IS 今こそ対話する!   作:駄竜

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 過去一短いです、ごめんなさい……。


第92話 年末年始、それは食っちゃ寝の日

『皆さんおはこんばんちは、いつもパタパタ空を飛ぶ、天羽飛鳥です。』

 

『はいはーい、天っ才博士、葉加瀬なのはだよー。』

 

『前回は植物型絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒したところで終わりました。この後は本来亡国機業(ファントム・タスク)との小競合いがありますが、なのはがISコアを売ったことで無くなりました。』

 

『まぁイージスコンビの居ない亡国機業(ファントム・タスク)ってマドカとスコールに気を付ければいいだけだから、気にするほどの相手じゃないんだけどね。』

 

『なのでギリシャの軋轢(あつれき)もない今、絶対天敵(イマージュ・オリジス)にだけ集中することができます。』

 

『軋轢ないと即行で一夏にコロっといくギリシャほんとギリシャ。それなのに本人無自覚なの本当にかわいい。』

 

『ギリシャは実質萌えキャラみたいなところあるからなぁ……。』

 

 

 

 

 市街地に現れた樹木のような絶対天敵(イマージュ・オリジス)を倒してから数日経ち、12月31日。IS学園は冬休みというのもあって何かイベントがある訳ではないが、生徒と職員たちは大晦日を満喫していた。

 

「ま、ボクには関係ないんだけどね。」

 

 そんなことは関係ないと、葉加瀬なのはは自分にあてがわれた工房で量子型演算処理システムの製作に追われていた。

 

 絶対天敵(イマージュ・オリジス)との対話に必要な量子型演算処理システムを作る上で最大の障害となるのが作業スピードである。いくらなのはが天才であろうと、大掛かりな物を一瞬で作り上げるような物理的にあり得ないことは出来ない。最大効率で作ったとしても時間が掛かる。

 

 『束さんがいればもっと早く終わるのに』と思いながら、なのはは自身の手と脳量子波によって可能な限り操ったロボットたちで本体を組み上げるのに必要なパーツの加工を、なのはの工房だけでなく今は誰も使っていない作業室全てを間借りして遠隔操作しながら作業を進めていく。

 

「蕎麦できたよー。」

 

 そんなところに年越し蕎麦を2つ持って天羽飛鳥が入ってきた。

 

「手が離せないから食べさせてー。」

 

「はいはい。ソードビット。」

 

 視線さえ向けずに介護を求めたなのはの側に近寄り、GNソードビットを展開(コール)して年越し蕎麦を乗せると、なのはをスッと抱き上げて自分の膝に乗せなのはの座っていた椅子に座ると、二人羽織(ににんばおり)の用量でなのはに年越し蕎麦を食べさせ始めた。

 

「そう言えば、ギリシャの代表候補生が来るらしいよ。」

 

「ああ、【ヘル・アンド・ヘブン】の?」

 

「みたい。人手が増えるのはいいけど、実際は機体の稼働データ収集のためってのが透けて見えてるのだけはアレかなぁ。」

 

 食べさせながら生徒会副会長として知ったことを世間話として喋り、なのはがそれに相槌を打つ。なのはが手を離せない時はこうやって過ごすのが2人のお決まりだ。

 

 これまでにも回数こそ少なかったがこう言うことはあった。かつてGN粒子について調べたいあまり飛鳥を放置したなのはにキレた飛鳥が暴れてから決まったことである。

 

「はいお汁。」

 

「ん。」

 

 ゴクリゴクリと汁を飲ませ、かまぼこを1つ放り込み、蕎麦を啜らせる。程なくして中身の無くなった器をGNソードビットに預け、飛鳥は自分の年越し蕎麦を食べ始めた。

 

 

 

 

『ギリシャ来てもイージスコンビが居るからなぁ……。』

 

『人手が増える以上の利点がないよねぇ。』

 

『弱くはないけど、防御結界が使えない限りイージスコンビの廉価版だからなぁ。』

 

 

 

 

「あけおめー。はいあーん。」

 

「あけおめ。あー……ん。」

 

 1月1日の元旦、飛鳥はおせち料理をなのはの口に運んでいく。因みに2人の好きなおせちはなのはが伊達巻き、飛鳥がかまぼこである。

 

 

「おもち焼けたよー。はいあーん。」

 

「あー……ん。ん、んん~……んー!」

 

「ちゃんと嚙み切らないから……ソードビット~。」

 

 1月1日の昼、飛鳥はしょうゆで焼いた餅を海苔(のり)で巻いてなのはの口に運んでいく。びよーんと伸びた餅をGNソードビットで切る。

 

 

「はいあーん。」

 

「あー……ん。」

 

 

「はいあーん。」

 

「あー……ん。」

 

 

 

 

「なあ、誰か最近天羽さんと葉加瀬さん見たか?」

 

 織斑一夏の問いかけに、その場に居合わせた友人たちは揃って首を横に振った。

 

「食堂で見ないし、帰省してるのか?」

 

 IS学園の生徒は基本食堂で食事を摂る。たまに弁当を作って屋上で食べていたが、真冬である今そんなことは出来ないので全員食堂を利用している。その食堂に現れないなら、実家に帰っているのかと一夏は首を傾げた。

 

 その疑問に答えたのは飛鳥の上司である更識楯無だった。

 

「飛鳥ちゃんならなのはちゃんの世話をするって言ってたわよ。」

 

「そうなんですか?」

 

 「ええ」と肯定して、楯無はペペロンチーノを一口食べた。

 

「何でも大きな物を作るから、手が離せないんですって。」

 

「大きな物?新しいISとか?」

 

「なのはちゃんならやれそうだけれど、そうポンポン新型ISを開発されたら堪らないわ。何を作ってるかは聞いてないけど、飛鳥ちゃんが居るなら大丈夫じゃない?」

 

 普段楯無のぶっ飛びをある程度抑制してくれる飛鳥のことを考えて、一夏は「そうですね」と答えてからナポリタンを一口食べた。

 

 

 

 

「パーツ加工おわりぃ……。」

 

「お疲れ様。」

 

 加工を始めてから実に半月。寮の門限を守りながら脳量子波による加工ロボットの遠隔操作を普段はやらない短時間睡眠による最高効率で行ったなのはは、遂に量子型演算処理システムの本体を組み上げるパーツの全てを加工し終えた。

 

 出来た物から随時本体を組み立てる場所へ飛鳥の手によって量子ジャンプで運ばれたパーツの山は、今やちょっとしたゴミ山と評することが出来るほどの量である。

 

「それじゃ教室行こうか。」

 

「ボクの冬休みどこ……?」

 

「ゴミ山になったよ。」

 

「うぼぁ……。」

 

 その代償として、2週間あった冬休みの全てが消えた。

 

 もう動けないと身体から力が抜けているなのはを制服に着替えさせ、横抱きにしながら飛鳥は1年1組へと登校した。

 

 なお、既に組み立て作業は脳量子波によって操られたロボットによって行われている。ブラック企業の社畜より酷い労働をなのはは行っていた。

 

「おのれ絶対天敵(イマージュ・オリジス)……。」

 

 恨み節を呟きながら、なのはの苦行は続く……。

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