イズムパラフィリア   作:雨天 蛍

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イズムパラフィリア運営です。本日はエイプリルフールイベント【学生版イズムパラフィリア】を開催(かいさい)します。
本話は、イズムパラフィリア本編とは関わりがありません。が、イズムパラフィリアがシリーズとなった場合に主人公の従魔として使われます



エイプリルフールイベント 【学生版イズムパラフィリア】

 授業終了のチャイムが鳴る。途端にノートや教科書をまとめる生徒達。教師が苛立った表情で授業を締めくくり、教室を出ていくと、ざわめきがより一層大きくなった。

 俺は、机の下に隠していたスマホを堂々と机の上に出して、ゲームを再開した。

 

「うーい、またソシャゲやってんの?」

 

 隣の席で、教科書をしまった学生が声をかけてくる。顔を向けることなく俺は肯定した。

 

「授業中にもやってたよな。面白いの?」

「めちゃくちゃ面白い」

「へー! お前がそれだけ言うって事は、結構面白そうだな。今どきVRMMOもやらないってのに珍しいや」

「そりゃあ、あんなクソゲー楽しめるわけないじゃん」

 

 最近発表されたゲームハードで遊べるフルダイブVRというゲーム。巷ではそれが流行となって買い占めの転売などで需要が非常に高まっているらしいが、よーく考えればクソゲーだと誰もが思いつくだろうに。

 ネット小説でも有名なMMOが数多くのタイトルを締めている現状、絶対にVRはコケる。広い世界をちまちま歩いて剣を振り回して戦うとか絶対つまらないだろ。疲れなくてもランニングし続けられるとして、誰がそんな移動時間に大半を取られそうなゲームをやるのだろうか。

 そして、狭くしたら今度は人口密度が膨れ上がる。ストレスゲームの始まりだ。不快度は三人称視点ゲーム以上。さながら都会の電車内である。

 他にも色々あるが、思いつく限りの改善点が解消されたゲームだという評価が出ない限り、買うことはないだろう。

 

 そんなゲームをするくらいなら、一人で手軽に爽快感を味わえるゲームの方が楽しい。最近は法規制によりマシなゲーム性と、短期間で畳まれることの無くなったソシャゲが熱いと思っている。

 特に、俺が大好きなのはイズムパラフィリアというマイナーゲームだ。サンプル画像に出てくるキャラクターは皆ガチめのモンスター娘。そして、ストーリーは俺が求めて止まない暴力主義を主体とした世紀末。

 

 まさに最高なゲームである。

 

「クソゲーって……まあ、ネットの評価はだいたいクソだって言ってるけど、面白いのだってあるんだぜ?」

「そう。そもそもネトゲーだし、規制規制な世の中で、暴力表現多めでPK可能なゲームがあるんだったらやってみてもいいよ」

「いやー。それはないかな……。年齢制限あるけど、そんなの無視してゲームするだろうし、そしたらそういうゲームはクレーム付けられるだろ」

「でしょ。これで終了、時代はオフゲーかもう人が少ないソシャゲ系。手軽に気を使わない自由なゲームが出来る主人公になれる神ゲーだよ」

「冷めてんなぁ……。俺達学生だぜ? 時代はネトゲ! トップクラス! ギルドのパートナー、実は美少女! オフ会で始まるリアルとゲームの恋愛物語!」

「現実を見なよ樹クン。ネトゲの可愛いあの女の子、リアルじゃおっさん四十五。ギルドで恋愛。内部が崩壊。クラスのあの子は援交ビッチ。俺達オタクはリアルじゃボッチ」

「くそがああ!! ラップ調なのが余計にムカつくわ!」

 

 発狂した原田樹のせいで視線が集まった。俺は素早く他人のフリをしてゲームの画面に集中する。

 俺の隣の席にいるこいつは、唯一と言っていい友人である。夢見がちで、童貞。顔はいいけどバカ。だけど良い奴だ。気がつけば樹から俺に話しかけてきて、ダラダラとだべる間柄になっていた。

 

 見られていることに気付いた樹が、声を小さめにして話し続けてきた。

 

「実際さ、そろそろ二年の秋だぜ? ここでワンチャン女の子と関わりなければ終わりだぞ? ギャルゲーとか大体ここら辺でヒロインと付き合い始める頃だぞ? こんなんでいいのかよ」

「女の子との関わりはあるだろ」

「いーや! 俺にだって選ぶ権利はある! 女の子は顔だけじゃないんだよ! 時代は性格も重要なんだ」

 

 俺は結構好きなんだけどなぁ。そんな風に騒いでいると、教室の前の扉が開かれた。

 

「あの……モブ子ちゃんいる?」

 

 ショートボブの十人中九人は美少女だと答えるような女の子がいた。大人しそうな奴で、同級生。学年一の美少女だとかで有名だ。

 

「お、新田さんじゃん。いいねぇ。俺はああいう感じの子が好きだよ!」

「ふーん」

「奥ゆかしい性格! 男子が苦手らしく、声をかけると避けられるが、それもまた清純さの証! 従順で可愛いまさに理想的な女の子! いいなぁ。ああいう子と付き合えたら幸せだろうなぁ」

 

 きっかけがあれば樹なら付き合えると思う。顔と性格がいいから嫌われはしないんじゃないかな。

 俺とは全然違う好みである。みんなに愛されそうな奴なんぞつまらないだろうに。むしろ、自分を貫いて孤独になってしまうような女の子の方が俺は好きだ。

 まあ、我が強いというよりかは、意思が強いとでもいうような、ゲームのキャラクターのように崩れない揺るぎない強さがあるものが好きってだけだ。

 

「あ、やっぱりいた! 早く部活に行くわよ!」

「うげぇ。なんでここまで来るんだよ。先輩の教室だぞ里香!」

「うっさいわね樹先輩! いつまでも二人が来ないから探しに来たんでしょうが!」

 

 柊菜に集まった視線やら人やらを縫うように、後ろの扉からちんまい女の子が走ってきた。彼女は和内里香。俺と樹で作った同好会『歴史研究同好会』に入ってきた唯一の後輩である。

 夏休み直前に吹奏楽部で問題起こしてこっちに逃げてきたという曰く付きの後輩である。

 夏休みの活動でかなり仲良くなり、彼女は自分が起こした問題故か、休み時間でも放課後でも俺達の元へ突っ込んでくる。それで普段は里香と三人で行動をしているのだ。

 

「どうせ文化祭も近くなってきて樹先輩が危機感抱いて先輩にくだらないこと話してたんでしょ!」

「大事な話ですぅー! 俺達若者にとって青春というかなりのウェイトを締める話ですぅー!」

「部活動も青春ね。さ、行きましょ!」

 

 里香に引っ張られ、樹と一緒に教室から連れ出された。教室を出る直前に、新田さんがこっちを見ていたようで、目が合った。

 

 部室は校舎三階の端、化学室である。歴史とは反対の教室を与えられているが、そこまで真面目な活動をしていない俺達は特に文句もなかった。

 

「しっかし何も無いわね」

「そりゃそうだろ。だからこそ俺達は動かないといけないんだ。自分から動かなきゃ幸せは掴めない!」

「樹先輩にしてはいい事言うわね。文化祭前だし、真面目な活動をするよりも、エンターテインメントが欲しいと思うの。だから、街の歴史よりも興味の出そうなオカルト系に挑戦しましょうよ。電脳ゲームの裏話とかさ!」

 

 歴史研究といえども、さして本格的な活動はしていないのだ。月に一度、新聞を出して活動報告する程度の同好会。それ以外は集まって遊ぶだけの不良サークル。

 俺はゲームをしているし、樹も漫画とかを持ってくる。里香はハーモニカを持ってきて吹いていたり。普段はそんな感じに各々自分勝手に過ごしている。

 今日は文化祭も近いので、好き勝手に会話をしているところである。

 

「あー、VRでデスゲーム発生するとかいう予言ね。あれ外れたよなー」

「それがさ! 別の話もあるのよ! VRを使った新しい取り組み。人間の脳を繋いで電脳上に新しい地球を生み出すとかいうプログラムが走っているんだって!」

「そんなんあるかー?」

 

 と、樹や里香が騒いでいると。

 

 ピロリロリコン。

 

 俺のスマホが着信音を奏でた。

 

「なんだ今の着信音」

「俺の。だけど普段はバイブにしてるはずなんだけどなぁ……」

 

 緊急メッセージでも来たのだろうかと、スマホを確認する。

 イズムパラフィリアから何か来ているようだ。しかし、通知からは文字化けしていて、何も分からない。

 様子がおかしいと、通知をタップしてアプリを起動する。

 スタート画面には行かず、何故か直接ガチャ画面が出てきた。

 

「なんだ、これ?」

「先輩なにしたの? 見せなさいよ!」

「俺も気になるわ。もしかしたらウイルス感染だったりして」

 

 里香と樹が画面を覗いてくる。二人に挟まれて窮屈だから、化学室の黒い机にスマホを置いて、ガチャ画面をタップした。

 

「はー? 通話ってガチャ? 先輩もう少し真面目に参加しなさいよ」

「これがスマホに飼われる現代人か……」

「うっさいな。文字化けした変な通知来たんだよ。開いたらこうだった」

「やっぱウイルスじゃね?」

 

 不安を煽る樹を小突くと、スマホが急激に強い光を放った。光の奔流がスマホから流れ出ており、目を焼かれたが、イズムパラフィリアのガチャ演出だと一瞬で理解出来た。

 

「うわっ眩し!」

「きゃあ! 何よいったい!」

「これは確定演出か!」

 

 なんかもうヤバい超常現象を前に俺は興奮していた。イズムパラフィリアだぜ? ゲームキャラが現実に出てくるとか最高かよ。

 光が収まると、そこには一人の生き物がいた。

 

「大地の化身たる私を呼ぶか……」

 

 うーん。これが初回ガチャなら最高クラスだけど、ぶっちゃけ使いにくいかな。

 こういう時は、俺が愛用しているキャラが出てくると思ったのだが。こいつも使うには使うが、それほど頻繁に頼ったりしないキャラだ。

 

「【地龍ウィード】大地の力、貴様如きに使いこなせると思うなよ……」

 

 地龍ウィード。雑草の名を持つ星十ドラゴンである。

 

「うおおおおお!!! かっけー! 現代ファンタジーキタコレ! イズムパラフィリアだっけ? 俺もインストールします!」

「うっわぁ……シャレになんないじゃん。先輩、やばいよこれ」

「むしろ今後を考えて里香もイズムパラフィリア入れときなよ」

「……まあ、先輩がそう言うならそうする」

 

 樹も里香もイズムパラフィリアをダウンロードした。そして、その直後だ。

 

「地震!?」

「ってこれでっか! 机の下に避難するわよ!」

 

 大きな縦揺れが発生した。地震に慣れている日本人といえども、これは危険だと判断して、素早く机の下に潜り込む。

 咄嗟に連れてきたウィードとスマホも一緒である。

 

「ウィード、お前がこれ起こしたか?」

「いや違う。というか触るな。この程度問題ない。これは地震じゃないからな。空間そのものが揺れを起こしている。どこかの世界とぶつかったんじゃないか?」

 

 ウィードが起こしたのかと確認していると、里香が潜った机の方から光が目に入った。

 

「こんな状況でガチャ回してんじゃねぇよ!」

「うっさいわね! 基地局とかダメになる前にさっさと動いた方が良いわよ!」

「あ、そっかぁ……」

 

 里香に言いくるめられた樹もガチャを回す。緊急事態にも関わらず、呑気な俺達だった。

 

 樹の方のガチャ演出が終わると、遂に大きな揺れから耐えきれなくなったのか、天井が崩壊する。

 

「きゃああああ!!!」

 

 里香の悲鳴が響く。埃か煙か、舞い上がったものが収まると、そこは安全な足の踏み場もない場所となっていた。

 

「ウィード『リコール』」

「……グルル。身の危険を感じたら呼べ」

「……そうね。まずは状況確認だけど、節約もしていかないと」

 

 里香が俺の動きを見て、スマホの電源を落とした。樹も慌ててスマホを切る。

 

「これ、やべぇってもんじゃないよ……」

「混乱が起きるかも。って、それ以前にあれだけ大きくて長い地震だと、不味い事が起きるかも」

「津波……」

 

 そう、津波である。俺達がいる街は、海にほど近い場所にある。海水浴場としても人気であり、個人の資産家だか一族経営の企業だか知らないが、発電所も海に面して建てられている。

 

「移動を急ぎましょう。救助できそうな人がいたら、助ける方向で。だけど、津波は発生までそんなに時間がかからないわよ」

「お、おう」

 

 里香の言葉に樹が頷く。階段をわざわざ使うのも危険だし、部屋の隅にある緊急脱出用のハシゴを下ろして、俺達は化学室から出た。

 

「あっ! 新田さん!」

「あ、原田君と……その友達の人だよね?」

「……足、怪我してるの?」

 

 文化祭が近いのに、校庭の裏では新田柊菜がいた。足を怪我したのか、地面に座りこんで、足首を押さえている。

 

「地震で、壁から離れようとしたら、コケちゃって……」

「ここ、海抜低いし津波の危険があるからさっさと動きませんか? 先輩体鍛えてますよね? 新田先輩のことおんぶでもしてください」

「でも……教室とか、まだ生徒が残ってるんじゃないかな……?」

「…………多分、大半は助からないかと」

 

 知らない先輩を前にしているからか、里香は敬語になった。そして、苦しそうに言う。化学室の崩壊があったのだが、出る前に確認したところ、廊下側はガラスが割れていたり、崩落している場所もあった。

 怪我で動けない人は屋上へ上がるだろう。動ける怪我で済んでいるならばだが。

 今は文化祭前だ。廊下にも人は多く出ていたし、教室も普段ある机を動かして作業をしていたはずだ。天井の崩壊が化学室だけだったならいいが、そうでなければ、今頃助かっている生徒の方が少ないだろう。

 

「で、でも……とりあえず、校庭の方で確認してみよ?」

「……樹先輩」

「うえぇ!? 俺ぇ!? と、とりあえず確認だけでもしよっか! もしかしたらSOSとか出してる人いるかもだし?」

「……バカ」

 

 里香は焦っているようだ。津波は大体十分程度で来ると聞くし、余裕は無いだろう。だが、樹が方針を固めたので、とりあえずは従うようだ。

 そして、俺が新田さんを背負って校庭に向かった。

 

「そ、そんな……」

「想像以上、ですね」

「お、俺……こんなことになるとは思ってなかったわ……」

 

 校舎の崩壊は酷いものだった。まるで爆破でもされたかのように、俺たちがいた校舎とは反対側は砕けている。遠目からでもおびただしい量の血の色が見えるほどだ。

 ……そうだ。変だ。崩壊に巻き込まれたなら、瓦礫の上で圧死したような死体が多くいるのはおかしいだろう。

 

「里香、樹。逃げるぞ」

「へ? え?」

「きゅ、急にどうしたんですか先輩!」

「呆然としている場合じゃない! あの死に方は地震だけじゃないぞ!」

「へぇー? 分かっている奴もいるじゃない」

 

 音がした。人間が出す声じゃない。だけど、はっきりとそれは言葉として理解出来た。

 影がある。校舎から飛んできたのだろう。空が暗くなっていた。

 

「全員散れー!!!」

 

 そう叫ぶと、全力で前に走った。背後で巨大な質量が落下したようなズドンという音。あの距離を移動したなら、逃げられはしないと判断して振り返る。

 

 それは、両腕が羽になっている女性だった。それだけならハーピーとでも言えるが、下半身は蛇になっており、身体中に緑色の斑点模様がある。肌の色はキツいピンク色であり、目は真っ黒に青のメラニン系個体を思わせる色だった。

 エキドナだ。野種のエキドナである。その名称こそ思い出せないが、姿は完全にエキドナだ。

 

「うふふ……この世界の人間も酷く脆いわね。でも、数が多くて、世界を支配している。なんでかしらね。気になるわ」

 

 ザラザラとした音だ。正気が削られるような声に身震いする。

 背負った新田さんは、顔を真っ青にして、ボソボソと何かを繰り返し呟いている。発狂してやがるぜ。

 ポケットからスマホを取り出す。エキドナ程度なら、ウィードでも勝てるだろう。レベル一なので少々キツイだろうが、レア度がある。

 

「『コール』ウィード」

「グルルアアア!!!」

「へえ、あんた召喚士なのね。この世界にもいるのか」

 

 エキドナは少し驚いていた。だが、腕を羽ばたかせると、ニヤリと蛇の舌を出して笑った。

 

「そんな平和ボケした様子じゃ、私の敵じゃないわね!」

 

 エキドナの突進にウィードが腕を交差して受け止める。しかし、ウィードはそこから反撃に繋げない。受け止めたまま、距離を取ったエキドナの方を鼻で笑う。

 

「雑魚か。好きなだけ吠えるといい」

「チッ、舐めんじゃないよ!」

 

 やはり、ゲーム通り【龍種覚醒】があるようだ。あの調子だと、負けはしないだろうが、エキドナが俺達を狙った場合、守ってもらえるのか不安が残る。

 

「ふん! 他の人を忘れてんじゃないわよ! 『コール』!」

 

 静かだった里香が大きな声で存在感を示す。新手の出現に振り向いたエキドナだが、里香は携帯も構えずに叫んでいただけだった。

 

「いっけええええ!!!」

「ファイアー!」

 

 隙を作ったエキドナに、召喚をしていた樹の従魔、ピクシーが魔法をぶつける。顔面を焼かれたエキドナは吹き飛び、地面に打ち付けられた。

 

「ウィード!」

「グルルル!!」

 

 動かないウィードの尻を蹴る。驚いて飛び上がったウィードだが、こちらを強く睨みつけながらもエキドナへ跳躍撃を放った。やはり、ウィードはギリギリで一割未満のダメージを受けていたようだ。

 地面が陥没する程の攻撃を受けて、エキドナは光の玉となって天へと登って行った。

 

「よっしゃああ!」

「やった! 勝てた!」

「ぐるるああああ!!!」

「痛ってぇー!」

 

 四者四様の戦闘後の動きだ。ウィードは俺に噛み付いてきて、たまらず叫んだ。それによって我に返った里香が声をあげた。

 

「やばい! 早く避難するわよ!」

「そ、そうだった! 急げ急げ!」

「ウィード、ありがとな! あと尻蹴ってごめん!『リコール』」

「グルルルルル」

 

 唸るウィードを戻し、スマホの電源を落とす。俺達は大急ぎで高台へと避難した。

 

 高台の向こう。街が、海に飲まれていた。黒い海だ。様々な物を飲み込み、流していく。

 

「すげぇ……」

「これ……大丈夫なのかな。震災復興って時間かかるよね。それに、あのモンスターでしょ? もう、訳わかんないよ」

「……全部、流されちゃえ」

 

 樹はただ自然の猛威に呆然とし、新田さんは未来を憂う。里香は、過去の出来事もあるのだろう。拗ねた表情で、呟いていた。しかし、それは本音ではないだろう。複雑な気持ちのまま、素直になれない部分が表に出ただけだ。

 

「これから、どうするかね」

「えっと、とりあえず新田先輩の足の怪我治せる方法探すべきでしょ? 生存者は、助けないのも手だと思う。私達学生だし、こういう時にこそ、悪いことする奴らはいるんだもん」

「食料飲み物、あとは安全な雨風を凌げる場所かな。狙われにくい場所も探さないとだな」

 

 里香と話を進める。樹は少し休ませるべきだろうし、新田さんも落ち着かせるべきだ。思い入れの薄い俺や、複雑な分頭が冴えている里香で、この後の行動を決めていく。

 津波が引くまで、大人しくしていよう。休めるうちに休んでおくのも重要だと結論付けて、新田さんと樹を宥めて、交代で眠りに付いた。

 

 生き残るための戦いが、始まる。




イズムパラフィリア運営です。この度は、学生版イズムパラフィリアを閲覧していただきありがとうございます。本作品は原田樹が男子校に通っていないという矛盾が発生したため、次話の投稿をすることなく凍結することにいたしました。大変申し訳ありません。お詫びとして、イズムパラフィリアのアプリを所持している方に、星四従魔【学生版世界のエキドナ】を配布いたします。
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