私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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109話です。

ン巻きで頼むよ……。


直前のひと時

 日中、一つ手前にある島から資材が輸送されてきてた。

 元から明るいことに加えて、大鳳さんが艦載機を飛ばす音と深海棲艦の鳴き声? で俺と三日月はなかなか寝付けなかったが、そこに人が増えて話し声が追加されたらどうなるか?

 

 答えは寝れない……なんてことはなく、輸送班が持って来ていた物の中に遮光テントがあったこととお喋りなどを控えてくれたこともあって、俺と三日月はそんな気遣いに感動しつつ寝不足だった為まるで夜勤明けの労働者のように眠りについた。

 

 

 

 昼過ぎに目が覚めた。

 まだ寝てる三日月を起こさないよう静かにテントを出ると、能面のような顔で缶詰の空を潰しまくっている村雨さんが居た。艦娘の艤装パワーで潰された缶が煎餅みたいになってら……。

 

「時雨ちゃんか春雨、五月雨、海風が良かったのにどうして? 嬉しいんだけど複雑……」

 

 ボソっと呟かれた言葉から、先日の新人たちを思い浮かべると……ああ、なるほどね。

 

「確か涼風でしたっけ? 災難? ですね?」

 

そう! ……最近ちょ~っといいこと無いのよねぇ」

 

 甘い物が無いとやってられないわよ……なんて言う村雨さんに、以前した甘いものを奢る約束を作戦が終わったらやろうと伝えたら、本物の船が動きかねない量のカロリーを摂取するって言い始めた。

 常人がやったら糖尿病RTAになりそうだけど……まさか艦娘はノーカンだとでも言うのか?

 

閑話休題(それはさておき)……ゴメン。やってみたかったんだよ」

 

「……」

 

「……予定通りだとこの島に艦隊が三つ、計十八人が居る筈ですよね?」

 

「そうね」

 

「そうなると既に此処は前線の拠点。誰かはちょっと離れた場所まで行って深海棲艦を倒してたりは……」

 

「それなら~。龍田さーん!

 

「はぁっ!?」

 

 おまっ、龍田さん呼ぶなよぉ! どんな顔して合えば良いのか分かんねぇんだよぉ!

 

「え? ……あっ」

 

 今更気が付いたか! だがもう既に時間切れだよ目が合ったもん。

 ええいままよ! ……龍田さんチーッス! 高校で鍛えられた舎弟ムーブを見せてやるよオラァ!

 

 

 

「どんな神経してたら私に話しかけて来られるのかしら~? 一回ここで解剖(かいたい)してみようかしら~?」

 

 ……すっげぇピリピリしてらっしゃる。

 

「……瑞鶴さん達が港湾棲姫と一緒に空母水鬼を撃破したそうよ」

 

「それは良い事なのでは? どうしてそんなピリピリしてるのかが分からないんですけど」

 

「貴女の普段の行いを振り返ってみたらどお~?」

 

 普段の行い……?

 誰も起きてない時間に活動(はやおき)を開始して、午前中は大事な書類を見て(書類仕事)、午後は警備府を見て(視察)、偶に港湾棲姫のところ(秘密基地)に行って、自分の部屋には誰も居れないようにして(ではイメージ崩壊レベルで)寛いで、最近は殺人犯であることが周知の事実になった。

 

「……完全に不審者(ヤベー奴)ですねぇ!」

 

「ええ……そうね~。自覚してるならどうして直さないのかしら? 頭からしたほうがいいかしら?」

 

「ヒェッ」

 

「それはそうと教えてあげるわ。今はここに一艦隊分が残っていて、他の人達は辺りの深海棲艦を倒しに行ったわ~」

 

 おお……なんか普通に教えてくれたぞ?

 

「さぁ、提督の目の届かないところだし誰が沈もうとも深海棲艦の所為に出来るわ。貴女は何をするのかしらね~?」

 

「何もしませんよ。夜に備えてまた仮眠を取るだけです」

 

 即答する。

 面倒くさいしわざわざ面白くも無いトラブルを自分から起こしたくない。それに別に疚しい事はしてないから……俺は良くも悪くもクソ正直なんでね。

 

「じゃあ寝てるところをサクッと殺っちゃうわね~?」

 

 勝手にしてくれ。

 まぁ……痛みを感じうに死ぬならそれはそれでハッピーかもしれん。怪我とか病気で寝たきりなんて嫌だぞ俺は。

 それに、殺られたら殺られるように立ち回った俺が悪い。

 

 でも……

 

「龍田さんはそんな事しませんよ」

 

 コレは俺の直感。本当に艦娘(軍人)が殺しをしようと思ったら敵意を悟らせないと思うから。

 

「……」

 

 村雨さんはさっきから、龍田さんまで黙ってしまわれた……。

 あんまり眠くは無いけど……寝よう。寝溜めしよう。

 

 

 

 ……夜戦にお呼ばれされなかった。寝れない。

 

 

 

 

 

 

 

 五日目。一同は騒然としていた。

 

「海が赤くなってる……」

 

「フッ」

 

 誰かの呟きが聞こえるが俺は至って冷静だ。慌てるどころか余裕さえある。

 赤い海はテレビで見たことがある。原因はプランクトンだったり藻だったりするらしい。つまりこれは何も恐れることのない自然現象であると決めつけて、他の人が慌てる様子を微笑ましいものを見るように見ていた。

 

「こんな異常事態なのに随分ご機嫌じゃない?」

 

「……龍田さん」

 

 昨日から……いや、例の話をされた時から目の敵みたいにして……。

 

「どうしてそんなに突っかかってくるんですか?」

 

 満潮を見習ってくれよ。昨日お喋りした時に色々聞いたらどうやら俺、駆逐艦スチュワートは満潮を大破させたんだってさ。それなのに「戦争だから」って何でもないように割り切っちゃって……俺ァ感動しちゃったね。撫でようとしたら怒られたけど。

 

「それよりもどうしてそんなにご機嫌なのか答えて頂戴?」

 

 強引だなぁ……

 

「そうですねぇ……赤い海(コレ)は海水に混じった赤い物が原因です。例えば……プランクトンとか!」

 

 そう言いながら海に出てバケツで海水を掬う。

 

 中にあったのは……赤い液体(・・・・)

 

「……」

 

 ええいまだだ!

 

「プランクトンじゃないなら藻です!」

 

 全くハワイの海はヤンチャで困るぜ……。

 これまた輸送班が持って来ていた簡易的な濾過装置に、赤い液体を入れる。

 

 暫く待って出て来たのは……赤い液体(・・・・)

 

「……ナニコレ?」

 

 藻じゃないなら錆か? だったら濾過装置で取れそうだけど……海水に溶けたの?

 

 指に付けて舐めてみる。……俺の通っていた高校は古臭くてね。蛇口から偶に錆びが出てきていたのよ。ちょっとだけだけど飲んじゃったこともある。だから指に付けたくらい平気だろう。

 

「……」

 

 鉄の臭いが……しない……ッ!?

 しかも海水独特の塩っぽさも無い。

 

 ……

 

ナニコレナニコレェ!?

 

 え? そもそもコレ海水じゃないの!?

 

 そこからは、俺もみんなと一緒に半分くらいパニックになった。

 

 誰かが宥めようとはしてくれるが、落ち着いてなんて居られるか!

 本当だったら今すぐ青い海を見る為にここから離脱したいくらいだ。

 

 

 

 

 

「近づくにつれて海がだんだん赤くなってるのは気のせいじゃないんだ。へえ~雰囲気あるじゃない」

 

「あっ!」

 

 伊勢さんの一言で気が付いた。

 赤い海は演出だ。言われてみれば成る程、確かに明らかにおかしい子の海の色が恐怖や緊張感を煽るのにピッタリ。

 蒸留しても駄目だったみたいで、どうして赤いかの説明も全くつかないから『艦これ』の演出であることは確定的に明らか。

 

「ありがとうございます!」

 

 伊勢さんにお礼を……アレ?

 

「Hey! 皆サーン。くたばったりしてないデスカー?」

 

 ……マジか

 

 主力艦隊来ちゃってんじゃん。

 まだ結構朝早いんだけど、張り切り過ぎじゃない?

 

 

 

 それから暫くすると、夜の哨戒に行ってた人達が戻ってきた。

 

 その人達にはこのまま明石さんと間宮さんの護衛をしてもらうことになっている。

 主力が来たからには後は雑魚を散らすことなんてしない。

 

 最後の作戦確認を大淀さん達と進めていたら、拡声器を持った青葉さんが来て俺に渡して来た。

 

「……コレで何をしたら?」

 

「気合の入るような言葉をお願いします」

 

「え? 嫌です」

 

 当たり前だよなぁ? だって大淀さんとか金剛さんとか、もっと相応しい人は居るでしょ。

 だってアレやぞ? 俺みたいな変質者(ヤベーの)に音頭取らせても誰も付いてこないって。

 

「そこを何とか!」

 

「……」

 

 何か申し訳なくなってきたから受け取る。

 いつの間にか周りには大勢が集められていて、俺と青葉さんのやり取りを見ていた。

 

「ねぇこのやり取りどう思います?」

 

 一番話しやすい場所に居た白露に問う。

 

「凄く仲が良いんだね!」

 

「……ええ。それはもう」

 

 こんな無茶振りをしてきた青葉さんには感謝のあまり地獄突きをしたいくらいだ。

 

 いつまでもここでグズグズしてるわけにもいかんししなぁ……

 

ハァ……。意味わからん……カンペは無いのか? え~……長い作戦と飛行場姫の命もそろそろ終わりの時が来たようです。目的は飛行場姫! いざ!

 

「抜錨!」

 

「「「 抜錨! 」」」

 




やっと飛行場姫だ……。
文書構成がガバガバだから長く感じる……
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