八月二十一日
輝礼が逮捕された。何やら知らんが、本人の意向で終身刑になったそうだ。これで麻薬の事件がなくなれば良いが。
八月二十二日
なんか変な黒尽くめの連中が家に押し入ってきて、いつの間にか拉致られた。で、連れて来させられたのは香港にある三合会本部。周老師も別経路で来ていたようだ。で、何やら偉い豪華な部屋に通されて、そこで待ってろとのお達し。
出てきたのは三合会の首領、「道琉龍(タオ・ルーロン)」。流石一大マフィアの大ボスって言えば良いのかね。半端ない威圧感を放っていた。最初俺は、俺達に対し、「うちの稼ぎ口を潰しやがってなんて真似してくれる!ふざけんじゃねぇぞ落とし前取れやコラァ!」的なことを言うんじゃなかろうか、と最初は結構ビクビクしていたのだが、琉龍さんは意外にも普通に謝ってくれた。しかも、金輪際俺達に危害を加えないこことを契約書まで用意して約束してくれた。マフィアの大親玉だって言うからヤバい奴を予想してたけど、普通にいい人だったよ。まぁ、なんか変なダマシとか無きゃ良いけど……
八月二十三日
もうそろそろ夏期休業も終わりで、進級の時期がやって来る。今年の夏は色々ありすぎたな……マフィアと1戦やり合う夏……いや二度と体験したくねぇ!?
八月二十四日
母さんの料理の手伝いを始めてから数ヶ月、もう一人でも簡単な中華料理なら作れるようになった。まさか前世の一人暮らしスキルが生きるとは思わなんだ。人生何が活かせるかって案外分からないものだ。
八月二十五日
色んな騒動にもきっちり区切りがついた、ということで、老師からまた再び修行を本格化させると言われた。えっ、夏期休業あと一週間無いんだけど。
八月二十六日
あのジジイ覚えてろ畜生……!
八月二十七日
親父に『来年はドイツだから覚悟しとけよ』と言われた。案の定日本に帰るつもりはないらしい。仕事しろよ、と言ったら、小説そのものはしっかり書いてて、FAXで書いた内容を送りつけてるんだそうだ。あと副業で翻訳家もやってるから、そっちの仕事でも収入が入っているらしい。あと株もやってるって言ってたっけ。意外とちゃんと仕事してた……!在宅業の力ってすげー。
一月六日
修行!独語勉強!料理!取材!試験!修行!修行!勉強!忙しすぎて新年も春節も楽しんでる暇ねぇよニューイヤーカウントダウンうるせぇよ地響きおきたぞクソッタレ畜生!アメリカか!?ここはアメリカか違うだろチャイナだろうが!ついでに夜中に爆竹鳴らすなやァ!
あ、久々に食べた日本料理(おせち)はおいしかったです。老師も喜んでた。あと親父、息子に酒を勧めるな。老師も勧めるな。飲めないから。
一月七日
新年初スカイプゥ!つっても、某あいつと、後は精々鱗とやる程度だ。二人とも明日から学校らしい。俺もだけど。鱗は意外と日本文化に馴染んでた。まぁ真面目な奴だし、案外日本の国風はあってるのかもな。某あいつ──ええい面倒くさい、本名で良いか。関には年末に送った中国土産が届いたらしく、家族でおいしく食べたそうだ。て言うか俺、丸二年以上日記でアイツのこと名前で書いてなかったのか、なんか済まないことをした。
一月八日
年始末休業が終わり今日からまた学校だ。いやー、中国の冬って寒い。軽慶って港町だから結構ダイレクトに潮風が登下校の時顔に当たるんだけど、痛ぇのなんのって。出店に買い出し行くときですら地獄よ。マジで痛ぇ。
一月九日
撲殺のカウンタが千回超えた。死にすぎだって?俺もそう思う。ただ、体は強くなってると思う。うん。何だかんだで死んでから蘇生するまでにかかる時間格段に減ったし。筋肉結構ついてきたし。
一月十日
去年と同じ感じでまた親父達がバタバタし始めた。いよいよドイツに行く準備を始めたらしい。家はと言えば、知り合いに名のある生物学者がいるらしく、その人の家に住み込ませて貰うそうだ。……(多分)中国最強の武闘家に、名のある生物学者……あと、アメリカの軍人さんだっけか?……うーん、親父の人脈が謎すぎる。その内知り合いにヴィランがいるとか言い出さんだろうな。言い出しそうだなぁ、親父だし。
三月十日
いよいよ今日は中国出立の日だ。何だかんだで、マフィア騒動の話以外は楽しかったなー、うん。友達もできたし、尊敬できる恩師もできた。中国の名所も見て回れたから、個人的には満足です、うん。老師に、『またいつか、デカくなったら一緒に酒でも酌み交わそう』と誘われた。是非。また来ますよ。来ますとも!さて、名残惜しいがさらばだ中国。んでもって案外楽しみ、待ってろよドイツ!……今度は、修行とかそういうのありませんように!
と言うわけで、中国編完結……しません。第三頁でも書いたとおり、このあと続く二話、番外編的な何かを以て、中国編は完結って感じです。一月以内の完結を目指しますです。はい。あと、お気に入り登録者百人記念の番外編ですが、そちらもどっかで投稿すると思います。お楽しみに(?)。