私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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131話です。

書いては「これじゃない」→消す
コレを何回も繰り返すとあら不思議!
経過日数に対して質が釣り合わない駄文が完成!

……お待たせしました。


換装

『食後の運動も兼ねて演習しましょう?』

 

 ボリューム満点の昼食を終えて30分くらい経ってからヘレナさんから演習に誘われた。

 

 艤装を装備して海に出ようとしたらヘレナさんと一緒にジョンストンもやってきた。もしや休憩を挟まず連戦になるのかと身構えたけど、俺の予想とは違って二人からそれぞれプレゼントを渡された。

 

『あの、これは?』

 

『533mm五連装魚雷をちょっと改良した物よ! 大事にしてよね!』

 

 ジョンストンから渡されたのは軽巡が使ってる物と見間違うレベルで大きな魚雷。まさかとは思ってもう一度装填数を確認するとその数1、2、3、4……5!? ジョンストンの五連装って聴き間違いじゃなかったのかよ!?

 

「ちょっ!? 『こんな貴重な物は貰えません!』

 

『予備の一つだから、遠慮なく持ってって良いわよ!』

 

 予備!? 大湊じゃまだ五連装の魚雷なんて無いのに、そんな喉から手が出そうなくらい欲しいものに予備があるって?

 

『そういう事なら遠慮なく……後で返してって言われても返しませんよ?』

 

 ワザとらしく身体で魚雷を隠すようにしながらそう言うと笑われた。ウケを狙ったから成功して良かったと思う。本音を言うならもう二つくらい欲しいかったけど、流石に欲張りが過ぎると思って口にするのを止めた。

 

 魚雷を射出機構から外して手に取ってみる。

 

「うん」

 

 魚雷自体は今までのやつよりも若干小さくて軽いから、投げる分にはこっちの方が良いと思う。

 

『どうして日本の一部駆逐艦は魚雷を投げようとするのよ』

 

『ジョンストン、あれはセンダイスタイル(川内流魚雷投擲術)よ。バスケットボールみたいに手首のスナップを利かせることで後方にも魚雷を飛ばせたり出来るらしいわ』

 

『だけど五連装の良さが消えるのでこれは投げるよりは普通に使ってた方が良さそうですね』

 

『道具には機能を全うするための設計がされてるんだから、想定外の使い方はどうかと思うんだけど』

 

 俺もその通りだと思うよ。

 

 

 

 

 

『ジョンストンに随分ハードル上げられちゃったけど……私からはコレ、SGレーダーよ。私はもう艤装に詰め込むだけ詰め込んだから扱いきれないのよ』

 

 ヘレナさんから渡されたのは、日本で使われてるスカスカの鉄筋みたいなレーダーとは違ってちゃんと一枚のプレートがあって近代的に見えるレーダーだった。レーダーのイメージがパラボラアンテナな俺としてはこっちの方が馴染みやすい。

 

 まぁ今まで電探とかレーダーの類は装備したこと無いんだけど。そこまで遠距離から砲撃とかしないし、あれこれ詰め込み過ぎても重くなって動き回れなくなるし。

 でもこれも何かの機会だし、効果を実感してみるのもアリだな。

 

「そういうことだから妖精さん。着けて貰えないかな?」

 

『随分妖精使いが荒いのね』

 

『この妖精さんはちょっと変わってますので大丈夫です』

 

 妖精さんにも意思はある。中破した艤装が山のように積みあがった時には「やってられるか!」と言わんばかりに大勢の妖精さんが工廠から姿を消した(ボイコットした)こともあった。

 だけど今俺の艤装に乗ってる妖精さんは違う。どういう訳か俺以外お断りな変わり者(ホモ疑惑有)だからだ。大分無茶言った時も投げ出さずにやり遂げた凄いけど変なヤツだからだ。

 

 そんな妖精さん(ホモ)がビシッと敬礼を決め、いそいそと作業をし始めた。

 するとどうだろう。

 

「……おぉ! 凄い凄い!」

 

 まるで眼鏡をかけた時みたいにより遠くまでしっかりと見える!

 原理はさっぱり分からないけどなんか狙いやすい。しっかり微調整してるのが自分でよく分かるから照準が定めやすい感じがする。

 なるほど確かにこれを装備してれば、演習の時のジョンストンがしてたような長距離砲撃も可能になるだろう。

 

『ちょっと、気持ち悪い顔してるけど大丈夫?』

 

 気持ち悪いとは失礼な。

 俺だって元が付くとは言え男。しかも一般市民とは違って戦う職業? に就いてる以上強くなることは大歓迎だ。

 しかもそれが微々たる物じゃなくてとても汎用性が高くて色々と可能性があるものだからついニヤニヤしちゃうのもしょうがないと言うもの。

 

『コレが有ればより長距離に砲弾を……これは良いものだ』

 

『喜んでもらえたようで何よりだわ。早速使いこなせるように練習しましょう?』

 

『あ~、演習ってそういう……』

 

 てっきり一対一で勝負するかと思ってたんだけど、早とちりだったかな? 全く、野菜の戦士でも無いのに……いつの間にこんなに戦闘意欲が旺盛になったんだか。

 

 

 

 

 

 魚雷や砲を当てる為の的が用意されて、準備されたそれらを魚雷で沈めていく。

 

 最初は随分遠い的だと思ったけど実際は静止してる状態で当てることはとても簡単だった。これがレーダーの効果だとすると、使い続けている内に コ レ (SGレーダー) 無しの出撃なんて考えられない身体になってしまうかもしれない。汎用性が高すぎるのも困りものだ。

 

 レーダーにばかり気を取られてたけど、魚雷の方も凄いの一言に尽きた。

 やはり連装数が5なのが大きいんだろう。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる理論で、雑に撃っても単純計算で四連装の1.25倍の命中率が期待できる。

 魚雷本体は比較的小さい癖に、サイズに合わない破壊力があったのは驚いた。

 

 今まで近距離戦闘ばっかりだったけどこんなの(SGレーダー)を知ったら遠距離から攻撃するのも楽しそうに思えてくる。やっぱり射程が長くなるといった言葉は単純な字面からは考えられない程に強力だ。

 

 準備された的を全部沈めた俺が次に手を出すのはやはり動く的。深海棲艦も案山子じゃないからやっぱり動く的は欲しい。

 そこでジョンストンとヘレナさんに相手をしてくれないか頼んだら、ジョンストンからは『見ててあげる』と、ヘレナさんからは『手加減できないけど良い?』と言われた。流石にこの装備で初めての相手にヘレナさんはハードルが高すぎるから『ダメです』って断った。

 じゃあ相手はフレッチャーかサム、陽炎か初風かな。神通さんは今ちょっと話しかけ辛いし。

 

 

 

「という訳で演習(一戦)しませんか?」

 

「何がと言う訳なのよ。アメリカの人達と演習するって言って無かったっけ?」

 

「それはもう終わりました」

 

 サムは他のメンバーと一緒にバイオ〇ザードをして楽しそうだったから声が掛けられなかった。初風はフレッチャーと一緒に買い物へ行ったらしく基地に居ない。

 

「早くない? 相手はヘレナさんだっけ……もしかして負けたの?」

 

「いいえ~? 艤装をプレゼントされまして。さっきまでは艤装に慣れる為に的を相手にしてました。実戦で使えるか確認したかったので演習相手に陽炎を選んだんです」

 

「そうなの? 相手になるのは良いんだけど、私もさっきの演習で気になったところを調整中なんだよね」

 

 そう言う陽炎はスマホで明石さんと連絡を取ってアドバイスを貰いつつ魚雷をバラして妖精さんと何かの作業をしていた。

 

「今は何をしてるんですか?」

 

「魚雷に仕込む爆薬の量をちょっと増やそうとしてるところよ」

 

破壊力すごそう。……明石さん? 陽炎はこう言ってますが」

 

 陽炎はどうやら魚雷の威力を上げる為に改造をしていたらしい。確か陽炎の魚雷はかなり高性能だっははずだけどまだ威力を求めるつもりらしい。しかも爆薬を増量するだけなんて意外と脳筋だと思う。

 

『アメリカは遠征が日本ほどなく暇な日が多いと聞きました。だったら色々と試して貰おうと思いまして! 今回の魚雷の件は本人の意思もあってスムーズに実験段階まで事を運べました!』

 

 実験段階て……完全に悪役が出す言葉だと思うんだけど。

 

「因みに、このことで提督に申請や許可は出しましたか?」

 

『……』

 

 オイ なぜ黙る。

 

 

 

「出来た! 待たせたわねスチュワート! 相手になるわよ!」

 

「陽炎、悪魔に魂を売ってしまったんですか? その先にあるのは破滅だけですよ? 今ならまだ引き返せます。その魔改造してしまった魚雷を元に戻しましょう。日本には初風以外の妹たちが居るでしょう?」

 

『酷い言われよう!? 誰が悪魔ですか!』

 

「だったらせめて安心材料をくれませんかね!?」

 

 (明石さん)の手先になった陽炎を救う為にも負ける訳にはいかなくなってしまった。ただ実用性を確認する為に声を掛けただけなのにどうしてこうなるんだ。

 明石さんは艤装の保守、点検ではしっかりしてるんだけどなぁ……。

 




・ジョンストン
アメリカのお洒落番長。
時津風を2Pカラーと揶揄いブチ切れられた経験がある。
SGレーダーを用いた長距離戦で初風と陽炎を苦しめた。
提督には素直になれないお年頃。
カード(トランプ)全般がイカサマを疑うレベルで強い。


川内流魚雷投擲術(センダイスタイル)
流祖は川内。
夜戦の乱戦を意識したゲリラ(ニンジャ)御用達の魚雷運用法。
流祖は足元に設置した魚雷の爆風で空を飛べる(ダメージブーストできる)らしい。
一芸は道に通ずる。
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