『はいみなさん、おはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』
『今回から割と最終決戦な10巻突入です。大体束さんのせい。』
『11巻も12巻も、後から見ると割と蛇足だよね。』
『束さんが一夏を殺そうとしてるだけだからなぁ、黒騎士もエクスカリバーも赤月も。』
『13巻終了後――2年生以降はそんなことしないんだけどね。』
『まぁ未来のことはさて置いて、対束さんの準備始めよう。』
修学旅行で行く京都への下見――本来なら教員が行うその作業に、IS学園の専用機持ち全員が同行することとなった。
事の始まりは、修学旅行に行けない2年生の更識楯無が生徒会長権限で織斑一夏と一緒に教員の京都下見に同行しようとしたことだった。
もちろん同じ生徒会である妹の更識簪と思考が読める天羽飛鳥と長年一緒に育った布仏虚と勘の鋭い布仏本音――つまり一夏以外の生徒会メンバー全員に即効でその
後日、それが京都に潜伏している国際テロ組織『
「飛鳥。」
「ん?」
寮の部屋から旅行用の大きなカバンを持って出ようとする飛鳥を、葉加瀬なのはは引き留めた。
「本当に、フルセイバーは使わないんだね?」
『フルセイバー』。飛鳥の専用機であるダブルオークアンタを戦闘用へと変える
「うん。フルセイバーは使わない。」
「束さんは本気だよ。」
なのはは
そうなれば完全な敵対ではないとは言え、束とは戦うこととなる。束は世界各国の国家代表より強い上、機体だって世界で最上級の物に乗っている。いや、第四世代【紅椿】を完成させた今、改修され更に性能が上がっているだろう。それはかつて束に師事した2人が知っている確定事項だ。
なのはがフルセイバーを勧めるのは、それだけ束と飛鳥の2人を信じているからだ。フルセイバーを使えば、如何に束であろうと飛鳥には勝てないと。フルセイバーが無ければ、勝てるか分からないと。
だが、飛鳥はそれに首を振った。
「なのは、私は束さんと戦いに行くんじゃない。話しに行くんだ。」
「言っても聞かないのが束さんだよ。」
「知ってる。我が儘で頑固でロマンチストでリアリストな人だってことは十分に。」
他にも束を現す言葉はあるが、あえて飛鳥は束をそう評した。
誰の声にも耳を傾けないで、こうと決めたら曲げない。空に夢を見て、でも未だに羽ばたけずにいる。飛鳥にとって束はそういう人。とても
そういう人だから――
「――想いだけでも、力だけでも、束さんは止まってくれない。フルセイバーは使った瞬間にバッドエンド。ダブルオークアンタだからこそ、ハッピーエンドに辿り着ける。」
「……それは、勘?」
「
「そっか。」
はっきりと言う飛鳥に、なのははいつでもフルセイバーを
「敵わないなぁ、飛鳥には。」
少し困ったように笑うなのはに、飛鳥も笑う。
「分かってるとは思うけど、くれぐれも【
「分かってる。私も死ぬ気はないよ。」
「なら、ちゃんと帰って来てね。束さんも連れて。」
「あの人捕まえられるかなぁ……?」
『叩かれても知らないからね?』
『大丈夫、仕様だから。』
『これを仕様にしてる開発陣おかしくない?』
『スパロボのファンなんだよきっと。』
『ファンならもっとやらないんじゃ……。』
『なのは。』
『なに?』
『クアンタにこれ組み込んだのなのはだってこと忘れないでね。』
『ボタンぽちぽちやってただけなんだけど!?』
「気合が入ってますわね、飛鳥さん。」
「まぁ、相手が相手だからさ。」
京都へ向かう新幹線の座席に座った飛鳥は、隣に座ったセシリア・オルコットと話していた。
「セシリア、今回私は
「?別行動するんですの?」
「ちょっとね。あ、早く終わったからって加勢は要らないよ。1対1じゃないと意味ないから。」
1対1と言う飛鳥にセシリアが首を傾げた。
セシリアで言えば自国イギリスの第三世代IS、BT二号機【サイレント・ゼフィルス】に乗っているあの黒髪の少女が因縁の相手だ。以前相対した時には不意を突かれたのもあってレーザービット4機を破壊されまんまと逃がしてしまったが、今度はそんなことが無いように飛鳥との模擬戦で培った技術で捕まえる気でいる。
だが、飛鳥に
その飛鳥が1対1を望む相手とは誰か。気になって問いかけようとしたセシリアの脳に声が響いた。
「(しー……。)」
「(!脳量子波……どうやら訳ありの様ですわね。)」
すっかり慣れてしまった脳量子波による表層意識の共有による念話で話しかけて来たことに、飛鳥が他人に聞かれたくない事情を抱えていると察したセシリアは、そのまま脳量子波で問いかけた。
「(誰ですの?飛鳥さんのハートを射止めたお方は。)」
「(言い方ぁ!まぁその通りだけど。)」
「えっ(えっ)。」
思わず口と脳量子波の両方で驚いて隣の飛鳥を見てしまったセシリアは、飛鳥が口元に手を当て「しー……」としているのを見て慌てて口を手で塞いだ。
「(色々教えてくれた人なんだ。剣の振り方、身体の動かし方、ISの動かし方、全部。)」
「(なんと……。)」
代表候補生でこそなかったが、飛鳥がISの訓練を行っていたのにはセシリアも気付いていた。動き方が明らかにIS戦を想定された物だったからだ。まさかその相手が
「(なんでも出来る人で、何が出来ないのかさえ探せないぐらい天才な人。だからこそ『世界に飽きていた』。)」
「(飽きていた?)」
「(代り映えしない世界が退屈で仕方なかったんだって。それこそ灰色に見えるぐらい。だから変えようとした。でも相手にされなかった。まだ20歳にもなってない子供の言葉は気にも留められなかった。)」
言葉を尽くして、資料を揃えて、慣れない他人に合わせるなんてことをして臨んだ学会で、待っていたのは嘲笑だった。『夢物語を語る小娘』だとバカにする人間だけだった。
「(それさえ無ければ真っ当な天才で居たんだろうけど。でも現実は非情で、だからあの人は前より増して人嫌いになった。どれだけ言葉を尽くしても聞いてくれないから。)」
「(……それは、寂しいですわね。)」
無視されるならまだ耐えられた。自分がいつも他人にやって来たことだからと納得できた。だが、嘲笑われたことには我慢ならなかった。
「(
「(それは……!?)」
覚えのある数字だった。今や誰もが知っている数字だった。
「(飛鳥さん、貴女の師事した方とは……!)」
「(あの人の作った物は認知された。今じゃ知らない人なんて居ないってぐらい。でも、世界は変わってない。)」
「(変わってない……?そんな筈ありませんわ。ISの登場前と後では、世界は大きく変わっています!)」
「(本当に?)」
飛鳥の今までとは違う雰囲気にセシリアは押し黙った。
「(何も変わってないんだよ、セシリア。既存兵器を超える機動兵器。そうとしか認識されなかったから、そうとしか扱われなかった。結局戦闘機とかがISに取り替わっただけで終わった。)」
世界情勢は確かに変わった。だがそれは技術の進歩で起こりうる程度のことで、かつての蒸気機関や電球のように世界が変わったとはとても言えない。
「(ISの兵器化がされ始めてからは男に動かせ無いようにしたり、500程度しかコアを用意しなかったり、失踪したり。あの手この手で兵器にならないようにしたけど止まらなくて、一石投じるために男性操縦者とか第四世代を用意したらもっと激しくなった。)」
誰も知らなかった真実を語る飛鳥に、セシリアは驚きっぱなしだった。
「(だから、もう終わらせる気でいるんだよ、あの人は。)」
「(終わらせる……?)」
「(ISごと、全部無かったことにするんだよ。)」
独自解釈&原作改変の暴力ッ!
断わっておくと、原作13巻がまだ未発売なので束の真意は分かりません。そもそも書かれるのかも不明です。でもIS二次創作を書く上で必須だったので、捏造させてもらいました。13巻が発売されて原作と乖離したら笑ってください。