嫌いな彼女 / 好きな彼   作:棺祀師

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完全に忘れてました。急ピッチで仕上げたので出来は良くないです。


好きなアイツ

 ————私はアイツの事が好きだ。

 

 

 

 

 「全く、毎日飽きもせず良くやりますね…」

 

 私の隣を歩く皇女サマが、呆れた表情をしながらそう言った。

 

 「誰かが起こさないと一日中寝てるからね。アイツは。」

 

 やはり、アイツは私がいないとだめなのだ。思わず顔がにやけてしまう。

 今、私たちはアイツ——グランデを起こす為に彼の家に向かっている途中だ。

 

 「これで恋仲じゃないんですもん……。」

 

 「ん?何か言った?」

 

 「いいえ!なんでもありません!」

 

 そういう皇女サマは不機嫌というか、微妙な表情をしていた。

 

 そんな話をしてる内に彼の家に着いた。

 合鍵で玄関を開けようとしたが、どうやら鍵は掛かっていないようだった。彼らしいと言えばそうだが、なんとも無用心だなと思った。

 そのまま家に入り、彼の部屋へ直行。

 

 「グランデー、入るぞー。」

 

 私はそう言いながら扉を開ける。

 やはりというべきか、彼はすぴすぴ寝息を立てながらベッドに寝ていた。

 

 「コラ。起きろ。」

 

 寝ている彼の頬を叩くが、一瞬鬱陶しそうな表情をしただけで目覚める気配はない。彼は叩かれた頬を、猫が顔を洗うときみたく手で擦っている。擦るのに合わせ、頬がぐにぐにと形を変える。

 

 かわいい。

 

 ふと、そんなことを思ってしまった。それを自覚した瞬間、頬が赤くなっていったのが自分でもわかる。

 

 ち、違う。起こしに来ただけだから。変な気はない。

 

 私は顔を左右に振って落ち着きを取り戻す。

 前までは全く普通だったのに、最近はいつもこんな感じだった。昔は平気で彼のお腹に乗って起こしたりもしていたけど、今はなんだか恥ずかしい。

 でも、何をしても起きないし……もう、これしかない!

 私がベッドに乗ったのに合わせ、マットが軋む音と共に僅かに沈み込んだ。そのまま膝立ちで彼を跨ぐような状態になり、彼のお腹に静かに腰を下ろす。股下を伝って、呼吸に合わせてお腹が微かに上下しているのが感じられる。温かい体温がすこしむずむずする。

 

 うぅ、何をやっているんだ私は……。

 

 行動を終えてから冷静になった。自分の頬に両手を当てて、顔を冷やす。 やめた方が良いのか、いや、やっぱりこのままでいいかな。

 

 「ふぅ。おい、朝だぞー。ほら起きる。」

 

 あくまで平然を装いながら、彼の顔をゲシゲシと叩く。すると彼は、うーん。と唸り声を上げた。今までで1番の反応。やはり、効果はありそうだ。

 

 「うるさいな……」

 

 「わっ」

 

 突然、彼はそう言いながら寝返りを打った。お腹に乗っていた私はベッドに倒れ込んでしまう。やろうと思えば抵抗できたけど、合法的に彼のベッドへ倒れ込む事ができるからあえてしなかった。

 バタン!と倒れた拍子に少しの埃が舞い上がった。あとでちゃんと掃除もしないとな、なんて真面目な思考を片隅に、私は彼の匂いに包まれながら「彼と同じベッドで寝ている」という事実に胸を高鳴らせてしまう。きっと、彼はこれを狙ってわざと寝返りを打ったのだろう。

 

 「ふ、ふーん、そっかぁ。ふふん、そういうことねぇ。」

 

 勝者の余裕からか、彼は幸せそうに寝息をたてている。私がこんなにもドキドキとしているのに悠々と寝ているなんてむかつく。そうだ、少し仕返しをしてやろう。音を立てずに彼に近づいて、おもむろに彼の身体に抱きつく。男らしいガッチリとした体格で、抱き付いていてとても安心できる。さっきから私の心臓の音がうるさいが、これは仕返し、変な気はないのだ。たぶん……。

 

 「し、仕返しだから……」

 

 彼の首筋に顔を埋め、匂いを嗅いでみた。当然彼の匂いがする。でも、彼と触れ合ったりしたときに香る匂いとは違う、"濃い"匂い。

 その匂いは私の鼻孔をくすぐり、脳をビリビリと痺れさせる。完全に制御を失った顔は、彼に見せられないほどに蕩けてしまった。

 

 ああ、これはダメだ。

 

 何処か別の国には、使用者を虜にしてしまう恐ろしい薬が有ると聞くが、私にとってこの匂いはまさに薬である。

 私の意思とは関係なしに、再び嗅ぎに行ってしまう身体をすんでの所で抑える。

 でも……もういいや。別に起きないだろうしもう一度だけ……

 

 「ベスティア〜?まだですか〜?」

 

 突然、部屋の扉が空いた。どうやらリビングで待っていた皇女サマが様子を見にきたらしい。

 

 「ミ゜ッ!!」

 

 驚きすぎて身体が勝手に跳ねてしまった。それこそ天井を突き抜けるのではないかというほどに。それに変な声も出た。恥ずかしい。

 

 「グホァッッ!!!」

 

 飛び上がった拍子にグランデを叩きつけてしまったようだ。

 そのまま彼の胸に着地。真っ赤な顔を見られないように、顔をうずめる。うー……、恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。 

 

 「あ゛、あ゛の……」

 

 私の頭上で、彼がそう呟いた。

 ふぅ、と一呼吸置いて気持ちを落ち着かせる。

 

 「な、な、な、なんて破廉恥な!!こんな朝から!!私がリビングに居るのにも関わらず!!」

 

 「いや、ごめん皇女サマ。コイツがなかなか起きなかったから。」

 

 平然を装い、そう返答する。もう、胸は高鳴ったりしていない。

 

 「と、とにかく!今回は見なかった事にしますから!早く起きて来て下さいね!!」

 

 どうやら誤解を受けてしまったようだ。……あながち誤解じゃないのかもしれないけど。

 

 「……ベスティア、さっさと退いてくれないか。」

 

 「ん?ああ、ごめん。」

 

 ようやく起きるらしい。私は言われた通りに退くが、彼の体温が少し名残惜しい。まだ顔が暑いので、彼に気付かれないようにパタパタとあおぐ。

 

 その間に彼も伸びをしたようだが、その拍子に彼の背中からバキバキッ!と骨が折れるのと似たような音が響いた。

 

 「それ、だいじょぶなの……?」

 

 あまりにも大きな音だったので、ついつい聞いてしまう。流石に折れてはいないだろうけど、少し心配だ。

 

 「……お前の所為だよ。」

 

 彼は目を合わせず、少し苛立ったような声色でそう言った。

 確かに、驚いた時に強く叩きつけてしまったかもしれない。怒らせて、しまったようだ。

 どうしよう、嫌われてしまっただろうか。

 

 「……ゴメンナサイ

 

 「お、おう。」

 

 この反応は、多分……だいじょぶ。

 




ベスティアちゃんは銀髪もふもふ猫耳っ娘です。おっぱいもそこそこでかいです。
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