興味を持って開いていただきありがとうございます。
稚拙な文章な上に誤字脱字も多いかと思われますが、それでも読む! という方はどうか生暖かい目でお付き合いください。
始まりの日
「―――起きて――――!」
いつの間に寝ていたんだろうか?
記憶に無いから夜中にスマホ弄ってて寝落ちでもしたんだろう。充電は大丈夫だろうな?
そんなことは関係なく、起きろと言われたからには起きないといけない。
「ハイ起きましたー!」
いつも通りふざけた返事をしながら起き上がる。それにしても親はいつまで世話を焼いてくるのだろうか。成人近くなってもこれだ。世話を焼かれる側からしてみればかなり鬱陶しいから止めて欲しいが、ああだこうだ言ったところで止めてくれなかった。
そんなことを考えながら立ち上がると違和感がする。まず俺の布団はこんなに硬くないしザラザラした感触はしないし、部屋は一瞬で気が付くレベルで鉄や土みたいな臭いもしない。
「はぁ? ナニコレ?」
意味が分からない。
辺りを見渡すと薄暗い密室で、入口と思われる大きな扉の反対側には大量のダンボールが積みあがっている。どこかの倉庫か何かだろうか、学校の体育館くらいの広さがある。
「……なんで? ここ何処?」
それにしても、いつの間に移動したのかも覚えてない。
目の前の現実が全く受け入れられなくて完全に思考停止してる。パニックにすらならない。
「ハ、ハハッ」
もう乾いた苦笑いしか出てこない。なんの冗談だ?
それにしたってアニメや小説じゃあるまいし目が覚めたら知らない場所とか止めてほしい。こんな非日常は二次元だけで十分だ。リアルな夢って言われた方が全然納得できるんだよなぁ!
中二病あるあるの「誘拐された時~」とか「不審者が出て来た時~」に似たようなシチュエーションが現実になった時、妄想の中の俺は如何にも対応出来てます~みたいな行動を取ってたけどそんなのは所詮妄想だクソの役にも立ちはしない。
「どうしようかな」
一周回って落ち着いて、行動することもなく思考の海にダイブするのが俺の現状だった。
まずは今いる場所。
知らない。スマホが無いから地図アプリも開けない。終わりだ。
どうして此処に居るか。
知らない。お酒は吞んでないし、夢遊病でもないから俺が勝手にという線は無し。
「じゃあ次だ」
第三者…推定犯人の動機。
知らない。現代日本で俺みたいなイケメンでもない男が
そもそも、いくら俺が自称サイコパスだったとしてもこんな犯罪行為をする奴の思考なんて分かるわけないじゃん。
「じゃあ次」
今の俺の恰好
なんか黒い女物の制服に着替えさせられてる。
それに……
「落ち着つきましたか~?」
不意に聞こえてきた声に肩が大きく跳ねる。やめてくれよ……俺は臆病だから驚かせると死んじゃうんだ。
と、心の中でふざける事で余裕が出来た。深呼吸をする。
そう言えば誰かに起こされたんだったっけ?
知らない場所にいるインパクトですっかり忘れてた。
意味不明な状況で俺が独りではないと分かって、ちょっとの希望と多大な不安が押し寄せる。俺をこんな目に遭わせた奴がすぐ近くにいると思うと、急に心臓が嫌な音を立て始めた。
しかし緊張したままゆっくりと辺りを見回しても人影は見えなかった。
…幻聴か?
「ここです~」
再び聞こえて来た声は足元からのもので、視線を向けるとそこには――なんだこれ。
「ええと……なに?」
「私は~妖精です~」
掌に乗るんじゃないかってくらいの大きさの人が居た。しかも自分で妖精とか言ってる。幻覚もか?
「ハンッ」
「鼻で笑われた!? いくら何でも酷すぎるとおもいますぅ!」
「どうせ幻覚なんでしょ? ああヤバい。良くない事実ばっかり積みあがっていく」
「だから私は現実ですってばぁ!」
「あっそ」
妖精が存在するかどうかなんて今はどうでもいい。
恐らく幻覚の存在が喚いたところでどうにもならない。
「まだ信じない…頑固ですぅ……それっ!」
「ああっ!?」
いきなり顔に水が掛かった。
推定原因の妖精を見ると水鉄砲っぽい物を持ってる。
……マジ?
「現実? ウソだろオイ」
「だからさっきから現実だって!」
自称妖精…人を浚うようなヤツは悪魔じゃないの?
まぁいいや。コレが幻覚じゃないなら俺の頭は正常だってことだ。
「あ~…はい。じゃあ、この状況は何? 動機は何? 嫌がらせか? 説明できる?」
かなり友好的な感じだから遠慮も配慮もしない。
知りたいことをドンドン聞いていく。
「あ~それはですねぇ~。説明するより見てもらった方が早いですね~」
そう言って自称妖精は移動を始めた。
さっきこの倉庫? 内をちょっとウロウロした時にはダンボールが大量にあっただけで特に見所とか無かったような気がするんだけど。
そう思いながらダンボールの角を曲がる。
「!」
思わず息を飲んだ。そして咄嗟に引き返してダンボールの角に隠れる。
「ヤベェよヤベェよ」
誰かいた誰かいた誰かいた。
他に人が居るなんておかしいだろ!? さっき一通り見て回って誰も居ないって判断したんだぞどうなってんだ。音もしてないのにどっから現れた伝説の傭兵じゃあるまいし。
咄嗟に隠れちゃったのは人が居たからというのもあるけど、その人物はぱっと見た感じ日本では、少なくとも俺が今まで過ごして来た記憶では見ることが無かった奇妙な少女だったからだ。
取り敢えず隠れちゃうのは拙いと思って、ジロジロ見ないように視線を逸らしながら角を曲がる。
視線をゆっくり正面に戻すと、変わらずそこには少女が立っていた。
いきなり殴ってこないだろうな? 白髪っぽいけど日本語通じるかな……?
「え、え~っとぉ……ハ、hello?」
挨拶とも言えないような挨拶をすると、目の前の少女の口が自分に合わせて動いたことに気が付いた。
発言が被ったか? こんな時でもレディーファースト? どうぞどうぞとジェスチャーする。
すると相手も同じように手を前に出してきた。ここまでほぼ同時…もしやと思って右手でサムズアップすると少女も左腕を上げて同じ動きをする。
「鏡?」
「そうですぅ。それが今のあなたですぅ」
そう言って鏡の裏から自称妖精が現れると同時に電気が点いた。今までずっと薄暗かったからちょっと目が眩む。
それにしたって、これが今の俺?
「冗談だって言ってくれよ」
鏡に映った今の自分をもう一度見る。
深紅と黒の配色のセーラー服。セーラー服はサイズ間違ったのかわからないが襟が凄く広い。
「うわぁ……」
肩見えちゃってんじゃん。インナーだっけ? ファッションはよく分からないけど絶対に普通の人が着るような服じゃないよねこれ。
視線を落とす。黒に赤のラインが入ったスカートを履いてる。さっき鏡の中の人影が少女と判断したのはこのスカートがあったからだ。
「うわぁ……」
なにこれ短すぎない? スカートは膝丈よりちょい下ってのが俺の知ってる
更に視線を落とすと凄い硬そうな膝まである鉄のブーツを履いていた。
「うわぁ……」
こんなので踏まれたり蹴られたりしたら絶対痛いじゃん。そんな趣味無いけど。
視線を上げるとその顔が良く見える。鏡の向こうからこちらを見つめてくる眼の色は金、髪は薄い紫色でおさげ以外は結構短く切られていてヘアピンを着けている。
「どうですか? 結構自信作なんですけどぉ」
「あーはい、そっすね」
鏡から目を逸らさずに相槌を打つ。よく見たら顔のパーツが滅茶苦茶整ってる。髪の色は染めてるのか? 服装とかも合わさって一般人の範疇から完全に逸脱してる。精巧な人形……マネキンか?
全体的にファンタジーチックだ。ゲームとかに出てきてもおかしくなさそうなレベル。正直かなりかわいい方だと思う。
だけど残念なのはこれが俺ってことなんだよね。
女装趣味なんて勿論ないけど、そもそも目や髪の色……どころか骨格レベルで違うから「コレは本当に俺か?」ってなる。生粋の中二病患者である俺でもまさか自分が女になるとは思わなかったから頭の中は困惑に支配された。
だけどそれでも聞き逃せない情報はある訳で。
「自信作ってなんだよ。アンタは人を誘拐した上に無断で人の体弄ってたってことか? 俺の体はどうなったんだよ。確かにこの見た目は凄いんだけどさぁ……。」
「……実はあなたは死んでしまっているんですぅ」
「は? 勝手に殺さないで」
「嘘じゃないんですよ。あなたは働いてる途中に機械に巻き込まれて死んじゃったんですぅ」
憶えてないですか? と言ってこちらをジッと見てくる自称妖精。そう言われても俺はいつも通り働いて、働いて……あれ? その後どうなったんだっけ?
「は? 憶えてないが?」
憶えていないことを覚えてる。そして思い出そうとしたら途端に気分が悪くなってきた。呼吸が浅くなって、視界が狭まり何が見えてるのか何を見ているのか分からなくなってくるのが分かる。
死んだとなったら親に、家族に、会社に、知り合いにどれほどの迷惑がかかるのか。
まだ親孝行の一つも碌にしていないんだけど。ゴメン父さん、ポルシェに乗せる夢は叶えてやれなそうにないよ。ゴメン母さん、彼女の顔を見せてやれなかったよ。居ないから。
そして何よりも、親より先に死ぬとか……
吐き気がする。鳩尾の辺りから酸っぱいものが込み上げて来ているような気がする。
目が回る。視界が大きく揺れて今にも倒れるんじゃないかって思えてくる。
マジ? コイツが嘘吐いてるだけだ。
でも思い出そうとしただけでこれはマジっぽい。
じゃあ何? マジで死んだの? じゃあここはどこ?
なんて思考が浮かんでは消える。
やっぱりコレは夢なんだろう。いっそこのまま倒れてしまえば悪い夢から覚めるんだろうか?
「それは駄目ですぅ」
―――衝撃。冷たい感触。液体の音。
これらを受けて沈みかけた意識が戻ってくる。
ア゜ッ! 気管に入った感じがする! すごいスースーする! これ水じゃねぇ!
「グヘッ、ェヘッ……何すんだよ!」
咳き込みながらそう言い、何かをぶっかけてきた張本人を睨む。
「気絶されたらちょっと面倒だから許してほしいですぅ。そもそも私の話は全然終わってないですぅ。というか始まったばかりなのでどうせ倒れるなら全部聞いた後にしてほしいですぅ」
なんて奴だ! 普通死んだことを自覚したような体験をした人は訓練されてないなら気絶しても何らおかしくは無いんじゃないかと思う。普通にSAN値削れて一時的発狂するわ! したわ!
それをこの自称妖精は後回しにしろと、面倒だからと無理やり叩き起こしてきやがった。自分で妖精なんて言ってるけどフェアリーじゃなくてグレムリンの方だろコイツ。やっぱり悪魔じゃないか。
「あなたは死んでしまってもそれを認めず、別の日の朝だと思い込んでいましたよね? ですから私はそんな地縛霊であるあなたをこの体に入れて生きられるようにしたんですぅ」
「え? 何? じばくれい?」
マヌケみたいな声が出たけどしょうがないと思う。俺地縛霊なの? しかも
しかも死んだのに生きてるとは之如何に。
「で、そんなことしてわざわざ俺に何をして欲しいの? 生き返らせましたなんて言われて何もされないっていうのはちょっと怪しすぎると思うんですけど」
気になる事実がポンポン出てくる。ずっと立って問答も疲れるしと思って積みあがった段ボールの一つに腰掛ける。すると自称妖精は俺の右肩に腰を下ろした。手で払うと反対側に移動した。
「で? 話してくれない? 死者蘇生までやったんだ。もう何が来ようと驚かねぇぞ」
「実はここ、あなたが住む世界とは違う世界なんですよ」
「……」
なるほどパラレルワールドと来たか。なんという出鱈目。一つ頷いて続きを促す。
「それでですねぇ、あなたには人類の敵を倒してほしいのですよ」
「人類の敵」
自称妖精の言葉をリピートする。
人類の敵とは一体なんなんだろうね? ゾンビか、宇宙人か、
「それってどんなの?」
「――深海棲艦って名前のやつらですぅ」
「……は?」
そして俺は今いる世界が『艦隊これくしょん』の世界だと知った。
失踪はしません(鋼の意思)
例えペースが遅くても、一度世に出してしまったからには責任を持って完結させる所存です。
完結させないと申し訳なさから私が死ぬ