IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第8話 天羽飛鳥、海に行く

『は~い、皆さんおはこんばんちは。いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥で~す。』

『今横でなのはが眠ってるので、声を抑えながら始めていきま~す。』

 

 

 

 

 臨海学校当日、行きのバスの車内。

 

 隣の席で眠る葉加瀬なのはを起こさない様に、天羽飛鳥は周囲の席に座ったクラスメイトとトランプに興じていた。

 

「葉加瀬さんよく寝てるねぇ、4。」

 

「徹夜で開発してたから、朝起こしても寝ぼけたまま。バス乗ったらまた寝ちゃった、5。」

 

「あー、あるよねぇ熱中して徹夜。私もギャルゲーやってるとつい時間忘れちゃう、6。」

 

「私も耐久配信見てたら朝の4時とか良くあるなぁ、7。」「「「ダウト。」」」「んなぁ!?」

 

 憐れ、名も無きクラスメイトは参加者全員から告発され、20枚のトランプを手札に加えた。

 

「って誰1人として正直者が居ねぇ!?」

 

 手札に加わったトランプの山を見たクラスメイトが叫ぶ。数字が1周して2周目に入ったところの7でダウトを食らったその山には、順番的に誰1人として正直者が居なかったのだ。

 

「そういうゲームでしょ?」

 

「嘘言いながらカードを出すのが楽しいんじゃん。」

 

「正直者しかいないダウトとかダウトじゃない別の何かだよ。」

 

「そうだけど!そうだけどさぁ!」

 

 自分だけ28枚も抱え、他が8枚という現状に泣きかけているクラスメイト。大丈夫、手札が多いと相手の手札もある程度絞れるから、告発しまくれるぞ!

 

「くっ、8!」

 

「9。」

 

「10。」

 

「11。」

 

「12!」「ダウト。」「んにゃ!?」

 

 飛鳥の告発。捲られたのはA(1)のカード。クラスメイトの手札は31枚になった。

 

「なんで!?なんで分かったの!?」

 

「いや、多分手札が多くなったから分かりやすい様に整理したんだと思うんだけど、その状態で一番端っこからカード取ったらそれAかKの2択だからさ。」

 

「その手札で持ってないのある方が確率低いしねー。」

 

「間違えても5枚増えるだけならまだ挽回効くし、そりゃ挑戦するよ。」

 

「うぐぐ……ってまた正直者が居ない!」

 

 クラスメイトよ、手札が多くなって何が何枚あるか分からなくなるのは理解できるが、馬鹿正直に並べ替えると上級者に食い物にされてしまうぞ。

 

「うぅぅ、13……。」

 

「あぁ、泣かないで、1。」

 

「ダイジョブダイジョブ、まだ行けるまだ行ける、2。」

 

「ダウトは手札が多くなってからが本番だから、3。」

 

「4……。」

 

「5。」「ダウト。」「おっとぉ?」

 

 飛鳥の告発。捲られたのは7のカード。クラスメイト(2人目)の手札が11枚になった。

 

「えー?今の何で分かったの?」

 

「視線が泳いだから。多分最初に本当の5を見てから別の出したでしょ?」

 

「うひゃぁ、よく見てるなぁ。」

 

 29対11対6対6。告発者は未だに飛鳥だけ。君たちもっと告発していいんだよ?

 

「うーん、6。」

 

「告発はしないでおくね、7。」「ちょっ。」

 

「今の6じゃなかったんだ。まぁ最初から正直に出すわけないか。8。」

 

「えっと、9。」

 

1(じゅ)0()。」

 

「11。」「あ、ダウト!11は全部私の手札にある!」「しょうがないかぁ。」

 

 飛鳥の手札が増え、10枚に。手札が多いと、こういった占領によるダウトがやり放題なのだ。

 

「あ、そうだ。ねぇみんな。」

 

「ん、どうしたの天羽さん?」

 

「夏休み中に専用機が出来るんだけど、今待機形態のデザインでなのはと揉めててさ。」

 

「どんなアクセにするかで?」

 

「うん。お風呂の時も寝る時もずっと身に着けられるのが良いんだけど、そうなると邪魔にならない形にしないとでしょ?」

 

「そっか、髪飾りとかにしちゃうと髪を洗う時に外さなきゃだもんね。」

 

 専用機となったISは、待機形態という状態で持ち歩くことが出来る。その形状はそれぞれで異なるが、ブルー・ティアーズはセシリアの左耳にイヤーカフスとして、甲龍は鈴の右手にブレスレットとしてなど、出来る限り常時身に着けていられる物が好ましい。中にはマイクや熊のぬいぐるみといった物もあるが、それはまぁ置いといて。

 

「それで、みんなにどんなのが良いかの案を貰おうと思って。」

 

「うーん、邪魔にならないアクセかぁ。」

 

「やっぱり指輪とかブレスレットが良いんじゃないの?ずっと着けてるってなったらさ。」

 

「ネックレスは?そうそう邪魔にならないけど。」

 

 どれもメジャーなアクセサリー。今IS学園にいる専用機持ちたちもそういった形状の待機形態としてISを身に付けている。それを元にすれば、ということなのだが。

 

「学園に居る他の専用機持ちのとは別のにしたいって、なのはが。」

 

「あー、オリジナリティ欲しいんだ。」

 

「そうらしいの。」

 

 オンリーワンを渡したいなのはは、少なくとも1年生の専用機持ちたちと同じ形の待機形態を嫌がった。しかし他に四六時中身に付けられる形が思い浮かばなかった。そして揉めた。

 

「こだわり抜いたのを渡したいんだね、葉加瀬さんは。」

 

「嬉しいけど、元々田舎住みだったから私たちそこまでアクセサリー詳しくないし、お手上げ状態なんだよ。」

 

「あー、確かにブレスレットとかペンダント以外って言われるとパッと出てこないかも。」

 

 「他に何あったっけ……ティアラ?」「お風呂どうするのさ。」とあーでもないこーでもないとクラスメイトと話す中、

 

「アンクレットとか、どう?」

 

 手札最多のダウトよわよわクラスメイトが口を開いた。

 

「アンクレット?なにそれ。」

 

 飛鳥のアクセサリー知識の中にないアクセサリー。北海道の田舎ではお目にかかれない代物なので仕方ない、

 

「何て言うのかな、足に着けるブレスレット、みたいな?」

 

「あー!あれ!」

 

「アンクレットなら確かに邪魔にもならないね!」

 

「ちょっと待って、今画像見るから。」

 

 飛鳥は端末で《アンクレット 画像》と検索し、どんな感じのアクセサリーなのかを確認する。

 

「へぇ、かわいいねこれ。チェーンのも紐のもあるんだ。」

 

「色にもよるけど自己主張も全然しないし、でもワンポイントには十分だから、私は結構使ってるんだ。」

 

「うん、なのはに言ってみる。確かこれは他に居なかったはずだし。」

 

 

 

 

『アンクレットかぁ、着けたことないなぁ。』

 

『いいんじゃない?右足に着けてあげる。』

 

『恋人は募集してないよ。というか起きたんだ。』

 

『うん、今起きた。』

 

 

 

 

「「あっつぅい……。」」

 

 バスが目的地に着いて降りた瞬間、飛鳥となのはは夏の暑さにダウンした。

 

「梅雨のジメジメも嫌だけど、この突き刺す暑さはもっと嫌ぁ……。」

 

「飛鳥ぁ……飛鳥ぁ……!」

 

「なのは……いま、そっちに……。」

 

 北海道は周知の事実だが日本で一番の北に位置する都道府県である。同じ国だと言うのに本州とは気候が違い、北海道には雨こそ多く降る時期はあるが梅雨は無いし、夏も本州に比べれば涼しい気温までしか上がらない。そのせいで北海道の人間が梅雨や夏の時期に本州に行くと、北海道との気候の違いに体調を崩す人が後を絶たない。

 

 今、程度の差こそあれ飛鳥となのははそれを味わっていた。

 

「なのは……海水って冷たいかな……?」

 

「気温よりは冷たいはず……。」

 

「海に浮かんでた方が涼しいかな……?」

 

「そーだね……海に入った方が休めるかも……。」

 

「行こっか……。」

 

「うん……。」

 

 

 

 

『本州は暑いからね、ダウンするのが普通。』

 

『中学の修学旅行で東京に行った時は、あまりの暑さにみんなダウンしたよね。』

 

『懐かしいなぁ、班行動してたら外国人が話し掛けてきて、班員が無駄に英語で返したらそのまま路地の店に連れ込まれたっけ。』

 

『修羅の町だったよね。』

 

 

 

 

「あぁ~、海水が気持ちいぃ~……。」

 

「波で思ったより酔いそうだけど、これいいかも……。」

 

 水着に着替えた飛鳥となのはは、揃って砂浜から数歩進んで、寝っ転がってようやく全身が海水に浸かる程度の浅い場所で体を冷やしていた。

 

「そういえばさ~。」

 

「ん~?」

 

「明日の装備試験ってさ、この暑い中やるんだよね?」

 

「そだね、旅館でするわけにもいかないし、やるなら30度超えの外だと思う。」

 

 臨海学校の本来の目的であるISの各種装備の試験運用。第二世代量産機である打鉄の超長距離射撃装備【撃鉄】などの、IS学園ではスペースの関係で正確な運用データが取れない装備のデータ取りのための臨海学校なのだ。

 

「やだなぁ……ISスーツとか絶対汗吸ってスゴいことになるし……。」

 

「その前にボクたちが立ってられてたら、だけどね。絶対熱中症で倒れるよ。」

 

「なのは、あれ作ろうよ。ギリシャの第三世代の。」

 

「コールド・ブラッド?」

 

「そうそれ。あれって確か冷気を操るんでしょ?暑さ対策に作ろうよ。」

 

「作るのには賛成だけど、流石に明日までに完成は無理だよ?」

 

 機材も資材も時間もないのでどうしようもない。

 

「そっかぁ……。」

 

「コールド・ブラッドと言えば、アメリカのヘル・ハウンドとのコンビネーションを元にギリシャで新機体が作られてるんだって。」

 

「あー、なんだっけ、【イージス】だっけ。相転移がどうの~、って聞いたことある。単機で出来るようにしたんだ?」

 

「乗り手にも結構な技量がないと、根本が同じでも方向性の違う2つのイメージ・インターフェースを巧く扱えないのに、よくやるよ。炎を出しながら冷気を出すのはイメージ・インターフェースでやるには難しいのに。」

 

 ギリシャの第三世代機【ヘル・アンド・ヘヴン】。IS学園の名コンビ【イージス】が行う互いのイメージ・インターフェースを組み合わせた、分子の相転移が起こる領域を作り出しあらゆる攻撃を受け止める防御結界を単騎で使用することを目的とする機体。根本が同じである2つのイメージ・インターフェース故に可能な、イメージ・インターフェースを2つ搭載した機体。それ故に扱いは難しく、高い情報処理能力がないと防御結界の展開などできない。

 

「ま、2つのイメージ・インターフェースがあるだけで試合には有利だし、いいんじゃない?炎の非実体攻撃と冷気で作った氷柱の実体攻撃を使い分けられるんだし。」

 

「主武装ミサイルなんだよねぇ、なぜか。」

 

「……まぁ、無いよりはいいから。」

 

 属性攻撃が2つもあるのにミサイル(無属性)攻撃も採用しているヘル・アンド・ヘヴン。他にも榴弾とか積んでるのだが、拡張領域(バススロット)が広いのだろうか。イメージ・インターフェースを2つ積んでるのに全部で装備が5つもある。

 

「白式に見習って欲しいね、この装備量。」

 

「なんでマイクロミサイルと普通のミサイルを同時採用してるのこれ?どうせなら規格合わせた方が総合的にプラスだと思うんだけど。弾薬の種類絞れるし。」

 

「使い分けるにしては射程距離ダブってるし、何したいんだギリシャは。」

 

 空中に表示されたヘル・アンド・ヘヴンの開発データを見ながら、2人は海に浸かり続けた。




 現状アーキタイプ・ブレイカー√に行くかは未定だったりします。何故なら10巻後の展開がとても面倒になるから。でも扱ってる題材的にはやらなきゃ嘘だろと言うね。
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