ベテラン勇者がRTAする話   作:赤坂緑

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最近流行りのRTA系小説を読み漁っているうちに、自分もやりたくなりました。
本当に自分が書きたいだけなのでガバガバなところが多いですが、よろしければ感想とか頂けると嬉しいです。

※改定を加えました。



第一章:アルカディアの聖騎士
降り立つ勇者(裏)


 

 はい、どうも皆さんこんにちは。

 

 勇者です。

 

 今回は魔王殲滅ルートの最短クリアを目標に頑張っていきたいと思います。

 目標タイムとしては、そうですねぇ……だいたい、2年くらいでしょうか。

 

 えっ? 長い? ですよねー。

 

 でも残念ながら、クソ仕様のこの世界ではこれでも早い方だと思います。

 

 なにせ、最終的に塵にする予定の魔王と来たら、一定の条件を満たさなければ攻撃を通すことすら不可能という鬼畜設定になっているため、プレイヤースキルでのゴリ押しが通用しないからです。

 

 故に必要とされるのは地道極まりないスキル調整と、私の命を守ってくれる肉壁――げふんげふん。仲間の存在です。

 

 特に、本RTAにおいて人脈づくりは決して怠ってはいけない項目であり、これをサボってしまえば津波に刀一本で立ち向かうような難易度に跳ね上がってしまいます。

 

 難易度ルナティックどころではありません。難易度ギャラクシーです。

 

 以前の無知だったころの私は、自分一人で何もかもできると思い込んで魔王の魔術、結界、城、罠、雑魚敵の排除を全部引き受けていたのですが……あれは駄目ですね。勝てはしましたが、時間が足りなくて世界の方が先に詰みました。

 

 その結果として私はまだこうして魔王に挑まなければならなくなったのですが……あのルートをもう一度やるのは流石に勘弁願いたいです。

 

 

 先ほども言ったように、本RTAでは人脈の構築が命です。そして人脈とは即ち、何故か美少女だらけのパーティーメンバーのこと。

 

 つまるところね、これはエロゲーなんですよ(暴論)。

 

 これから仲間になる彼女たちの感情を揺さぶって好感度を上手く稼ぎ、効率よくスキルを習得し、魔王を世界が終わるタイムリミット内にぶち殺す。

 

 うん。しっかりとRTAしてますね。

 結果的に2年くらいかかるけど。

 

 まぁ、某ソードでアートなオンラインゲームだって主人公補正ありきの魔王最短ルートRTAで2年かかっているわけですし、それを思えば平均的なタイムではないかと思います。

 

 かと言って、タイムを縮める努力を怠るわけではありません。

 無駄なイベントや会話スキップし、必要最低限のスキルと人脈だけで攻略を達成したいと思っています。

 

 これで大体の概要は説明し終えました。後は随時、攻略を進めながら説明を挟んでいきたいと思います。

 

 それでは、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 

「――勇者様、私の声が聞こえていますか?」

 

 

 もくもく煙が晴れるとそこは、どこかの薄暗い地下室だった!(デデン

 

 まぁ、非常にテンプレートですね。

 

 私は自分の五感が正常であることを確認しながらゆっくりと瞼を開いていきます。

 ここでもったいぶっておいた方がそれっぽいので、タイムの無駄だと思ってもそれらしさを演出しておいてください。

 まぁ、オープニング場面とでも思っていただければ十分です。

 

 パッと開けた視界の先にいたのは、純白の衣装を身に纏った金髪碧眼の美しすぎる少女と、彼女の後ろに控えている五名の神官たち。

 彼らは目を開いた私の姿を見て驚愕しました。

 

「ゆ、勇者様が目覚められた!」

「奇跡だ!」

「信じられん……」

「まさか本当に成功するとは」

 

「――静粛に」

 

 声は凛と、厳かに。

 聖女の一声で彼女よりも高齢の神官たちは黙り込みました。

 情けねぇことのこの上ありませんが、地位的にはこの少女の方が高位にあるので致し方ありません。

 

 もう何回見たか分からない光景を目の前に、私は欠伸を嚙み殺しながら鉄仮面を維持しています。

 

 ポーカーフェイス最強。

 

 その後は自分が勇者であることを説明されるパートがありますが、物凄くありきたりなのでスキップします。

 退屈な自己紹介や王城の案内を終え、暫くの間拠点として利用する予定の自室に到着しました。

 

 あっ、私を召喚した(ことになっている)聖女さんとの会話はしっかりとこなしておきましょう。

 台詞も決まっていますし、今は好感度もクソもないので割と適当でも大丈夫です。

 強いて言えば、自分で設定したキャラ造形から乖離しないようにだけ注意をしてください。

 

 このRTAはロールプレイングが全ての肝なので。

 

 これから先、滅茶苦茶恥ずかしい、リア充でも無理なクサイ台詞をバンバン吐いていくことになりますが、皆諦めないで付いて来てくれよな!

 

「さて、と」

 

 自室に着いたら見た目の確認をしましょう。さり気なく疲れた様子を演出しながら部屋の中にある鏡の前に移動します。

 なぜ演出が必要なのかと言うと、それはもちろんこの部屋が監視されているからです。

 もうどこに監視魔術が潜んでいるか知っているのですが、此処で破壊しても疑われるだけなので今は何もしません。

 

「ふむ……」

 

 鏡を見て改めて思ったのですが――私、イケメンですね(自画自賛)

 

 まぁ、流石に国宝級とはいきませんが、客観的に見ても悪くない容姿だと思います。

 容姿に見合わない行動をしても得することがないので、きちんとキャラ付けはしておきましょう。

 

 ちなみに、私のキャラの方向性は決まっています。

 

 勇者の癖に結構腰が低めで情けない感じだけど、やる時はやる。

 見た目に反して敵には容赦ないが、自分に付いて来てくれる肉壁(仲間)には優しい男。

 

 うん。ベタですが、これでいいでしょう。後はアドリブと勢いで何とかなる筈。

 

「ふぁ~あ。……何が何だかよく分からないけど、取り敢えず寝るか」

 

 走者には時間を無駄にしている時間なんてありませんので、さっさと攻略に取り掛かりましょう。

 一先ず、「何が起きたのかよく分からないけど、自分の見た目は確認できたし、取り敢えず今日はもう寝て難しいことは明日考えよう」という体を装い、ベッドに直行。

 

 部屋の電気も消さないまま冷たい布団に潜りこんで丸くなります。

 

 やはりRTAと宣言したからには正確性とスピードが命。

 

 先手必勝。電光石火。

 ステータスは初期も初期ですが、この王城でやれることは一通り済ませておきましょう。

 

 一先ずは――

 

 

(国王を()るか)

 

 

 攻略に邪魔な奴から消していきましょう。

 

 

 




RTA初心者なので、良く他の方の項目に書かれているbiim兄貴の動画を見てみました。
普通に面白かったのと同時に、世の中には色んな人がいるんだなと思った次第です(小並感)。

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