『はい皆さんおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』
『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよ。』
『11巻が本格的に始まりました。この後イギリスまでセシリアのプライベートジェットで移動してその日の内にエクスカリバーを破壊しに行きます。なのはだけ。』
『まさか生徒会主催のクリスマスパーティーのせいで行けないなんてねぇ。』
『おのれ楯無……。』
「はぁ……。」
朝6時に空港から飛び立ったオルコット家所有のプライベートジェットの中で、その持ち主であるセシリア・オルコットは溜め息を吐いていた。そんなセシリアに凰鈴音が隣の座席から声を掛けた。
「元気出しなさいよセシリア。飛鳥たちだって嫌で来なかった訳じゃないんだから。」
「それは分かっていますけど……。」
今日で16歳となるセシリアの誕生日パーティー。イギリスのオルコット家所有の城で行われるそれに友人たちを招待したセシリアだったが、その表情は暗い。
それもそのはず。今日12月24日は生徒会主催のクリスマスパーティーがあるために生徒会ツートップである更識楯無と天羽飛鳥の2人はブー垂れながらもそちらを優先し、最近仲良くしているイージスコンビの2人は片割れであるダリル・ケイシーが学生最後のクリスマスだからとIS学園でのパーティーを選択し、もう片方のフォルテ・サファイアもダリルが居るからとIS学園に残り、
結局招待出来たのは織斑一夏、篠ノ之箒、鈴、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、更識簪、葉加瀬なのは、そして織斑千冬の8人だけ。他にも誘えば来そうな人は居たが、期末テスト直後で疲弊している人が多かったこと、生徒会主催のクリスマスパーティーを楽しみにしている人が多かったこともあって出来なかった。
そんな訳でイギリスから持って来た40人は乗れるプライベートジェットの座席は半分以上が空席で、それがセシリアには悲しかった。
そうしていつまでも暗い顔から変わらないセシリアの頭に、鈴がチョップを入れた。
「今日の主役が湿っぽくなってるんじゃないわよ、ったく。」
「鈴さん……。」
「来年も再来年もあるでしょうが。今年呼べなかったからって落ち込んでるんじゃないっての。」
「……そうですわね。ありがとうございますわ、鈴さん。」
「それはそれとしてお返しですわ!」と鈴にもチョップを入れたセシリアと鈴のじゃれ合いを耳にしながら、なのははセシリアに渡す誕生日プレゼントの最終確認をしにマスターハンドを嵌め空中に画面を投影した。
『まぁ量子ジャンプで宇宙に飛んでエクスカリバー戦には参加するんだけどさ。』
『何でこのゲーム量子ジャンプで外国とか宇宙まで行けるんだろうね。』
『ゴッドガンダムも単機で宇宙に行けるし国家間移動できるし今更じゃないかなぁ。』
『Gガンに基準を求めるのはダメじゃない……?』
「寒っ!?」
12時間のフライトと9時間の時差により、午前9時にイギリスの空港に到着したオルコット家所有のプライベートジェットから降りた一夏が、すかさず自分の身体を抱きしめた。
「もう、一夏?フランスでも寒かったのに、もっと北にあるイギリスがフランス程度の寒さで済む訳ないでしょ?」
見かねたシャルロットが自分の被っていたニット帽を一夏に被せてほくそ笑む。
「シャルロット……?」
それを鋭い目で見つめる箒とラウラ。羨ましそうに見つめる簪。やれやれと言った風に見つめる千冬。そこにパイロットにお礼を言いに離れていたセシリアが不思議そうな顔で戻ってきた。
「どうしましたの?」
「後でシャルロットへの査問会が必要ねって。」
「へぇ……。」
「み、みんな?」
じろり、となのは以外から視線を向けられたシャルロットが助けを求めるようになのはに視線を向けると、飛行機の中と変わらず空中に投影した画面を見ていたなのはが自然な形でスッ、とシャルロットから距離を取った。明らかに見捨てていた。
ガーン!とショックを受けるシャルロットを見かけて千冬が助け舟を出した。
「いつまでじゃれ合っている。さっさと入国審査を済ませるぞ。」
「織斑先生……!」
ぱぁ……!と笑顔で千冬を見たシャルロット。
「そういう話は夜にするぞ。」
「織斑先生……!?」
否。時間を決めることで逆に逃げられなくしていた。しかも『するぞ』と言ってる辺り自分も参加する気満々である。
「おーい、早く行こうぜー。」
そんな中、空気を読まずに僅かに先に進んで自分たちを呼ぶ一夏の鈍感さが、今回ばかりは羨ましいとシャルロットは感じた。
『一方その頃IS学園では、司会進行役として楯無が大活躍していた!』
『ビンゴの景品豪華だよねぇ。ほぼ食券だけど。』
『学校からの活動費でゲーム機とか買われて景品にされても困るから多少はね?』
『コードレス掃除機はセーフなの……?』
「それでは、わたくしはチェルシーを連れ戻しに行って参りますわ。」
オルコット家のリムジンで空港から今夜セシリアの誕生日パーティーが開かれる城へとやって来た一同は、それぞれパーティー用の衣装を仕立てるためにメイドたちに採寸され、また希望のデザインを聞かれている最中、セシリアはそう言って席を外した。
「チェルシーは……町の方ですわね。」
イノベイターの直感を頼りに、セシリアは町へと繰り出した。
「おい、セシリアは大丈夫なのか?」
城のドレスルームで参考になるようにと多数のドレスを見せて貰いながら、ラウラが先ほどセシリアが出て行ったドアの方を見つめながらそう言った。
「大丈夫でしょ。自分とこのメイド1人連れ戻すだけなんだし。」
「だが相手はイギリスが極秘で製作していたBT3号機を強奪し、なおかつ世界でも数少ない
「セシリアを信じなさい。何せ普段飛鳥にしごかれてるのよ?今更ちょっと強い程度の相手じゃ問題にならないわよ。」
「……そうだな。ところで鈴。」
「何?」
「なぜドレスをそんなに憎そうな顔で見ているんだ……?」
鈴の視線は、ドレスの中心のある1点から動かなかったことを明記しておく。
「追い詰めましたわよ、チェルシー。」
「流石です、お嬢様。ハイヒールでこれ程までの身のこなし。感服いたします。」
街中のとある袋小路。そこにはオルコット家専属メイド筆頭のチェルシー・ブランケットと、それをここまで追ってきたセシリアの姿があった。
「チェルシー、追いかけっこはもう終わりにしましょう。」
「私もそのつもりです。しかし、何もせずにお嬢様の元に戻る訳には参りません。」
そう言うと、チェルシーは自身の専用機となっているBT3号機【ダイブ・トゥ・ブルー】の
「決闘です、お嬢様。」
「望むところですわ。わたくしが勝てば、あなたの口から全てを話してもらいます。」
「もちろん。では私が勝った時は、そうですね……一夏様をいただきましょう。」
「あら。」
――ぴとっ……
くすくすと笑ってそう言ったチェルシーの首筋に、セシリアの握る剣の腹が当てられた。
「……っ!?」
「チェルシー。あなたが一夏さんにほのかな恋心を抱いているのは知っていますけど、わたくしを差し置いて一夏さんが欲しいだなんて……ちょっと『躾』が必要なようですわね?」
すっ、と首筋から剣を離し、距離を取ったセシリアが剣を構えた。
「4ポイント先取としましょう。あと3ポイント。お相手、お願いいたしますわよ、チェルシー。」
「……はい、お嬢様。」
セシリアに促されるまま剣を構えたチェルシーは、「参ります」と声を上げてから1歩踏み込み、
「っ!?」
「2ポイント。チェルシー、わたくしを見くびらないで。IS学園にはただ通っていただけではありませんわよ?」
「……申し訳ございません。」
「さぁ、踊りましょうチェルシー。大丈夫、あなたの肌には絶対に傷付けたりはしませんわ。」
目を金色に輝かさせたセシリアの言葉に、チェルシーは身体を震わせた。
原作だと当たり前の様に流されてますけど、ダイブ・トゥ・ブルーがワンオフ持ちってことは二次移行してるんですよね。もっと長い期間専用機を乗り回してるセシリアがしてない二次移行してるんですよね。チェルシーやばいのでは……?