「ほらほら!こっち来なさい!」
何十体といる
「あんたたちに加減なんて要らないわよね!」
流石の数に、鈴も最初から才能の因子を弾けさせてハイライトを消し、全力で戦闘を始めた。
同時刻。
「(飛鳥さん、良いんですの?)」
「(あの2人が行っても道中のイマージュ・オリジスに手間取って辿り着けないっスよ?)」
その振り分けについて、セシリア・オルコットとフォルテ・サファイアが脳量子波で天羽飛鳥に質問した。
イノベイターであるセシリアたち2人は鈴が怪我をしていることも、その状態で1人戦っていることも知っている。同じ地点から伝わってくる乱の動揺や一夏の悔しいという気持ちも鑑みて、どうも
そうとは知らないながらも「隕石が落下した地点に居るから」と楯無が助けに行くという決定をしたことにももちろん賛成している。しかしヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーと楯無の2人だけでという部分に『他にも連れていけ』と異議を申し立てようとして、それを引き留める飛鳥に何故かを問わずにはいられなかった。
「(なのはが行ってるから大丈夫。)」
「「(ダメでは??)」」
もう1人のイノベイター、葉加瀬なのはが向かっているという飛鳥の言葉にセシリアとフォルテが同時にツッコんだ。
「(IS適性はともかく操縦下手とか言ってなかったっスか?」
「(そもそもISはどうするんですの?危険ではないんですの?)」
2人が知る限り、なのはは専用機も無ければそもそも操縦が下手という、技術者・科学者に特化した才能の人間だ。造った機体や武器の性能は良くても、それを自分では扱い切れない。そのなのはが助けに行けるのか、行っても助けになるのか、2人には疑問が尽きない。
「(もしもの時は量子ジャンプで助けるから大丈夫。)」
「「(ダメでは??)」」
再び重なった脳量子波の声は、なのはが通路の
【グルルァ!?】
「4体目ぇ!」
双天牙月と衝撃砲による連撃で4体目の
【グルァ!】
「くっ!邪魔よ!」
【グルッ!?】
他の個体に邪魔をされるが、双天牙月で受け止めてからダメージを与えるのではなく距離を作るために弾き飛ばし、返す刃で5体目にダメージを蓄積していく。
「これで――っちぃ!」
トドメに最大威力でチャージしていた衝撃砲を叩き込もうとしたところに再び別個体が邪魔をして来る。仕方なくそちらに衝撃砲を叩き込んだ鈴は、素早く2つの双天牙月の柄を連結させるとそれを5体目の
「【崩拳】!」
双天牙月で拘束した
「次っ!」
動かなくなった5体目から双天牙月を回収し、連結を解除して二刀流にした鈴は先ほど最大威力の衝撃砲を食らわせた個体に近付いて再びダメージの蓄積を始めた。
「(これで、やっと5体。)」
この戦闘で鈴に
しかし全滅とはいかないまでも、ある程度の数を減らさなければ鈴も抑え切れない。だからこそ無茶をしてまでハイペースで倒しているが、パワーアシストによってただ動いてるだけではあまり疲れないISを纏っているにも関わらず、疲労感が凄まじい。
「(【
軍用ISとしてかなりのスペックを持っていた【
【グラァ!!】
「やばっ――!?」
【グル!?】
咄嗟に振り返り双天牙月で防ごうとした
「鈴、無事か!?」
シールドバリアーごと
「一夏!?あんたどうして――いやそれより、乱はどうしたのよ?!」
一夏の参戦に鈴が驚くが、それよりも一夏に任せた乱をどうしたのかを問い詰める。
「乱なら――」
一夏が答えようとした瞬間、
「――アタシはもう、大丈夫。」
「乱!」
角武を右手に持った乱が、先程までの取り乱していた雰囲気を振り払って近付いてくる。
「ごめんなさい、おねえちゃん。アタシ……。」
「いいのよ。あんたはまだ中等部なんだから。」
謝ろうとする乱を鈴が止める。いくら訓練をしていても、飛び級していても、乱はまだ子供だからと許す。
「っ、子供扱いしないで!アタシだって代表候補生よ!ちゃんと戦えるんだから!」
「……ふふっ。」
鈴の言い草に反発して乱が怒ると、鈴は笑った。
「何笑ってんのよ!」
「別に。嬉しいだけよ。」
「……嬉しい?」
「乱と一緒のことするの、久しぶりでしょ?だから嬉しいのよ。」
「――。」
鈴の言葉に乱が固まっている間に、鈴は一夏に向き直った。
「で、一夏。乱は時間が経てば元に戻ると思ってたけど、あんたはどうやって零落白夜使えるだけのシールドエネルギーを補充したのよ?」
「あぁ、それはな――」
「――ボクが補給した。」
一夏が答えようとした瞬間、ここには居ない筈の声に急いで振り返った鈴は見知った人物が立っているのを目にした。
「なのは!?」
身近にいる非戦闘要員筆頭、葉加瀬なのは。学年別トーナメントで戦った鈴はなのはの実力を知っている。とてもではないがこんな危険地帯に居て良い人間ではない。
「何で来たのよ!?危ないじゃない!」
「その時は飛鳥が量子ジャンプで跳んでくるから大丈夫。」
「(飛鳥が跳んで来ればそれで全部解決したんじゃ……。)」
身も蓋もないことを考えてしまった鈴だが、続いてなのはの口から出た言葉にその考えは吹き飛んだ。
「
「……!」
【
「他にも色々やってたのに1ヶ月で仕上げるなんて、何があった訳?」
「セシリアと違ってイノベイター用の調整がないから楽だったってのもあるけど、1番の理由は他の作業の進行が止まってるから片手間に進めてたことだね。」
「
鈴がもはや呆れている間に、右手に手袋を嵌めたなのはが空中にコンソールを出現させた。
「さっ、
「お願い。」
スラスターを使わずPICでふわりとなのはの側に寄った鈴に、空中のコンソールを叩き始めたなのはの小声が聞こえてくる。
「駆動系交換完了、スラスター調整終了、システムダウンロードオッケー、パッケージインストール。」
「
エンターキーが押されるのと同時に、鈴の纏う甲龍が光に包まれた。
『何故パッケージのインストールにもミニゲームがあるのか、コレガワカラナイ。』
『開発に絶対ミニゲームマニアがいる、私は詳しいんだ。』
『ともあれ、これで鈴も戦力にはなったね。』
『モンド・グロッソが不安だけどね。』
――見た目の変化はあまりない。機体に黄色のパーツが増えた程度だ。肩部衝撃砲が4つに増えるとか、横を向くとか、胸部装甲が追加されるとかの変化はない。
だが、明らかに存在感が変わっていた。
「説明は後だ。それじゃよろしく。」
「投げやりねあんた。ま、いいわよ。あいつらで試させてもらうから――!」
スラスターを噴かせた鈴が飛翔する。その速度は今までの甲龍よりも速い。
「――へぇ、新しい双天牙月も作ってくれたんだ。気が利くわね。」
外見は同じだが、耐久性・耐熱性が向上していると甲龍のハイパーセンサーによって教えられた鈴が新たな双天牙月を
【グルッ!?】
「パワーも上がってるのね。良いじゃない!」
駆動系ごと交換され今まで以上のパワーで双天牙月を振るえば、シールドバリアーによる軽減さえも気にならない損傷を
「衝撃砲は――最高ね!【龍咆】!」
【グルァッ!?】
【グルル!!】
そんな鈴に向かって
「邪魔よ!」
【グルッ?!】
鈴に飛び掛かった
「――なるほど、この黄色のパーツはそういうことね。良い仕事するじゃない!」
鈴のハイパーセンサーに1つのウィンドウが表示される。
以前の甲龍であれば衝撃砲のある部分でなければいけなかったが、なのはの作った
「甲龍、教えなさい!あんたの力を!」
『――――。』
ノイズを排除し、クリアな思考となって限定的にIS適性をSに引き上げている今の鈴は、ISコアとの意思疎通を少しだが行える。その鈴の呼び声に甲龍は答えた。
「オーケー!【玄武】!」
【グルッ……!?】
これこそ【玄武】の力。指定した空間に圧力を掛けることで、対象を拘束する能力。
動きが止まった相手に肩部衝撃砲を叩き込み、続いて鈴は離れた位置に居る個体に近付いた。
「【青龍】!」
鈴の速度が加速する。空間への圧力を一方向にのみ掛けることでベクトルを操り、加速と減速を操る。それが【青龍】の力。
すれ違いざまに双天牙月の連撃を叩き込み、吹き飛ばし、複数の
「【朱雀】!」
肩部大型衝撃砲【龍咆】に炎が灯る。それは中国も開発した衝撃砲の威力を引き上げる力。即ち、炎の付与。
「吹き飛べッ!」
今までの最大威力より遥かに高威力な衝撃砲が、
機能強化パッケージ【
最大の特徴は機体各部に【衝撃砲】の『空間に圧力を掛ける』機構を盛り込み、本来
他にも