IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第33話 運動会、それは乙女の戦い 前編

『どうも皆さん、おはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はいはーい。天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』

 

『まず皆さんに説明しなければなりません。前回で8巻終わりです。』

 

『何でそうなったかって言うと、8巻の内容が大体7巻の結果によるストーリーだからだよ。』

 

『倉持技研での白式メンテはゴーレムⅢに機体を壊されたからやったことで、そもそも壊れてもいないので消えました。その結果次世代型量産機計画とかO.V.E.R.S(オーヴァース)とかも消えます。ついでに王理も消えます。』

 

名も無き兵たち(アンネイムド)も、ダリルがアメリカに帰ったことから無人機を知った。帰った原因はゴーレムⅢに機体を壊されたから。当然壊れてないから帰ってないし、無人機のことも知らないから来ない。つまりその手引きで手に入れた山田先生の幕は上げられた(ショウ・マスト・ゴー・オン)もなし。』

 

『ワールド・パージもゴーレムⅢ相手に千冬が出てこなかったから暮桜があることがバレて起こったことで、そもそも私しか戦ってないから暮桜のことがバレてない。つまりクロエが来る理由がない。』

 

『驚くほどフラグを叩き折った結果、8巻がすぐ終わって繰り上がって9巻が始まるよ。束さんが亡国機業(ファントム・タスク)に協力するシーンはマドカが居ると確定だからカット。』

 

あ、それと楯無は8巻無くても一夏に惚れます。原作だと助けられた時にコロッといったけど、それが無くても惚れる辺り一夏は本当に女タラシだと思う。』

 

 

 

 

「却下。」

 

 生徒会室に更識楯無の声が響く。その声に市販の料理本を見ていた天羽飛鳥は顔を上げた。

 

「なんでよ!?」

 

「どうしてですの!?」

 

 生徒会室の生徒会長が座る机の前で、セシリア・オルコットと凰鈴音が楯無に食らいついていた。

 

「あたしが手伝ってあげるっていってんのよ!?ありがたがりなさいよ!」

 

「わたくしたちの申し出を無下(むげ)にするとは、どういうつもりでして!?」

 

 「あぁ、生徒会に入りに来たのか」とやっと納得した飛鳥は、机に置いてあった付箋を取って料理本に張り付けて閉じた。

 

「「理由はっ!?」」

 

「だってもう、人数埋まってるもの。」

 

 生徒会の5つの枠はもう埋まっている。会長は更識楯無、副会長は私、書記は布仏本音、会計は布仏虚、庶務は織斑一夏。3年生の布仏先輩が今年度で卒業だから、その穴埋めとなる人員も必要ではあるんだけど、それも既に埋まっている。

 

「……どうも、このたび生徒会執行部織斑一課配属になった更識簪です。」

 

 IS学園の生徒会は生徒会長が任命する権限を持っている。だから基本仲のいい友人で固めることが多いそうだが、多分ここまで身内で固めているのはこの人だけだろうなぁ、と飛鳥は思った。

 

「簪ちゃんには今年度で卒業しちゃう虚ちゃんに代わって、来年度の生徒会会計としての勉強をしつつ一夏君のスケジュール管理をして貰う予定よ。」

 

「だから織斑一課?ダジャレじゃない!」

 

 ちっとも上手くないのは認める、と扇子は持ってるのにセンスのない会長のネーミングセンスを思いながら、布仏さんが持って来たお菓子を摘まむ。おいしい。

 

「いいでしょう!」

 

 うん?

 

「1週間後、1年生対抗一夏争奪代表候補生ヴァーサス・マッチ大運動会の開催を宣言するわ!」

 

 ……なんて?

 

 

 

 

「つまり、こういうことか。」

 

 夜のIS学園1年生寮食堂で、テーブルを囲む代表候補生たち。

 

「優勝者が一夏と同じクラスになり、それ以外の代表候補生は別クラスに移動……そして、」

 

「一夏と、同じ部屋で暮らす――」

 

 一夏を求める恋する乙女たちによる一夏争奪戦。優勝賞品は一夏と2人っきりの生活。楯無の発案によって1週間後に突如行われることになったそれに闘志を燃やす乙女たちだったが、同じテーブルでマグカップに入ったココアを飲む飛鳥に視線が向いた。

 

「で……飛鳥は?」

 

「んー?参加はするけど、織斑さんは別に要らないかなぁ。」

 

 まず鈴が問いかけた。それにココアを飲みながら飛鳥が答える。

 

「では、飛鳥さんが優勝したらどうなるんですの?」

 

「今のまま変わらずだよ。」

 

 続くセシリアの問いに答えた飛鳥はマグカップをテーブルに置き、ふぅと温まった身体の熱を吐き出した。

 

「別に八百長とかする気はないから、全力でやってよ皆。」

 

「もちろんだ。負けるつもりなどない。」

 

「勝って一夏と……。」

 

 全員勝つ気しかない。それを感じ取った飛鳥は、微笑みを浮かべながらココアを飲み干した。

 

 

 

 

 1週間後、上級生から漏れ出た不安を捌きつつ訪れた一夏争奪代表候補生ヴァーサス・マッチ大運動会。

 

「それではこれより、1年生による代表候補生ヴァーサス・マッチ大運動会を開催します!」

 

 楯無の声に、ワアアアア!と歓声が上がる。突発的に開催が決まったこの運動会だが、IS学園の生徒たちには普通に楽しいイベントだ。お菓子の食べ過ぎでちょっとプニっとしたのが気になってきたお腹回りを燃やすのには持って来いである。

 

「選手宣誓、織斑一夏!」

 

「俺ぇ!?」

 

 楯無のいつものお茶目で何も知らされずに選手宣誓を任された一夏が壇上に引っ張られる。

 

「え、えーと……選手宣誓!俺たちはっ、正々堂々、力の限り、競い会うと……誓います!」

 

 途中途中で「あれ?選手宣誓って何言うもんだっけ?」と考えながらの宣誓に、全学年の女子が歓声を上げた。

 

「会長は相変わらずだなぁ。」

 

 それを見た飛鳥は、少しばかり一夏に同情した。選手宣誓は基本、競い会う者たちが打ち立てるものだ。今回は賞品である一夏は、性差もあって参加することがない。それを不憫に思った飛鳥だったが、すぐに切り替えて自分が率いる白組の優勝を目指して覚悟を決めた。

 

「絶対勝つ……!」

 

 実のところ、飛鳥が優勝した場合は確かに現状維持なのだが、別に賞品がない訳ではない。もし飛鳥が優勝したら、楯無にご飯を奢らせるように既に一夏・本音・虚の3人を味方にして決めているのだ。

 

 まずお菓子で本音を買収し、彼女の巧みな話術で一夏を味方に引き入れ、最後に虚を「優勝したらクラス変えとかしないで、ただ会長にご飯を奢って貰いたい」と真っ正面から話して、クラス変えによる面倒事が起こるより楯無の懐が痛むだけなのを選ばせた。全て計画通り。

 

 因みに虚は楯無が以前手持ちが足りずに自分にお金を届けさせた時の原因が飛鳥であることを知らない。知っていたら食べ放題に行きましょうと言ったのだろうが、知らないので普通にご飯を食べる気でいる。

 

「!?何かしら、悪寒が……。」

 

 楯無が悪寒を感じる中、大運動会は始まった。

 

 

 

 

 第1種目は50メートル走。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 

 鈴がツインテールを靡かせながら1位でポイントを手に入れたのを皮切りに実況がやんややんやと盛り上げる。一夏がコメントに困って脳死で「かわいくていいと思います」と言った瞬間、女子が沸き立った。

 

 勝つと誉められる、それは単純だが嬉しいことだ。しかも相手は一夏である。女子たちは色めき立った。

 

 続いての走者は闘志を燃やす箒と入念にストレッチをするセシリア、そして気合いを入れた拍子にバルンバルンと揺れた胸を放送席から弄られるシャルロット。

 

 恥ずかしがっている間にスタートが切られ、慌てて追おうとして足をもつれさせたシャルロットは当然ビリ。しかも膝を擦りむくなど散々だったが、一夏に抱えられて救護テントに送ってもらったので実質1位。箒とセシリアは不貞腐れた。

 

 次の走者である簪とラウラは一夏に運ばれるシャルロットを見て何か考え付いた様子だった。

 

 スタート直後にわざと転び、「衛生兵、衛生兵はどこだ?」「あいたたたぁ」とわざとらしい演技。もちろん一夏に怒られた上、ビリ確定である。それでも優しくしてくれる一夏に送り出され、2人は走った。

 

 最後に飛鳥。足首のアンクレットからGN粒子を少し放出し、軽くピョンピョンと跳ねて準備運動をしていた。もちろん、スタート位置に着いた時にはGN粒子の放出は止めている。不正切符を切られては敵わないからだ。

 

──パァンッ!

 

 スタートの合図と同時に凄まじい反射神経でスタートダッシュを決め、更にしなやかでパワフルな筋肉でリズミカルに大地を蹴る飛鳥。50メートルを5秒台で走りきり、見事1位を獲得した。

 

 

 

 

『A連打ーーー!!!』

 

『フレッフレッ飛鳥、ガンバレガンバレ飛鳥っ。』

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!!!』

 

──バキッ

 

『『あっ。』』

 

 




 所々(ラブコメ描写&台詞)省いたりして書いた運動会。流石に1話では書ききれなかったので分割。

 最近3000字ちょっとで疲れている自分がいる……。
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