私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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117話です。

幕間二本立て。

前半はギャグ10割。 後半はよく分かんないや……


6章 ~幕間②~

 

・魔改造! 劇的ビフォーアフター

――――――――――

 

 今回リフォームするのは絶海の孤島!

 

 依頼者は我らが提督。

 港湾棲姫と北方棲姫の二人が新しくこの島に入居することになったんだとか。

 

 ……正直言って正気の沙汰とは思えないけど、特別手当として間宮さんのおやつ食券を渡されたからには折れるしかない。我々だってタダで仕事をしている訳じゃないんだ。

 

 

 

 島の面積は小さいものの艦娘の暮らす部屋よりは余程大きく、むしろ食堂四つ分くらいはあるかもしれない。

 だけど、島のそれぞれの場所には弾薬や鋼材に加工できそうな鋼片が落ちてたり、燃料になりそうな油の沼がある。

 

 そしてこの島一番の問題は……我々工廠妖精が出向いた時に発覚した。

 

[居住スペースが無ぁい!]

 

[どうなってるんだ!]

 

 最近は艦娘の建造を繰り返し流石に飽きて来た、と言ったところに舞い込んできたこの仕事に飛びついたらこの結果だ。しかし既に我々の腹の中には間宮アイスが収まってしまっている。

 

 早くも提督の甘い罠に嵌ってしまったことに後悔しながらも、現地で島の地盤を調査していたら入居希望者の一人である北方棲姫のタコ焼きみたいな艤装が我々を食べようとしてきた!

 バカな!? あり得ない! どうして入居希望者が既に居ると言うんだ! しかも本当に港湾棲姫と北方棲姫!

 

[契約違反でしょコレ!]

 

 見てないで助けてくれ潮! 曙!

 

「ちょっと! 大人しくしてなさい!」

 

『暇だ!』

 

「新しく住む場所が必要なんですよね? 連れて来た妖精さん達がお家を作ってくれますから……邪魔しないでね?」

 

ギャアギャア!

 

北方(ほっぽ)……大人しくしてて……』

 

 

 

 

 

 入居希望者の港湾棲姫は穏やかに過ごしたいらしい。

 つまり見つからないように海面より下に居住スペースを用意する必要があるみたいだ。腕が鳴るね。

 

 それは置いておいて……

 

[これから作業を始める!]

 

[今日も安全作業で行きましょう!]

 

[[了解!]]

 

 

 

[でもどうやって地面に居住スペースなんて作る? チマチマやってたら日が暮れる!]

 

[こんな時の為に“アレ”を持って来ていたんだぞ! さぁやろう!]

 

 我々、工廠の匠は秘密兵器を持って来ていたんだ。

 「創造の前には破壊がある」の精神って大事だよね!

 

[まさか“アレ”を!? ……分かったよ]

 

[ヘルメット、周りに我々以外居ない……ヨシ!]

 

 テキパキと作業を進める仲間にも緊張が走る。

 

[爆発するぞぉーッ!]

 

[いいか!? 近づくなよ! 絶対に近付くなよ!?]

 

「……近づいちゃ駄目みたいです」

 

「確かに、何となく分かるわ」

 

『あれ、面白そう!』

 

『あれは玩具じゃないよ』

 

[点火します!]

 

Kaboooooon!

 

[[[ ビューティホー…… ]]]

 

 形の良いキノコ雲! 肌に伝わる振動! そして見事に抉り取られた地面! これは限りなく満点に近いダイナマイトだったね! 技術班の奴等もやるじゃん。

 

 

 

 それから、我々の血と汗の滲むような努力の結果……

 

[なんというどうしたらこうなるのよ……

 

 のっぺりとしていて面白みのない島の上にはカモフラージュの為の灯台!

 その中にある階段から地下へ進むと……まるで別世界ではありませんか!

 

 穏やかな港湾棲姫と活発な北方棲姫が共に過ごすということで、広々とした地下空間にも区画を用意して、プライベートの確保もバッチリだ!

 

 敵だのなんだの言っても、仕事には手を抜かない我々匠の心意気を感じて欲しい。

 

[勿論です。プロですから]

 

『おぉ……ありがとう』

 

『ありがと!』

 

「よ、妖精さんも喜んでると思いますよ?」

 

[ちょっとした報酬とお客さんの笑顔で我々は働いてるからね]

 

[でも時間外労働は勘弁~。追加で間宮を要求しに帰ろ~]

 

「私達は引き上げるけど……変な気でも起こすんじゃないわよ!

 

『勿論だ』

 

『むぅ……ツンツンしたお前は帰れ!』

 

「ええっ!? あ、曙ちゃんが残るなら私も残ります!」

 

 何だって!? 我々が帰れないじゃないか!

 

『そうだ、少しくらいゆっくりしていけ。この……妖精? さん? が用意した茶と、スチュワートが持ってきた甘味の残りがある。持て成そう』

 

 前言撤回! 我々はもう少しここでゆっくりする!

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・演習の裏側

――――――――――

 

 

 田代提督から案内されて佐世保の執務室に入……らない。

 神風と旗風が見えなくなると、執務室をそのまま通り過ぎていって別の部屋まで移動した。

 

おっ! 久しぶりだな松田!

 

 部屋に入って聞こえてきた第一声がコレだった。

 

 姿が見えないと思ったら……。

 

「……。久しぶり」

 

 どうして梅木君が外に出て挨拶をせずに田代提督が挨拶をしたのか、どうしてトレーニング用のマットの上で汗だくになってるのかを質問したかったけど、田代提督の前でいきなりそんなことを言うわけにはいかないからグッと堪えた。

 

「ああ、私のことは気にしなくても良いよ。さぁ座って座って。……それに、私たちしか居ないから好きな話題を広げても良いんじゃないかな?」

 

 椅子に座るように促された。梅木君も素早く汗を拭いて着替えてから席についた。その間に置いてあった冷蔵庫から麦茶を淹れた田代提督が戻ってきて

 その後に自分たちを一瞥した田代提督は、悪戯を思いついたように微笑んで……

 

「例えば、艦娘の子たちが居るところでは話せないような好きな艦娘の話題とかどうだい? ちなみに私は最上だよ」

 

 爆弾発言をした。

 

「えっ? 本当(マジ)スか田代提督!」

 

「ああ、嫁さんの若い頃にそっくりってことと、いつもパワフルで元気を貰えるから好きでね。勿論、みんな大事に思ってるけど誰か一人を挙げるとするなら、ね」

 

 確かに、長い付き合いになるから良い関係は築いて行きたいし、自分たち『提督』に見える通称『妖精さん』の為にも艦娘を粗末に扱うわけにはいかない。

 それを粗末にした()い例はつい最近、しかも身近で発生している。

 黒川元提督は命をもってして、決して艦娘や妖精さんが言うことを何でも聞く人形ではないことを証明してくれた。

 そしてその問題の話題の中心に居た当事者のことを自分はよく知ってる。

 

「あの……田代提督。一つ、良いでしょうか?」

 

「なんだい?」

 

「その関係は、言うところのビジネスライクではダメなんでしょうか?」

 

 私の中で一人の艦娘が思い浮かべられる。

 

 私と居る時―――仕事中は決して仲良くはしないと言わんばかりに、実際「仕事じゃなかったら御免」だと言われた。そして書類仕事が終わるとすぐに執務室から消えて、一部で流れた幽霊説を信じそうになるくらい会うことはない。

 艦娘たちと一緒にいる時は穏やかだと聞いているから、誰に対しても素っ気ないなんてことでは無いみたいだし、本人に聞いても決して何か拙いことでもしたと言うわけでは無いみたいだけど……。

 

「お前は相変わらずジメジメしてんなぁ! 田代提督が艦娘を払って俺たちだけでそう言う話をしたならそうゆうことだろ!?」

 

 思考の海に沈んでいったところを、梅木君の言葉で引き揚げられる。

 そして彼が何を言ったかを理解するのに少し時間がかかって、ほんの少しの想像をして顔が熱くなる。

 

いやいやいや! ま、まさかそんなことは……」

 

「う、うむ……まぁ、梅木くんの言った通りだ。君たちも若いし、ちょっとした冗談のつもりでね」

 

「なら俺は……鬼怒かな? いつもトレーニングに付き合ってくれるし。待てよ? だったら大鳳とかでも良いんじゃねぇか?」

 

「梅木くんはもう少し大淀の負担を減らすように努力してくれ……」

 

 梅木君の回答を聞いて少しだけ焦る。

 次は自分の答える番だ。誰が好きかと言われたときに最初に頭に浮かんだのもやっぱり彼女で……

 

 恥ずかしいから小さくなったけど、一応答えることは出来た。

 

「自分は……スチュワートです

 

 梅木君が「誰だ?」と言うと、田代提督の方から声が聞こえてきた。

 

「ああ……なるほど。ちょっと待ってくれ」

 

 そして立ち上がって部屋から出ていき、そう間を空けずに戻ってきた。

 

 田代提督は手に持っていた数枚の紙を梅木君に見せると、目が大きく見開かれて表情が面白いように変わっていく。

 

 そして最後にはニヤリと笑った。

 

「……面白れぇじゃねーか」

 

 書類をヒラヒラさせながら自分に向かってニヤニヤした顔を浮かべる梅木君。

 

 彼女が笑われてるみたいに感じてちょっとムッとしたけど、その程度で一々怒っていては梅木君の面倒を見切れなかった同期と同じだ。

 

「コイツが黒川を殺ったってのを見た時はギョッとしたけど、お陰で俺がここに居るんだし感謝しないとな! ホラ、見てみろよ」

 

 そういって紙を渡してきた。

 目を通すと……うん。自分が作った書類だ。

 

「……?」

 

 それとは別に見たことも無い紙が混ざってるみたいだ。

 

「あの……コレは一体?」

 

 紙には『能力測定結果』と書いてあった。

 

「それはスチュワートが大本営で謹慎してた時に練習艦の香取と鹿島、神州丸から指導を受けた時の評価……分かりやすく言うなら学校の成績表ってところかな?」

 

「ありがとうございます」

 

 彼女の成績表……どんなことが書かれているか気になって読んでみようと思った直後、梅木君が声を出した。

 

「なぁ、そのスチュワートって艦娘って前までウチ(佐世保)に居たんだろ? どうして謹慎が終わったら大湊に行くことになったんだ?」

 

「私より上の人達の考えだから、そこら辺は何とも言えないね。ただ、大湊警備府を離れたとするなら佐世保ではなくてアメリカへ行くと思うよ」

 

「えっ」

 

 彼女が大湊を離れる?

 

 この時に感じたものは何だったのか、自分では良く解らなかった。

 

――――――――――

 




・愉快な工廠妖精さん達

・おや? ていとくの ようすが・・・

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