IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第90話 人影、それは進展の兆し

 ショッピングモールから外に出た織斑一夏たち専用機持ちは、そこで20mはあろうかという巨大な樹のような絶対天敵(イマージュ・オリジス)の姿を見て唖然とした。

 

 今まで出現していたカマキリやタガメらしき虫に似た小型の個体とも、ゴリラに似た大型の個体とも違う植物的な姿もそうだが、何より20mという大きさに言葉を失った。

 

「ね、ねえ!イマージュ・オリジスって……一体、なんなの?」

 

「私達は……なにを相手にしてるの?」

 

 不安からか一夏の服の袖を掴んだファニール・コメットとオニール・コメットが、この場で最も立場が上である更識楯無にそう質問した。

 

「考えるのは後よ!全員、IS展開!これよりロシア国家代表更識楯無の指揮の下、絶対天敵(イマージュ・オリジス)との市街地戦を行います!」

 

「「「っはい!!」」」

 

 楯無の指示を受けて即座に12機もの専用機が展開される。

 

「民間人の避難を最優先!ラウラちゃん、シャルロットちゃん、セシリアちゃん、ヴィシュヌちゃんの4人は避難誘導をしつつ、絶対天敵(イマージュ・オリジス)が近付かない用に迎撃!簪ちゃんは4人のバックアップをお願い!パニックが大きくなるから火器の使用は最小限、流れ弾にも十二分に気を配ること!」

 

「「「はい!」」」

 

「オーバーライトの初陣ですのに!仕方ありませんけれど!」

 

 1人ボヤキながらも指令を受け即座に飛び上がり、各地の避難誘導を始める。

 

「他のみんなは私と一緒に絶対天敵(イマージュ・オリジス)の殲滅!何度も言うけど火器の使用は出来る限り抑えること!近接武装を中心に戦いなさい!」

 

「「「了解っ!」」」

 

「いくぞみんな!」

 

 一夏の掛け声と共に、7機のISが空を駆けた。

 

 

 

 

「私の勘が言ってるんだけど、もうそろそろ絶対天敵(イマージュ・オリジス)との戦いに進展ありそうなんだよなぁ。」

 

「なんだそれ、イノベイターとしての勘か?」

 

「うん。」

 

 IS学園の食堂でオムライスを食べる天羽飛鳥のふとした言葉にダリル・ケイシーが焼き肉定食を食べながら聞くと、肯定が返ってきた。

 

「オレには分からないんだが……。」

 

「ゼロシステム込みの勘ですし、10年以上イノベイターやってる慣れも加味すればダリル先輩たちが分からないのも無理ないですよ。」

 

「そんなもんかねぇ。」

 

「そんなもんです。」

 

 ふわとろの半熟たまごに心をときめかせながらスプーンを進める飛鳥は、最後の一口を食べ終えると唇に着いたソースをチロリと舐めて手を合わせた。

 

「ごちそうさまでした。」

 

「で、具体的にどんな進展があると思ってんだ。」

 

「大型以上に大きい奴が来るんじゃないかなぁ、って。」

 

 小型は歯牙にもかけられず、大型は通用しないことを絶対天敵(イマージュ・オリジス)はこの2ヶ月で知ったことだろう。となれば、そろそろもっと大きな──20mほどの絶対天敵(イマージュ・オリジス)が来るのではないかとゼロシステムは予測している。

 

「ほら、大きいって単純に強いから。」

 

「ま、そうだな。質量があればトロい体当たりでも威力はかなりデカくなる。バリアーの強度も大きさに比例して増すだろうし、そういうのが来ればいよいよ零落白夜が必須だ。お前の防御破りは作戦に組み込むには具体性が欠けるからな。」

 

 単なる馬鹿力とその他もろもろで無理矢理絶対天敵(イマージュ・オリジス)のバリアーを突破して両断している飛鳥の扱いは悩ましい。如何せん理論立てされていない突破方法なので、作戦立案の時に無駄に時間がかかるのだ。それなら最初から『そういう能力』である零落白夜を主軸に作戦を考える方がスムーズにことが運ぶ。

 

「1撃で突破できないからって戦って倒せない訳じゃないんだけどなぁ。」

 

「確実性の話しだ。何もかもが分からん絶対天敵(イマージュ・オリジス)を相手にするならそれが欲しいんだよ、上の人間ってのは。」

 

 そんな話をしていると、2人のISに通信が入った。

 

【天羽、ケイシー、サファイア、聞こえるな!市街地に絶対天敵(イマージュ・オリジス)が出現した!現地に居合わせた織斑たちが既に戦闘に入っている!至急現場に向かえ!】

 

「「了解!」」

 

 通信を受けた2人は外に出るために駆け出した。

 

 

 

 

「一夏、エネルギーは大丈夫か!」

 

「まだ大丈夫だ!」

 

 篠ノ之箒の問いに小型の絶対天敵(イマージュ・オリジス)を零落白夜で切り裂きながら一夏が答える。

 

「簪、避難状況は!」

 

【順調に進んでる、現在51%。】

 

「まだ半分か……!」

 

 更識簪からの報告に箒が小型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を押し出しながら顔を顰める。

 

「ちょこまか動くな!【玄武】!」

 

 単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)【天之四霊】の能力【玄武】で拘束した絶対天敵(イマージュ・オリジス)をパワーアシストに物を言わせて双天牙月で叩き潰した凰鈴音が次の絶対天敵(イマージュ・オリジス)に近付いていく。

 

「ああもう!衝撃砲なしだとやりにくい!」

 

 ボヤキながらも絶対天敵(イマージュ・オリジス)に大型実体剣【角武】でダメージを与えていく凰乱音。【甲尾】で弾き飛ばして、一夏の零落白夜で切り裂いた。

 

「大型が来たよ、お兄ちゃん!」

 

「ちょっと!本当に大丈夫なんでしょうね!?」

 

 大型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を引き付けて来たコメット姉妹が音響兵器【サウンド・ビット】を傍らに浮かべながら一夏の側に近付いてくる。

 

「大丈夫だ!箒!」

 

「ああ!【絢爛舞踏】、発動!」

 

 その大型を絢爛舞踏による無限のエネルギーに物を言わせて全身の展開装甲からビームサーベルを発生させた箒が突っ込みダメージを蓄積し、一夏の零落白夜で両断する。

 

「くっ、流石にエネルギーがキツイな。箒が居なかったらヤバかった。」

 

「安心しろ一夏。私が居る限りエネルギー切れになどさせない。」

 

「ああ、頼りにしてる。」

 

 絢爛舞踏でエネルギーを補給してもらった一夏が再び雪片弐型を構える。

 

「いくぞ!」

 

 一息入れて飛び出した、その時。

 

「ソードビット!」

 

 6つの剣閃が瞬いて、絶対天敵(イマージュ・オリジス)を斬り刻んでいった。

 

「これって!」

 

「遅くなりました。」

 

「天羽さん!」

 

 空から薄緑色の粒子を僅かに背中のスラスターから放出しながら降りて来た飛鳥に一夏が声を上げた。

 

「1分で雑魚を片付けるので、あのデカイのを相手する準備しておいてください。」

 

「あ、ちょっと!?行っちまった……。」

 

 近くに居た絶対天敵(イマージュ・オリジス)をフルセイバーで両断してから量子化してどこかに行ってしまった飛鳥に一夏が呆然とする。

 

「ねぇ、今ハイパーセンサーに飛鳥ちゃんが映ったんだけど、来たの?」

 

「は、はい。1分で片付けるって。」

 

 先行していた楯無が戻り、一夏は飛鳥の言葉をそのまま続けた。

 

「飛鳥ちゃんがそう言うなら本当にそうするでしょうね。それじゃみんな、あの樹木を倒す作戦を考えましょ。」

 

「オレたちも混ぜろよ、生徒会長。」

 

「遅れた分は取り返すっスよ。」

 

 空から降りて来たダリルとフォルテ・サファイアがそう言った。

 

「頼りにしてるわよ、イージス。それじゃ――――。」

 

 飛鳥が絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒している裏で、20mの巨大絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒す作戦が練られていく。

 

 それを聞きながら、フォルテは件の大樹に目を向けた。

 

「……あれ?」

 

「あら、どうかした?」

 

「え、いや、何でもないっス。」

 

「そう?」

 

 すぐに作戦会議に戻った楯無だったが、フォルテはちらりと再び大樹に視線を向けた。

 

「(今、人影が見えたような……それにあの樹、今までの絶対天敵(イマージュ・オリジス)より、脳量子波が大きい……?)」

 

 大樹にある巨大な球体の中から、何かを感じていた。

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