IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第6話 天羽飛鳥、偉い人と会う

『はいおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』

 

『前回のあらすじ。』

『天才博士、葉加瀬なのはの策略により恩人である天羽飛鳥と戦う事となったセシリアと鈴。2人の代表候補生は健闘虚しく、相手のシールドエネルギーを少しも削ることが出来ず一般生徒に敗北するのだった……。』

 

『いやー、結構危なかったよね。ボクいつ落とされるかヒヤヒヤしたもん。』

『気付いてた人も居るだろうけど、ボクって実はステータスがあんまり関係しない行動しかしてないんだよ。』

『IS適正はクアンタ引いたから高いけど、操縦も近接も射撃もぜーんぶ初期値だからね。ゲーム内のボクは下手くそなんだ、戦闘。』

 

『本当ならなのはには落ちてもらっても良かったんだけど、評価上がるらしいから2人とも1ダメージも食らわずに倒しました。スッゴい楽しかった。これで代表候補生にはなれるだろうし、コアも貰えるよね!』

 

『それではpart6(第6話)、スタート!』

 

 

 

 

 観客席はざわめいていた。

 

「バカな、第三世代の専用機を使う代表候補生を、第二世代の量産型を使うただの1年生が一度も被弾せず倒すなど、有り得る筈が……。」

 

 代表候補生とはエリートだ。高いIS適正を持つから、秘めた才能を見出だされたからなど、選ばれた理由は個人によって違うが、専用機を持つ者ともなれば、その技量もそれ相応に高い者だけである。

 セシリア・オルコットと凰鈴音。前者は高い適正と努力の末にブルー・ティアーズを手にし、後者はその才覚で1年という短い期間で甲龍を受領した、正になるべくして代表候補生になった2人。その技量は代表候補生として恥ずかしくないものであり、これからの修練にもよるが国家代表になる可能性もある2人。

 

 それが無銘の一般生徒に、ただの1度も手傷を負わせられずに敗北した。

 

「スッゲェ、鈴とセシリアを相手に1発も食らわないで勝った……!」

 

 観客席で見ていた織斑一夏は、単純にその事実に興奮した。

 

「うっわぁ、勝ち進んだらあのペアと戦うのかぁ。」

 

 その隣でシャルル・デュノアは、強敵の登場に冷や汗を流した。

 

「天羽さん、立ち回り巧くなってる……。」

 

 管制室でその様子を見ていた山田真耶は、想像以上の成長をしている生徒に驚いた。

 

二重瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)を使うことで、立ち回りだけでなく技量も持っていることを示したか。本気で代表候補生になりに来たな。」

 

 同じく管制室で見ていた織斑千冬は、その動きから意図を読み取り不敵に笑った。

 

 

 

 

 試合を終えた飛鳥となのはは機体をハンガーに戻し、更衣室で休んでいた。

 

「ふ、ふふふ、1人で両方とも倒せるのにボクを落としたくないとか言っちゃって……ふふふ。」

 

 持ち込んだ白衣をISスーツの上に羽織り、魔法瓶に入れたボタージュを飲みながら、なのはは笑っていた。

 

 IS適正は諸事情でSランクだが、なのはは操縦も戦闘も得意ではない。剣を振ればへにょるし、銃を撃てば余程近くない限り外す。なので最初、なのはは早々に脱落し、飛鳥に伸び伸び戦って貰おうと思っていたのだが、飛鳥がそれを良しとしなかった。

 

「【私はなのはと一緒にブリュンヒルデになるんだから、勝手に落ちるのはダメ!】なぁんて……ふふふ。」

 

 「私、なのはを犠牲にする気ないから!」と猛反発し、その結果として行われたのが試合での完全試合。相手の機体特性、性格、持ってる情報などから、セシリアが飛鳥をレーザービットの包囲網で抑えている間に、鈴がなのはを速攻で落とし、2対1で飛鳥の相手をしようとすると予測したなのはによって、完全にそれを見越した作戦を立案していたのだ。

 

「落ちるのは何が有ってもダメだからね。」

 

「ボクだけの個人戦の時はどうする気?」

 

「乱入して相手を倒す。」

 

「この過保護め。やんないでね?」

 

 笑いながらポタージュを飲み、今行われている試合を見て「次は4組の代表候補生がいるペアと当たるね」と戦況から当たりを着けたなのはは、その後の結果も予想していき、一回戦最後の試合である織斑一夏&シャルル・デュノアvs篠ノ之箒&ラウラ・ボーデヴィッヒで止まった。

 

「んー……。」

 

「どうしたの?」

 

「いや、フランスの秘蔵っ子ってラファールのカスタム機だよね?デュノア社が第三世代作ったって話聞かないし。」

 

「らしいよ。ハッキリ見た事はないけど、聞いた話だとラファールをより武器庫にしてるって。」

 

「――ってことは、それだけ武器の扱いが巧いってことか。」

 

 剣にしろ銃にしろ、武器にはそれが最も効果を発揮する距離や扱い方がある。ショットガンであれば至近距離で発射される散弾全てを当てるのが最もダメージを出せるし、スナイパーライフルであればその射程を活かせる長距離狙撃での使用が一番効果を発揮する。

 

 ラファール・リヴァイヴは元々【飛翔する武器庫】と言われる程、量子変換(インストール)できる武装が多い。それを更に武器庫にするなど、武器の扱いが余程巧くないとやろうと思わないだろう。なら、つまりそう言う事なのだ。

 

()()()()()()()()()()。山田先生みたいなタイプだろうね。」

 

「つまりアサルトライフルの弾を全部ブレードで叩き落として瞬時加速(イグニッション・ブースト)で接近してのブレードでの斬撃は全部回避するかブレードで受け止めて連射してるのに全部直撃コースのマシンガンでの銃撃をしてくるってことだね。」

 

「飛鳥、入試で山田先生に何されたの?」

 

 息継ぎもせず一息で語られた惨状になのはは引いた。そして山田先生の強さにも引いた。多少調整はされているが専用機でもない機体でその動きはおかしいだろと思った。

 

 「瞬時加速(イグニッション・ブースト)した先に当たり前の様にマシンガンの弾があるとかお前絶対忍者だろ……。」と軽いトラウマを負っていた飛鳥と、「そのマシンガンも回避してるでしょ。」と改めて親友の凄さを認識したなのはは、今始まった話題の中心であるフランスの秘蔵っ子の試合に意識を向けた。そこでは――――

 

 ――――ドロッとした黒い泥の様なものが、目指した頂き(ブリュンヒルデ)の姿になっていた。

 

「「――――は?」」

 

 

 

 

『キャー!ラウラが飲み込まれたー!』

 

『笑顔な辺りが飛鳥っぽいよね。助けに行かなくて良いの?』

 

『更衣室からだと着く頃には全部終わってる。』

 

『あー、確かに今からラファール取りに行くと間に合わないか。』

 

 

 

 

【学年別トーナメント中止のお知らせ】

 

「ふざけんなバカ、ビールとソーセージ以外取り柄の無い国がこのヤロー。」

 

 飛鳥はキレた。折角トーナメントをノーダメージ優勝して国の方から代表候補生への誘いをかけて貰おうと頑張ったのに、ドイツの機体が起こした事件が原因で中止になってしまったのだ。

 

「はぁ……学年別トーナメントで活躍できないとなると、授業で頑張るしかないのかなぁ……。」

 

 各国の政府や企業から重役が訪れる学年別トーナメントは、アピールに持って来いの行事だった。3年生はスカウト、2年生は一年間の成果を、1年生はその才能を見られると、IS学園に入学した生徒なら皆知っている。だからこそ飛鳥は強敵として代表候補生や専用機持ちを対戦相手に求めたし、未調整のラファールでもギリギリ出来るテクニックとして二重瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)を使用した。全ては代表候補生へといち早くなるために。

 

 だが中止である。心待ちにしていた行事は中止である。

 

「おのれドイツ……。」

 

 中止の原因であるドイツに呪いの言葉を呟きながら、飛鳥は担任に呼ばれて応接室へと足を運んだ。

 

 コンコンコンッ、とノックし中からの返事を待ってから「失礼します」とドアを開ける。受験シーズンに身に付けた作法はたった数ヶ月で消えていなかった。

 

 応接室。高そうな品が置かれたその部屋の、これまた高そうなソファに腰掛けていた男性が立ち上がり会釈してきた。

 

「こんにちは。天羽飛鳥さんですね?」

 

「こんにちは。はい、私が天羽飛鳥です。」

 

 この人どこかで見覚えがある、と飛鳥は既視感を覚え、直ぐに思い至った。

 

「(防衛大臣だこの人!?)」

 

 防衛大臣は自衛隊を統督する国務大臣であり、日本でのIS関連のことでは一番偉い人である。

 

「(閣僚との話し方とか知らないんだけど!?)」

 

 所詮田舎娘である飛鳥。高校受験に際して中学で面接での受け答えは学んだが、閣僚に失礼が無い態度とは何が適切なのか知る由もなかった。

 

「そう固くならずに。ささ、お座り下さい。」

 

 促されるまま対面のソファに座り、思った以上に沈み込む座面に驚きながらも姿勢を正す。

 

「今日の試合、見させて頂きました。パートナーを守りながらの完全試合。代表候補生2人のチームを相手にその結果を出せたのは間違いなく貴女の力あってこそでしょう。」

「操縦技術、戦闘技術、立ち回り。どれを取っても国家代表に劣らない素晴らしい動きでした。最後の二重瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)は特に。」

 

「は、はぁ……。」

 

 褒められているのは理解できた飛鳥だったが、目の前の人が防衛大臣(偉い人)だと思うと内容は頭に入ってこない。相槌を打つのが精一杯であった。

 

「――――代表候補生、なってみません?」

 

「はい…………はい?」

 

「ありがとうございます。」

 

 …………あれ?

 

「代表候補生ですか!?」

 

「はい。轡木さんから話は聞いておりますので、多少時間はかかりますが自由に扱えるコアもお渡しします。」

 

「~~~!ありがとうございます!」

 

 

 

 

『ゲームであんまり堅苦しいこと描写したくないからだろうけど、割とあっさり候補生になれるよね。』どう描写すれば良いか分からず逃げた結果である

 

『そもそも原作だと普通に代表候補生になる描写がないからね。ヒロインはほとんどもう代表候補生だったし、新しくなったのも事情が特殊で参考にならないし。』

 

『スピンオフで普通に国家代表目指してIS学園に通う一般女子の話とか書いてくれないかなぁ。代表候補生になって専用機貰って国家代表になってモンド・グロッソに出る感じの。まともな描写のない3組の子ならどうとでも盛れるから良いと思うんだけど。』それこの小説では?

 

『結局一夏に惚れるんだろうね、その子。』飛鳥&なのはは惚れません

 

 

 

 

「なぁっ!のぉっ!!はぁっ!!!」

 

「うわ何!?」

 

 工房の扉を蹴破る勢いで入って来た飛鳥に驚き立ち上がったなのはは、そのまま飛びかかってきた飛鳥に押し倒された。

 

「いったぁ!?」

 

「なのは!なのは!!なのはぁ!!!」

 

「ちょっ、飛鳥!待って、重い!」

 

 花も恥じらう女子高生にとても失礼なことを言いながらも、飛鳥に抱きしめられたなのはは口を出すだけで抵抗らしい抵抗をしない。長い付き合いのなのはには、飛鳥がこうなった時は抵抗するとそれをはね除けようと更に酷くなると分かっている。

 

「なのはなのはなのはなのはなのは~!!」

 

「えぇい何時にも増して喧しいな!熊に襲われたボクを助けた時以来か!?」

 

「代表候補生になれたの!!!」

 

 数秒、なのはは呆けた。

 

「代表、候補生?」

 

「うん!!コアもくれるって!!」

 

「たった1試合しただけで……。誰が言ったの?」

 

「防衛大臣!テレビに出てたから間違いない!名刺もくれた!」

 

「行動早いな!?トーナメント中止になって直ぐ候補生にするとか、どんな手を使ったんだ!」

 

「なのは!これでやっと自由に飛べるよ!」

 

「まずはボクの上から退いて、飛鳥!話はそれから!こら揺れるな!胃の中身が出る!ポタージュ出る!」

 

 

 

 

『お、ゲロイン?ゲロインしちゃう?虹吐いちゃう?』

 

『飛鳥、ちょっと収録止めて話し合おうか。』

 

『え、なのは?』

 

『お話し、しよ?』

 

『アッハイ』




結局、代表候補生ってどうなればいいの?という疑問は疑問のまま、《ゲームで堅苦しいこと描写する訳無いだろ!》と逃げました。防衛大臣が飛鳥の試合を見て他国からの誘いが来る前に先んじて権力を駆使してその日の内に代表候補生に捩じ込んだ、と言うのが今回の話です。

何でスカウト対象である3年の試合ではなく未熟()な1年の試合を見てたか、とかの問題点は有りますが、セシリアと鈴の乗る他国の第三世代機を見に来たと言うことでどうかお願いします。

これからは週1を目指して更新をしていきますが、年始もそうですが年度変わりも人間忙しいものなので、されてない場合は「駄竜?あぁ、いいやつだったよ……」と気にしないでください。
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