IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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第91話 伐採、それは激化の始まり

「鍵は一夏くんの零落白夜よ。」

 

 宣言通り1分で小型と大型の絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒し終えた天羽飛鳥が織斑一夏たちの元に戻ると、ちょうどそんな声が聞こえてきた。

 

「戻りました、会長。」

 

「お帰りなさい、飛鳥ちゃん。」

 

 PICでふわりと地面に降り立った飛鳥を出迎えた更識楯無は、そのまま作戦の概要を話し始めた。

 

「一般市民の避難が完了次第、避難誘導をしていた簪ちゃんたちと合流。全員の連携で注意を引き付けながら一夏くんの零落白夜によるエネルギー無効化攻撃で、あの植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)のバリアーを突破して破壊。何か質問は?」

 

「あの樹がクッソ強くて、オレたち全員を纏めて倒せるぐらい強かったらどうする?」

 

 質問は、という問い掛けにダリル・ケイシーが『もしも』を問い掛ける。それに対して楯無は肩を竦めて言った。

 

「織斑先生でも喚びましょ。」

 

「そりゃいい、本家零落白夜で一発だ。」

 

 後ろに控えている偉大な人間の存在にケラケラと笑うダリル。その笑い声によって緊張が解れたのか強張っていた身体から力が抜けたファニール・コメットとオニール・コメットにチラリと視線を向け、ターゲットである植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)に顔を向けた。

 

「(なあ飛鳥、アイツ中に何か居ねえか?)」

 

「(居るみたいですけど、私まだ対話出来ないですよ。)」

 

 脳量子波でそう話し掛けられた飛鳥も植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を見て、その中に居る存在を感じ取っていた。

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)がどういう存在なのかは未だによく分からない。葉加瀬なのはでは発せられる脳量子波から『生命体ではないか?』という予想は出来ても確かめることが出来ないし、そこいらの研究者に解き明かせるような既知の延長線上にある存在でもないからだ。

 

 どこかで絶対天敵(イマージュ・オリジス)に興味を示している筈の篠ノ之束であれば鹵獲して調べ上げ解き明かすことも出来るだろうが、連絡が着かない以上気にしても仕方ない。

 

 量子型演算処理システムがない今、飛鳥に出来るのは街をこれ以上傷付けられないように絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒すことだけである。

 

【お姉ちゃん、避難が完了したよ。すぐにそっちに戻るね。】

 

「ありがとう、簪ちゃん。それじゃあ合流次第、植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)との戦闘を始めましょ。」

 

 そう言って楯無はいつもの様に笑った。

 

 

 

 

絶対天敵(イマージュ・オリジス)は零落白夜通せば勝てるから楽でいいよね。』

 

『VS束さんの方が絶望感あるからなぁ。』

 

『というか国家代表がいれば自国を守る分には十分みたいだし、天敵っていうほど困ってもいないよね。』

 

『人類絶滅とかまでは行かないからSFの敵ほど困らないだけで、街に被害が出るのは普通に困らない?』

 

 

 

 

「行って、【山嵐】!」

 

 初撃は打鉄弐式の48発のGNミサイルだった。大多数が植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)のシールドバリアーに阻まれはしたがいくつかのGNミサイルは本体に触れ、そこからGN粒子が流し込まれ内側から弾けるように破壊していく。

 

「行きますわよ、ブルー・ティアーズ・オーバーライト!」

 

 そこに畳みかけるように8基のBTブラスタービットを展開したセシリア・オルコットが木の根のような触手を攻撃し動きを止める。

 

「【朱雀】!」

 

「凍るっス!」

 

「燃えてろ!」

 

 凰鈴音の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)【天之四霊】の【朱雀】で炎を纏った大型衝撃砲とイメージ・インターフェースで操られた冷気と炎が枝のような触手を落としていく。

 

「織斑さん、私が切り込むので続いて下さい。」

 

「ああ!」

 

 右手にGNソードⅣフルセイバー、左手にGNソードⅤ・バスターソードモードを持って絶対天敵(イマージュ・オリジス)の懐に飛び込んだ飛鳥がシールドバリアーを強引に突破しながら幹のような場所を斬り刻んでいく。

 

「【零落白夜】!」

 

 身動きさえ出来なくなった絶対天敵(イマージュ・オリジス)を、雪片弐型から伸びた零落白夜の刃が断ち切った。

 

 

 

 

『15機のISに勝てる訳ないだろ!』

 

『酷いいじめを見た。』

 

『コア型になってから出直すんだなぁ!』

 

『落ち着け。』

 

 

 

 

「どうだ!これで終わりだろ!」

 

 零落白夜の攻撃を受け倒れていく植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)に一夏が声を上げる。

 

「……敵の反応、消滅。終わった、みたい。」

 

 ハイパーセンサーと同期した火器管制システムによる索敵から敵の反応が無くなったのを報告して、更識簪は身体から力を抜いた。

 

「はー、やっぱり堅かったわね、あのデカブツ。」

 

「えぇ。ダメージが全く通らないという訳ではありませんでしたけれど、ほとんど軽減されていましたわ。」

 

 伸びをして体を解した鈴が言った今回の絶対天敵(イマージュ・オリジス)の感想にセシリアがBTブラスタービットを戻しながら同意する。

 

 大型よりも更に大きい今回の植物型は、その大きさに違わずシールドバリアーの強度も桁違いだった。もし零落白夜が無ければ少し時間が掛かっていたかもしれないと飛鳥をして思わせられたほどだ。

 

 そんな話をハイパーセンサーの聴覚で拾いながら、飛鳥は倒れた植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)に近付いた。

 

「ごめんね、今はまだ話せない。」

 

 樹木のような外見の絶対天敵(イマージュ・オリジス)の幹の部分にある、2mほどの大きさの球体に向かって話し掛ける。

 

「私は貴方たちの言葉を受け止め切れない。だから、あと少し。少しだけ、待ってて。そうすれば話せるようになるから。」

 

……話す、か。

 

「?今なんて……。」

 

 飛鳥の言葉に反応したかのように僅かに放たれた脳量子波。そこに込められた憤怒と敵意以外の想いをかろうじて感じ取れた飛鳥が聞き出そうとしたその時、球体が眩く光り中に居た存在は忽然と姿を消した。

 

「……。」

 

 ISを解除し緊急展開したISスーツの姿で地面に降り立った飛鳥は、無言のまま絶対天敵(イマージュ・オリジス)から離れた。

 

「飛鳥ちゃん、今の光は!?」

 

 そこに光を見た楯無たちが駆け寄ってくる。

 

「中身が何処かに転移しました。」

 

「中身?」

 

 首を傾げる楯無たち。今すぐにでも聞きたそうにしているのを躱して、飛鳥は避難所の方に歩き出した。

 

「話はあとで。今は事後処理を優先しましょう。」

 

「もう、後でちゃんと話してちょうだいね!」

 

 国家代表の楯無の指揮の下、事後処理が始まった。

 

 程なくしてやって来た自衛隊のIS部隊やIS学園の職員たちによって事後処理は順調に進み、2時間経つ頃には戦闘のあった区画以外は表面上日常へと戻っていった。

 

 

 

 

「敵のコアの中に何かが居た、か。」

 

「はい。」

 

 IS学園に戻った飛鳥は、対絶対天敵(イマージュ・オリジス)の指揮を執る織斑千冬に今日のことを報告していた。

 

「飛鳥、お前から見て今回の絶対天敵(イマージュ・オリジス)は今までのものとどう違った?」

 

「怒りと敵意以外の感情を持ってました。ただ、それが何か言葉に出来なくて……。」

 

「そうか……今日はもういい。部屋に戻って休んでくれ。」

 

「はい。」

 

 飛鳥が出て行った作戦本部でコーヒーの入ったカップに手を伸ばしながら、千冬は思案する。

 

「怒りと敵意以外の感情、か。絶対天敵(イマージュ・オリジス)という名付けは早まっただろうな。」

 

 国連の決定にため息を吐いて、コーヒーを飲み干した。




 書いてて何が困るって、アーキタイプ・ブレイカーでの戦闘は資料映像が角ついてる上にほとんどがヴィシュヌの蹴りか矢で敵が倒れていくから、敵も味方も攻撃方法が分からないこと。
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