頷いた。
「うんうん、仲良きことは美しきかな。3年生だから、クラスはダリルちゃんたちと同じよ。わからないことは彼女たちに聞いてね。」
「これで3年の専用機持ちも3人か。賑やかになったもんだな。」
「……よろしく。」
楯無の紹介に合わせて半歩だけ前に出たダリル・ケイシーとベルベット・ヘルに向かって、グリフィンも手を出し握手をしながら挨拶を交わした。
「こちらこそよろしく。えっと、早速だけど質問いい?」
「何?」
「その後ろにくっついて隠れている子は?」
「……!」
グリフィンの質問に、ベルベットの背に隠れていたクーリェ・ルククシェフカはビクリと肩を震わせた。そのクーリェの背中にそっと手を添えながら、ベルベットはクーリェに声を掛けた。
「……クーリェ、挨拶は?」
「あ、あの、あの、えっと……。クーリェ・ルククシェフカ……ろ、ロシアの、予備代表候補生、です……。こ、こっちはクマのプーちゃん……なかよく、してね。」
「……よく出来ました。」
促されながらも初対面の相手に挨拶をしたクーリェの頭を撫でながらベルベットが優しく微笑む。
「ふふ、偉いね、クーリェ。こんな小さな子までIS学園に来て頑張ってるんだね。それだけ世界の事態は切迫してるってことか……。来るのが遅くなって、ゴメンね。」
そんなクーリェの様子にグリフィンも笑いながら、しかしクーリェの年齢に顔をしかめ謝った。
「そういえば、各国の代表候補生への転入要請は
「ちょっと家の事情でゴタゴタしてね。でも、遅れた分はこれからの働きで返していくよ。もちろん、それだけの実力も持ち合わせているつもりだし!」
「それは~、とっても心強いね~。」
「うん、ブラジルの機体は今までデータが少なかったから……興味ある……。」
「さてさてみんな、興味津々のところ悪いけど、そろそろ授業の時間よ。焦らなくても、グリフィンちゃんの実力はこれからたっぷり見られるわ♪」
そう言う楯無の手元には、『合同』と書かれた扇子が握られていた。