今回は主人公以外の艦娘が出てきます(長かった)
ルビ機能初めて使った……(当時)
一章は次話で終わる予定です。
「よろしくお願いします。……はありきたり過ぎて面白くないよな」
「そこはもう盛大にはっちゃけても良いと思いますぅ」
「それは悪目立ちするでしょ常識的に考えて……だからといって今日から
「新人なんてどこでも目立つんですから諦めてください」
「それはそうだけどさぁ」
妖精さんと会話をしながら進む。内容は鎮守府に着いたらどういった挨拶をするかについてだ。しかしまともな考えが浮かばず、妖精さんの言葉に従うことは俺のクソみたいなプライドが許さない。
なんだよ盛大にはっちゃけるって。人間は第一印象が大事なのにそんなふざけた事出来ると本気で思ってんのか? いくらなんでもそこまではしねーよ。
軽い会話をする俺たちの前に駆逐イ級が2匹現れる。が、妖精さん曰くレベルの上がった俺の敵ではないらしく、艤装に引っ込む様子はない。
確かに今まで結構な数のイ級は撃破してきたと思うし、イ級じゃないイロハ級? も倒して来た。だから今更イ級が2匹なんて苦戦はしない。楽勝とまではいかないけど初めて海に出た時みたいに常時綱渡りな状況にはならないだろう。
レベルが上がって何が変わったかというとまずは火力が違う。魚雷1発で確殺出来るとまではいかないけど、イ級1匹に魚雷が4発も必要になることはない。……なんで火力が上がるのかはさっぱり分からない。
妖精さん曰く「弾や火薬の質が上がってるから」だそうだが、なんで質が良くなるのかという質問には答えてくれなかった。この世には知って良い事と悪いことがある。
この疑問はきっと後者だ。でも気になることは気になるけど教えてくれる人が居ないからどうしようもない。きっとそのうち何とも思わなくなるだろう。
あとは
レベルが上がる原理も不明。レベルアップによって基本ステータスの底上げがされて強くなる。これだけ覚えておけば良さそうだった。単純でありがたい。
そうやって考えてる内にイ級2匹も撃破出来た。遅くて火力の低い敵なんて引き撃ちするに限るんだよなぁ……なにせ此方はソロプレイ。陣形なんて無いんだから1人で好き勝手出来る。援護がないってデメリットはあるけどメリットも無いわけじゃないんだよね。
「そろそろ日本の領海に入りますぅ! ……長かったですねぇ、あと少しで日本の土を踏めますよぉ」
突然衝撃の事実をお知らせしてくる妖精さん。
「は? マジ!?」
あと5日はかかるかな~とか思ってただけに驚きを隠せない。
でも確かにそうだ。レベルが上がって早くなったならその分早く着くよな。
だったらイ級から肉を剥ぎ取ってる場合じゃないな。妖精さんが居るなら正確なナビゲートで鎮守府にゴールイン。日本の食べ物と風呂と布団が俺を待っている! ……その前に色々あるんだろうけど、こんなことを真っ先に考える程度にはちゃんとした生活をしたい。切実に。
道中あれほど長い長い言っていたのにいざゴールが見えると案外そうでもなかったと思うのはどうしてだ? いや、やっぱり長かったわ。
やる気が出てきた。今日は快晴。風は少なく日本にゴールインするにはいい天気だ。あと少しだから気を抜かずに行こうと妖精さんと顔を見合わせる。グッと力を込めて一気に行こう。
「さぁ、いざ日本へ!」
『行かせは……しない、よ……っ!』
肩を掴まれた。
▼―――――――――――――――
「敵が居ねーことは良い事なんだろうけどよ、流石に何も無さすぎるのはどうかと思うぜ。体が鈍っちまうよ」
「ぷっぷぅ~! 天龍は鈍るのが嫌ぴょん!? だったらみんなで天龍を追い掛け回すぴょん! 天龍は捕まったらみんなに甘味を奢るぴょん!」
「そうだそうだ~! ボクたちから逃げられると思わないことだね!」
……これは放っておいてはいけないだろう。確かに天龍の言う通りただ進むだけでは暇だが、それは遊んでいい理由にはならない。ましてや今は遠征任務の最中だ。
卯月の明るい性格には助けられたことは多いが、こうやってふざけ始めるのも早いのは直して欲しいと思う。
「駄目だぞ卯月。油断しきっていては突然の対応が出来ない。他の人にも迷わ「あら~良いんじゃない? ね、天龍ちゃん♪」……」
「おっ、おい龍田!」
「あの、そこまでしてもらわなくてもいい……です。」
龍田、あなたもか。
いや、龍田はきっと慌てる天龍を見たいだけだろう。それにしても弥生の反応が割と一般的だと私は思うんだが。全くこの姉たちは……。
わいわいと楽し気に会話ができるなら皆もまだ余力はある筈だ。帰るまでが遠征だ。最後まで気を抜くわけにもいかない。が、このままただ進んでいても気が滅入るだけだろう。やはりこれくらいは目を瞑るべきだろう。
―――ドォン……
「そりゃあ無いぜ龍田~……今、砲弾の音がしたな」
「ぷぅ~……そうなの?」
「確かに音はしたわよ? その耳は飾りかしら~?」
「「ヒエッ…」」
「卯月、皐月……龍田さん、あまり苛めないであげてください。」
確かに音は聞こえた。そして今も最初のよりは小さいがまだ聞こえている。つまり遠くで誰かが交戦している。
おかしい。遠征は一般的に深海棲艦と交戦することを前提で考えられていない。燃費が良く、深海棲艦との交戦を避けられるような艦種が主に行う任務で、資材の収集や敵艦隊の情報収集などを行っている。
だから基本的に砲を撃つなんてことはなく、敵に会ったらはぐれないようにしつつ全速力で撒くのが普通だと教わっている。実際に私も遠征で砲を使ったことは一度もない。
「あっちの方向だ。天龍、どうする?」
私としては何が起きているか凄く気になるが、仕事の途中で寄り道をするのも気が引ける。龍田ではなく天龍に振ったのは、旗艦というのもあるが彼女ならきっと……
「どうするって……行くに決まってんだろ! 行くぞお前ら!」
……消化不良で暴れたがっていたから絶対に行くと信じていたから。そして、半ば無理やり引っ張っていきそうだったから。
▲―――――――――――――――
日本を目前にラストスパートをかけようとしたら肩に手を置かれてスタートさせてもらえなかった。
振り返るとそこには無表情な女の子……艦娘じゃない。けど知ってる顔だ。
駆逐棲姫じゃん……。
何? 駆逐イ級とかの後にいきなりこれ?「こんにちは。死ねッ!」って感じ?
そんな感じで固まってたら肩に置いた手の反対側の腕で殴りかかってきた。
「ガハッ!?」
尋常ではない衝撃と痛み。体感的に間違いなく数メートルは吹き飛ばされた。立ち上がろうとしてすぐに直感に従い屈む。すると頭の辺でチリッって音がした。モタモタしてたらヘッドショットされてた。おっかねぇ……
駆逐棲姫。『艦これ』の割と初期の頃のイベントボスを務めた経験のある由緒ある強キャラで、見た目も可愛く敵キャラながらかなりの人気があった筈だ。勿論イ級など雑魚の駆逐艦とは一線を画す性能をしている。
そんなのが目の前に居る。ただのパンチですらかなりのダメージを受けたんだ。砲なんて当たったら蒸発するんじゃないの? ……涙出てきた。だけどこれが首の骨が折れたと錯覚するレベルの痛みからなのか、悲しい現実を見たからなのかは分かんない。多分両方。
最初に浮かんできたのは諦めからくる開き直り、それ故の心の余裕だった。「負けイベ的なヤツでしょ? お疲れっした~」って感じのやつ。
実際どう頑張っても俺じゃ倒せないだろ。傷をつけられるかも怪しい。
でも砲を躱されたからか「?」って感じの表情をしていて撃ってこなかった。
これは……舐められてる?
「絶対にタダでは勝たせねぇ」
だったら足掻いてやろう。……さっきまで諦めてたヤツ? 誰だねそれは。俺じゃないぞ。あれはきっと別人格さ。
「今のうちです! 逃げますよ!」
おっと妖精さん! 出てきても大丈夫なの? でも逃げるっていうのは大賛成だね。勝てるとは思えないし、というわけで逃げる。じゃあな駆逐棲姫よ。またそのうち会おうや。
「あばよ~駆逐棲姫の嬢ちゃん!」
『待っ……』
振り返ってから全力で移動する。咄嗟のことで今どっちに向かってるか分からねぇ!
「ハァッ、ハァッ……追いかけてくんなよクソが!」
ドォン!―――
「げっ!」
畜生撃って来やがった! 俺ごときにこんなことしてないで大人しく深海に引っ込んでてくれよ。でも音は遠かったからワンチャン逃げられるか?
すぐ斜め後ろに水柱が上がる。とんでもない精度に驚き後ろを振り返る。見なきゃよかったと後悔した。
駆逐棲姫が凄い速さで追いかけてきている。すぐに追いつかれそうだ。
──逃げられない。
「クソッ! どうすりゃ良いんだよ!」
マズいなんてモンじゃない。攻撃力、防御力に機動力、継戦能力もだろうな。これら全てが上回る相手に準備の時間もなく戦いを強いられるなんて死刑宣告と変わらない。この駆逐棲姫は俺に何か恨みでもあんのかよ……
『沈んで……』
いつの間に隣に!? しかも砲向けてきた。
「そぉい!」
急に減速する。目の前を砲弾が通過していくのが弾に反射した太陽光の残光で認識できた。……この世界には中破とかの概念はあるのか? あんな砲弾、当たったら大破を通り越して即死するわ。俺なら掠ってもショック死するね。
やはりこの世界に神などいない。
「これはマズイですねぇ……私が支援しますぅ」
そんな感じで諦めムードになってたら妖精さんから救いの言葉が出てきた。
やっぱり救いの手は存在していた。
艦娘たちの個性がきちんと表現できていればいいなと思います。
因みに
天龍 龍田 弥生 卯月 皐月 長月 です。
長月は名前出てないけど分かる人居たかな……
これは○○じゃない! ってときは【キャラ崩壊】のタグがあるでしょう?許してください。