『はい皆さんおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』
『ダレたせいで
『8巻は後に響くイベントが多いけど、ゴーレムⅢを誰にも気付かれずに飛鳥だけで対処したから、どれもフラグを折った状態なんだよね。白式のメンテとかワールド・パージとか
『巡り巡って暮桜未解凍とか山田先生の機体がないとか影響は大きいんだけど、大体どうにか出来るからスルー。さぁ、学園生活を楽しみましょう。』
織斑一夏を除く1年生の専用機持ちたち。即ち篠ノ之箒、セシリア・オルコット、凰鈴音、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、更識簪、そして天羽飛鳥の7人が学食のカフェテラスエリアの一角を占領していた。
「で?」
「っ……。」
ギロリとした眼光を向ける鈴に簪は身を竦めた。
傍から見たらパワハラやいじめにしか見えないが、鈴にはそんなつもりはない。ただ最近一夏が構いっきりだった簪を問い質したいだけで、それは飛鳥以外の全員が同じ気持ちである。
「(何で私呼ばれたんだろう。)」
簪への尋問が行われる中、飛鳥は1人場違いな自分が呼ばれた理由を考えていた。
一夏とは生徒会で仕事を共にすることはあるが、正直副会長という役職は暇だ。会長の補佐や代理が仕事であるため、会長である更識楯無が仕事をしている内は特にやることがない。だから飛鳥は生徒会室に顔を出して自分の分の仕事を終わらせたら、少しお喋りをしてセシリアとの特訓に行っている。一夏の仕事が部活への助っ人が主なのもあって、実はそこまで関わりがない。
もちろん、簪のように一夏に惚れたとかそういうこともない。好感は持っているが、嫌いじゃないというだけだ。
なぜ呼ばれたのか。みんなの思考を読めばすぐに分かることだが、日常生活ではあまりしないようにしている飛鳥はそれをしないで自分だけで考える。
が、面倒になったので聞くことにした。堪え性がない訳ではないが、サプライズする訳でもないのに何も言わないのは飛鳥の数少ないイラッと来ることの内の1つだ。対話を重視している飛鳥にとって、話し合いで済むならそれが1番である。丁度簪への尋問が落ち着いたのもあって、セシリアに聞くことにした。
「それで、何で私も呼ばれたの?」
「そうでしたわ。飛鳥さん、タッグマッチトーナメント優勝おめでとうございます。」
「ありがとうセシリア。……え、それだけ?」
「んな訳ないでしょ、優勝記念にパーティーするのよ。」
「女子だけでね。」と言って、鈴がメニューを開いた。
「元々、1年生の誰かが優勝したらやろうって決めてたんだ。」
「負ける気はなかったが、上級生は強敵揃いだからな。それを退けて優勝した同級生を称えるのは普通のことだろう?」
シャルロットとラウラもそう言ってメニューを覗き込んだ。
「まして、ダブルオークアンタは
セシリアはそう飛鳥に微笑んだ。
「……ちょっと待て。セシリア、戦闘用じゃないとはどういうことだ?」
箒がセシリアの言ったことに聞き返した。
ダブルオークアンタははっきり言ってハイスペックだ。速度は白式と同等、運動性はそれ以上。武器だって並の技術力で作られたものではない。ワープさえする訳の分からない機体だ。
それが戦闘用ではないというセシリアの言葉は、にわかには信じられないものだった。
「言葉通りですわ。ダブルオークアンタは戦闘を目的とした機体ではありません。以前から違和感はありましたが、ようやく確信が持てました。」
「違和感?」
「最低限の武器しか持っていないかのような違和感ですわ。」
右手にGNソードⅤ。左肩にGNシールドとそれに内蔵されたGNビームガン、さらに6機のGNソードビット。普通の専用機であれば十分な数の装備だが、ダブルオークアンタの製作者である葉加瀬なのはとの親交もあるセシリアには、その装備が最低限必要な物を持っているだけのようにしか思えなかった。
「タッグマッチトーナメントで使ったあの粒子放出を見て確信しましたわ。
『こわ。え、こっわ。』
『バレる時はバレることだけど、1回見ただけで言い当てた……。』
『タイプレギュラー見る前から違和感あるとかどうなってるの……?え、セシリアってこんなに頭いいこと言うキャラだっけ?』
『優秀だけどポンコツ気味だった筈じゃ……。』
「――お前を殺す。」
「ヒエッ。」
突然の殺害予告に簪が悲鳴を上げる。ラウラやシャルロットが身構える中、セシリアは呆れたように言った。
「ジョークにしては殺伐とし過ぎていますわよ、飛鳥さん。」
「え、センスない?」
「はっきり言って。」
「そっかー……。」
テーブルの下に
「だから殺伐とし過ぎですわ。わたくしが秘密を暴いた腹いせに皆さんで遊ぶのは止めてくださいな。」
「言いふらされたら困るから口封じしたいのは本当だよ。やり方次第では人類滅ぶし。」
「とんでもないこと言いましたわね?」
人類滅亡と聞いて簪の目がきらりと輝いた。アニメのような代物に気分が高まっているのを察知した飛鳥とセシリアだったが、反応はせずに会話を続けた。
「人類滅亡とは、それほど危険な代物なんですの?」
「私が使う分には問題ないかな。私以外が使うと周りを巻き込んでみんな発狂死するけど。」
「なのはさんは何を作ってるんですの?」
「あの人ぶっ飛んでますわね?」と言うセシリアに「そりゃなのはだし。」と答えた飛鳥は、流石親友と言うべき理解度があった。
『なのはがヤベー奴なのって今に始まったことじゃないからなぁ。』
『ボクのどこがヤベー奴なのさ?』
『親父さんに
「とりあえず、クアンタの用途は国に話さないでくれると助かるんだけど。」
そう言いながらGNソードビットCを手に持った飛鳥が笑った。
「威嚇はいりませんわ。飛鳥さんがそれほどまでに念押しする以上、本当に危険なのでしょうし、本国に話す気はありませんわ。ただ、あのワープについては報告しますけれど、いいですわよね?」
「ありがとう、量子ジャンプなら別にいいよ。」
「みなさんも、それでいいですわよね?」
セシリアの問いかけにみんなが賛同したのを聞いて、飛鳥はビットを収納した。
「ところで飛鳥さん、わたくし聞きたいことがあるのですが……。」
「あ、それは後でなのはに聞いて。私もよく分かってないから。」
「そうですの……。」
互いに
「少しいいか?」
「
「っ、そうだ。」
いつものように身に着けていた眼帯を外し、その下の紅目を見せながらラウラは飛鳥に聞いた。
「私の左目の
「そうだよ。もっと言うならクアンタの仕業だけど。あの粒子には細胞異常とかを治す作用があるからね。ナノマシンの不調が原因である以上、それを治すこともできる。」
「そう、か……。」
「複雑?大丈夫、それで何かが変わる訳じゃない。ラウラ・ボーデヴィッヒの今までの人生が無駄になる訳じゃない。ただ風邪が治ったとか、そういった感じに思えばいいから。」
「……そうだな、ありがとう。部隊のみんなにも後で伝えなければな。」
もはや着けていないと落ち着かないのか、必要ないはずの眼帯をラウラが付け直したところで、飛鳥の優勝記念パーティーは予定通り開始された。
カフェでのパーティーが終わった後、セシリアはなのはから話を聞くためになのはの工房に足を運んでいた。
「(飛鳥さんの反応から察するに、悪いことではないのでしょうけど……やっぱり、不安ですわね。)」
タッグマッチトーナメントで浴びた光の粒子。意識を共有するその輝きを受けた時から、セシリアは自分が今までとは決定的に違う存在になったという自覚があった。
飛鳥と訓練を重ねる内にも経験してはいたが、その比ではない。今まで以上に空間を広く知覚することが出来るし、勘も鋭くなっている。何より
セシリアにはこの謎に対しての答えを聞く権利がある。そして答えて貰わなければならない。自分は一体どうなってしまったのかを。その行き着く先を。
「……なのはさん、セシリアですわ。」
たどり着いた扉を開けて、セシリアは工房に足を踏み入れた。
キャラ多いと均等に喋らせることができない……。というかモチベが戻っていない……。