IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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 この時期のストーリー、やることなさ過ぎて難産気味でした……いや8巻9巻の方がヤバイんですけどね。


第21話 葉加瀬なのは、打鉄弐式を作る

『はい皆さんおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよー。』

 

『ぶっちゃけ7巻って半分ぐらいかんちゃん攻略するだけのストーリーだから、そこに絡まない限り暇で仕方ない。』

 

『大会当日はゴタゴタするけどねー、無人機で。』

 

 

 

 

「で?わざわざ生徒会から飛鳥経由でボクに何のよう?織斑一夏。」

 

 タッグマッチトーナメントまであと1週間弱のある日、葉加瀬なのはは天羽飛鳥経由で織斑一夏に話がしたいと言われ、放課後の学食カフェにて対談していた。

 

「実は葉加瀬さんに頼みがあるんだ。」

 

「打鉄弐式なら作らないよ。」

 

「っ!?」

 

 一夏が何か言うよりも先になのはがそう言うと、一夏は驚きで言葉を詰まらせた。

 

「仮にもボクは日本人だ。自分の国の第三世代ぐらい調べる。白式が優先されて開発が延期されたのを作ってくれって言うんでしょ?」

 

「あ、あぁ。そうだけど……。」

 

「やらないよ。」

 

 にべもなくなのはは拒否した。

 

「どうしてなんだ?」

 

「色々理由はあるけど、一番は『面白味がない』からだね。」

 

「『面白味がない』?」

 

 首を傾げる一夏になのははあらかじめ用意していたパフェにスプーンを刺した。

 

「ブルー・ティアーズのBT兵器、甲龍の衝撃砲、シュヴァルツェア・レーゲンのAIC、ミステリアス・レイディのアクアナノマシン。どれも面白い装備だ。これでどう戦っていくのか、それを考えると色々とネタが浮かんでくる。」

 

 1対1でありながら多方向からの攻撃を可能とするブルー・ティアーズ。

 衝撃砲から放たれる見えない砲弾による射撃と大型青龍刀による斬撃を組み合わせた連撃を行える甲龍。

 相手の動きを強制的に止め、強力な攻撃を叩き込めるシュヴァルツェア・レーゲン。

 攻防一体、幻惑にさえ使用できる水を操るミステリアス・レイディ。

 

 どれもいい機体だとなのはは思う。ブルー・ティアーズは若干ピーキーだが、乗り手の腕もあって強力な物となった。

 

「でも打鉄弐式は?マルチロックオンで出来ること何てマルチロックオン以外にないでしょ?」

 

 マルチロックオンによる最大48発ミサイル同時発射は確かに凄い。だが結局のところそれしか出来ない。

 

 ブルー・ティアーズであれば、レーザーを曲げる偏向射撃(フレキシブル)という芸当が出来る。甲龍であれば、衝撃砲の威力を調節しての高威力の単射と低威力の連射を切り替えられる。AICも対象を止めることしか出来ないが、空間にその網を張ることも止めたい物そのものの停止も自由。

 

 どれもただ積んだだけで終わらない。使い方というものがある。

 

 しかしマルチロックオンは結局マルチロックオンでしかない。他の使い方など出来はしない。

 

「こんな使い方ができるんだって未知がない、だから面白味がない。作る気が起きない。」

 

「そんな……。」

 

 

 

 

『使われてるの見たことないよね、打鉄弐式。』

 

『正直他の機体の方が使いやすいし強いからなぁ。甲龍とか武装のバランスが良いから使いやすい上に連続ダウン出来てハメれるし、レーゲンもAICが雑に強いし、リンカネはコンボ数カンストできるしで。コラボ機体は言わずもがな。』

 

『ミサイル誘爆するしそもそも振り切れるし、打鉄弐式はもうちょっとどうにかならなかったのか。』

 

『原作からして未完成だからなぁ。』

 

 

 

 

「そこを何とか!頼む!」

 

 頭を下げる一夏を尻目になのははパフェを食べ進める。

 

「俺にできることなら何でもするから!」

 

「何でそこまでするのさ。知ろうともしなかった相手のために。」

 

 パクリ、とパフェの上に乗ったイチゴを食べながらなのはが言った。

 

 一夏は更識楯無から頼まれるまで、更識簪という人間を知りもしなかった。4組に代表候補生がいるということは以前聞いたことがあったが、それが誰かなど興味もなく。クラスリーグマッチでともすれば戦ったかもしれない4組代表がどんな人物か、探りもせず。自分(男性操縦者)のせいで誰かが割を食ったのではないかと考えもせず。

 

「知る機会はいくらでもあった。でも知ったのは今頃だ。所詮その程度の相手に何でそこまでするのさ。」

 

「知ったからだ!」

 

 ポキッ、とパフェに刺さったポッキーを抜いて食べる。

 

「考えもしなかった。俺のせいで誰かが悲しんでるなんて。俺が白式を動かしてる間、ずっと、たった1人で打鉄弐式を作っている簪さんのことなんて知ろうともしなかった!」

「確かに最初は楯無さんに頼まれたからだけど、今はそれだけじゃない!俺自身が簪さんを助けたい!」

「だから頼む!打鉄弐式を作るのを手伝ってくれ!」

 

 カチャリ、とスプーンを食べ終わったパフェの器の中に置くと、なのはは立ち上がった。

 

「っ葉加瀬さん!」

 

「何ぼさっとしてるの織斑一夏、さっさと行くよ。」

 

「え──。」

 

「ボクは嘘が嫌いだ。吐いたところで誰も得しないから。それ以上に優しい嘘が嫌いだ。巡り巡って誰かを傷付けるから。だからこそ本心を言う人間は好ましく思うし、出来る限り助けようと決めてる。──確かに君は、本心から更識簪を助けたいらしい。」

 

 ()()()()()()()()葉加瀬なのはは、振り向きながら言った。

 

「喜べ少年、君はこの天才に認められた。」

 

 

 

 

『たまぁにカッコいいこと言うんだよなぁコイツ……答えなきゃ嘘でしょ。』

 

『……。』

 

『ん?どったの飛鳥。』

 

『……なのはが。』

 

『?』

 

『私のなのはが、盗られた……。』

 

『いやずっと飛鳥のだから。』

 

 

 

 

「──まぁ、及第点かな。」

 

 誰かに居場所を聞くでもなく一直線に更識簪の元を訪れたなのはは、その前に鎮座する打鉄弐式を一瞥(いちべつ)するとそう呟いた。

 

「1人でやったにしては進んでる。これならイメージ・インターフェース以外は2年生になる頃には1人でも組み終わってただろうね。」

 

「っ……。」

 

 その評価を聞いた簪は歯を食いしばる。1人では1年以上かかると言われた作業を、姉はそう時間をかけずに成し遂げた。こういった所でも差を感じてしまう。

 

「まぁモスクワの深い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)のデータを流用してるミステリアス・レイディに比べて時間がかかるのは普通だ。一番面倒なイメージ・インターフェース作りをやらない分早く終わったからね、アレは。」

 

「そんなに難しいのか、イメージ・インターフェース作りって。」

 

「1回雛型が出来ればそれを基に色々作れるけど、その構築が面倒なんだよ。単純にコマンドの打ち込みが多いから時間がかかるし、無駄があるとその分重くなる。」

 

 「もっと面倒なのが武装造りだけど」と言いながら、なのはは空中にディスプレイを投影し、キーボードを出現させ叩き始めた。

 

「取りあえず2時間で終わらせるから、第3アリーナの使用許可取って来て。動かすから。」

 

「2時間……!?それだけで終わるの!?」

 

 2時間という言葉に簪が驚きなのはに聞いた。

 

「クアンタが4ヶ月かかったのはパーツも武器もシステムも何もかも1から見直してたからだ。組み上げて調整して精査する()()()()()、2時間で終わる。分かったらさっさと行く。あぁ、2時間は帰って来なくて良いよ。2人でデートでもして時間潰して。」

 

「デー……!?」

 

「いや、葉加瀬さん1人に任せる訳にはいかないって。何か手伝えることはないか?」

 

「ない。出てけ。やることなすことほとんど機密事項なんだ。」

 

 

 

 

『ここにこの前ビット製作のついでに作ったマルチロックオンシステムがあります。』

 

『ホルスタービットのついでに作った奴ね。』

 

『既に開発が終わってるからこれを流用して、面倒な開発ミニゲームはカット。あとは整備のミニゲームだけ。』

 

『このゲームが人気ないのは何をするにもミニゲームばっかりなせいだよね、やっぱり。』

 

『そのミニゲームもクソゲーだしね。これのせいでプレイ人口100人も居ないんじゃない?』

 

『どうやったのかコラボ機体は豊富だけど、それでもやってる人見かけないんだよなぁ……。』

 

 

 

 

 2時間。学食カフェで親交を深めた(イチャイチャした)一夏と簪は整備室へと戻ってきた。

 

「本当に2時間で出来るの……?」

 

 簪は懐疑的だ。3組の代表である天羽飛鳥の専用機を作ったのは話には聞いているが、交流がないためにその能力を知らないので無理もない。

 

「出来てないなら手伝えばいいさ。」

 

 対して、一夏はなのはとの交流こそないが、飛鳥との交流はそこそこある。ほとんどが生徒会でのことだが、そこで偶になのはのことを聞いている一夏は、その能力を又聞きながらも知っている。だからこそ飛鳥経由で頼みに行ったのだ。

 

 2時間前に出た整備室の扉を開ける。

 

「――!」

 

「これ――!」

 

 そこにあったのは、2時間前よりも輝いて見える打鉄弐式。

 

「来た?ならさっさと待機形態にして。第3アリーナ行くから。」

 

 椅子に座ってどこからか持ってきたらしいポタージュを飲んでいたなのはは、そう言ってグイッとポタージュを飲み干すと立ち上がった。

 

「2時間で……出来た……。」

 

「設計しろとか、改修しろってのは無理だけど、ただ作るだけなら2時間もあれば出来るよ。ほら、さっさとする。織斑一夏も。」

 

「え、俺?」

 

「実戦形式で動かす。だから第3なの。」

 

 ズンズンと歩いて出て行ってしまったなのは。残された2人は、その後を追って駆けだした。

 

 

 

 

 第3アリーナ――そこは地獄と化していた。

 

「やり過ぎたかなぁ。」

 

 ピットからそれを見ていたなのはがそう言った。

 

「……。」

 

 アリーナの中心、黒煙に包まれたそこに倒れた(ヤムチャした)一夏は起きる様子はなく。

 

「え……え……?」

 

 空中に浮かんだままの簪は、まさかの結果に固まった。

 

「弾がなかったからGNミサイルを代わりに積んだけど、48発も当てればこうもなるか。」

 

 GNミサイル。それは大きさの割に対象を内部から破壊するという殺す気しかない武装。ダブルオークアンタですらまともに受ければダメージを免れないそれを対処し切れずに受けた一夏は、哀れにも爆発四散してしまった。

 

「でもこれはこれで見てて面白い。」

 

 葉加瀬なのはは、打鉄弐式の評価を改めた。




 【GNミサイル】
 小型のGNコンデンサーを搭載した、GN粒子を動力として飛び、着弾した場合にコンデンサー内部のGN粒子を注ぎ込んで対象を内部から破壊するミサイル。大きさが丁度よかったので今回【山嵐】に弾薬として積まれた。
 シールドバリアーに当たるとそこにGN粒子を注ぎ込んで破壊しにかかるため、現在流通している通常のミサイルよりもシールドエネルギーの減少量が大きい。
 更に装甲や機体に当たるとGN粒子を注ぎ込まれ破壊されてしまい、その部分のコードや部品を喪失することで機能不全を起こさせる恐るべき効果がある。
 当たり所が悪い、もしくは大量に当たってしまった場合、絶対防御まで発動してしまうため、【山嵐】と合わせると酷いことになる。
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