IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第72話 山田真耶、参戦出来ず

「何であの人日本代表になってないの?」

 

 今日1日の訓練で掻いた汗を貸し切り状態に近いシャワー室で流しながら、天羽飛鳥はどこか空虚な目でそう呟いた。

 

 1日目はグリップを展開して手持ち武器にしたGNライフルビットⅡを、2日目はGNビームサーベルを使った山田真耶は、3日目の今日は使い慣れたいつものサブマシンガンを持って強化訓練を行った。それは何ら不思議ではないのだが、問題は結果である。

 

 何と飛鳥を含めた専用機持ち全員が、真耶の絶対制空領域(シャッタード・スカイ)の餌食になったのだ。

 

 【凍てつく炎(アイス・イン・ザ・ファイア)】で反発装甲(リアクティブ・アーマー)の性質を持った『炎を閉じ込めた氷』を纏ったダリル・ケイシーとフォルテ・サファイアのイージスコンビは、その装甲ごとシールドエネルギーを削り取られ。

 空間に圧力を掛け防壁とする【白虎】を使い自分とペアになったセシリア・オルコット共々防御を固めた凰鈴音は、跳弾の様子から防御の薄い位置を割り出されそこをGNライフルビットⅡの集中砲火で撃ち抜かれ。

 飛鳥に至ってはイノベイターの能力で思考を読んでいた筈なのに絶対制空領域(シャッタード・スカイ)の檻に捕らえられ、抜け出そうとGNソードビットを動かそうとした瞬間にGNライフルビットⅡに撃つ墜とされ、そのまま弾丸の雨に沈んだ。

 

 他の専用機持ちたちも最終的に絶対制空領域(シャッタード・スカイ)の盾の檻に捕らえられ、サブマシンガンの雨に沈むか追撃のGNライフルビットⅡにハチの巣にされた。

 更識楯無は自傷も(いと)わずに自身の第三世代技術であるアクア・ナノマシンを水蒸気爆発させる清き激情(クリア・パッション)で脱出を図ったが、それを察知した真耶がGNライフルビットⅡから放ったビームで先に周囲のアクア・ナノマシンを蒸発させられたことで失敗し、そのまま撃ち抜かれた。

 楯無のペアだった篠ノ之箒はサブマシンガンだけでなく10基のGNライフルビットⅡさえもGNホルスタービットによる檻の隙間から銃口を捻じ込まれビームと鉛玉の雨を浴びせられ、【絢爛舞踏】での回復が間に合わずに墜とされた。

 ラウラ・ボーデヴィッヒは両手のプラズマ手刀で抜け出そうとしたが、その際に右肩のレールカノンを破壊され誘爆を避けるためにパージした隙に風穴を開けられた。

 シャルロット・デュノアはペアであるラウラを助けようにもGNライフルビットⅡに包囲されそれが出来ず、ラウラを落とされた後に絶対制空領域(シャッタード・スカイ)の餌食となった。盾殺し(シールド・ピアース)でGNホルスタービットの檻を抜けようと試みたが、こちらもシールドをパージした隙にGNライフルビットⅡからのビームでそれを破壊され、そのままサブマシンガンの雨に討たれた。

 更識簪と織斑一夏のペアは初手から絶対制空領域(シャッタード・スカイ)を2回やられそれぞれ墜とされた。山嵐からGNミサイルを発射しようとした簪は念入りに発射口を狙われ誘爆し、一夏は抵抗も出来ずにスクラップとなった。

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)と戦うための戦力として転入して来たヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーと凰乱音も連携の隙を咎めるように容赦なく絶対制空領域(シャッタード・スカイ)に沈んだ。

 今日転入して来たファニール・コメットとオニール・コメットは実力の確認が終わるや否や絶対制空領域(シャッタード・スカイ)の最初の餌食になった。いつもの優しさはどこに行ったと言わんばかりに、小学生相手にGNホルスタービットで檻を作りその隙間からサブマシンガンを捻じ込んで跳弾させまくってシールドエネルギーを瞬く間に0にした。

 

 国から専用機を与えられたエリートである代表候補生たちどころかロシア国家代表である楯無にさえも勝利し、その楯無よりも強い飛鳥にさえ勝利した元日本代表候補生・山田真耶。何でこの人代表候補生止まりだったんだとそのことを知っている全員が思った。大体同時期に現役だった国家代表(織斑千冬)のせいである。

 

「今の日本代表が空席なの、絶対あの人たちのせいでしょ……。」

 

 最初に選んだ国家代表があの織斑千冬で、その次にと見込んでいたのが【銃央矛塵(キリング・シールド)】なら、確かに大体のIS操縦者は見劣りする。先人がハードルを上げ過ぎた結果が今の日本代表の空席に繋がっていた。

 

 最近ではもうネームバリューだけで男性操縦者であり二次移行(セカンド・シフト)した専用機【白式】を持つ一夏や第四世代機【紅椿】を持つ箒を国家代表にしようとする動きがあるほど、日本の国家代表選定は迷走している。飛鳥を代表候補生に認定した防衛大臣が押し留めているが、それも1年後にはどうなっているか分からないほどだ。

 

 ちなみに、飛鳥は実力だけなら2代目世界最強(ブリュンヒルデ)のイタリア国家代表アリーシャ・ジョセスターフよりも上なのだが、如何せんそれを示す実績に欠けるために実は一夏たちよりも日本代表に選ばれるだけの票を集められていなかったりする。何せ飛鳥の戦歴はそのほとんどが非公式のもので、現状胸を張って誇れるものと言えばキャノンボール・ファストで1位になったことと、タッグマッチ・トーナメントでイージスコンビ相手に勝利し優勝したことぐらいだからだ。凄いと言えば凄いのだが、軍用IS【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】に勝利した実績のある一夏たちの方が評価が高い。

 

「……実績作り、頑張るかなぁ。」

 

 「取りあえず大会総なめにしよ」と今後の予定を立てて、飛鳥はコンディショナーへと手を伸ばした。

 

 

 

 

絶対制空領域(シャッタード・スカイ)強すぎ問題。』

 

『ビットのせいで妨害しづらい絶対制空領域(シャッタード・スカイ)とか最強では?』

 

『必殺技*1の欠点消えてるのは流石にダメでしょ。何かライフルビットも攻撃に参加して強化されてるし。』

 

『もう全部あいつ1人で良いんじゃないかな。』

 

『政府は早く山田先生の行動制限解除して、どうぞ。』

 

 

 

 

「山田先生って強くないか?」

 

 訓練の疲れを癒すためにすっかり入り浸っている学食のカフェエリアで、一夏が突然そんなことを口にした。

 

「そんなの今更でしょ。無改造のリヴァイヴであたしとセシリアを同時に相手して勝てるのよ?」

 

「えぇっ、そんなに強いの!?」

 

 一夏の言葉に若干の呆れが混じった声で鈴が以前の実習での出来事を言うと、隣に座っていた乱が驚きの声を上げた。

 

「あの時はわたくしもまだ未熟で、鈴さんに至っては本気ではなかったのも負けた理由ですけれど、終始手玉に取られたのは事実ですわね。」

 

「無改造のラファール・リヴァイヴで専用機を相手にして手玉に……凄い方なんですね。」

 

 セシリアの補足にヴィシュヌがその技量に感嘆する。

 

 当然のことだが、ここにいるほとんどの代表候補生が専用機を手にする前に量産機の第二世代ISに乗っていた経験がある。男性操縦者として早々に白式が与えられた一夏でさえ2回だが量産機に乗った。その時のことを考えれば、とてもではないが専用機に勝てるとは思えない。

 

 それを覆して2対1なのに勝利した元日本代表候補生の実力は、間違いなく国家代表に迫る――いや、ともすれば超えている。

 

「山田先生が一緒に戦ってくれればすっげー心強いんだけど。」

 

 一夏のその言葉はこの場に居るほとんどが思っていたことだ。

 

 何なら世界最強(ブリュンヒルデ)の千冬もIS学園には居るが、向こうは有事の際には指揮官という仕事があるために戦いの場に出ることは難しい。しかし山田真耶であればその心配もない。

 

 国家代表クラスの実力者が居てくれれば心強い。しかしそれは未だに叶っていない。

 

「残念だけど、それはまだ無理よ。」

 

 楯無が渋い顔で理由を話し始めた。

 

「知っての通り、山田先生は元日本代表候補生。専用機が与えられたこともあるほどの実力者よ。織斑先生の次に強かったって聞いてるわ。」

 

「教官の次に!?」

 

 強い強いとは思っていたが、現役時代の評価がそれほどまでに高かった事実にラウラが驚きの声を上げる。

 

「でも今はIS学園の教員として働いているでしょ?代表候補生としては引退、専用機も返還しちゃってるから、それがまたISに乗って戦うってなると色々と面倒な書類とか審査とかが必要なのよ。時間が掛かるやつ。」

 

 「少なくとも数ヶ月は戦えないわ」と言う楯無に、そんな理由があったのかと一夏は納得した。

 

「でも、数ヶ月経っても絶対天敵(イマージュ・オリジス)と戦ってるのは嫌だな……。」

 

 そんなことを呟いて、一夏はテーブル上のクッキーを1枚頬張った。

 

 

 

 

 その日の夜、シャルロットのプライベート・チャンネルに1つの連絡が入った。

 

【デュノア社に帰還せよ】

 

 先延ばしにしていた未来が、そこまで迫っていた。

*1
隙の多い大技。クアンタの場合はライザーソード。妨害されやすい代わりに相手のシールドエネルギーを大きく削れる




 キャラ多すぎ問題。ここから更に増えるってマ?オランダの奴とか書ける気しないし……。てかあのISの第三世代技術って何なの……?
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