IS 今こそ対話する!   作:駄竜

80 / 122
ダブルオークアンタ+コマンドガンダムのオリジナルガンプラ【ガンダムダブルオーコマンドクアンタ】が発売するらしいですね。実弾系クアンタ……そう言うのもあるのか


第80話 葉加瀬なのは、機体を見る

 最新装備受領のためフランスに帰国したシャルロット・デュノアと、その付き添いで共にフランスに飛んだ織斑一夏と更識簪の3人が居ない間、IS学園ではこれといって何か特別なことは無かった。

 

 最近はもはや日課に変わりつつある絶対天敵(イマージュ・オリジス)の襲来を捌き、毎年やっているらしい生徒会主催のクリスマスパーティーの打ち合わせをして、師走(しわす)だからか何やら慌ただしい職員室の喧騒(けんそう)からそっと目を逸らす。

 

 そんな日々を送ることほんの2、3日。無事にフランスから帰ってきたらしい3人が朝一で本島とIS学園を繋ぐモノレールに乗って戻って来るのを感知した()()()()()()は、自分の荷物を天羽飛鳥に持たせて先に教室に行かせ、モノレールが到着するのを駅で待っていた。

 

「デュアルコアねぇ。」

 

 なのはの目的はただ1つ。世界初のデュアルコア搭載機、【リィン=カーネイション】をその目で確認することだ。

 

 本来、シャルロットが今回の帰国で受領する最新装備というのは、デュノア社が作り上げた第三世代機IS【コスモス】の筈だった。

 

 【花びらの装い(ル・ブクリエ・デ・ペタラ)】というイメージ・インターフェースによる操作で実弾兵器を受け流すエネルギーシールドを展開できる第三世代技術を搭載し、さらにその性能は全ての面においてラファール・リヴァイヴを越えた新たな傑作機。

 

 第三世代機の開発に遅れに遅れていたデュノア社が作ったその機体は、より大容量となった拡張領域(バススロット)からくる汎用性や、ラファール・リヴァイヴの正統な後継機としてのパッケージの互換性を兼ね備えた、間違いなくシャルロットが今まで以上の力を発揮できる機体だった。

 

 しかし蓋を開けてみれば、テレビやネットのニュースで流れてきたのは【世界初のデュアルコア!】というタイトルとなのはも見たことがない未知の機体。興味が湧くのは当然と言えた。

 

「アルベールが何かしたとは思えない。順当に進むことは出来ても、段階を踏み越えることが出来るタイプじゃない。となれば、人の意識に呼応したコアたちの共鳴現象(レゾナンス・エフェクト)が誕生の切っ掛けか。」

 

 デュアルコアという前代未聞の機体の情報を手にするや否や、なのははどうしてそれが生まれたのかを考えていた。

 

 作ったというのは有り得ない。デュノア社の社長であるアルベール・デュノアは確かに優秀な男だが、それでも段階を飛ばして飛躍するタイプの人間ではない。デュアルコアという代物への足掛かりがあれば別だが、今までISにコアを複数個乗せるというのは467個しかないコアの数の問題やコア同士の相性問題など、クリアする必要がある問題が多くて実用化するまでの採算が取れず割に合わないと既に切り捨てられた考えだ。経営者でもある彼がすることではない。

 

 となれば、偶然相性の良いコア同士が、人の意識に呼応して共鳴現象(レゾナンス・エフェクト)を起こした末に誕生したと考えた方が辻褄(つじつま)が合う。

 

「でもそれで生まれたならかなり不安定な筈だ。早めに確認しないと。」

 

 共鳴現象(レゾナンス・エフェクト)は確かにISの段階を飛躍させるが、その直後は不安定な状態が続く。悪影響が出る前に確認しないと、となのはは目の前に停車したモノレールを見て右手にマスターハンドを嵌めた。

 

 

 

 

「だそうです。」

 

「事情は分かった。公欠扱いにしておくから早めに終わらせろと伝えて置け。」

 

「分かりました。」

 

 朝。ホームルームにやって来た担任の織斑千冬にそのことを伝えた飛鳥は、脳量子波でなのはに連絡を取って席に着いた。

 

「さてお前たち。あと1週間ほどで冬休みだが、その前にいい報告がある。」

 

「え、なになに?」「また転入生が来るとか?」

 

「延期になっていた期末テストの日程が決まった。」

 

――シーーーン…………

 

 1年1組の空気が死んだ。

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)の出現を受けドタバタしていたIS学園は、教員側がテスト問題を用意する時間さえも削っていたために今の今まで2学期の期末テストが延期されていた。その日程が決まったのは良い報告であるのは間違いないが、学生には死刑宣告である

 

「「「やだー!!!」」」

 

(わめ)いても今度ばかりは延期も中止もない。絶対天敵(イマージュ・オリジス)が来ようと撃退次第すぐに再開する。」

 

「あの、織斑先生?それって私たちは……。」

 

 おずおずと篠ノ之箒が手を挙げながら質問した。絶対天敵(イマージュ・オリジス)と戦うのは専用機持ちである彼女たちである。試験勉強中に襲撃でもあったら戦わなければならない。とても不利だ。

 

 そんな専用機持ちたちに千冬は笑って答えた。

 

「安心しろ、赤点を取らないようにみっちり教えてやる。」

 

「ヒェッ。」

 

 いっそ獰猛と言えるその笑みにクラスの誰かが悲鳴を上げた。そんな中、ファニール・コメットとオニール・コメットが不思議そうに首を傾げた。

 

「みんな、どうしてそんなに怯えてるの?」

 

「テストなんて勉強してたら余裕でしょ?」

 

 小学生であるコメット姉妹には、未だにその辛さが分からないらしい。

 

「テストで点が取れても、テストが嫌なことは変わらないんだよ……。」

 

「これで大丈夫だって思えない不安……あれ嫌い……。」

 

 テストへの不安と呪詛がクラスを埋め尽くす。空気が淀んで見える中、それを断ち切って千冬が口を開いた。

 

「期末テストが終われば生徒会主催のクリスマスパーティー、そして冬休みだ。今年のクリスマスパーティーは絶対天敵(イマージュ・オリジス)との戦いでストレスを感じているお前たちのために、生徒会長が一際豪華にするらしいぞ。」

 

「本当ですか?」

 

 いくつかの視線が生徒会のメンバーに向けられた。しかし直近の打ち合わせに参加していない一夏と簪は参加しているメンバーに視線を向け、生徒会書記である布仏本音には何故か、そう何故か誰も視線を向けず、視線が集中した飛鳥はその視線に答えるように言った。

 

「前回がどうかは知らないけど、会長主導だから楽しくなるとは思うよ。いくつか検閲したけど。

 

「「「おー!」」」

 

 飛鳥の言葉にクラスの雰囲気が一気に良くなる。

 

「クリスマスを憂いなく過ごすために、勉強を頑張らないとな。」

 

「「「おー……。」」」

 

 千冬によって再び地に落ちた。

 

 

 

 

「葉加瀬さん、リィン=カーネイションはどう?」

 

 なのはの工房に招かれたシャルロットは、新たに生まれた自身の専用機【リィン=カーネイション】にコードを繋いでコンソールを開き数値やプログラムを見ているなのはにそう聞いた。

 

「愛による共鳴現象(レゾナンス・エフェクト)を起こした結果の融合なら大丈夫だとは思ってたけど、コア同士の相性は良好。問題は機体とまだ馴染んでないことだね。」

 

 それになのははキーボードを叩く手を止めずに答える。

 

「元々君のデータを大量に溜め込んだラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡのコアと他人が乗ってたコスモスのコアが機体ごと合わさってる機体だ。その語弊がまだ修正し切れてない上、新しくなった機体にも適応し切れてない。バグってはいないのが奇跡だね。」

 

「そんなに……。」

 

「ボクとしては機体の合体を解いてコスモスに1週間ぐらい乗ることを勧めるよ。それだけでかなり違う筈だ。まぁ2機のISに乗ると片方が拗ねるんだけど。」

 

「拗ねる?」

 

 なのはの言葉にシャルロットが首を傾げる。そんな話を聞いたことがなかったからだ。

 

「最初に乗ってた方のコア人格がね。自分の操縦者(パイロット)を盗られたってもう片方に嫉妬するんだよ。飛鳥もそれで苦労して――」

 

「天羽さん?」

 

「――ともかく、君もちゃんと機体と話を付けた方が良い。拗ねると本当に面倒臭いから。」

 

「う、うん。」

 

 それだけ言って、なのははキーボードを叩く手を加速させた。

 

 

 

 

『リンカネのスペックやっぱおかしいって。』

 

『最新鋭第三世代がコア2つで性能が2倍以上とかいうね。』

 

『その癖して武装が豊富でスピードも速いからなぁ。』

 

『第三世代の中でトップ3なのは間違いないよね。』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。