私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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126話です。

アンケートの回答ありがとうございました。
予想の3倍くらい回答があって正直ビビってます。


他所は他所

『ところで不思議なんですけど、自己紹介は本当に全員がしたんですか?』

 

『そう、ここに居るのが全員だよ! 何か変なことでもあった?』

 

 コテリと可愛く首を倒したサミュエル・B・ロバーツことサムと、それに追従してフレッチャー級の二人も「どういうこと?」と目で訴えてくる。

 どういうことも何も、俺はお喋りを始める前から引っかかってたんだ。一緒に日本から来た人は変に思わないのか、コレガワカラナイ。

 

『その、ここに居る全員が自己紹介をしたなら……誰が深海棲艦に備えてるんですか?』

 

 アメリカに来るまではホーネットさんが艦載機飛ばしてたみたいだけど、今はそのホーネットさんを含めた全員が室内に居る。簡単に言うと哨戒も見張りもない状態に見えるんだよね。

 セキュリティガバガバか? 潜水艦とか艦載機が来たら一発でアウトだと思うんだけど。

 

『バカねぇ。常時艦娘を動員して深海棲艦に対応するのは日本くらいよ』

 

『えっ、そうなんですか?』

 

 予想してなかった言葉に驚くとともに本当かどうか質問する。いやね、疑ってる訳じゃないけどにわかには信じられないって言うアレよ。

 

『そうだよー。ここ(アメリカ)は日本ほど艦娘も提督も妖精さんも多くないし、どういうわけか深海棲艦はみーんな日本に向かっていくからね』

 

『普段はソナー装置やミサイル観測装置を応用して使用しています。私たち艦娘は深海棲艦が現れた時の防衛手段として機能する為に、普段はあまり海には出ないようにしてるんです』

 

『なるほど』

 

 アメリカの賢いやり方に舌を巻く。

 確かに提督と艦娘にしか妖精さんは見えないにしても深海棲艦や艦載機は一般の人にも見えるし、これは知らなかったがカメラにも映るし一般的なソナーで場所を特定も出来るらしい。

 艦娘の少ない環境だからこそ艦娘の力を温存させるようになってるもんなんだなぁと思いながら話を聞いた。日本にも導入して休みを増やしてほしいなぁ。

 

 現代の技術である数観測装置を使ってるなら深海棲艦の艦載機がステルスを搭載しても大丈夫だろう。

 だけど、普通の兵器だと小さい艦載機を撃ち落とすことも容易ではないってイントピレッドさんが言ってたんだとか。やっぱり艦娘と深海棲艦ってスゲーわ。

 

 ソナーは基地を中心に点々と沈められてるんだとか。壊されたりしないのかと思って訊いたら『壊されたらそこの近くに深海棲艦が居るって分かるよ』っていう当たり前な答えが返ってきた。

 

『むしろいつも深海棲艦と戦ってる日本の艦娘はシュラ(修羅)よ! アッキラセツ(悪鬼羅刹)よ!』

 

 ジョンストンは……言いたいことは分かるけど絶対に意味が違う。特に悪鬼羅刹はどちらかと言うと深海棲艦を指す言葉だと俺は思うね。

 

 

 

『では普段は何を?』

 

 日本ほど海に出て無いならきっと普段の過ごし方も随分違うんだろうと思って、普段は何をしてるかを訊いてみた。

 

『日本なら遠征、と答えるんでしょう。ですが駆逐艦が私達三人だけで、軽巡もヘレナさんとアトランタさんの二人しか居ませんし、潜水艦も居ないので……』

 

『あっ』

 

 そっかぁ。そもそもこっち(日本)みたいに六人で行動出来ない上に、軽巡含めた五人で遠征に行ったら行ったで基地に残る面子が八人しか居なくなる。

 日中なら戦艦と空母が殆どだから心配は無いだろうけど、夜に攻めて来られた時は遠征に行った人たちの疲労がMAXでピンチになるんだな。

 俺だって遠征帰りに深海棲艦が攻めてきた、なんてことになったら嫌な顔を隠すことも忘れそうだし。だからと言って二人で遠征に行くのも現実的じゃないんだよなぁ。ままならねぇもんだ。

 

『しかも軽巡二人は資材の消費が凄いからね。それだけを考えるとガンビーの方が良いんだけど、スピードを考えると難しいのよね~』

 

『フレッチャーもなかなか大喰らいだ(燃費悪い)もんね』

 

『ちょっとジョンストン! 否定はしないけど貴女もサムと比べたら人のこと言えないでしょう?』

 

『ぐぅ……サムは良いのよ! ちっこいから消費が少ない。道理よ、道理!』

 

『なぁっ!? 言ったな~!』

 

 そのままサムとジョンストンが言い合いになった。大変微笑ましいです。はい。

 

『ま、まぁ。私たちの燃費は置いておきましょう。ええと、日本からの出向の理由は一時的な戦力や人員の補填、あとは交流ってところでしょうか?』

 

『ちなみに普段は資材を無駄にしないように、普通にトレーニングとかしてるわ』

 

『でもそんなつまらないトレーニングも出向で人が増えたらお終い! 出向で人が増えたら演習とか遠征とか、ショッピングとか! 色々出来るもんね!』

 

 サムの口から実に共感できる理由が出てきて少しホッとした。

 海に出ないなら体力づくりを始めとした本当につまらないトレーニングだろうに……アメリカは出向で人が増えた時以外はそれをやって過ごすとか地獄だろう。そんなのを熱心に続けるのなんて日本ですら大鳳さんを始めとした極少数なんだぞ。

 でも、艦娘が海に出ないってのは平和で良いってことなんだから何とも言えない。遠征だって基本的に逃げの方針だからそうそう被害は出ないけど、危険なことに変わりはないからなぁ。

 

『という訳で早速お買い物に行きましょう! ボス! 良い?

 

「ボス……」

 

『別に構わないが、他のメンバーと相談してから行ってくれよ?』

 

 あっさりOKが出た。

 到着して最初にしたのが自己紹介。その次が各自でお喋りで、その次がお買い物とか、ノリが完全に友達の家に遊びに来た女子みたいじゃねーか!

 

『だって。私アイオワたちに許可貰って来るわ』

 

『じゃあ私たちは着替えてくるから上手に説得、お願いね?』

 

『任せなさい!』

 

「陽炎と初風も一緒に行ってきたらどうかな? 『ジョンストン! ガンビーとヒューストンも連れていけ』

 

『了解~』

 

「だそうです。準備しましょう」

 

 説得してるジョンストンとガンビー(ガンビア・ベイ)、ヒューストンを待つことになると思うけど、だからと言って俺たちがモタモタして良い理由にはならない。

 

「ちょっとスチュワート! 何の準備!? 私たちにも分かる言葉で話してよ!」

 

「さっきサミュエル? とジョンストンだっけ? 騒いでたけど何かあった?」

 

「サム。サミュエルとフレッチャー級の二人、ガンビア・ベイさんとヒューストンさんと一緒に買い物に行くらしいです。陽炎と初風もどうですか?」

 

 人を待たせるのは良くないってナスカの地上絵にも書いてあったから早く行動に移ろうと、説明をせずに自分の都合で行動する悪い癖が出てしまった。アメリカに来て浮かれてんのかな?

 

「あ~……遠慮しておくわ。旧友との交流でしょ? 邪魔しちゃ悪いわ。初風もいいでしょ?」

 

「そう言われたら遠慮するしかないないじゃない。頑張ってね。あと、お土産よろしく!」

 

 え、断るの!?

 しかも旧友って……ほぼ初対面なんですけど!? せめて大湊の誰かは一緒に来て欲しかったけど、陽炎の気の使いが上手すぎて「来てください」なんて言えなくなっちゃったじゃん。

 

「……ありがとうございます。でも初風。一月もあるんだから二人も買い物に行く機会は沢山あると思うのでお土産は無しで」

 

「えぇ~」

 

「ねぇスチュワート、それでさっき二人が騒いでたのは何だったの?」

 

「ゆで卵は固ゆでと半熟、どちらが良いかという終わりなき戦争です。気にしなくていいです」

 

 まあゆで卵なんて完全に嘘だけど、艤装の燃費事情は気にしなくて良いのは事実だ。

 二人から応援されちゃったから出かける準備を……

 

「あ、私服持ってきてないや」

 

「「えっ」」

 

『どうしたの?』

 

 ジョンストンが戻ってきた。あまりにも最悪のタイミングで。

 

『へぇ~、ふぅ~ん?』

 

 バッグを持ったまま固まってる俺を見て何かを察したジョンストンの顔が、玩具を見つけた子供のソレへと変わっていく。コワイ!

 




仕事する気満々で制服と甚兵衛(寝間着)以外の服を持ってきてないポンコツの未来はどっちだ・・・!?

アメリカ駆逐艦三人の会話の描写を考えるのが意外と楽しい・・・
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