内容が前後したり、オリジナル展開がありますが、だいたいは原作と同じように進んで行きます。
タイトルは後半です。
「うっ……うぐっ……。ぐすっ……。生臭いよう……。生臭いよう…………」
粘液まみれのアクアがめそめそと泣きながら、そんなことを言っていました。
浄化魔法とクリエイトウォーターを上手く使えば綺麗に洗い流せると思うんですが…アクアの服ならすぐ乾くと思いますし。まあアクアの頭では考えられないと思いますがね。
「カエルの体内って、臭いけどいい感じに温かいんですね……。知りたくもない知識が増えました……」
こっちも知りたくないですよ、そんな情報…
ちなみに、私は身長的に無理で、ソラは嫌ということでカズマがめぐみんを背負うことになりました。やっぱりカズマは優しいですよね。
「めぐみん、今後爆裂魔法は緊急の時以外は禁止な。次から他の魔法使ってくれよ」
確かにあの魔法は使い勝手が悪いのであまり使って欲しくないですね。あと、私が取得している初級、中級、上級魔法とかを見せてもらいたいです。アークウィザードは魔法専門職みたいですし。
「……………使えません」
「「「え?」」」
「爆裂魔法しか使えません、と言ったのです」
「「「………」」」
いつの間にか立ち直ったアクアが話に入ってきました。
「そんなことはないわよ。爆裂魔法を取得出来るスキルポイントがあるなら、他の魔法も十分覚えられるんだから」
アクアもたまには役に立つんですね。
それはともかく、つまりスキルポイントが爆裂魔法の取得には沢山必要と言うことみたいです。
「…えっと、スキルポイントって何だ?」
「まったくしょうがないわね、カズマはまったく…「スキルポイントスキルポイントと言うのは、職業に就いた時に貰える、クラススキルを習得する為のポイントです。優秀な者ほど初期スキルポイントは多くて、このポイントを振り分けて様々なスキルや魔法を習得出来ます」…ちょっとー!」
アクアを相手するのはめんどくさいので無視が安定ですね。
「なるほど。…お、前回と今回のカエル討伐でレベル3まで上がってるな。後でスキルの取得方法を教えてくれないか?」
「良いですよ」
いつの間にか魔力が回復して自分で歩けるようになっためぐみんとアクア達がなんか小声でしゃべってますね。
ソラ(カリナとカズマってなんか良い雰囲気ですよね…)
アクア(確かに…まだ一日も経ってないのにね)
めぐみん(私達がカエルに食われている間に何かありましたか、ソラ?)
ソラ(いや、特に何も…)
めぐみん(うーん…気のせいですかね?)
アクア(とりあえず気のせいってことにしとこうかしら)
ソラ(そうですね…)
……全部言ってること分かることを知らないんですか?私の能力をちょこっと教えてあげたんですが…ソラとアクアには。
なんか聞いてたら恥ずかしくなってきました…あの三人は後で覚えていてくださいね。
どうやらカズマには聞こえてなかったみたいです、助かりました。
「ところで、めぐみんはほんとに爆裂魔法しか使えないのか…?」
「私は爆裂魔法をこよなく愛する者なのです。爆発系の魔法が好きなのではなく、爆裂魔法だけが好きなのですよ!」
アクアはめぐみんの熱弁を真剣に聞いています。アクアが真剣に聞いている…?あっ(察し)
「もちろん他のスキルを取れば楽に冒険が出来るでしょう。中級、上級魔法を取得すればどんな時でも対応することが出来ると思います……でも、ダメなのです。私は爆裂魔法しか愛せない!例え今の私の魔力容量では一日一発が限界でも!例え魔法を使った後は倒れるとしても!それでも私は、爆裂魔法しか愛せないのです!なぜなら、私は爆裂魔法を使う為だけにアークウィザードの道を選んだのですから!」
「素晴らしい!素晴らしいわ!その非効率ながらもロマンを追い求めるその姿に、私は感動したわ!」
知 っ て た。
そんなことだろうと思ってましたよ、ダメな部類に入る人だとは…
私とソラがいなかったら一人でこの問題児二人を抱えていたカズマ…あ、まだこのパーティにはめぐみんは入ってません!
「…そっか。多分茨の道だろうけど他のパーティでも頑張れよ。お、そろそろ大衆浴場が見えてきたな。それじゃあ風呂に入って粘液を落としてから、ギルドに行こう。そしたら今回の報酬を山分けさせて貰おう。うん、また機会があればどこかで会う事もあるだろ。では、ギルドに着いたら解散ということで」
ナイスです、カズマ!
…ですが、その言葉を聞いためぐみんは、カズマに近づいてきて服を強く掴みました。
「ふ……。私の望みは、爆裂魔法を放つです。報酬などあくまでおまけに過ぎず、何なら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出して貰えるなら、無報酬でもいいと考えています。そう、上級職であるアークウィザードである私の絶大な力が今なら食費と諸々のみ!これはもう、長期契約を交わしてもいいのではないでしょうか!」
「いやいや、その強力な力は俺達のようなパーティには向いてないよ。そう、お前さんの力は俺達には宝の持ち腐れってやつだ。俺達のパーティには普通の魔法使いで充分だ。ほら、俺なんか初期職の冒険者をやってるぐらいだからな」
カズマは、多分ギルドに着いたらすぐにめぐみんを捨てられるようにでしょうか、必死で掴んできているめぐみんの手をなんとか緩めようとしています。
頑張ってください、カズマ!私達の運命も懸かっているんです!
「いやいやいや、弱小でも駆け出しでも大丈夫です。私も上級職ですけど駆け出しなんですよ。まだレベル6です。見捨てないでもう少し使ってくれれば、レベル上がれば魔法使っても倒れなくなりますから。だ、だから、ですね? お、お願いですから、手を引き剥がそうとしないで欲しいです」
「いやいやいやいや、爆裂魔法一発しか使えない魔法使いとか、かなり使い勝手悪いし意味わかんないから。くっ、魔法使いのくせに意外な握力をっ……!こ、こら離せ!お前多分他のパーティにも捨てられた口だろ、というかダンジョンにでも潜った時には、爆裂魔法なんて狭いダンジョンじゃ使えないし、いよいよ役立たずだろ。お、おいこら離せ、ちゃんと今回のクエスト分の金はやるから!」
「見捨てないでください!もうどこのパーティも拾ってくれないのです!ダンジョン探索の際には、荷物持ちでも何でもします!なので、お、お願いします、私を捨てないでくださいー!」
めぐみんが捨てないでだのと大声で叫んだせいであらぬ誤解をしている通行人達が、カズマを見てひそひそと噂しています。ヤバく無いですか?
もう街に入っていて、おまけに粘液でぬるぬるなアクアもいてめっちゃ目立ってますよ!
「やだ……。あの男、あの女の子を捨てようとしてる……」
「近くにはなんか粘液まみれの女の人もいるわよ…」
「あんな女の子を弄んで捨てるなんて、とんだクズね……しかも近くには同じぐらいの女の子と、まだ小さな子がいるわ…これから、さらにどんなプレイをしようとしているのよ、あの変態…」
めぐみんは口元をにやりと歪めて、
「どんなプレイでも大丈夫ですから!先程の、カエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えてみせま「よーし分かった!これからよろしくなめぐみん!」
「ジャイアントトード五匹の討伐、お疲れ様でした!」
「疲れたなんてもんじゃないですよ…ほんとに…」
私達がいることでさらにひどくなってましたね。あの噂が広がったら、カズマヤバいですよ…
ちなみに、ジャイアントトード討伐の報酬は、本体の買い取り料+一匹討伐で15000エリスみたいです。なかなか高いですね。どうやら食用として需要があるみたいなのでこの金額なんだそうです。
…まこんな目に遭ってこれだけか、とはカズマは思っているみたいですが。
「…この冒険者カードって、倒したモンスターの種類とか討伐数が記録されるのか。(科学の代わりに魔法が発達した結果なんだろうけど、この世界の技術もあながちバカにはできないな)」
確かに、言われてみれば他の世界よりもこの世界の魔法の方が発達していると思いますね。基本的に科学と同じことが出来ますし…
アクア達は今回の稼ぎで飲み食いしてます。人の気も知らないで…
「はあ…もうやだ、この世界…」
「元気出してください、カズマ」
「ああ、ありがとう、ソラ」
「もしアクア達が何か厄介事を起こしたら…あ!言ってそばからアクアがやらかしてます!」
…せっかく良い雰囲気だったのに、あいつ何やってくれてるんですか!
「そろそろスキルが欲しいなぁ…」
ジャイアントトード討伐の翌日、カズマがそんなことを言いました。
「私の片手剣スキルなんてどうですか?今カズマはショートソードを使ってるみたいですし…あ、そう言えば装備もそろえてませんね」
「そうだな、でもお金が無いんだ…」
「私が払うので、皆の装備を買いに行きませんか?一撃熊の報酬がほとんど残っているのである程度なら払えますし、スキルは良い武器を使えば効果も上がりますから」
「いや、悪いよ。カリナが一人で討伐してきたお金を使うなんて…」
「皆の危険を少なくするためなので大丈夫ですよ」
「そうか…なら甘えさせてもらうよ」
そんなこんなで私達は装備を買いに来ました。
「私はこのマナタイトの杖が欲しいです!」
「それなら私は…このネックレスが欲しいわ!」
うっ、結構しますね…ちょっと足りるか微妙ですが、まあ私の分は必要ないので大丈夫でしょう。
「うーん、どうしようか…「カズマとカリナは防具も揃えてくださいね」分かった。(しかし冒険者風の格好か…なんかいいな!)」
やっぱり見た目もモチべに繋がるので重要ですよね。ソラは見た目に一番気を使う年齢だと思いますし、時間がかかってます。
……え?私は見た目に気を使う年齢じゃないから選んでないのか、ですか?い、いや、違うんですよ…って誰に言ってるんでしょうか、私。
その後は、カズマとソラの普段着がジャージとブレザーなのは色々不味いので何着か買ったり、街を探索したりしたりして過ごしました。
そして昼頃ギルドに集合を約束して、一旦解散することにしました。
何故解散したかって?
100万エリス程あったお金が無くなったんですよ。アクアの無駄使いで…
ここぞとばかりに使いまくってました。ほんと最低です。いつの間にか借金作りそうですよ。
はあ…あと一時間の間に白狼を討伐してこなくてはいけませんよ…
移動に時間がかかるので、あれを使いましょうか。
シュッ
と、前に一撃熊の討伐した場所と近くて助かりました。普通に魔法のテレポート使うよりも、場所の登録とか詠唱なしで移動出来るのが能力の使いやすさですよね。
お、現れましたね。討伐数は三体でしたはずですのでちょうどです。
刀で切るだけではあれなので、初めての攻撃魔法を使いますか。なんだかんだ撃つの楽しみだったんですよ。
最初は中級魔法からにしましょうか。、初級魔法は日常で使うような感じでしたし。
「三体同時に来ましたか…とりあえず右のやつから!『ライトニング』ッ!」
うわ、かなり威力出ますね。他の世界の魔法より威力が高いですよ。一発で白狼に穴が空きましたし、これで中級ですか…さらに上の、上級魔法はどのぐらいでしょうか…
今の魔法に怯んだのか分かりませんが、少しスピードが遅くなりました。このスピードなら上級魔法を撃てるぐらいの時間がありますね。
「次は真ん中に!『ライトニングストライク』ッ!」
マジですか…白狼を貫いて木に当たってしまって、燃え始めました!
「ヤバいです!『クリエイトウォーター』!」
ふう、何とかなりまし…あ、白狼が逃げて行きます!
「か、『カースドクリスタルプリズン』ッッ!」
咄嗟に最上位氷魔法を使いましたが、これは妨害としても、攻撃としても使えますね。ぶつかって白狼がひっくり返ってます。
「『雷光一閃』!」
三体の討伐完了しましたね。でも使うのは刀が一番しっくり来ます。
…この刀に魔法を纏わせて放ったら、さっきのよりももっと威力が高くなるので、大惨事になっていたのでは?
一瞬思いつきましたが、やんなくて良かったです…
さて、それじゃあ、帰りますか、向こうもちょうど良さそうですしね。
カズマ目線
カリナに迷惑かけてしまった…
アクアが自分のお金じゃないのを良いことに、めっちゃ使いやがった。もしかしたら、今頃依頼受けて、討伐しに行ってるのかもしれない…
カリナに使った分のお金を払わないと報酬あげないようにはしたが、あいつには学習能力ってものがないからなぁ…一体どうすれば良いのか…
そんなことを考えていると、ソラが相談にのってくれた。
ソラを、この性格と見た目で好きにならない人なんかいるか?いないだろ。
………あの不良のイケメンと一緒にバイクに乗ってた所を見なければ、引きこもりになんなかった。
どうしてあんなやつと付き合ったんだろうか、ソラは……
「……い、おーい、カズマ?聞いてますか?」
「…ご、ごめん、悪い、少し考え事してたんだ」
「ん?さっきと別のこと?」
「まあ、そうだな。と、それは置いといて、アクアのことについてだ。……あいつは運が最低レベル、知能も平均以下なんだよ。どうしたら迷惑をかけないように出来るか考えていたんだ」
「うーん…やっぱり、レベルを上げるのが一番だと思いますよ。ステータスが少しでも上がれば、やらかすことは少なくなるはずです」
「その手があったか!じゃあ、集合したらカリナに話してみるか」
「そうですね。……ところで、前々から考えていたのですが、何故カズマは学校に行かなくなって、引きこもりになったのですか?」
……え?
「なんで学校に来なくなったんですか?」
「………」
言っても良いのか……?いや、逆に聞いてみようか?
「………なあ、ソラ。俺も聞きたいことがあるんだ。なんであの時、先輩の不良と一緒にバイクに乗ってたんだ……?」
「あの乗ってた所見てたんですか!?…えっと、あれはただ単にあの人にバイクで家まで送ってもらっただけだったはずです」
「…へ?」
まさかの勘違いだったのか…?
「……実はな…恥ずかしいんだけど、ソラがあの不良と付き合った、なんか、裏切られたと思っちゃって……」
ソラが実に微妙な表情を浮かべている…
「ま、まさか、それが原因なんですか…?」
「…そうなんだ」
「………ぷっ、あはははは!ほんとにカズマっておもしろいですね!あはははは!そんなことで引きこもるなんて!」
「……周りの人が見てる見てる!」
「ふう…まあ、安心しました。(私を嫌いになったわけじゃないみたいで)…そろそろ時間ですね、集合場所に行きましょう!」
カリナ目線
「おー、かなり様になってますね、いかにも冒険者!って感じで似合ってますよ」
全身金属装備ではなく、二人とも布装備で、関節部分と胸の部分を金属で守っています。ある程度の依頼ならこなせそうですね。
「ふーん、ようやく私に見合う、まともなパーティになったわね」
「おい、問題児筆頭のくせに何言ってんだ」
「はあ?女神の私がいるってことだけでどんだけ良くなってると思ってるの?」
「は?お前は問題しか起こさない能なしだろ。…カリナはな、今さっきまでお前に散々使われてお金が無くなったから、モンスター討伐しに行ってたんだぞ?他人のことなんて気に留めずに、自分を最優先に考える自己中が!しかもまだカリナに謝ってないだろ!」
討伐に行ってたの気付いてたんですね…本当は魔法の試し撃ちがてらに行っただけなんですが、今は言わない方が良さそうですね。
「え、そうだったの…?ごめんね…じゃない、ごめんなさい!調子に乗っていた私が悪かったです!つい調子にのってしまって…「まあ良いですよ、別に。…あの時、私の位とか頭に無かったですよね?他のあなたより上の神なら、今の状況だと消されてますけど…」ひぃ!」
「あの…私、まったく付いていけないのですが…」
「つまりはアクアとカリナは女神で、カリナの方が上位なのを忘れていたから今の状況になっている訳です」
「えっ、アクアが女神と言うのは本当だったんですか!」
説明ありがとうございます、ソラ。脅したりすれば、アクアがこれで厄介事を起こさなくなれば良いんですが、多分無理ですね。レベルを上げれば知力が上がるから治るかもしれません。ただし、いまはアンデット討伐の依頼は出てないみたいですので、また今度ですが。
「えーと、とりあえず依頼を受ける前にカズマにスキルを教えますか」
「ありがとうソラ。これで片手剣スキルは覚えられたよ。うーん、まだ少しポイントが余ってるから他に言いスキル無いかな…」
カズマに中級魔法を覚えて欲しかったのですが、ポイントが足りなくて覚えられませんでした。でもいつでも取れるように目の前で実践して見せましたが、なぜかめぐみんが驚いていたんですよね。なんででしょうか?
「ねえ、スキルが欲しいんでしょ? 盗賊スキルなんてどうかな?」
あれ?何か見覚えのある顔に見えますね…なんかこっち見ませんし、何か怪しい、あ…
ま、まあ気付いてないふりしてましょう。
「盗賊スキル? えっと、どんなのがあるんですか?」
「盗賊スキルは使えるよー。罠の解除に敵感知、潜伏に窃盗。持ってるだけでお得なスキルが盛りだくさんだよ。さらに、盗賊のスキルは習得にあんまりポイントもかからないしお得だよ?どうだい?後でクリムゾンビア一杯奢ってくれるなら教えてあげるよ?あ、あと敬語はいらないよ。堅苦しいのは嫌だからね」
「じゃあ頼む!」
「じゃあまずは自己紹介から!あたしはクリス。見ての通りの盗賊だよ。よろしく!」
名前もほとんど同じじゃないですか…単純な理由だけで名乗ってるわけではないと思いますが。
「こっちも自己紹介を。俺はカズマだ。こちらこそよろしく!」
「私はカリナです。職業はルーンナイトです。色々よろしくお願いします」
「う、うん、よろしく。(まさかもうバレてる!?)」
「ついでに私も。ソラと言います。職業はソードマスターです。よろしくお願いします!」
「と、自己紹介終わったね?まず敵感知と潜伏から。(誰にやろう…カズマは見てもらう側だし、初対面の相手に石を投げるのはちょっとなぁ…すみません、カリナ様!)」
やっぱり私ですか!しょうが無いですね…って投げるスピード速いですよ!
「…いったい!強すぎですよ!」
「敵感知が凄い反応してるんだけど!怒ってる気配をピリピリ感じる!カリナごめんなさい!強すぎまし…ああああああああああああ!!!ごめんなさいいいいいいい!!!」
はあ、やっと気が落ち着きましたよ。結構痛かったのでこれくらいやらないといけませんよね。
「え、えっと、それじゃあ、あたしのイチオシのスキル、窃盗をやってみようか。これは、対象の持ち物を何でも一つ奪い取るスキルだよ。相手がしっかり握っている武器だろうが、鞄の奥にしまい込んだサイフだろうが、何でも一つ、ランダムで奪い取ることが出来るスキルなんだ。スキルの成功確率は、スキルレベルとステータスの幸運に依存する。強敵なモンスターと相対した時とか、モンスターの武器を奪ったり、もしくは大事に取っといたお宝だけかっさらって後は逃げたり。色々と使い勝手のいいスキルだよ」
「へ、へえ。良いな、そのスキル」
「そうなんだよ。じゃあカズマに使ってみるね。『スティール』ッ!」
「あっ! 俺のサイフ!」
…私相手に使わなかったのは良い判断ですね。
「おっ! 当たりだね! まあ、こんな感じで使うわけさ。…じゃああたしと勝負しない?早速窃盗スキルを覚えて、そのスキルであたしから何か一つ、スティールで奪っていいよ。どんな物を奪ったとしても、キミはこの自分のサイフと引き換え。……どう? 勝負してみない?」
ずるーい、幸運の女神相手とか無理ゲーじゃないですか。
しかし、
「早速覚えてみたよ。そして、その勝負乗った!何盗られても泣くんじゃねーぞ?」
「いいねキミ! そういう、ノリのいいヤツって好きだよ! さあ、何が盗れるかな? 今ならサイフが敢闘賞。当たりは、魔法が掛かってるダガーだよ!こいつは40万エリスは下らない一品だからね! そして、残念賞はさっきカリナにぶつける為に多目に拾っとい…いや、今の無しで」」
「それは言っちゃダメなことだと思うんですけど…」
とソラが。
……あとで覚えててくださいね?
「ずるくないか?それ!」
「い、いや、どんなスキルにだって対抗策はあるもんなんだよ!…それと、後で助けてください…」
「それは嫌だ。「えっ」よし、行くぞ!『スティール』ッ!」
やっぱり気付いてたみたいです。身ぐるみ剥がす勢いで使ってくれても良いんですよ?
…あ。
「……なんだ、これ?………ヒャッハー!当たりも当たり、大当たりだあああああああああ!」」
「……ぱ、ぱんつ返してええええええええええええええええええええっ!」
「カズマお帰りなさ…なにがあったんですか!?」
まあ、誰でもそう思いますよね。
「あたしはクリス…あたしね?カズマにパンツを剥ぎ取られて、そのパンツを返す代わりにあたしのお金を全部取られた……」
「…まさか、カズマがそんなことをする人だとは思いませんでした」
「いいや、ちょっと待ってくれ!確かに取ったけど、訳があるんだ!」
「この人、自分で取ったって言ってるじゃない!もう確定ね」
周りの冒険者の人達もカズマを避難の目で見ていますね…これは不味いです。
「だから訳があるんだって!クリスが勝負してきたから乗っただけで、こんなに言われるのはおかしい!」
うん、そうですよね。だって自分で何か一つ奪っていいって言ったんですから。あとさっきので私は満足しましたし、エリ…じゃない、クリス助かりましたね。
「そうですよ。カズマの財布を奪った後、何か一つ奪っていいって言ってたんですから。あと、“どんな物を奪ったとしても、キミはこの自分のサイフと引き換え”とも言ってましたし。その約束があるのに、クリスはお金と交換したんですよ」
ソラは弁護士になった方が良いんじゃないですかね?完璧です。
「そ、それは…」
「窃盗スキルランダムで何か一つ盗むんですよね。たまたまクリスのパンツを引き当てた、と言うことです」
…なんか、女の子がパンツパンツ言ってるのってシュールですよね。
「ありがとうな、ソラ。危うく犯罪者疑惑がかかるとこだった」
「いえいえ。事実を話しただけですし」
「…それなら今、『スティール』使ってみてよ!」
あ、ヤバい…
「いいぜ、事故だってことを証明させてやる!『スティール』ッ!」
それは私に向けて放たれました。なので…
「……あの、運良すぎじゃないですか?ある意味…」
カズマの手には、私のパンツが握られていました…
「本当にすみませんでした!」
「大丈夫ですよ…何とか…ロングスカートなので、誰にも見られてませんし…このことは忘れてくださいね?…と、そろそろ討しに行きませんか?装備も良くなりましたし、少し高難易度の依頼も受けられると思いますよ」
「お、おう、そうだな。それじゃあ行くか!」
色々ありましたが、一撃熊の討伐に来ました。
(あれが一撃熊か…結構でかいな)
(なんか怖くなってきたんですけど…)
(私は支援に徹しますから、四人で討伐してください。めぐみんの爆裂魔法があればある程度の敵はワンパン出来ますし、もし危険な時は私が守りますので)
(おう、分かった)
((はい、分かりました))
(そんなに聞いてなかったけど分かったわ)
少し不安はありますが、一撃熊討伐が始まりました。
(よし、作戦を伝えるぞ。まず、俺とソラで一撃熊を広い場所へ連れてくる。俺はさっきのお詫びでクリスから教えてもらった逃走スキル、ソラはステータスで何とかなるから、結構な距離は走れる。その後に、連れて来たらカリナに足止めをしてもらう。そして俺達が十分離れたところで、めぐみんが爆裂魔法をぶっ放すって感じだ)
(理解しました。…何気にカズマって作戦を考えるの上手いですね)
(まあな。ネトゲやってたらこういうのよく任せられたし)
(あの、すみません、ねとげとはなんですか?)
(えー、まあ、討伐終わったら話すよ)
(…分かりました。とりあえず置いておきますね)
(それはともかく、私が活躍出来ないじゃないの。何か私にもやらせてよ)
(大丈夫だ、しっかり活躍出来るぞ。俺達が囮になる時に、お前は支援魔法を掛けてくれ。これはお前にしか出来ないんだからな)
(そうよね、私はやっぱり必要よね!しょうがないんだから!)
さすがカズマ。アクアの扱いが上個性的な人がいるなかでも、それを理解してさらに生かせることが出来るのはカズマだけだと思います。
(じゃあやろうか!)
「こっちですよ!」
「うわああああ!!やっぱ怖ええ!」
「男ならもう少し格好良くできないんですか!?」
「いや、そんなこと言われても、怖いもんは怖いんだよ!」
「まったく、カズマはいっつもそうですよね!」
「否定出来ないのが悔しい!…っと、そろそろ良いんじゃないか?カリナ!魔法頼む! 」
「分かりました!『ボトムレススワンプ』ッ!」
我ながら完璧ですね。ギリギリカズマ達を巻き込まないぐらいに出来ました。…泥沼魔法を 使ったの初めてなので、成功してほんとに良かったです。
「行け!めぐみん、やっちまえ!」
「ありがとうございます、こんなに絶好なタイミングはないですよ!…我が爆裂魔法を食らうがいい…『エクスプロージョン』ッッッ!」
何回見ても凄い威力ですね…これからレベルが上がればさらに威力が上昇するんですよね。めぐみんが爆裂魔法を愛する気持ちが少しだけ分かった気がします。
「私がいなきゃ討伐出来なかったんだから、報酬の半分寄越しなさいよ!」
「ふざけんなよ!あんなこと俺は言ったけどな、そんなに支援魔法は必要なかったぞ?距離あったし、カリナの魔法で足止め十分だったから、正直お前いらなかったぞ」
「わああああ!今カズマが言っちゃいけないこと言った!あんた絶対許さないんだからね!」
「どうせ酒飲んだらすぐ忘れるだろ」
「いや?そんなことないわよ…?」
「自分でも言い切れてないじゃねえか」
「まあまあ二人とも、そのぐらいで止めてくださいよ」
「そうですよ、爆裂魔法を撃った余韻に浸ってたところだったんですよ」
先日の爆裂魔法より確かに凄かったですね。一日一発なのは残念ですが…
「うーん、なんかカエルより楽に討伐出来た気がするんだが」
「確かにそうね。しかも、あの忌まわしきカエルに食われなくて済んだのは大きいわ…ちょっ、待っ…」
「「「「………あ」」」」
そう言えば、ここカエルの棲む場所の近くでした。
何かカズマが格好いい感じになってますね。
次回は5000文字ぐらいになると思います。