IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第22話 天羽飛鳥、ゴーレムⅢを駆逐する

『はい皆さんおはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』

 

『ついにやってきましたタッグマッチ当日。1人で参加する私を含め6組が出ます。』

 

『え、タッグマッチまでの1週間何してたかって?GNミサイルの雨を食らった白式の修理。無駄に難しいミニゲームの連続で見てて面白くなかったから全カットしたけどね。』

 

『危うく一夏が棄権してかんちゃんとペアで出るところだった……。GNミサイルの火力高すぎない?』

 

 

 

 

「それでは、開会の挨拶を更識楯無生徒会長からしていただきます。」

 

 生徒会会計・布仏虚の言葉を受けて、生徒会長・更識楯無が壇上に立った。

 

 開会式に当たって、生徒会メンバーは全員整列している。副会長の私・天羽飛鳥、書記・布仏本音、庶務・織斑一夏。これが今の生徒会5人だ。

 

「ふあー……。ねむねむ……。」

 

「しっ。のほほんさん、教頭先生が睨んでる。」

 

「ういー……。」

 

 生徒会室では寝てばかりの本音ちゃんは相変わらず眠たいらしい。ただせめて欠伸をかみ殺す努力をして欲しい。教頭先生が良い人なのは知っているけど、顔は怖い。それはもう、絵に描いたかのような顔だ。口紅もうちょっと薄いの使いましょう?真っ赤ですよ?あとその逆三角眼鏡どこで買ったんです?似合ってますけど。

 

「どうも、皆さん。今日は専用機持ちのタッグトーナメントですが、試合内容は生徒の皆さんにとってとても勉強になると思います。しっかりと見ていてください。」

 

 流石に慣れているからか、淀みなくすらすらと、良く通る声で壇上の会長がそう言った。来年は私がやると考えると、今の内に発声練習とかしておいた方がいいんだろうか。

 

「まあ、それはそれとして!今日は生徒全員に楽しんでもらうために、生徒会である企画を考えました。名付けて『優勝ペア予想応援・食券争奪戦』!」

 

「「「わあああああっ!」」」

 

 ――いやこの企画能力をものにする方が先かもしれない。

 

「ってそれ賭けじゃないですか!」

 

 織斑さんのツッコミが入る。が、既に根回しは終わっている。専用機持ち以外が楽しめる様にと色々と模索した結果、教師陣も納得の上での賭けだ。

 

 因みになのはは私に限度額いっぱい賭けている。クアンタに乗る以上負けることは万に一つもあり得ない――いや負けかねない状況は3つぐらい思いつくけど、どれも対処できる範囲だ。稼がせてもらおう。

 

「……。」

 

 ――そのためにも、招かれざる客にはお帰り願おう。

 

 

 

 

『イベント恒例のオッズは飛鳥が最下位で、他の順位はそのまま。まぁ1人で参加するから普通だよね。』

 

『そしてトーナメント表がこちらとなります。』

 

【挿絵表示】

 

『まぁ1人増えたらトーナメント表も変わるよね。』

 

『シード枠は私と一夏&かんちゃんペアの2つ。試合の順番的に4回戦目から私の試合。それまで時間があるから――。』

『――ちょっとゴーレムⅢ駆逐してくる。』

 

『行ってらっしゃい。』

 

 

 

 

 人工島であるIS学園の四方を囲う海洋。そこを飛行し、IS学園が見える地点まで()()は接近していた。

 

『……。』

 

 ゴーレムⅢ。かつてクラスリーグマッチを襲ったゴーレムⅠ――無人機ISの改良型。無骨な、鉄の巨人という印象だったゴーレムⅠとは逆に、女性的な印象を受ける造形。右腕は肘から先が巨大ブレードになっており、左腕は超高密度圧縮熱線を放つ砲門が4つある、遠近において高い性能を発揮する武装。更にエネルギーシールドの発生器を持ち、ISが持つ絶対防御をジャミングする能力も持った、対IS用IS。

 

 ()()()1()0()()()()()()()()I()S()()()()()()()()()()

 

 誰がやったのか、何故やったのか。その全貌は理解できないが、それでも分かることはある。

 

 ゴーレムⅢは、敵だ。対話もできない相手だ。誰かを傷付ける()だ。

 

 だから躊躇(ためら)わない。それがどんな結果を生もうと、許すことはできない。

 

「だから――。」

 

 量子ジャンプで接敵すると同時に、最後尾を飛んでいた1機をGNソードⅤで切り裂き破壊する。

 

『……!』

 

 瞬時にそれを察知して振り返った残りの9機にGNソードⅤの切っ先を向け、GNソードビットを展開し、GN粒子を散布しながら。

 

「来いよ無人機。誰の夢も乗せないIS。その虚無、この私が駆逐する。」

 

 誰にも気付かれない様に、その戦いは始まった。

 

 

 

 

『多くね?』

 

『あー、あれだよ。師弟関係だから数増やしたんだ。普通なら5機相手にするだけだったんだよ。』

 

『まぁこんなのライザーソードで薙ぎ払えば……。』

 

『あんなの使ったら学園から丸見えだよ。というかビーム使うとGN粒子あってもバレるよ多分。』

 

『まさかの縛りプレイ!?』

 

 

 

 

「トランザム。」

 

 最初に動いたのは飛鳥だった。機体各部に内蔵されたGNコンデンサーに貯蔵された圧縮粒子を解放し、機体性能を何倍にも引き上げるトランザムシステムを起動させ、凄まじい量の粒子を吹き出しながら最も近くに居たゴーレムⅢへと肉薄し、右手に持ったGNソードⅤで防御のために間に入り込んだゴーレムⅢの巨大ブレードごとその機体を切り裂き破壊する。

 

 それと同時に周囲に展開していた6機のGNソードビットも飛翔させ、ゴーレムⅢたちが(飛鳥)を認識し構えた左腕のビーム砲を、トランザムによって切れ味の上がったGNソードビットの刃で切り裂き使用不能に追い込んだ。

 

「ビームは使わせない。代わりに私も使わないから、お相子ね。」

 

 そう言いながら、遠距離武器を破壊され近接戦闘を仕掛けざるを得ない、そうプログラムされているが故に近付いて来たゴーレムⅢの1機をGNソードⅤで切り裂いた。

 

「(ビームは撃てなくしたし、GN粒子が散布されてる以上、学園に気付かれることは目視される以外ない。今は大会中だから視線はそっちに向くだろうけど、出来るだけ早く終わらせないと。)」

 

 考えながら飛翔しゴーレムⅢを切り裂いていく。対人戦であれば絶対防御によって途中で刃が止まり両断することは叶わないが、無人機であるゴーレムⅢは機体を覆うシールドバリアーこそあるが操縦者を守る絶対防御がないために可能なことだ。

 

「あと6機、取り逃しはしない。」

 

 トランザムによって出力の上がったGNソードビットによる移動妨害。駆け足気味に4機破壊したのは、ビットの数が足りずにもしかすれば逃げられたかもしれない可能性を潰すため。ここまで事が運べば、あとは流れ作業のようなものだ。

 

 GNソードビットとの連携でゴーレムⅢを破壊していき、飛鳥は5分もかけずに全ての無人機を駆逐し終えた。

 

 

 

 

『はぁ、疲れた……。』

 

『お疲れ様。』

 

『ゴーレムⅢは行動パターン少ないから慣れれば楽だけど、それでも速いし避けるし硬いしで面倒なんだよなぁ……。』

 

『防御力無視のGNソードⅤ*1だから楽に破壊できたけど、普通は出来ないからね。』

 

『それが10機とかよくビーム抜きで勝てたな私。普通ライザーソードで薙ぎ払うのに。』

 

『使い道ないよねライザーソード。アリーナじゃ狭すぎるし市街地じゃGN粒子の通信障害で酷いことになるしで。』

 

『やるなら11巻かなぁ、宇宙に上がるし。』

 

 

 

 

「どうしたのよセシリア、壁なんか見つめて。シミでもあった?」

 

「いえ、向こうの方で何か……気のせいでしょうか?」

 

 飛鳥がゴーレムⅢと戦闘をしている頃、タッグマッチトーナメントを行うアリーナのピットで待機していた凰鈴音とセシリア・オルコットのペアはいつもの様に話していた。

 

「最近妙に勘が良いアンタがそう言うと気になるじゃない。何かあったの?」

 

「外……いえ、空?向こうの空から何か、こちらに飛んで来ているような気がしましたわ。」

 

 セシリアのその言葉に鈴は眉をひそめた。

 

「空?IS学園の近くはヘリも飛行機も飛べない筈じゃない。」

 

 IS学園とその周辺は基本的にヘリや飛行機が飛ぶことが出来ない場所となっている。色々と理由はあるが、ISを多数保有しているIS学園にそう言った物で上陸されると配備されているISを多数強奪される危険性がある、というのが最たる理由だ。これはアラスカ条約加盟国によって決められたことであり、もちろん日本も合意済みのことである。そのため、IS学園の近くは空港を目指して飛ぶ飛行機でもわざわざ避けて通らねばならない。*2

 

 なのでIS学園近くの空を飛ぶのはそのほとんどがISとなっている。もちろん相応の理由があればIS学園の近くを飛ぶことは出来るし、場合によっては着陸することも出来るが、IS学園設立から現在までそんな事態は起こっていない。

 

 もちろん、今回セシリアが感じ取った物はヘリでも飛行機でもない。飛鳥が今現在破壊している10機のゴーレムⅢの接近である。まだ変革し切っていないセシリアでは接近されるだけでは気付けず、攻撃が行われて初めて存在に気が付くのだが、飛鳥との戦闘が始まったためにその存在にどうにか気付くことが出来た。

 

 余談だが、かつてゴーレムⅠの接近にアリーナのバリアーが破壊される直前まで飛鳥たちが気付かなかったのは単に気を抜いていたからである。学校生活が脅かされるなど誰も考えないだろう。しかし実際にはゴーレムⅠによる襲撃があり、以来飛鳥は常に周囲に気を付けている。今回ゴーレムⅢの接近にいち早く気付いたのもそれが理由だ。

 

「いえ、ヘリよりもっと小さな……あら?」

 

「今度は何?」

 

「無くなりましたわ。何だったんでしょう?」

 

 丁度飛鳥によるゴーレムⅢ破壊が終わり、戦闘が終わったことでセシリアの知覚から外れた。

 

 そんなこととは知らない2人は首を傾げるが、第一試合の更識楯無&篠ノ之箒ペアVSシャルロット・デュノア&ラウラ・ボーデヴィッヒペアの試合が始まったために、それを映しているモニターへと視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこかに存在するラボ。そこで空中に投影していたディスプレイからゴーレムⅢがIS学園に到着する前に破壊されたのを見て、ウサギの耳に似た機械を頭につけたドレス姿の女性・篠ノ之束は声を上げた。

 

「あ~ん、あーちゃんひどーい。」

 

 今回のゴーレムⅢ、そしてかつてクラスリーグマッチを襲ったゴーレムⅠは、他ならない束が作った物だ。ゴーレムⅠは白式が一次移行(ファースト・シフト)から大体1ヶ月経った頃に様子を見るために放ち、ゴーレムⅢは可愛い妹のデータを手に入れ、渡した紅椿を更なる高みへと至らせるために放った。

 

「これじゃ箒ちゃんのデータ取れないし、紅椿の成長率も低いままだよ。うーん……。」

 

 だが、その目論見は飛鳥によって破壊された。人が乗って初めて真価を発揮するISにとって、無人化は戦力低下を免れない。そんな物の相手、()()()()()()()()()()飛鳥が勝って当然なのだ。もちろん束もそれを考慮して飛鳥に他よりも多い5機を割り当てるつもりで10機向かわせたのだが、結果は5分かからずの全滅。

 

「また無人機向かわせてもあーちゃんが全部壊してコアだけ持って行っちゃうだろうから……そうだ!」

 

 「良いこと思いついた♪」と笑顔になった束は、キーボードを叩き出した。

*1
溶断するという性質故に防御力や耐久力を無視するゲーム的な効果がある

*2
独自設定。ISが日常的に飛んでるし飛行機とか近寄ったら危ないよね




 原作とか更識姉妹の関係改善を考えるならゴーレムⅢ投入した方が良いんですが、そんな何番煎じかも分からないあり触れた話、誰も興味ないだろうとタッグマッチ決行しました。ちゃんと更識姉妹の仲は最終的に良くなるので安心してください。大体一夏が何とかしてくれます。

 問題はゴーレムⅢを誰にも気付かれず破壊したことで今後の原作(8巻とか9巻とか10巻とか11巻とか)の内容が一部出来なくなることですが……まぁどうにかなるでしょう。細かいところはともかく、大筋で酷い乖離はない筈ですし。
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