IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第122話 終結、それは最後の対話

 衛星砲【エクスカリバー】の砲撃など比較にもならない規模の斬撃が、絶対天敵(イマージュ・オリジス)の『雲』をすべて薙ぎ払った。

 

「すっ、すっげぇ……。」

 

 思わず口から出た言葉は、その場の誰もが思っていた言葉。

 

 いつぞや京都で見たような気がしないでもない。あの時は何かに意識を乗っ取られていたためよく覚えていないが、そんな織斑一夏をはじめとする以前からIS学園に在籍し専用機持ちだった面々はそれについて知っている。

 

「ライザーソード……いつ見ても壮観ですわね。」

 

「ア、アレってやっぱり飛鳥の仕業なの?」

 

 セシリア・オルコットの呟きを聞いた凰乱音が隣に居た凰鈴音に聞くと、鈴はどこか呆れが混じった声で答えた。

 

「あれを見るのは京都以来ね。相変わらずバカげた攻撃だわ。」

 

「とはいえ、これで終わりだ。」

 

 ダリル・ケイシーが肩こりを気にするように腕を回し、それを見たフォルテ・サファイアが背後に回って肩を揉み解すと「あーそこそこ」と気持ちよさそうな声を上げるのを横目に、全員がライザーソード途切れ消えていく様子を見ていた。

 

 小型絶対天敵(イマージュ・オリジス)は言うに及ばず、大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)は特に硬い牛型や素早い飛竜型でさえ逃れられずに塵となって消えた。

 

 そして――

 

「親玉とのご対面っスね。」

 

 ――そんな攻撃を受けてもなお、ライザーソードの範囲内で形を保っている絶対天敵(イマージュ・オリジス)がいた。

 

 それは今まで一夏たちが見たことのない、人型に似た異形の絶対天敵(イマージュ・オリジス)。ツインテールのような頭部の触覚らしき部位の先には巨大な口があり、ところどころに緑色の輝きがあるその姿は女性の様にも見えた。

 

「あいつを倒せば、この戦いも終わりだな!」

 

 今まで見たことのない絶対天敵(イマージュ・オリジス)。ライザーソードという特大の攻撃を受けて生き残っている事実。そんなことは些細なことで、一夏からすれば最後の敵に過ぎない。

 

 だからそう意気込んで右手に握る雪片弐型を構えた一夏だったが、動くより先にその肩に手が乗せられ止められた。

 

「ん?どうしたんだよ、鈴。」

 

「どうかしてるのはあんたよバカ一夏。今あれに手を出したら飛鳥にぶっ飛ばされるわよ。」

 

「はぁ?」

 

 鈴が一夏を引き留めている間に量子ジャンプで一瞬で人型絶対天敵(イマージュ・オリジス)の目の前に現れた天羽飛鳥は、いつものように速攻で攻めずにその場で浮かんだまま人型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を見つめていた。

 

「クアンタムシステム起動、タイプレギュラー。」

 

 そんな飛鳥のIS、ダブルオークアンタがその装甲を展開していく。

 

「展開装甲!?」

 

 その存在を知らない絶対天敵(イマージュ・オリジス)出現以降に転入して来た面々が驚いている中、かつてタッグマッチトーナメントで、そして京都でそれを見ている元々IS学園に在籍していた面々は事情を知っていた鈴やセシリアたち以外も、飛鳥がやろうとしていることを理解した。

 

「もしかして、飛鳥さんは対話するつもりなの?」

 

「飛鳥さんは最初からずっとそのつもりでしたわ。」

 

 シャルロット・デュノアの言葉にセシリアはそう答えた。

 

「隕石が降るようになってからずっと、飛鳥さんはイマージュ・オリジスとの対話を考えていました。ですが相手のあまりに強い怒りの感情で失敗し、今までそれをどうにかする物をなのはさんと篠ノ之博士がお作りになられていましたわ。」

 

「そんなことを……。」

 

 セシリアの語る真実に一同が驚いていると、いざ対話を始めようと動いていたはずの飛鳥の動きが止まった。

 

 その視線の先には――

 

「――レクイちゃん。」

 

 ――IS学園に居る筈のレクイ・コンベが、どうやっているのか人型絶対天敵(イマージュ・オリジス)と飛鳥の間で空中をふわふわと浮かんでいた。

 

「なんで、来ちゃうかなぁ。」

 

 最後のイマージュ・オリジスとの間に浮かぶ愛娘の姿に、飛鳥はそう零した。

 

「ごめんなさい、ママ。でも、聞こえた声を無視するなんて、わたしにはできない。」

 

 ペコリと頭を下げてそう真っ直ぐ飛鳥に言ったレクイからは、今までの幼げな雰囲気が消えていた。

 

 それはかつての花畑で共に過ごした《彼女》ととても似ていて――

 

「――ああ。」

 

 飛鳥もクアンタも覚えているけれど、逆に言えばその2人しか覚えていない《彼女》。記憶は消えてしまったけれど、その存在は消えてはいなかった。

 

 それが直接感じ取れる飛鳥は、穏やかな顔でレクイを抱き締めた。

 

「ママ、今までありがとう。」

 

「私も、楽しかったよ。」

 

 クアンタムシステムを使うまでもなく、飛鳥はレクイを通してイマージュ・オリジスと対話していた。

 

 戦う気はもうないこと。ISのコアが使っているエネルギーのこと。そういった飛鳥がもう知っている情報を説明された上で、イマージュ・オリジスはエネルギーを使わないでほしいと頼んで来た。

 

 それに了承の返事をして、飛鳥は抱き締めていたレクイを解放した。

 

「任せて、ママ。ちゃんと向こうで、もう大丈夫だよって伝えて来るから。」

 

 笑顔を()()()そう言うレクイの頭を撫でて、飛鳥は別れの言葉をかけていく。

 

 本来の計画であれば、飛鳥はレクイが来るよりも先にイマージュ・オリジスと対話し、飛鳥自身が使者としてイマージュ・オリジスの世界に向かってエネルギー問題の解決を伝えるつもりだった。そうすればレクイは帰る必要が無くなり、ずっとこちらに居られるから。

 

 しかし、レクイが来てしまった時点でその目論見は破綻した。イマージュ・オリジスの前に姿を出してしまった以上、レクイは理由はどうあれ帰らなければならない。飛鳥が対話している・していないに関わらず、そうなるのだ。

 

 そうなってしまうと飛鳥が使者として向かうということができなくなる。連れて行ってもらえないからだ。だって使者は1人いればいいし、2人連れてくの疲れるし。

 

 だから別れの言葉が必要なのだが……。

 

「(あれ、自力で行けばよくない?連れて行ってもらうとか、そんな女々しい考え私らしくなくない?)」

 

 後ろで見ていたイノベイターたちは「あ、また変なことする気だ」と遠い目をしていた。なお、着いて行ったところでレクイと一緒に居られる時間が数日増えるだけなのであまり意味が無かったりするのは公然の秘密である。

 

 

 この後、2泊3日の異世界旅行を愛娘と楽しんだ飛鳥はお土産としてISのシールドエネルギーに似たイマージュ・オリジスのエネルギーシールド【虚空結界(タイムゼロ・エンド)】の技術を持って帰ってきたが、待っていたのは無断欠席だとか無断外泊など色々な校則違反に対する反省文の山だったのはご愛敬である。




 はい、というわけでアーキタイプ・ブレイカー編は終幕となります。モチベの低下による駄文をお見せしてしまい申し訳ありませんでした。時間を見つけて文字数の少ない話を前後と統合したり加筆したりなど修正を加える予定です。把握できておりませんがここすき、しおりを始め、話のタイトル等が変わるでしょうがご容赦ください。

 さて、アーキタイプ・ブレイカー編が終わり一区切りついたわけですが、今後の更新はモチベが回復するまでどうか待っていただけないでしょうか。構想としては亡国機業を抜けたマドカが新入生としてIS学園に来たり、あらすじにある通りモンド・グロッソのバトル風景を書くことを予定していましたが、とてもそれを書けるモチベーションを保てておりません。というか話を練り切れていないので書けません。

 つきましては、扱いとしては区切りが良いのもあり一応完結とさせていただきたく思います。モチベーションが回復し次第、短編とでも言うべきアーキタイプ・ブレイカー編後の様子を投稿しようと考えています。

 2年半にも渡る連載にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。次回の更新でお会いしましょう。
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