最新装備受領のためフランスに帰国したシャルロット・デュノアと、その付き添いで共にフランスに飛んだ織斑一夏と更識簪の3人が居ない間、IS学園ではこれといって何か特別なことは無かった。
最近はもはや日課に変わりつつある
そんな日々を送ることほんの2、3日。無事にフランスから帰ってきたらしい3人が朝一で本島とIS学園を繋ぐモノレールに乗って戻って来るのを感知した
「デュアルコアねぇ。」
なのはの目的はただ1つ。世界初のデュアルコア搭載機、【リィン=カーネイション】をその目で確認することだ。
本来、シャルロットが今回の帰国で受領する最新装備というのは、デュノア社が作り上げた第三世代機IS【コスモス】の筈だった。
【
第三世代機の開発に遅れに遅れていたデュノア社が作ったその機体は、より大容量となった
しかし蓋を開けてみれば、テレビやネットのニュースで流れてきたのは【世界初のデュアルコア!】というタイトルとなのはも見たことがない未知の機体。興味が湧くのは当然と言えた。
「アルベールが何かしたとは思えない。順当に進むことは出来ても、段階を踏み越えることが出来るタイプじゃない。となれば、人の意識に呼応したコアたちの
デュアルコアという前代未聞の機体の情報を手にするや否や、なのははどうしてそれが生まれたのかを考えていた。
作ったというのは有り得ない。デュノア社の社長であるアルベール・デュノアは確かに優秀な男だが、それでも段階を飛ばして飛躍するタイプの人間ではない。デュアルコアという代物への足掛かりがあれば別だが、今までISにコアを複数個乗せるというのは467個しかないコアの数の問題やコア同士の相性問題など、クリアする必要がある問題が多くて実用化するまでの採算が取れず割に合わないと既に切り捨てられた考えだ。経営者でもある彼がすることではない。
となれば、偶然相性の良いコア同士が、人の意識に呼応して
「でもそれで生まれたならかなり不安定な筈だ。早めに確認しないと。」
「だそうです。」
「事情は分かった。公欠扱いにしておくから早めに終わらせろと伝えて置け。」
「分かりました。」
朝。ホームルームにやって来た担任の織斑千冬にそのことを伝えた飛鳥は、脳量子波でなのはに連絡を取って席に着いた。
「さてお前たち。あと1週間ほどで冬休みだが、その前にいい報告がある。」
「え、なになに?」「また転入生が来るとか?」
「延期になっていた期末テストの日程が決まった。」
――シーーーン…………
1年1組の空気が死んだ。
「「「やだー!!!」」」
「
「あの、織斑先生?それって私たちは……。」
おずおずと篠ノ之箒が手を挙げながら質問した。
そんな専用機持ちたちに千冬は笑って答えた。
「安心しろ、赤点を取らないようにみっちり教えてやる。」
「ヒェッ。」
いっそ獰猛と言えるその笑みにクラスの誰かが悲鳴を上げた。そんな中、ファニール・コメットとオニール・コメットが不思議そうに首を傾げた。
「みんな、どうしてそんなに怯えてるの?」
「テストなんて勉強してたら余裕でしょ?」
小学生であるコメット姉妹には、未だにその辛さが分からないらしい。
「テストで点が取れても、テストが嫌なことは変わらないんだよ……。」
「これで大丈夫だって思えない不安……あれ嫌い……。」
テストへの不安と呪詛がクラスを埋め尽くす。空気が淀んで見える中、それを断ち切って千冬が口を開いた。
「期末テストが終われば生徒会主催のクリスマスパーティー、そして冬休みだ。今年のクリスマスパーティーは
「本当ですか?」
いくつかの視線が生徒会のメンバーに向けられた。しかし直近の打ち合わせに参加していない一夏と簪は参加しているメンバーに視線を向け、生徒会書記である布仏本音には何故か、そう何故か誰も視線を向けず、視線が集中した飛鳥はその視線に答えるように言った。
「前回がどうかは知らないけど、会長主導だから楽しくなるとは思うよ。いくつか検閲したけど。」
「「「おー!」」」
飛鳥の言葉にクラスの雰囲気が一気に良くなる。
「クリスマスを憂いなく過ごすために、勉強を頑張らないとな。」
「「「おー……。」」」
千冬によって再び地に落ちた。
「葉加瀬さん、リィン=カーネイションはどう?」
なのはの工房に招かれたシャルロットは、新たに生まれた自身の専用機【リィン=カーネイション】にコードを繋いでコンソールを開き数値やプログラムを見ているなのはにそう聞いた。
「愛による
それになのははキーボードを叩く手を止めずに答える。
「元々君のデータを大量に溜め込んだラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡのコアと他人が乗ってたコスモスのコアが機体ごと合わさってる機体だ。その語弊がまだ修正し切れてない上、新しくなった機体にも適応し切れてない。バグってはいないのが奇跡だね。」
「そんなに……。」
「ボクとしては機体の合体を解いてコスモスに1週間ぐらい乗ることを勧めるよ。それだけでかなり違う筈だ。まぁ2機のISに乗ると片方が拗ねるんだけど。」
「拗ねる?」
なのはの言葉にシャルロットが首を傾げる。そんな話を聞いたことがなかったからだ。
「最初に乗ってた方のコア人格がね。自分の
「天羽さん?」
「――ともかく、君もちゃんと機体と話を付けた方が良い。拗ねると本当に面倒臭いから。」
「う、うん。」
それだけ言って、なのははキーボードを叩く手を加速させた。
『リンカネのスペックやっぱおかしいって。』
『最新鋭第三世代がコア2つで性能が2倍以上とかいうね。』
『その癖して武装が豊富でスピードも速いからなぁ。』
『第三世代の中でトップ3なのは間違いないよね。』