IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第120話 大型、それはシンボルエネミー

 良くも悪くも、衛星砲【エクスカリバー】の一撃によって戦況は変わった。

 

 良いことはもちろん絶対天敵(イマージュ・オリジス)の数が減ったこと。

 

 悪いことは、小型絶対天敵(イマージュ・オリジス)の数が減ったことで今まで群れの中心付近ですし詰め状態になっていた大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)たちが前線に現れるようになったことだ。

 

「零落白夜――!!」

 

 青白い光を纏う剣が、大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)の中でも特に硬い牛に似た姿の絶対天敵(イマージュ・オリジス)を切り裂いていく。

 

【グルルルルォオオオオ!!】

 

「クッ!?」

 

 だが、途中で相手が身を捩りその巨体をぶつけて来たことで倒すには至らなかった。

 

 そもそもとして、絶対天敵(イマージュ・オリジス)が持つISのシールドエネルギーと同種の力場を突破できるだけで、そこから先はエネルギーブレードとしてのダメージ量しか与えられないのが零落白夜だ。

 

 ISであれば絶対防御という操縦者保護のための最終防壁を無理やり発動させることで大ダメージになるが、絶対天敵(イマージュ・オリジス)にはそれがない。

 

 そのため、相手が動けなくなるのに必要な要求ダメージ量そのものは、実は他の専用機持ちたちと大差ない。エネルギーシールドの守りを突破できない他の専用機持ちより要求されるダメージの総量が少ないだけだ。

 

 むしろ、と。そこで織斑一夏の視線は少し離れた場所で戦う姉の方を見た。

 

「ぬるい。」

 

【グ、ル………………。】

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)の出現初期から現れている見知った大型。ゴリラっぽいそれの左腕を切り飛ばし、右腕を切り落とし、トドメとばかりに頭から胴体にかけてを縦に真っ二つにした織斑千冬はその残骸に目もくれず、次の大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒しに飛んで行った。

 

「天羽さんもそうだけど、なんでそんなに真っ二つに出来るんだ……?」

 

 刃渡り足りなくないか?そんなことを考えながら一夏も頑張って雪片弐型を振ってみるが、真っ二つにはならなかった。

 

「謎だ……。」

 

 ようやく倒せた牛型が海へと落ちていくのを少し目で追ってから、一夏も次の大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒しに向かった。

 

 

 

 

「踊りなさい、ブラスタービット!」

 

 8基のBTブラスタービットが空を飛び、盾と槍を持ったパラサウロロフスのような大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を取り囲み、それに混ざる様にセシリア・オルコットも空を踊る様に飛行する。

 

 まるで太陽の周りを廻る惑星の様に動きながらそれぞれの砲門からビームが殺到する。それを盾で防ごうとする大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)だったが、その盾の表面を滑るように避けたビームはそのまま盾を持つ腕を破壊した。

 

【グルッ!!?】

 

 身を守る盾を無くしたことに驚愕の声らしき音を発する絶対天敵(イマージュ・オリジス)は、破れかぶれか残った槍をセシリアに向かって振るった。

 

「どこを狙っていまして?」

 

 しかし、槍が振るわれた時には既に狙った場所からセシリアは居なくなっていた。

 

 緩急をつけての円状制御飛翔(サークル・ロンド)。セシリアが少しだけ速度を上げたことで狙いが外れたのだ。

 

 槍を空振り腕が伸びきったところで、その腕さえもビームが狙い撃ち破壊する。武器を無くした絶対天敵(イマージュ・オリジス)にビームを集中させる。

 

「これで終わりですわ!」

 

 トドメの1発は豪勢にセシリア自身が持つGNソードⅡブラスターで撃ち抜いて、パラサウロロフスにも似た大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)は沈黙した。

 

「ふぅ……。」

 

「おつかれ、セシリア。」

 

「グリフィンさん。そちらも終わりましたの?」

 

「うん。ちょっと手こずっちゃったけどね。」

 

 少しだけ恥ずかしそうに笑いながらそう言うグリフィン・レッドラムに、むしろセシリアが驚いた。

 

「小型だけとはいえ、結構な数が居た筈ですけれど……。」

 

 セシリアが辺りを見渡すと、先程までちらほら見かけた筈の小型絶対天敵(イマージュ・オリジス)が周囲から居なくなっていた。

 

「タックルしたらみんな倒せたよ。」

 

「(殺人タックル?)」

 

 今更ながら、3年生って強い人多くありません?と思ったセシリアだった。

 

 

 

 

【グルルルルォオオオオ!!!】

 

 空を縦横無尽に飛び回る飛竜が咆哮を上げ、尾のように携えていたミサイルを放ってくる。

 

 それを連射重視の衝撃砲で迎撃しながら突っ込み、凰鈴音は炎を纏わせた双天牙月で絶対天敵(イマージュ・オリジス)に連撃を叩き込んだ。

 

【グルオオオッ!!?】

 

「うるっ、さいっ!」

 

 動く暇さえ与えない。仰け反ることさえ許さない、絶え間ない連撃。格ゲーでいう所のコンボ嵌め。それを高火力で行う。それが甲龍(シェンロン)黄帝(ファンディー)の必勝法。

 

 どこかでは『甲龍の必殺技は魅せプ』とまで言わしめた怒濤の通常攻撃の嵐。

 

「墜ちろぉ!!」

 

 トドメの一撃に朱雀で炎を纏わせ破壊力を上げた衝撃砲で大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)の頭部を吹き飛ばし、飛竜型の絶対天敵(イマージュ・オリジス)は海へと落ちていった。

 

「ふ~~~……あれの相手、他じゃちょっと難しいわね。速いし硬いし火力高いとかやめなさいよほんと。」

 

 IS学園の廊下で同種と戦った時は通路につっかえて飛ぶことはなかったが、飛ばれただけで脅威度が3段階ぐらい跳ね上がった飛竜型をさして鈴はそう感想を述べた。

 

 1人で相手をできるのは今この戦場では鈴とセシリアと千冬、そして山嵐を解禁した更識簪ぐらいだろう。専用換装装備(オートクチュール)ありなら更識楯無もやれるだろうが、他はだめだ。一夏の零落白夜も1人では当てられない。

 

「優先して狩らないと駄目ね。」

 

 そう決めた鈴は、最終防衛ラインを目指して飛んでいる飛竜型に向かって瞬時加速(イグニッション・ブースト)で襲い掛かった。

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