『どうも皆さん、おはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい。天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。前回はブラジル加入イベントの【その絆、きらめいて】が終わって、ブラジルが正式に加入したね。』
『他と違ってストーリー進行度で加入じゃなくて、他全員が転入して来た後にセシリアと一夏がショッピングモールに行かないと転入フラグが立たないから、自力でフラグ立てるのはちょっと面倒なんだよなぁ。』
『しかも最終決戦終わればイベント関係なく来るからね、こいつ。イベント熟して加入させても利点がそこまでないし。』
『弱くはないけど、何と言うか無難なんだよなぁブラジルって。いや手持ち武器0は全く無難じゃないんだけどさ。』
『射撃と打撃、2種類のビットを2基ずつ。あとは謎エネルギー弾と突進その他肉弾戦だけとか漢らし過ぎる……。』
『一応武器が付いてるヴィシュヌの蹴りと違って、ただ硬いってだけの機体で向かって来るからなぁ。』
『国は何を思ってあんな機体を作ったのか。』
始まりはグリフィン・レッドラムの一言だった。
「そういえば、飛鳥ってブラジルに来たことあるよね?」
グリフィンの転入翌日にも現れた
「グリフィンさん、それってどういうこと?」
シャルロット・デュノアが皆に代わりグリフィンにそう質問を投げかけた。全員に対してブラジル旅行の経験があるのかという質問ではなかったのもあるが、その相手が飛鳥だったからだ。
「昨日の夜も気にはなってたんだけど、今日の飛鳥の戦いを見てて、前にブラジルで
「未確認機?」
「
実際にその現場に駆け付けたというグリフィンによれば、到着した時には既に倒された
しかしブラジルの軍部はグリフィン以外は到着していないと言い、実際スクランブルを受けた専用機持ちや軍人たちは到着していないと話した。だが残骸の状況から、グリフィンのものを始めとするブラジルのISによる破壊ではないと判断され、レーダーにさえ映らずに戦闘を行った未確認機の存在が浮上した。
「で、その残骸がこれ。」
グリフィンが自身の専用機に保存していた現場の資料から写真を取り出し、投影ディスプレイに表示して全員に見せた。
そこには威力が高すぎて手のひらに収まる程度の大きさに砕けてしまっている残骸と、逆に切れ味が良すぎて真っ二つに溶断されている残骸が写っていた。
それと似た物を、全員がつい先ほど目撃していた。
「飛鳥が倒した
ラウラ・ボーデヴィッヒがはっきりとそう言った。
「飛鳥さん……。」
セシリア・オルコットが呆れたような声音で飛鳥の名を呼んだ。
「そういえば、飛鳥はその頃休み時間にフラッと居なくなっていたな……。」
篠ノ之箒が思い出したように呟いた。
「あんた、そんなことしてた訳?」
凰鈴音が半目で飛鳥を見た。
「……。」
じーっとみんなから疑惑の眼差しを向けられた飛鳥は、自身の脳量子波を丁寧に操りセシリアたちイノベイターに思考を読まれないようにしてからショートケーキをパクリと一口で食べると、そのまま離脱を図った。
「逃がさない……。」
しかし更識簪に回り込まれ、制服の裾を握られてしまった。こうなってしまえばふとした拍子に怪我をさせかねないため、飛鳥は動けなくなる。
「さぁ、キリキリ吐いてもらうわよ?」
『取り調べ』と扇子に文字を書いた更識楯無が、何時の間にか食堂の方から持って来たカツ丼をテーブルの上に置いて笑った。
「それじゃあ、
「まぁ、はい。」
カツ丼を出されては仕方ないと素直に話した飛鳥は、楯無によって纏められた話を肯定しながら最後の米粒をかき込んだ。
「移動時間はワープだとして……どうやって被害が出る時とそうでない時の選別をしていたのかしら?隕石全部に対応してた訳じゃないでしょう?」
「それはまた別の話なので―― 「おかわりもいいわよ。」 ――ちょっと未来見ました。」
楯無の指示で簪が持って来た2杯目のカツ丼を前に、早速手を付けながら即行で飛鳥は暴露した。
「飛鳥ちゃんそんなことも出来たの……?」
流石に予想外の返答に楯無が面食らっていると、横でスイーツに舌鼓を打ちながら話を聞いていたコメット姉妹が入り込んで来た。
「ね、ねえ。飛鳥はどれぐらいの未来を見れるの?」
「私たちがどう成長してるかも分かる?」
「分かるけど、教えない。」
「えー!?」
「ちょっと!なんで教えてくれないの?!」
ねーねー!と飛鳥を揺さぶるコメット姉妹を
「未来を話さない理由は何……?」
「未来なんて知らない方が良いよ。奴隷になりたくないならね。」
「奴隷……!?」
穏やかでないワードに驚く簪だが、すぐに飛鳥の言わんとすることに思い至り口を噤んだ。
「なるほど、未来の奴隷か。面白い例えだね、飛鳥。」
「未来の奴隷?どういうことだ、ロラン。」
話を聞いていたロランツィーネ・ローランディフィルネィの呟きを聞いた箒が聞き返すと、ロランは真剣な顔で答えた。
「テストみたいなものさ。それが来ると分かっていれば勉強の1つや2つするだろう?その行為は未来の出来事に隷属している、つまり未来の奴隷になっているとも言い換えられる。」
「だが、テストに向けて勉強をするのは普通の事だろう。」
「そう、普通の事だ。でももし仮に、テストの出題範囲ではなく
「む、それは……なるほど、そういうことか。不確かな筈の事象が明確な事象として起こることを知ると、それに合わせて行動が変わる。飛鳥、お前の言う奴隷とはそういう意味か。」
「大体はね。他に教えない理由も色々あるけど、1番はそこかなぁ。」
なお、2番目の理由は話しを広げると話すのが面倒臭いことになっていくからである。全員の将来とかに派生されても困るというのが本音だ。
「私も基本的に使ってないし、使うにしても毎回気を引き締めて使ってる危険物だよ。だから教えない。いじわるとかじゃなく、精神衛生的に教えられない。」
「むー、そこまで言うなら……。」
「仕方ないよねー……。」
ようやく納得してくれたコメット姉妹に安堵しながら、飛鳥は最後のカツを頬張った。
その頃の工房。
「ねぇ、なーちゃん。」
「なーに束さん。」
「さっきから明滅してるあのコアっぽい奴、もしかしてあーちゃんが言ってたレクイ・コンべちゃん?」
「そうだねー。飛鳥を誑かす悪い女だよ。」
工房に備え付けられた机の端っこでさっきから光ったり光らなかったりしているコアについて篠ノ之束が聞くと、葉加瀬なのはは作業の手を止めないまま肯定した。
「へぇ~、これがそうなんだ。うーん先っちょだけ持って帰らせてくれないかな?あーちゃん。」
「交渉は量子型演算処理システムが組み上がってからにしてね。今抜けられても困るんだから。」
「うーむ片手間さえも許されない作業場。ブラック労働ってこういうのを言うんだろうね。」
「ボクは定時で上がってるからブラックなのは束さんだけだよ。」
「束さん、1日を36時間生きてるからどこも雇用条件がかみ合わないんだよねー。働いたら残業代マッハだよ、多分。」
「面接で落とされるんじゃない?」
「顔とおっぱいで受かるでしょ。それに有象無象が定めた資格制度に合格してないだけで、束さん色々できる訳だし、引く手数多じゃない?」
「どっかに行くぐらいならフリーでいるでしょ。」
「まぁねー。自由はいいよー、気楽で。」
そんなくだらないような会話をしながら、2人の天才は物作りに励むのだった。