『皆さんおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよー。』
『まさか7巻の内容を投稿するのに1ヶ月以上かかるとは思わなかった……いや試合を1
『バトルしか見どころないのにそのバトルのせいでストレス溜まってるね。』
『まさか日常パートがこんなに求められるなんて……。』
織斑一夏にとって、天羽飛鳥という人間は同じIS学園生徒会にする同級生であり、以前セシリア・オルコットと凰鈴音を助けてくれた恩人であり、少しばかりの負い目を感じる相手だった。
一夏が飛鳥のことを知ったのはセシリアと鈴がラウラ・ボーデヴィッヒと戦って負けた乱闘事件が切っ掛けだ。セシリアと鈴の機体をダメージレベルCまであと少しという所まで追い詰め、しばらく機体を使えなくなるかもという時に現れてラウラを止めた人。その時は名前も知らなかったが、セシリア達から聞いたそれがそのまま一夏の飛鳥に対する最初の印象だった。
名前を知ったのは翌日のことだ。お礼を言いたいからと現場にいた姉・織斑千冬に聞きに行き、そこで知った。『
『
ISのことに対してはド素人もいいところの一夏だが、
何でもないように千冬は言ったが、『一夏がISを動かさなければ飛鳥は千冬にIS操縦を教えてもらうことになっていた』と確かに言った。一夏は世界最強候補の邪魔を
1度目は、第二回モンド・グロッソの決勝。ドイツで行われたそれを観戦しに行き、誘拐された一夏を助けるために千冬は決勝戦を棄権した。
そして2度目。
一夏にはどうしようもないことではあった。だが、一夏のせいで2人は邪魔をされた。もちろん、千冬も飛鳥もそんなことを気にしてはいない。千冬は家族を助けることの方が重要だとはっきり言うし、飛鳥もその程度で自分が
だが、負い目を感じるなという方が無理というもの。何より、一夏はこの時『自分のせいで誰かが割を食う』ということを知った。強制入学と騒がしい学園生活でそういう考えさえ浮かばなかった一夏だが、ここにいるほとんどの人が『IS学園を選んで入学している』という当たり前のことを理解した。そして、自分はその枠を奪ってここにいるのだと知った。
改めて、自分がこのIS学園で異物だと一夏は感じた。
「ダブルオークアンタ、天羽飛鳥、出る!」
カタパルトから出ると同時に、背部から粒子を出して飛鳥が飛翔する。
軽くアリーナを回ってから、飛鳥は中央のスタート位置へと着いた
「天羽さん、今日は負けないぜ。」
飛鳥より早く位置に着いていた一夏がそう言った。その顔はキリッとした男の顔で、元の顔の良さも合わさってカッコいい。観客席が黄色い歓声を上げた。
「会長に勝って自信が付きましたか?でも、今の私に勝てると思っているなら大間違いです。」
いつものように丁寧に、いつも以上に熱を持った言葉。隠せない闘志が飛鳥から溢れているのを、対峙する一夏と更識簪のペアは感じ取った。
「夢と目標を再認識した今の私は、阿修羅すら凌駕します。」
「あ、阿修羅?」
「具体的には織斑千冬という名前の。」
微笑んでそう言った飛鳥に一夏と簪が固まった。いろんな意味でその発言は大丈夫かと心配した。
『ほう?天羽、大きく出たな。』
「いぃ!?千冬姉!?」
アリーナのスピーカーから聞こえた良く知る声に一夏が身震いした。簪も体を縮こまらせた。
『私を超えるという意味、分かっているな?』
「はい。――私は、
真っ直ぐと告げられた言葉は、このIS学園で何よりも大きなものだった。
一夏には、飛鳥の宣言は何より眩しく感じた。
一夏は将来を考えたことはあるが、将来何をしているかを考えたことはない。ただ漠然と老人染みたゆったりとした時間を過ごしたいと考えていた。藍越学園への入学を考えていたのは将来を考えたからではなく、ただ学費が安く就職率が高いという理由だった。
当たり前だが、IS学園はISに関しての専門学校だ。世界中からやってくる受験生の中から合格を勝ち取り、IS学園に通う生徒たちはみんなISに関わる仕事をするためにやって来た。唯一の例外は強制入学者である織斑一夏と篠ノ之箒の2人だけ。
一夏には他の生徒たちのような将来のヴィジョンがない。IS学園に来て専用機を貰ってからも、『ならIS操縦者になる』といった考えはなかった。ただ流れるままに日々を過ごして来た。
だから、
一夏のその考えは、ダブルオークアンタが放出するGN粒子の補助もあって飛鳥に筒抜けだった。
「――織斑さん。」
「な、なんだ?」
突然声をかけられた一夏がどもりながらも返事をした。
「貴方バカですか?」
「はぁ!?」
シンプルな罵倒が一夏を襲った。
「将来なんて難しく考えなくていいんです。何をしているかじゃなくて、
心を読んだかのような言葉を投げかけられ、一夏は硬直した。
「まだ高校生ですよ?夢見たっていいじゃないですか。漠然としてていいんです。」
「……そう、か?」
「はい。」
「……そうか……そうだよな。」
一夏は一度瞼を閉じ、開いて真っ直ぐと飛鳥を見詰め、
「ありがとう、天羽さん。」
とびっきりの笑顔を浮かべた。
「どういたしまして。――そろそろ始めましょうか。」
「そうだな。簪。……簪?」
「ぽけー…………。」
「おーい?」
一夏の笑顔に当てられ、簪他数名の女子がフリーズしていた。そんな中、カウントダウンが始まる。
「か、簪!起きてくれ!」
「…………はっ!お、織斑君?」
「もう試合が始まるから!構えて!」
「う、うん!」
互いに武器を構える。GNソードⅤ、雪片弐型、夢現。3つの武器がそれぞれの手の中で、振るわれる瞬間を待っていた。
3――2――1――0。
「ソードビット!」
試合開始と同時にGNシールドから解き放たれたGNソードビットが宙を舞う。
「出たなビット!」
それを斬り落とそうと夢現と雪片弐型を振るった一夏と簪。だが、それは余りにも無謀だった。
一夏と簪がビットを破壊しようと武器を振るった瞬間、ビットはそのクリアグリーンの刃でその武器を斬り裂いた。
「そんなっ。」
「切り刻め、ソードビット!」
そのまま飛来するソードビットに全身を斬られていく。スラスターはもちろん、白式は左腕、打鉄弐式はミサイルポッド【山嵐】の発射部が溶断され、その機能をなくしていく。
決勝戦。それはあっけなく終了した。
『終わったー!』
『長かった……本当に長かった。』
『メリハリがないせいでマンネリと化していた戦闘パートがやっと終わった!』
タッグマッチトーナメントが終了し、優勝者予想によって賭けられた食券をたんまりと手に入れた葉加瀬なのはは、それで豪遊するでもなく以前貰った工房で飛鳥が倒したゴーレムⅢから回収した10個のコアを調べていた。
「よくもまぁこんな物を作ろうとしたね、束さんは。」
無人機ISの技術は世界でただ1人、篠ノ之束だけが持つ技術だ。より正確に言うなら、束だけが使う技術だ。
「ハードの良さで誤魔化しても、人が使わないISなんてたかが知れてるのに。」
操縦者の夢を具現化するISにとって、無人機化というのは存在の否定のようなものだ。誰の夢も乗せない以上、そこにあるのはただの機械。人と合わさり夢を持ったISには負けるのが定めなのだ。
「さぁて、このコアどうするかねぇ……。」
そう呟いて、なのははコアの内の1つをつん、と指で転がした。
やっとタッグマッチトーナメント終わった……。