IS 今こそ対話する!   作:駄竜

13 / 122
第13話 天羽飛鳥、生徒会に入る

『はいおはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』

 

part12(前回)は楯無に勝ったところで終わったんだっけ。いやぁ、純粋種ってやっぱりズルいなぁ。』

 

『相手の行動が分かるからね。攻撃とか移動とか全部。』

 

『機体の相性があったにせよ純粋種相手に被ダメ0で尚且つ避けた先にマシンガンの弾を置いてる山田先生とかいうヤバイ奴。』

 

『あの人は別格だから……。現役じゃないのに現役軍人と痛み分けする人だから……。』

 

 

 

 

 第三アリーナでの生徒会長・更識楯無との戦いの後、ご馳走してくれると言うので有難く学食で仲良く昼食を取ることにした。久々に満足するまで食べよう。

 

「よ、よく食べるのね?」

 

 4杯目で会長はそう言ってきた。

 

「まだ食べ始めたばかりですよ?」

 

「そ、そうね。お金足りるかしら……。

 

 財布を取り出して中身を確認している会長を横目に、4杯目を完食する。

 

 やっぱりIS学園の料理は美味しいなぁ。世界各国からやってくる生徒のためを思ってかメニューも豊富で、その中には豚や牛等の一部宗教で食べられない物を使っていない料理や、アレルギーに配慮した料理も存在する。実質女子校だからヘルシーな料理が多いけど、ちゃんとガッツリいける物もある辺り、力を入れていることが窺える。

 

 いつもは所持金や食べる時間の関係で取りあえず動ける程度しか食べてないけど、これならいくらでも食べられるなぁ。

 

 お金は会長が出してくれるから、遠慮せずに食べよう。幸い夏休み中で寮で暮す生徒の皆も半分は居ない。つまり私1人で寮生の半分が食べる量を食べても問題はない。

 

「ね、ねぇ。そろそろ本題に入りたいんだけど。」

 

「あ、食べながらですけど聞きますね。」

 

「あ、うん……。(手は止めてくれないのね……。)」

 

 

 

 

『飛鳥……流石に寮に住む生徒の半分が食べる量は……ボクでも引くよ?』

 

『違うもん。私そんなに食べないもん。』

 

『ほら、画面の前の人たちに弁明して。』

 

『あんなに食べないもん。丼ぶり3杯で満足するもん。』

 

『はい、舌が肥えてるのも有って収入の8割が日々の食費に消えてる飛鳥でした。言って置くけど飛鳥はスレンダーだからね?』

 

 

 

 

「生徒会長が学園最強の称号って言うのは知っているかしら?」

 

「はい。今は会長が会長ですね。」

 

「もう、楯無で良いわよ。そんな頭痛が痛い、みたいなこと言わないで。」

 

「会長は会長ですから。……私は生徒会長にはなりませんよ?」

 

「何故かしら?」

 

 すっ、と楯無は目を細めた。

 

 IS学園の生徒会長は、即ち学園最強の称号だ。何人もいる代表候補生と違って、IS学園の生徒会長になれるのはたった1人。それだけ価値がある称号。それを要らないとは……。

 

「こんな中途半端な時期に引き継ぎとか嫌です。」

 

 ずっこけた。

 

「学園祭とか控えてるのにその引き継ぎは嫌です。というか年度末の決算とか1学期の予算組みよく知らないのに出来ません。2年生に上がった時なら良いですよ。」

 

「あぁ……。」

 

 確かに、中途半端に仕事がされている状態のモノを渡されるのが一番困る。どうせなら全部終わってからにして欲しい。

 

「なら副会長にならない?今の生徒会には居ないから引き継ぎもないし、2年生になって生徒会長になった時のために、生徒会の仕事を学ぶのには持って来いよ?」

 

「横暴を働いたら止めますけど、問題ないですよね?」

 

「やぁねぇ、私が酷い事すると思う?」

 

「溜め込んでるストレスを発散するためにはっちゃけると思いますけど?織斑さんを使って。」

 

 『バレた?』と書かれた扇子を広げ、楯無は笑った。

 

「それじゃ会長、ゴチになります。」

 

「……あっ。」

 

 手持ちの現金で足りなかったので、専属メイドの布仏虚に電話してお金を持って来て欲しいと頼み、「いくらですか?」という虚に「桁を2つ間違えてませんか?」と3回ほど聞かれ、言われた通りお金を持ってやって来た彼女に余計な出費を咎められながら助けられた楯無であった。

 

 

 

 

『生徒会長とか死んでもなるか。書類仕事がどれだけ大変か……。』

 

『一番楽なのって庶務だよね。基本現場だから。』

 

『あぁ、私が副会長になったけど、一夏もちゃんと生徒会に入るよ。庶務になるけど。』

 

『ついでに簪ちゃんもちゃんとなるよ、織斑一課に。』

 

『スケジュール管理ぐらい自分で出来ないのかな。』

 

『申請多すぎて捌けないんでしょ。まぁ出来ないと社会でやってけないから、出来るようにならないといけないけど。』

 

 

 

 

 天羽飛鳥が生徒会副会長になってから時は過ぎ、IS学園は2学期へと突入した。

 

「飛鳥、生徒会はどう?」

 

「んー、会長ほど大変ではないかなぁ。会計の虚先輩は予算組みに苦労してるみたいだけど、副会長ってそんなに仕事ないみたい。」

 

 パクリ、と学食カフェでケーキを食べながら、飛鳥は対面に座る葉加瀬なのはにそういう。

 

 実際、副会長は会長の代理であり、その仕事は生徒会を支えること。会長とは別の視点でのアドバイスを行うのが仕事であり、表に出る生徒会長とは違い縁の下の力持ちといった役割だ。会長の代わりに仕事をするのがほとんどで、会長が仕事をしている限りは暇だったりする。仕事が来た時は地獄だが。

 

「暇なら遊びに付き合ってよ。」

 

「どの遊び?」

 

「ビット。作ったはいいけど動かせてないから遊びたい。」

 

「夏のじゃん。もう秋だよ?」

 

「ホルスタービットでちょっと作るの手間取ってさぁ。」

 

 そんな他愛無い事を話していると、

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 聞き覚えのある声がした。

 

「今ビットを作ったと聞こえたのですが……。」

 

「あ、セシリア。」

 

「こんにちは、天羽さん。そちらの方は初めまして。わたくしはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ。」

 

「知ってるよ。というか戦ったじゃん。」

 

「あら?」

 

 飛鳥より影が薄かったとは言え戦ったなのはを忘れているセシリア。申し訳なさそうに頭を下げ、

 

「それでその、ビットのことなのですが……。」

 

「あぁ、夏頃に設計図引いたのがやっと出来たんだよ。何か成形する時に歪んで巧くいかなかったんだよね。調べたら機材が熱でやられてた。」

 

「そ、その完成したビットは!?」

 

「工房に置いてあるよ。そうだ、動かしたいから手伝ってよ。」

 

 セシリアは頷き、なのはの後に着いて行って学食カフェを去って行った。

 

「何を焦ってるかと思えば、白式に勝てないのが辛かったのか。」

 

 パクリ、とケーキを口に含む。

 

「零落白夜のシールドなぁ。確かにエネルギー兵器しかないと突破は出来ないね。でも――」

 

――燃費最悪なんだから打ち続けて使わせ続ければ自滅するんじゃない?

 

 とは思ったが、近付いてくる相手を近付けないための射撃が全部無効化されてしまっては、機動力で逃げるしかない。しかし相手は性能だけはトップクラスの白式。逃げられずに雪片弐型での零落白夜の刃にやられてしまうのだろう。

 

「でもセシリアなら偏光制御射撃(フレキシブル)使える筈だから、シールドの無い背後から撃てばいいだけなんだけど……。」

 

 

 

 

『セシリア強化はっじまっるよー。』

 

『やりたくはないけど見たくはあるセシリア完全体の戦い。そのために頑張って行こう。』

 

『下手すると勝てなくなるけどね!』

 

 

 

 

「先にブルー・ティアーズ見せて。前から気になってたことがあるんだ。」

 

「気になっていたこと?」

 

 工房に着いてすぐなのははセシリアにブルー・ティアーズを展開するよう頼んだ。セシリアは了承してブルー・ティアーズを身に纏うと、なのははマスターハンドを手にはめ、空中に画面を投影してブルー・ティアーズの情報を調べ上げ、

 

「あぁ、やっぱり。」

 

 ()()がないことに納得した。

 

「あの、何か?」

 

「いや、余りに窮屈そうに動かしてたからもしかしたらって思ったんだけど、()()()()使ってないんだね、やっぱり。」

 

「脳量子波?何ですのそれは。」

 

 知らない単語の登場にオウム返しでセシリアはなのはに質問した。

 

「簡単に言っちゃえば一部の人間にだけある特殊な脳波のこと。色々使い方はあるけど――。」

「(――こうやって思考を伝えることができる。)」

 

「!?い、今のは……。」

 

 突然頭の中に響いたなのはの声にセシリアが目を見開いた。

 

「これが脳量子波。使える人と使えない人が居るけど、ビットに適正がある人は大体適正がある。勿論君にも。」

 

「今のを、わたくしが?」

 

「練習すれば出来るようになるよ。本題はここから。ブルー・ティアーズが拾ってるのは全部君が普通に発してる脳波だ。だから動きがぎこちない。」

「右に行け、という思考が身体の方にも少なからず行っちゃうから、ビットはその分動かない。」

「だから思考を伝えることに特化している脳量子波を使ってビットを動かして、普通の脳波で身体を動かす。それが本来のビットの操作だ。」

 

「なるほど……?」

 

 所々理解できていないが、セシリアはなのはの話を大まかに理解した。

 

「実感した方が速いか。ちょっと失礼。」

 

 そんなセシリアを見て、なのははブルー・ティアーズにそっとマスターハンドを着けた手で触れた。

 

「ビット飛ばしてみて。」

 

「?ブルー・ティアーズ――!?」

 

 言われるがままいつもの様にレーザービットを動かそうとして、セシリアは驚いた。

 

「こんな……こんなに動かしやすいと感じたのは初めてですわ。」

 

「ボクがマスターハンドで中継して、君の脳量子波を使ってビットを動かしてるんだ。これが君本来のビット操作の技量だよ。」

 

 右へ左へ、くるりと回転させ、ビットは踊る様に宙を舞う。

 

「すごい……。」

 

「で、だ。」

 

 なのはが離れると同時に、ビットの動きがいつもの物に変わる。残念に思いながら、セシリアはなのはの言葉に耳を傾けた。

 

「君のブルー・ティアーズを脳量子波に対応させられる、と言ったら――君はその機体をボクに弄らせてくれる?」

 

 セシリアは迷った。専用機は無暗に他人に弄らせて良いモノではない。スラスターなどなら未だしも、イギリスが国を挙げて作り上げたビットの部分は以ての外。でも――

 

「お願いします。」

 

 セシリアはその提案を受け入れた。

 

「(本国にレポートを書きませんと。)」

 

 脳量子波という通常のモノとは別の脳波によるビット操作。それを知って、使える様になる機会を逃す事は出来なかった。

 

「脳量子波でのビット操作のコツは飛鳥に聞いて。飛鳥は最大で154機動かせるから。」

 

「桁間違えてません?」

 

「まぁただ動くってだけの代物だから、活用ってなるともっと数は減るんだけどね。」




 セシリア贔屓が始まる――!

 これからセシリアは脳量子波でビット操作をします。どのように変わるかと言えば、ビットと機体の同時操作、偏光制御射撃(フレキシブル)などをするようになります。弱点が無くなるよ!やったねオルコッ党!

 因みに駄竜は簪ちゃんが一番好きです。(セシリアじゃないんかい!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。