IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第117話 参戦、それは夢の人

「零落白夜!」

 

 右手に握った雪片弐型からあらゆるエネルギーを打ち消すエネルギーの刃を展開した織斑一夏が、絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『雲』に向かって剣を振るう。

 

 手近な小型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を切り裂いて、流れるように次の絶対天敵(イマージュ・オリジス)にも剣を振るうが、2体目を切り裂いたところでハイパーセンサーが映した自分に向かってくる絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『壁』に思わず後退りそうになる。

 

「くそっ!」

 

 後退りそうになった自分自身に悪態をついた一夏は、白式・雪羅のスラスターを吹かして絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『壁』と正面から当たらないように移動しながら、零落白夜の刃を絶対天敵(イマージュ・オリジス)に向かって振るう。

 

「一夏、熱くなるな!最初からその調子だと体力が持たないぞ!」

 

「分かってる!」

 

 篠ノ之箒の忠告を受けて、一夏は1度大きく息を吸って肺の中の空気を吐ききって呼吸を整えてから、再び絶対天敵(イマージュ・オリジス)に向き直った。

 

 やはり圧倒的な数だ。少し離れた場所で他の専用機持ちたちも戦っているというのに、ハイパーセンサーに映し出されるエネミー反応の数を示す数字がまったく減っている気がしない。

 

 その圧倒的な数を前に、セシリア・オルコットのブルー・ティアーズ・オーバーライトが放つビームの弾幕でさえ押し切られかけている。セシリアの立ち回りとグリフィン・レッドラムのフォローによって近接で応戦する事態にはまだなっていないが、戦線をあまり下げられない以上いつかはセシリアも手に持っている武器が剣として振るわれる時が来る。

 

 凰鈴音の方も絶対天敵(イマージュ・オリジス)の数が数だけに1体でも多くを倒すため、万能さが強味である単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)天之四霊(ティェンヂィースーリン)】が火力増強の【朱雀】しか使えない状況に陥っている。1対1が1番機体性能を発揮できるのもあって、顔を険しくしながら戦っていた。

 

 ダリル・ケイシーとフォルテ・サファイアの2人はそもそも1体に集中して確実に数を減らしていくことで第三世代初期故の低めの機体性能を誤魔化す戦闘スタイルだ。数が多すぎて手が回っていない。

 

 更識簪は最大火力である山嵐を大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)に残しておかなければならないために火力不足で、更識楯無も散布したアクア・ナノマシンが風に流されてしまうために本来使い勝手のいい攻撃手段である清き激情(クリア・パッション)による爆破の威力が下がっていることで決め手に欠ける状態で倒すのに時間が掛かっている。

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)に対して相性の良い雷撃攻撃ができる布仏本音でさえ、天候操作のイメージ・インターフェースを使用する練度がまだまだ低いのもあって余り倒せていない。

 

 そんな中、以外にも活躍しているのが現在戦闘教員と共に戦っているヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーだった。クラスター・ボウによる複数への射撃攻撃が戦闘教員たちを戦いやすくしている。セシリアと違って側で戦っている人数が多いのも活躍の要因ではあるが、ヴィシュヌは率先して前に出るのも合わさって現在1番多くの絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒していた。

 

 しかし、それでもやはり減っている気がしない。

 

「こんな時、天羽さんが居れば……。」

 

 何か準備をしているらしい天羽飛鳥。彼女が居れば目に見えて数が減っていき士気も上がるんじゃないかと考え、一夏は慌てて頭を振ってその考えを捨てた。

 

「いや!天羽さんにだけ頼ってちゃダメだ!」

 

 雪片弐型を構え直し、近付いて来た絶対天敵(イマージュ・オリジス)を切り裂いて次の相手に向き合う。

 

「俺たちが相手だ!イマージュ・オリジス!」

 

 

「意気込むのは勝手だが、その前に右に避けろ。」

 

 

「は――?」

 

 突然オープン・チャンネルから聞こえて来たその声に咄嗟に一夏の体が動き、右に飛び退くように移動する。

 

 次の瞬間、一夏が一瞬前まで居た場所を通って2()()()()()()()()()()()絶対天敵(イマージュ・オリジス)を刺し穿つ。

 

「この武器は……!!」

 

 その見覚えのある武装がやって来た方角に振り向いた一夏が見たのは、大型バスター・ソード【フェンリル・ブロウ】を右手に持ったIS、【黒騎士】を纏った亡国機業(ファントム・タスク)の謎の少女――織斑マドカだった。

 

「織斑マドカ……!?亡国機業(ファントム・タスク)が一体何の用だ!」

 

 近付いて来た絶対天敵(イマージュ・オリジス)を切り裂きながら、一夏がマドカに向かって問い質す。

 

「ふん。新隊長の命令で、この戦いに『モノクローム・アバター』も参戦することになっただけだ。」

 

「何だって!?」

 

 ランサー・ビットで絶対天敵(イマージュ・オリジス)を刺し貫き、フェンリル・ブロウで攻撃しながらそう不本意そうに答えたマドカに、一夏が驚きの声を上げる。

 

「じゃぁ、オータムやスコールも……?」

 

「お前たちと鉢合わせないようにこことは離れた場所で戦っている。」

 

 背中合わせになって絶対天敵(イマージュ・オリジス)と戦いながら問答を続ける一夏とマドカ。初めてとは思えないほど息の合った連携をしながら、着々と絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒していく。

 

「なら、何でお前はここに居るんだ?」

 

「そんなもの決まっている。()()()が来るからだ。」

 

「あの人?誰の事だ?」

 

 どこか嬉しそうな弾んだ声音に、一夏の疑問符は止まらない。そんな一夏に向かって、マドカはニヤリと笑って言った。

 

「お前もよく知る――()()()()()()()()()()。」

 

 マドカがそう言った瞬間、

 

 

――キュピィィィィィン!!!

 

 

 青白い()()()絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『雲』を穿った。

 

「なっ!?」

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『雲』に僅かながら穴を開け、ハイパーセンサーに映し出されるエネミー数の数字をごっそりと減らしたそれの放たれた方に専用機持ちたちが目を向ける。

 

「あ――――。」

 

 そして、見た。

 

「――やはり、これはあまり使い勝手が良くないな。エネルギーを消費し過ぎる。」

 

 ()()は、日本製第二世代量産機IS【打鉄】に似たシルエットをしていた。

 

「だが、久々の空だ。これぐらい派手じゃないとな。」

 

 ()()は、たった1振りのブレードを持っているだけだった。

 

「さあ、喜べ小娘ども。」

 

 ()()は、かつて世界の頂点に立った存在。

 

 

世界最強(ブリュンヒルデ)が来てやったぞ。」

 

 

 元日本代表・織斑千冬が、伝説の機体【暮桜】を纏い、不敵に笑いながらそこに居た。

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