▼月17日
昨日も書いたが、あのクソッタレ殺人鬼が逃げ出した。昨日だけで既に二十件の殺人事件が起きている。警察もヒーローもやる気あんのかマジで。また明日の学校の帰りがけにあのクソッタレいたりしないだろうな……?いたらもう自分でとっちめてやろうか。
▼月19日
昨日は散々な日だった。あのクソッタレ殺人鬼に殺されかけるわランドセルボロボロになるわ母さんに叱られるわ修行が足りねぇって親父に馬鹿にされるわ……何もかもあのクソッタレ殺人鬼が悪い。お陰で怒られ疲れて死に疲れて、とにかく疲れすぎて日記を書く暇がなかった。同じ轍は二度踏まないようにしよう。……まぁもう二度目なんですけどね。三度目はない、と信じたい。
それと、学校の朝の会で聞いた話だが、あのクソッタレが改めて逮捕されたらしい。俺から言えることと言えば、とりあえずは、もう二度とシャバに出てこないことを祈るばかりだ、と言うことぐらいだろうか?更に詳しい情報を聞くと、何でもあのクソッタレは、何らかの強い精神的ショックを受けて気絶した状態で見つかり、辺りは一面血で塗れていたそうだ。……俺知ーらね。知らねったら知ーらねぇ!俺じゃないですぅ!多分ヒーローがやったか、あのクソッタレが勝手に自爆したんですぅ!……死んでないからセーフだよな?
▼月20日
昨日の俺荒ぶってたなぁ…。日記でこんなハッチャケる事になるとは思わなんだ。昨日の俺もしかして深夜テンションか何かだったの?滅茶苦茶ハズい。
それはさておき、隣の席の奴(これもうこの呼び方で定着してきたな)の見舞いに行って来た。大分持ち直していたようで、割と普通に談笑できていた。学校でおきたこととか、今どうなってるとか、最近の話題とか、そう言う話を、アイツは羨ましそうに聞いていた。
義腕の方ももうそろそろ出来上がるそうで、今は伝達神経との同期やらサイズの最終調整やらをしているそうだ。『メカメカしい道具が沢山あって凄いんだー』と何やら興奮していた。笑えるようになって何よりだ。
とは言えこれからは介護が必要な生活になるとのことで、県内のそう言った子達が通う学校へと転校、と言う運びになるそうだ。『皆と会えなくなるのが寂しい』と言っていたが、まぁ家が遠くになるわけでも無し、これからもたまになら会うことができるだろ、と言ったらそうだね、と笑ってくれたので良しとしよう。
あんな酷い怪我でもすぐ立ち直れる隣の席の奴は素直に凄いと思う。何が凄いって勿論メンタルが。最早小一の女児のメンタルじゃない。正に鋼だ。俺も見習わなくちゃなと思う。とにかく、アイツがより早くこれからの生活に馴染んで心安まる日々を送れることを願うばかりだ。
▼月21日
親父が何やら本を大量に買ってきた。『お前のだ』と言うので読んでみたら、全部中国語の本だった。……え、なんで?なんで英語よりも早く中国語を覚える事になるわけ?
▼月22日
中国語は意外と難しい。使うのは漢字だから問題無いだろうと思っていたが、中々バカにできない。前世でも中国語なんて使う機会もなかったから覚えてないし、これは大変だ。
▼月23日
今日はパスポート用の写真を撮りに連行された。……いよいよ俺、中国行くことになるんじゃなかろうか。え、もしかしてマジで行くことになるの?
▼月24日
親父達が何やら電話で中国語を使って話をすることが多くなった。多分相手は中国人、ってことだろう。これもう多分確定だなぁ……
▼月25日
はい、親父達に聞いたら嫌な予想的中でした。来年の四月から俺中国で生活決定でーす☆
何でも小説のネタ集めのための取材だそうだ。昔一度行った場所をもう一回巡るのと、個性爆誕の土地『軽慶』で『始まりの子』について取材するらしい。長くなるかも知れないから、家族纏めて移住するんだそうだ。どうやら親父だけ行く、と言う選択肢は品内家にはないらしい。しかも学校のことも手続きが済んでいて、来年から中国の学校で勉強だそうだ。ウチの親ちょっとおかしくね?何でこんなテンポ良く俺の知らないところで俺に関することが進んでんの?まず了承とろう?と言うか母さん反対しろやァ!
▼月26日
ウチの母さんもやっぱりおかしかった……くそう、これで外堀は完全に埋められた……品内富士見、来年から中国、行って参ります……畜生!
はい、というわけで改めて序章完結です。次話のための繋ぎしかしてない気がする。次話から富士見、中国へ行きます。え?唐突だって?……滅茶苦茶分かってます。多分これからも富士見はあっちこっちに飛び回ると思うので、そこら辺は見逃して下さいな。
感想、批評、お待ちしております。では。