俺は夜、寝る事にした。
そこに鋼の錬金術師の漫画を置いて。
「おい、起きろ!」
と揺られて目を開けると…そこには金髪のみつ編み、
鋼の腕に脚、おまけに銀時計があった。
「此処は…?」
と問う。すると…
「何、寝ぼけた事言ってんだ。…此処はリゼンブールだぜ!」
と答えられ…
「う、うわぁぁぁ!!」
と言って目を覚ますと、そこはいつもの寝室、何事もなかったかの様に、日常が始まる。
だが、ある事に気付く。
これは当然の事なのだが…
《この現実世界にはエドワード・エルリックはいない!》
…
…
…
それからあっさりと時が流れた。
かつて小さな僕も成長し、今となっては、仕事を任せられる様になった。
もうすっかりあの日の事は忘れている。
「おい、そこのお前。」
…あれ?あの人は?
「人をジロジロ見るなよ。…ところでニホンは何処だ?」
と聞く金髪のその人は、年老いてはいるが、エドワード・エルリックさんだ!
「えぇと、此処がニホンですよ。」
と丁寧に話すと
「…ありがとな。」
と言って去っていった。
今、世界の何処かでエドワード・エルリックさんがいる。
それは本人ではないかもしれないし、表面上の物だ…と言ってしまう人もいるかもしれない。何もかもが真実であるとは述べる事は出来ないのだ。
だが、全てを否定するのはあまりにも一方的じゃないか!
けど、信じるには少し足りないのかも。
んでその後、エドワード・エルリックさんに質問してみた。
「貴方はこれからどうするんですか?」と。
彼はケーキにフォークを入れようとしたが、イチゴが上手く挟まらず…不意に
「家族とのんびり暮らす。色々と気掛かりな事もあるけどな。」
と…
家族の事を考え、次に起こるものに備え、どんな状況に置かれたとしても、自分の力で乗り越える。
まさに理想的な人じゃないか。
「この世界で戦いが起きた時は?」
思わず聞いてしまった。
ガタッ!
と音を立てたかと思うと…
「それでも俺は逃げねぇ、必ず戦いを止めてみせる!」
と、まさに理想的な回答をした。
「それでこそだ。やっぱり僕は貴方の考えに賛同したい。」
と思わず口にしてしまった。
「…ヘヘッ」
と笑った。
「…さてと、そろそろ行こうか。」
と言って僕らは、ニホンへ向かった。
そして二人は、また新しい時間を歩み出した。
いつかきっと、この世界の平和を取り戻す。
その為には、まず話し合いの椅子につかねばならなかった。
どれだけ長い月日をかけたとしても
必ず成し遂げなければならない事があるからだ