『はい皆さんおはこんばんちは。天っ才博士、葉加瀬なのはだよ~。』
『今回はゲーム【インフィニット・ストラトス】を1人で遊んでいくね。』
『え、飛鳥?』
『皆知ってる?ギリシャ神話に出るイカロスって奴。蝋で出来た翼で空を飛んでたら、太陽に近付きすぎて全身焼けて翼も溶けて落ちて死んだんだよ……。』
『なんでその話を今するの!?』
『あ、飛鳥。もう、時間になっても起きないからボクだけでやろうと思ったのに。』
『やだ!私も遊ぶの!』
防衛大臣直々の勧誘で代表候補生になった天羽飛鳥。その情報は女子特有の高い情報共有能力によって瞬く間にIS学園全体に広まっていた。
「おめでとう、天羽さん。代表候補生になったんだってな。」
「ありがとうございます。セシリアと鈴ちゃんを倒したのが評価されたみたいで、晴れて代表候補生になれました。」
別に女子ではない、と言うか君が女子なら諸々の問題が全部解決する人物である唯一の男性IS操縦者の織斑一夏も、周囲が話していたのを聞いてやって来た。彼の祝福を素直に受け取る飛鳥だが、その表情は少し暗かった。
「どうしたんだ、暗い顔して。」
普段鈍感な癖に今回は目敏く気付いた一夏は直ぐに指摘した。露骨にフラグを立てようとしている。いやらしい……。
「いえ、私の専用機用のコアが臨海学校に間に合わないらしくて。」
7月の頭にある3日間の臨海学校。1日目は海で遊べる楽しい行事だが、その目的は2日目に行う装備試験である。一般生徒はIS学園から持ち出した各種装備の試験運用とデータ取り、専用機持ちは
「臨海学校は普段と違う感じの機体と戦える可能性が高いので、楽しみにしていたんですけど……専用機間に合わないんです。」
「へ、へぇ……。(海じゃなくてそっち?)」
「あと早く全力出せるようになりたい。ラファールは好きですけど遅いし。」
「全力?遅い?」
一夏は知らないことだが、飛鳥はセシリア&鈴コンビを撃破した時ですら全力ではない。飛鳥の全力には並の機体では着いて来れず、壊れてしまうからだ。普段使っている曲がる
他にも剣を振る速度に気を使って腕部装甲が壊れない様にしていたりするし、機体の反応速度が自分の入力速度より遅いのを考慮して飛鳥的には慎重に動いていたりと、まるで子どものオモチャを大人が扱うかのような心持ちで機体を使っている。
「そう言う訳で、私は真面目に戦ってこそいますが、全力は出していません。」
「そうなのか……。」
取り合えず頷いておいた一夏は、この事は
「うーん、コアが無いんじゃぁねぇ……。」
轡木さんから貰った工房に設置した椅子に腰かけ、葉加瀬なのはは画面に表示された作業の進捗状況を眺めていた。
「装甲も武装もシステムもぜーんぶ作り終わって、あとはコアさえ積めばISって名乗れるんだけど……肝心のコアがねぇ。」
画面には武装や装甲などの色々な項目が白い文字で表示されているが、その中のハイパーセンサーやPIC、シールドエネルギー等といった、ISコアに由来する機能だけ文字が灰色となっていた。コアが無いので当然である。
「あーあ、夏休みまで完成は持ち越しかぁ。それまで暇だなぁ。」
もう1ヶ月もかからずにコアが手に入るが、それまで作業は行えない。せいぜい飛鳥のデータを収集し、直ぐにでも入力できるように整えておく程度だ。
「時間もそこそこあるし、テキトーに設計図書いてみようかな。ブルー・ティアーズみたいな射撃系の。」
そうと決まれば、と遊び半分で設計図を書き始めたなのはは、思いの外楽しくなって徹夜した。
『なのは、何やってるの?』
『んー?コア以外完成したから開発で遊んでる。どうせコアは予定日まで手に入らないしね。』
『うわ、なのはの遊びでビットが開発されていく……イギリスとは。』
『メシマズの国でしょ。』
『おいしいのはおいしいから!偏見いくない!』
「なのは~、水着買いに行こ~。」
「今アドレナリンがバーストして胸の鼓動が沸き上がってるからビット開発に忙しい。」
「思考回路焼き切れてない?大丈夫?」
工房に訪れた飛鳥の誘いを訳の分からない言葉と共に断ったなのはは、その目の下に隈を浮かべながら一切の乱れなくキーボードを叩き続けていた。飛鳥はなのはが根を詰めすぎておかしくなってないか心配した。
臨海学校を目前に控えた休日。普段人工島であるIS学園に暮らす生徒たちも、海に行くとなれば必要な物を買いに町へ出るのが普通なのだが。
「海に行って泳がないとか絶対損するよ。日焼け止めとかも買いに行こうよ。あとついでに服も見てさぁ。」
「勝ち取りたい物も無いし飛鳥がテキトーに買ってきて。」
葉加瀬なのは、開発が楽しすぎて親友の誘いさえはね除けていた。
「私が決めて良いの?」
「サイズは知ってるでしょ。何でも良いから買ってきて。」
「ほー、へー、ふーん……分かった。じゃぁ行ってきまーす。」
イタズラが思い付いたかのような、けれど悲しそうな、無理矢理作った様な笑みを浮かべ、飛鳥は工房を後にした。
数分して、
「……あれ、やらかした?」
冷静に考えたなのはは、数時間後に後悔することとなる。
『飛鳥、紐みたいなのは無しね。』
『分かった、貝殻ね。』
『貝殻も葉っぱもなし!普通の買ってよ!』
『着いてこないなのはに選択権はない。』
『操作ミスは仕方ないじゃん!』
ショッピングモール、レゾナンス。都会らしく色々な品揃えをしているそこで、天羽飛鳥は服屋の一角を支配する水着の中から、葉加瀬なのは用の水着を選んでいた。
「オフショルかなぁ、それともホルターネック?バンドゥ……は止めよ。なのはの胸に合わせたらスゴいことになる。やっぱりビキニ系で谷間が見えるのにしたいよねぇ。」
男には分からない呪文を唱えながら色やデザインを見ていく飛鳥。解説すると、オフショルというのはトップ側を肩紐で止めず肩を出した状態のデザインをしたビキニで、ホルターネックは首の後ろで結ぶタイプのビキニである。バンドゥはチューブトップのことだ。
「あっ、クロス・ホルターもある、流石都会。」
紐を前で交差させ首の後ろで結んだりするビキニ。ラッキースケベで前の穴から手が入る。
「が、眼帯ビキニ……!」
トップが四角形の布でできた眼帯に見えるビキニ。ドスケベ。ずれて直ぐポロリしそう。
「迷うなぁ、迷っちゃうなぁ!」
近年充実している女性用水着に目移りが止まらない飛鳥。北海道では基本的に海で泳ぐことはないが、夏には普通にプールに行く。飛鳥も水着は色々と買ってきたが、田舎の品揃えで東京に勝てる筈もなく、知識でしか知らない水着に興奮しっぱなしだ。自分の水着もちゃんと選べるのだろうか?
「なのはには何色が似合うかなぁ。長いゆるふわ茶髪にちっちゃくて可愛らしい真っ白のダイナマイトボディには何が良いかなぁ。」
今まで微塵も描写がなかったが、葉加瀬なのはは女性の低身長の基準数値よりほんの少し低い144cmほどの、腰まで伸びたゆるふわ茶髪を携えた少女である。実は
太陽の下に好んで出ないために日焼けしていない白い肌と、たわわに実ったマウンテンを持った、分類としてロリ巨乳の少女である。具体的に言うとEカップ。
そんななのはに似合う水着を探す飛鳥は、時の流れを忘却して隅々まで探し回った。子供用の場所を見てもEカップを納められる水着はないと言うのに、そこで合計探索時間の3分の1を過ごしていたりしたが、本人はいたって真面目である。このロリコンめ。
「うーん、見てみたいのはピンクの眼帯ビキニ、でも一緒に遊ぶことを考えるとこっちのクロス・ホルターが一番かなぁ。」
Eカップのロリ巨乳の眼帯ビキニ姿を見てみたいという、男が言ったら一発でブタ箱に放り込まれる言葉を言っても許される女子。これが世界の歪み……。(違う)
「まぁどっちも買えば良いか。眼帯ビキニは私の前だけで着て貰おうっと。」
飛鳥は手に持っていた2種類の水着をそのまま買い物カゴに入れた。ストッパーとしてなのはが着いて来なかった結果がこれである。このロリコンめ。
「あとは私の水着か。さっき見つけたワンショルダーの奴買おうっと。」
自分の水着選びが女子とは思えないほど早いが、なのはの水着を選びながら自分の分も探していたので、これはむしろ当然である。ちなみにワンショルダーとはオフショルと似たタイプの水着で、こちらは片側だけ肩が出ているのが特徴である。肌を見せつつ肌を隠すという矛盾した水着だが、普通にかわいい。
「他には何が要るかなぁ。ビーチボールは誰かが持ってくるだろうから遊ぶときに混ぜてもらうとして……浮き輪とか持ってこうかな?プカプカ浮かんでるだけで楽しいし。」
浮き輪、日焼け止めなどを買い物カゴに入れ、最後にぐるりと他に良いものがないか店内を1周してから飛鳥はレジへ向かった。
『眼帯ビキニとか何に使うのさ!』
『ファッションショー。』
『このロリコンめ!』
『原因が何を言うか!』
「飛鳥ァ!」
葉加瀬なのはは憤慨した。必ずあのロリコン、天羽飛鳥を懲らしめると誓った。なのはにはロリコンの気持ちが分からない。何故チンマイのが好きなんだ。自分は背の高いスレンダー(なのは比)な人が好きだというのに。
「サイズ確認よろしく」と渡された袋の中身を着たなのはは、そのまま寮の脱衣所から出て部屋に居る飛鳥へと飛び掛かった。
黒いセミロングの髪をバレッタで纏めた、160cmには微妙に届いていない159.8cmの(なのは比で)高身長。なのはほどではないが十分に白く、しかし健康的な色が着いた肌。別に小さい訳ではないしむしろ平均的とも言えるギリギリCに届かないBカップ。普段ISで行っている無茶苦茶を一切感じさせないながらも、運動していることは一目で分かる引き締まったボディ。
ワンショルダービキニを着てその体を晒す飛鳥は、飛び掛かったなのはをそのまま抱き上げ、自分の膝に座らせた。
「コラ飛鳥!何さこの水着は!」
「眼帯ビキニ。見たかったから買ってきた。」
「このロリコン!布地大きいの買ってきたこと以外許さないからね!」
じたばたと暴れるなのはを抱き締めて押さえ付ける飛鳥。2人は水着である。2人は水着である。
「私はロリコンじゃないよ。ちっちゃい女の子が好きなだけ。」
「それを世間ではロリコンって言うんだよ!」
「全然違う。欲情しないからロリコンじゃないもん。」
散々ロリコンと言ってきたが、本人が言うように飛鳥はロリコンとは少し違う。飛鳥はちっちゃい女の子かわいいなぁと暖かい目で見る人間なのであって、ロリコンの様にちっちゃい女の子に欲情したりしない。せいぜい母親面をする程度で、そこにある感情は保護欲である。
飛鳥はちっちゃい女の子が
以前にラウラの頭を撫で回したのも、このちっちゃい女の子かわいいなぁと思ったからである。ちっちゃい女の子なら見境なく可愛がるのだ。基準としては自分より10cm以上背が低いことなので、
「欲情しないなら眼帯ビキニが許されると思ったの!?」
「私の前以外では着なくていいから、私の前では着て?恥ずかしい格好して?」
「飛鳥実はボクが着いてかなかったの根に持ってるね!?」
「一緒にウィンドウショッピングしたかったんだもん。」
「うっ。」
そもそもの話だが、なのはが飛鳥に誘われた時に一緒に出掛けていれば何も起こらなかった。しかし「何でも良いから買ってきて」と言って顔も合わせず画面しか見ていないなのはに、飛鳥はイタズラとして恥ずかしい格好をさせようと考えた。ん?今何でも良いって言ったよね?と。
「ファミレスで別のを頼んで食べさせあったり、小物店でお揃いのアクセとか買ったりしたかったなぁ。」
北海道の田舎住みだったからか、都会で友達とお買い物というのに密かに憧れていた飛鳥。しかし他ならぬ親友が乗ってくれなかったのでとても悲しい思いをしていた。
「なのはは、私なんかと居るより開発してる方が楽しいもんね。」
「そんなことない!!!(そんなことない!!!)」
「!」
目を金に輝かせたなのはの声が、飛鳥の耳だけでなく頭の中に届く。
「(ボクが一番楽しいのは飛鳥といる時だ!)」
「(飛鳥と過ごす時間が一番好きだ!)」
「(ボクは飛鳥が世界で一番大事だ!!!)」
『大胆な告白だぁ。』
『美少女の特権。』
『でもこの2人、別に互いにLOVEって訳じゃないんだよなぁ。』
『相関図見てもどっちもハート着いてないからね。線もピンクじゃないし、両方親友ってなってるし。』
『うーん、変革の影響かな?』
『とりあえず進めよう。』
「なのは……。」
「飛鳥……。」
密着しながら互いに見つめ合う2人。そんな中飛鳥が口を開いた。
「大胆な告白が許されるのは美少女だけだよ?」
空気が死んだ。
『ブフォッ!www』
『笑う!www これは笑う!www』
『その返しは天才だ!www 良いぞ私!www もっとやれ!www』
「な、な、な……。」
わなわなと震えるなのはを抱え、目を金に輝かせて飛鳥は
「ありがとうなのは。(私も世界で一番なのはが大事。)」
ぎゅぅっと抱き締めた。
「────っ、この、ロリコンめ!」
──ゴツンッ!
「いったぁ!?」
なのはの頭突きが飛鳥の顎にヒットし、なのはは脱衣所に駆けていった。
なおこの間2人はずっと水着である。
VTuberのてぇてぇ切り抜き見ながら書いてたら引きずられましたが、せっかくなのでそのまま採用した話。2人はレズじゃないですよ?これは
違い?ラブかライクかじゃないですかね。(適当)